星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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評価上がったと喜んだら下がった……

シュウジ「よお、元気いっぱいシュウジだ。前回はカムたちが戦ったんだな」

シア「もう、危うくひどいことになるところでしたよ」

カム「面目無い……」

シュウジ「まあ結果オーライってことで。んで、今回は大樹へと向かうぞ。それじゃあせーの……」

三人「「「さてさてどうなる峡谷編!」」」


すごく……大きいです(大樹が)

  広場に戻った俺たちはルイネ特製のシチューをムッシャムッシャ武蔵野小杉したあと、大樹へと向かった。

 

  十日前に比べれば薄れた、しかし未だに濃い霧の中をカムたちの先導で進む。なお、全員頭にたんこぶがついてるのでマスクを外してる。

 

  理由?あの後流石に悪いと思ったのかハジメが超絶塩対応から超塩対応くらいになってたんだけど、頭を怪我したとか言われてキレた。

 

  なので全員一発ずつゲンコツを入れられました。俺?笑ってたらハジメにケツにゴム弾撃ち込まれましたが何か?

 

『過去に戻ったデッドプールに殺されたデッドプールの気持ちがわかったな』

 

  あれ最後に首切り落とされたけど生きてなかったっけ?

 

「んー、いい素材落ちないなー」

「何やってんだシュウジ?」

「白◯」

「なんでできてんの?」

「アレがアレしてアレしたら元の世界のと繋がった」

「オーケー、何一つわからないことはわかった」

「シュウジー、ハロウィンイベの周回どれだけ終わった?」

「んー、5回くらい?」

「ふーん。俺8回」

「エボルトォオオオ!」

 

  お気に入りのキャラはイリアとかである。理由?なんとなく雫とルイネに似てるから。

 

「うう、痛いです……」

 

  携帯でゲームやってる俺たちの横では、頭をさすりながら涙目になっている旅の仲間になったシアさんがいた。

 

  シアさんはハジメの頭を心配してガチでハンマーで叩こうとした(提供は俺、ディオスシリーズである)ので一際強くゲンコツされたのだ。俺は十字固めされた。

 

「いつまでも鬱陶しいな。いい加減にしろ」

「じゃああんなに強く殴らないでくださいよぅ!私か弱い女の子なんですよ!?」

「知らん」

「酷いっ!」

 

  ギャーギャー言うシアさんをハジメがガン無視して進む。うーん、なんだかこの光景も見慣れてきた今日この頃です。

 

「ところでルイネさんや」

「なんだマスター」

「何で俺の腕をホールドしているんだい?」

 

  俺の片腕にガッチリ抱きついているルイネに問いかける。さっきからずっとこんな調子だ。いや、悪い気はしないんだが。

 

「しばらく話せなかったのでな。昔のマスターもいいが……私は今のマスターの方が好きだ」

「……そうかい」

「マスター、照れているな?」

「ナーンノコートカワーカリマセーン!」

 

  いやほんと、嬉しいとか嬉しいとか嬉しいとか全然思ってないから。俺平常心キープしてるから。あっやべ必殺技使うタイミングミスった。

 

『おもっくそ動揺してんじゃねえか』

 

「お、ボス、先生。大樹が見えてきやしたぜ」

 

  そうして進むことしばらく、前方にいたカムさん……カム親分?どっちでもいいけど、声がかかった。

 

  アプリを終了すると歩きスマホをやめ、大樹が見えるのを待つ。程なくして視界が開け、そこには……

 

「……なんだこりゃ」

 

  ……どっからどう見ても枯れた大樹があった。ハジメが呆れたような声を出す。

 

「すごく……大きいです」

「頬を染めるな気持ち悪い」

「しかし、本当に大きいな」

 

  確かに、大樹というだけあってそれはとても大きな枯れ木だった……それは剣というには、あまりにも大き(ry

 

  直径は目算でも十五メートルくらい、幅も俺とエボルトが横になってもそれの倍くらいはあるだろう。

 

  だが最も目立つところは、やはり枯れているということだろう。他の木は青々と茂っているのに、これだけは完全に枯れている。

 

「この大樹はフェアベルゲン建国以前から枯れており、しかし朽ちることはないから神聖視されているのです。まあ、ぶっちゃけ言うとそれだけなのでただの観光名所なのですが」

「なるほどねぇ……」

 

  カムさんの説明に頷いていると、不意にウサギが一歩前に足を踏み出した。そして大樹に近づき、そっと手で触れる。

 

  その顔に浮かんでいるのは、まるで懐かしいものを見たような表情。そう、故郷に帰った時に似た顔だ。

 

  時々天使と間違えるが、彼女は元はオスカーの作ったホムンクルス。もしかしたら、他の迷宮にも何か感じるものがあるのやもしれない。

 

「ゲコッ」

 

  ……まあ頭の上のカエルのせいで神秘性は半減してるけど。

 

 

 

 オオォォォォォォォォン……………

 

 

 

  俺の考察を肯定するように、近い場所から地鳴りのような遠吠えが聞こえてきた。あっちも懐かしんでいるようだ。

 

  そうしてウサギを見ていると、ふと大樹の根元に何かがあるのに気がついた。

 

「おいハジメ、あれなんだ」

「あん?」

 

  俺が指差す大樹の根元に、ハジメが視線を移す。するとそこには半ばコケで覆われた、石板のようなものがあった。

 

  近づいて見てみると、それに何かが刻まれているのがわかる。七つの紋章を点にした、七角形の図形だ。そして1番上の紋章は……

 

「これ、オルクスのと同じ……」

「みたいだな。ここが大迷宮の入り口で確定か」

 

  ハジメがオルクスの指輪を取り出す。俺も取り出して見てみると、なるほど確かに石板にあるのと同じ紋章だ。

 

  しかし、同じなのは良かったものの、これ以降どうするかは口伝には情報が残ってない。肝心なとこだけ話さないとかエボルトかよ。

 

『策略だよ、策略』

 

 ポンポン新しい真実出てきたもんなぁ。

 

  だが、情報がなくても無問題モーマンタイ。なぜかって?そう、女神様から知識を授かったこの俺ちゃんがいるからさ!

 

  スタスタと歩いて石板の裏に回る。すると紋章のある位置にそれぞれ一つずつ窪みのようなものがあった。

 

「ここにこいつを差し込めばっと」

 

  指輪をオスカーの紋章の窪みにカチッと差し込む。石板が僅かに震え、淡く光って何かが起こったのがわかった。

 

「ハジメー、そっちになにか変化起こった?」

「ああ、なにやら文章が浮かび上がってきた。でかしたシュウジ」

「おお。っていうかここにいると見えないから読み上げてくれない?」

「わかった」

 

  そしてハジメは石板に浮かんだ文字を読み上げる。

 

 〝四つの証〟

 〝再生の力〟

 〝紡がれた絆の道標〟

 〝全てを有するものに新たな試練の道は開かれるだろう〟

 

「こんな感じだ」

「ほーん……」

 

  さしずめ解放者からのなぞなぞってとこか。まあ答え知ってるけど。

 

「確か四つの証はオスカーのを含めた攻略の証、再生の力は再生魔法っつー神代魔法、んで紡がれた絆の道標は亜人族の協力だったな」

「なるほどな……つまり、まだここは攻略できないってことか」

 

  まっ、まだ証も一つしかないし、再生魔法もないからね。かろうじてカムさんたちの案内があるから最後のはクリアできてるけど。

 

「なあエボルト、これ俺の知識とお前の擬態能力で何とかならない?」

「ちょっとやってみるか」

 

  エボルトが手のひらを差し出す。すると赤黒い物体が出てきて、それが三つの紋章の入った指輪に変わった。

 

  それを受け取り、窪みにはめ込む。するとまた光った。おお、これゲームの隠し部屋の鍵外すみたいで楽しいわ。

 

「偽物かどうか認識されないのね」

「そりゃお前の知識を元に完全に再現したからな」

「エボルト優秀〜」

「はっはっはっ、もっと褒めろ」

「調子乗んなエイリアン」

「いきなり百八十度対応変わったなオイ」

 

  そして体内で治癒系統の再生魔法に酷似したものを構築し、手にその魔力を集中させて石板を触る。

 

  一秒、二秒と待ってみるが……しかし、特に何の反応も起こることはなかった。

 

「ま、できないよねー」

「そりゃあ、こんな簡単な裏技で開いたら苦労しな……」

 

 

 ズズズズズズ………

 

 

  エボルトが最後まで言い終える前に、後ろから音がする。バッとシンクロした動きで振り返ると、大樹に変化が起きていた。

 

  ほんの少しだが枯れた幹の色が濃くなり、幹に亀裂が入った。そして僅かに横に開くが、そこで止まる。

 

「……できかけちゃったね」

「……できかけちゃったな」

「お前ら自分でやっといて驚いてどうするんだよ……」

 

  いやぁ、半分冗談のつもりだったんですよ。結局できませんでした、みたいないつものオチを狙ってた。

 

「んで、どーするよハジメ。多分もう少し工夫すればこれ開いちゃうけど」

「そうだな……ユエとウサギはどうしたい?」

 

  二人に降るハジメ。ユエとウサギは互いに顔を見合わせ、どうする?とアイコンタクトしていた。仲良いよね君たち。

 

「あ、ちなみにさっき言った◯ラフォー◯ーいるのここの迷宮ね」

「「うっ!?」」

 

  怯む二人に、隣のエボルトが某火星在住のゴッキー星人に擬態する。すると二人はさらに一歩後ずさった。

 

  そんなユエとウサギに、エボルトがほれほれならぬ「じょじょじょじょ」とか言ってにじり寄っていく。完全に事案ですありがとうございました。

 

  マッスルポーズとか考える人とかグ◯コのポーズをするエボルトに、二人はすげえ萎えたような顔をしている。あっハジメに殴られた。

 

「いてぇ……」

「ったくこのバカは」

「ハジメ……」

「気持ち悪かった……」

「はいはい、二人とも怖かったなー」

 

  よしよしと頭を撫でられると、ユエとウサギの表情がとろける。すぐさまピンク色のオーラが出てきた。くっ、ここはもうダメだ!

 

  結局すぐには無理ってことで、正規の証と再生魔法を獲得するのを目的に他の三つの大迷宮に行くこととなった。

 

  さて。これにて今回の俺たちの樹海での用事は終わり。つまり契約が完了し、ハウリア族への庇護は終了となる。

 

  それを自然に悟ったのだろう、俺たちの前にプレデターハウリアたちが整列した。そしてイギリス兵みたいに真っ直ぐ見つめてくる。

 

  それに俺たちもふざけるのをやめ、エボルトを蹴って立たせて向き合った。

 

『俺の扱い雑くない?』

 

 なんのことやら。

 

「シュウジ、演説頼む」

「もう完全に俺の管轄になってますねはい」

 

  仕方がなく伊達眼鏡をかけて、回帰を発動する。便利使いしていると思う今日この頃。

 

「さて、諸君。これにて私たちの貴方達との契約は終わりです。貴方たちはもう十分に強い、樹海の中でも十分に生きているでしょう」

「先生!実は、我々から一つ願いが……」

 

  声をあげたカムを、私は手で制する。そして話を続けた。

 

「私たちについてくる、というのは却下です。貴方たちは強くなったとはいえ、旅についてこれる程ではない。故に、次来た時にシアさんと同程度の強さに至れれば考えましょう」

「はっ!では我らハウリア族一同、粉骨砕身の思いで己を鍛えます!」

「よろしい……さて、ではシアさん。お別れの言葉を言いなさい」

 

  隣にいたシアさんの背中を押し、前に出す。するとシアさんは慌てた後、ハウリア族を見渡して話し始めた。

 

「……父様、皆さま。私はこれからハジメさんたちについていって、世界を旅してきます。その中で、きっと苦しいことも、くじけそうになることもあるでしょう」

「「「……………」」」

「でも、私は決してめげません。だって……こんな私を愛してくれて、育ててくれた家族(みんな)がいますから」

「「「……!!!」」」

「だから、今まで沢山沢山、ありがとうございます。皆が頑張っているなら、私も精一杯頑張れますから、だから……だがら、まだいづか、会いまじょゔっ!」

 

  ボロボロと涙をこぼしながら言うシアさんに、ハウリア族もまた静かに涙を流していた。そこからは暖かい、家族の絆を感じる。

 

  しかしそれも少しのこと、ハウリア族は涙をぬぐい、カムが足を踏み鳴らすと皆姿勢を正す。そして……

 

「ハウリア族一同!我らが愛娘シア・ハウリアに……敬礼ッ!!!」

 

  カムの号令で、一糸乱れぬ動きで敬礼をするプレデターハウリアたち。それに感極まったのか、わっとシアさんが泣き出した。ウサギがその肩をさする。

 

「おお、感動するねぇ」

「お前がいうとかけらも思ってなさそうに聞こえるわ」

「酷くない?昔はそうだけど今はちゃんと思ってるぞ?」

「……ボス、先生」

「なんだ」

「……私の、私たちの娘を、どうかよろしくお願いします」

「……まあ、一旦預かったんだ。最後まで面倒見るさ」

「当たり前です、弟子の願いを聞くのが師匠の務めの一つですから」

 

  私たちが答えると、ふっとカムは訓練前と同じような優しげな笑みを浮かべたのだった。

 

  その後、樹海の入り口まで戻り、プレデターハウリアたちの見送り付きで回帰を解除した俺とハジメたちは樹海を後にした。

 

  再び峡谷の中を、俺はマシンビルダーverエボルトにルイネを後ろに乗せ、ハジメはサイドカーにウサギとカエル、シア、後ろにユエを乗せて並走する。

 

「そういえば、次はどこへ向かうんですか?」

「ああ、ブルックっていう町だよシアさん。そろそろ都会が懐かしい頃合いでね」

 

  ふと問いかけたシアさんに、俺は人差し指を立てながら答える。ライセン大峡谷にある大迷宮を探す前に、まずはそっちに向かう。

 

  なぜライセンなのかというと、大迷宮の一つがある北の【シュネー雪原】は魔人族がウロウロしてるし、それなら同じく迷宮のある西大陸の【グリューエン大火山】へ向かいがてらその道すがら寄ろうってことだ。

 

  それを説明すると、基本地獄の処刑場って認識のライセン大峡谷をついでのように渡ると聞いてシアさんは頬を引きつらせてた。

 

「そんな顔すんなって、今やシアさんも俺たちと同じ部類なんだぜ?もうあそこの魔物なんて雑魚だよ」

「い、いえ、それはわかっているのですが……」

「ったく、うるさい残念ウサギだな。仲間になったんならどしっと構えてろ」

「そ、そんなすぐには無理ですよぉ〜!っていうかその前に、町に行く理由も聞いてませんでした」

「あー、そろそろ食料品とか調味料とか揃えたいしな。今後のためにも魔物の素材を換金しときたいし」

「な、なるほど……」

 

  それからてっきりハジメさんとかは峡谷の魔物食べて満足するしユエは血で十分だから自分はどうするかと思ってて、安心したと言ってサイドカーの外に括られていた。

 

『こいのぼりみたいになってんな』

 

 ベストマッチ!な表現だな。

 

 しかし、町か……楽しみだなぁ。

 

「ふっふっふっ……」

「なんだよシュウジ、いきなり笑い出して」

 

  ハジメが気味悪そうにいうが、俺は妖しい笑みを浮かべ続けた。今からハジメたちの驚く姿が目に浮かぶようだ……!

 

  そう不穏なことを考えながら、俺はバイクを走らせるのだった。

 

 〜〜〜

 

 オマケ その1

 

 シア「私もハジメさんとイチャイチャしたいですよぅ〜!」

 ハジメ「だーっ暑苦しい!俺にはユエとウサギだけなんだよ!」

 シア「そんなぁ!嫁が多いのは男の甲斐性、三号さんでもいいですからぁ!」

 ハジメ「いやこれ以上増やしたら元の世界に帰った時面倒になるわ!一夫一妻制なんだぞ!」

 シュウジ「案に少なくともユエとウサギはどっちも娶るのね。ていうか嫁の多い人種(OTAKU)いるやん」

 ハジメ「……たしかに」

 シア「希望の光が!?」

 

 

 〜〜〜

 

 オマケ その2

 

 シア「それにしても、迷宮ですか……」

 ハジメ「何か思うところでもあるのか?」

 シア「えへへぇ」(襲いくる困難……そして深まるハジメさんとの互いの絆……!)

 ハジメ「?」

 

 

 ーーー

 

 

 香織「それ私もやりたかったのにー!」ダンッ

 美空「いきなりどうしたの香織!?」

 雫「シューに助けられる……アリね」

 

 

 〜〜〜

 




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次回はついに街へと。
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