エボルト「よお、エボルトだ。前回も前々回もまったくもってセリフのなかったエボルトだ」
シュウジ「どんだけ出番欲しいんだよ…で、前回はルイネとのデートだったな。すげえ楽しかったぜ」
ルイネ「ふふ、私もだマスター」
ハジメ「よかったな。まあ俺もウサギとイチャイチャしてたが」
ウサギ「♪」
シア「うう、羨ましいですぅ…」
エボルト「DEBAN! DEBAN!」
ユエ「エボルトうるさい…今回はライセンにまた入った。それじゃあせーの……」
七人「「「「「「「さてさてどうなる峡谷編!」」」」」」」
ブルックの街を出てから早数日、俺たちはとある秘密を知る人物を追って北都へと向かっていた。
『オイ』
闇のブローカーに金を渡し、なんとか北都への切符を手にした俺たちだったが、そこで突如スケ◯ト団が出現。行く手を阻んだ。
『オイ!』
迫り来る強敵に対し、俺たちはいったいどう立ち向かっていくのか。緊張と手に汗握る展開の……
『オイっ!』
なんだよエボルト、今いいとこだったのに。あ、ス◯ット団じゃなくて◯ケット団の方が良かった?
『いや違うから!色々おかしいから!』
えー、何一つおかしなこと言ってないだろ俺。
『ちょっとトランスチームガンの弾頭に撃ちこんでやろうか?ん?』
やめてくださいしんでしまいます。
っていうのはまあ冗談で、実際には再び入ったライセン大峡谷の中にいた。すでに五日経過しており、そろそろ岩壁のフルコースにも飽きている。
しかも面倒なことに、子猫ちゃんたち(魔物です)が黄色い声を上げながら(威嚇です)近寄ってくるもんだから対処していた。
無論、この程度の子猫ちゃんたち(魔物でry)に負けるはずもなく、ことごとく殺しながら峡谷内を移動するのが最近の生活だ。
『なにその最近のマイブームです的な言い方』
JKが言いそうな言葉だな。ていうか今回最初からよく喋るねお前。
『前回全くもってセリフなかったからな。お前が邪魔すんなよって言うから寝てたし』
メタいよ(今更感
『ちなみにお前の作った透明になれるドローン使って一部始終撮ってるから』
ウソダドンドコドーン!
「ほいっと」
バンッ!!
エボルトと話しながら、正面から襲いかかってきたハイベリアを撃ち殺す。もはや手馴れたものであり、かなりの数を撃ち殺していた。
ネビュラスチームガンをしまう間も無く、また魔物が奇声をあげて突撃してくる。あっアベ=サンverライセンだ。
『それ普通のとなにが違うんだ?』
ちょび髭が生えてるのと無駄に走るフォームが綺麗。
アベ=サンverライセンを撃ち殺していると、他の皆が戦っている音も聞こえてきた。バイクを運転しながらそっちを見る。
「はっ!」
ズパァンッ!
背後でバイクの上に立っているルイネが、近くの岩壁から精製した無数の日本刀で魔物を細切れにする。その軌跡は非常に正確無比であり、一匹も生き残れる魔物はいない。
「一撃必殺ですぅ!」
ドゴンッ!
身体能力強化をしたシアさんが、サイドカーから跳躍して大槌〝ドリュッケン〟と圧倒的な膂力で魔物の頭を粉砕する。かつて人間ロケットにされていた時とは大違いだ。
「……邪魔」
ゴバッ!
手をかざしたユエが、バッヂの効果で魔力分解作用を跳ね除け枷のない超高温の炎で魔物を消し炭にする。某アローンな少年のホームに盗みに入った泥棒の片割れが頭に食らったやつみたい。
『また古い映画持ってきたな』
作者あのシリーズ好きらしいよ(だからメタry
「うぜぇ」
ドパンッ!
ドンナーを構えたハジメが、俺同様に魔物を撃ち殺す。こちらもまたバッヂの効果で〝纒雷〟と魔力駆動二輪の運転を問題なく並行していた。
「ゲコッ」
ピシュッ
ウサギ……っていうか頭の上のカエルが舌を伸ばし、魔物を口元に引き寄せると頭だけ噛みちぎってもぐもぐとした。明らかに口に収まる大きさじゃないが、そこはスルーで。
そんなこんなで、ライセン大峡谷の中は俺たちによって地獄の処刑場から魔物たちの屍山血河が広がる惨状へと変わっていた。
「あーハジメ、そろそろ止まろうぜ。お月様が顔を出しそうだ」
「……私?」
「ある意味あってるけど違うね」
「ん、そうだな。ここらで野営するか」
ハジメに向かって叫ぶと、あいつは頷いて魔力駆動二輪を減速させ始めた。俺もそれに従い、バイクのアクセルをゆっくりと手放す。
少しして、俺たちは完全に停止した。ルイネともどもバイクを降りると携帯に戻し、異空間に放り込む。
「さーてと……むんっ!」
体内で魔法を構築すると、手で印を組んだ。そして魔力を手に集め空中に向けて放った。すると結界が出現し、広がっていく。
「うし、これで朝まで半径五十メートル以内に魔物は近づかねえ」
『説明口調乙』
「サンキューシュウジ。それじゃあテント立てるか」
ハジメが〝宝物庫〟からテントを二セット取り出した。俺とルイネ、ハジメとユエ、シアさん、ウサギで一セットずつだ。
えっさほいさと男子組でテントを立てている間、女性陣で夕食の準備をした。料理するのは主にルイネとシアさんだ。
あの残念さからは考えられないが(失礼)、シアさんは家事全般得意だったりする。ルイネも認めて助手にするレベルだ。
ちなみにルイネたちがつかっている調理器具、ならびにこのテントは俺たちが作ったアーティファクトだったりする。
テントには〝気断石〟という気配を誤魔化す鉱石を、調理器具は例えば込める魔力量に比例して温度調整できるフライパンとか。
他にも各鉱石を使った冷蔵庫や冷凍庫、スチームクリーナーモドキ、エトセトラエトセトラ……あ、俺が作った圧力鍋とかもある。
「ハジメさーん、シュウジさーん、ご飯の準備できましたよー」
テントの固定が終了したころ、シアさんから声がかかる。上を見れば、もうすっかり上弦の月が輝いていた。
焚き火の周りを囲むように設置されたテントなどと一緒に取り出した椅子に向かうと、すでにウサギとカエルが。そしてなぜかエボルトが座っていた。
「貴様、いつからそこに…!」
「ふっ……お前が骨組みでハジメをカンチョーしようとしてボディーブローを食らった時だ」
「ななななんのことやら」
エボルトの言葉に目をそらしながら席に着くと、ルイネが料理を持ってくる。本日は鶏肉のようなものを主にしたスープとパンのようだ。
ルイネが席に着き、シアさんはまだ調理するから大丈夫というのでいただきます、と言って食事を開始する。
「ズズ……お、美味え」
「ほほぉ、中々だな」
「うわっほんとだ、美味え」
「……残念ウサギなのに残念じゃない」
「……おいしい」モキュモキュ
「だ、そうだぞシア。今日はシアがほとんど作ったのだ」
「へえ。さすがシアさんだな」
「ありがとうございますぅ。あ、さっき捕まえたばかりのクルルー鳥も出しますね」
ザシュッ!と言う音とともにシアさんが包丁を振り下ろす。程なくしてクエー……と小さな声が聞こえて、ニコニコ顔のシアさんの頬に血が飛んだ。
顔を見合わせる俺たち。正面のハジメの顔には温厚な一族ってなんだったっけ?と書いてあった。きっと俺も同じような感じだろう。
エボルト?あー惑星食いたいなーって顔してるんじゃない?(適当)
「今は思ってねえよ」
「じゃあ今週のジャ◯プの内容?」
「もうこっちにきてから三ヶ月以上たってるから内容わかんねえよ」
「お前勝手に俺のお小遣い使って買ってたよな。俺が寝てる間に体使って」
「てへっ☆」
「シアさーんタコの唐揚げ追加でー」
「ちょっおま」
そんな風にいつも通りワイワイ話しながら、俺たちは食事をした(タコの唐揚げはクルルー鳥のあんかけ唐揚げと一緒に出されました)。
食事を終えると、ルイネの淹れた紅茶モドキで一息つく。パチパチと火花を散らす焚き火を見ながらぼーっとしていた。
「それにしても、見つからないもんだな」
「んー、目印はわかってるんだけどなー」
すると、不意にハジメがそう言う。俺はそれに相槌を打った。
もう結構な日数たってるが、未だにライセン大迷宮は見つからない。オルクスの隠れ家からの出口も通過しちまった。
幸い、女神様の知識からヒントは得ている。絶壁に寄りかかるように存在する一枚の岩、それがライセンの入り口の隠し場所だ。
だが、いかんせんそれが未だに見えてこない。探知魔法を使おうとしたが、例のクソ神を警戒しているのかこれだけは弾かれた。
なので、地道にこうやって探しているわけである。ぶっちゃけ言ってすげぇ飽きてた。バイク運転しながら適当に拾った石で彫刻作るくらいには飽きてた。
『なんでよりによって作るのがダークライダーばっかりなんだよ』
んー、なんとなく?てかそれ言ったらお前ダークライダーどころか極悪真っ黒ライダーじゃん。
『ちょっと何言ってるのかわからないわ』
サン◯ウィ◯チマンネタやめろ。
「まっ、どうせ大火山に向かうまでのオマケ的扱いだ。テキトーに探しゃいいんじゃね?」
「……それもそうだな。いざとなればオルカンでも使って絶壁を吹っ飛ばせば出てくるだろうし」
「ゴリ押し全開だなオイ」
「そういうお前だって昨日ブラックホールでも使おうかなとか呟いてたろ」
グダグダと話しているうちにいい時間になったので、就寝組と見張り組に分かれる。最初は俺とエボルト、後なぜかカエルだ。
「さて、暇だけど何する?」
「いやお前、これ見張りだからね?修学旅行じゃないからね?」
「そう言いつつ◯ノ取り出してんのはどこのどいつだ」
「私だ(ドヤ顔)」
言いながらエボルトとウ◯を始める。別にやっていても普段と同じ程度には警戒はできる。並列思考ができるからこその芸当だ。
エボルトとハジメたちが起きないようにワイワイ……ボソボソ?と騒ぎながらウ◯に始まり、ババ抜きや神経衰弱でかなり拮抗しながら遊ぶ。
余談だが俺とエボルトのゲームの腕は互角だ。俺は前世からの超記憶力で、そもそも元はスライム状のエボルトは大脳とか小脳とかいう概念がない。
だが、1時間もすると飽きてきてエボルトはモン◯ンを、俺はうつらうつらとし始めた。最近ルイネが結構激しい(意味深)からなぁ。
ゴソゴソ……
寝かけながらもしっかりと魔法を使い警戒するという我ながら器用なことをしていると、不意にテントの方から音がした。
すぐに意識を覚醒させて振り返ると、テントからシアさんが出てくる。そしてキョロキョロと周りを確認してから俺たちを見た。
「どったよシアさん」
「ちょ、ちょっとお花を摘みに……」
「おーいってらー」
トイレの暗喩だとわかってるので適当に手を振る。ちなみにこれが雫の場合、ストレートにトイレと言う。
なんでかって?本人曰く今更俺に何か隠すものがないとのことらしい。まあ自分のこと以前に俺のプライベートどころか思考まで把握されてるしね(白目)
「た、大変ですぅ〜〜!」
「ぬっ?」
「なんだぁ?」
焚き火を眺めていると、突然シアさんの叫び声が聞こえてきた。条件反射でトイレに行った方を振り向き、エボルトも体を持ち上げる。
「ったく、一体なんだ……」
「……うるさい」
「うにゅ……」
「なんだ、何か異常事態か?」
ハジメたちもテントから顔をのぞかせた。するとそこでシアさん本人が戻ってくる。なにやら焦った様子だ。
「み、皆さん大変ですぅ!大変なんですぅ!」
「どうどうシアさん、落ち着いて。はいヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「妊婦さんじゃないですぅ!とにかく来てください!」
「なにかあったん?あっ撃ち損ねて服についたとか……」
「ふざけたこと言ってるとその肩のトゲトゲ引っこ抜きますよぉ!?」
「すんませんっした」
「ってそれより!すごいものが!あっちにすごいものが!」
ヘイ、カモンベイベー!と言わんばかりに手を振り回すシアさんに、ハジメと顔を見合わせるとあいつは肩をすくめた。
とりあえず何かあったのは確からしいので、エボルトをお留守番させて全員でシアさんの促す方に行く。
そして……
「……なあシュウジ、これって」
「ああ、ビンゴだ」
パチンッと指を鳴らし、人差し指で〝それ〟……女神様の知識と瓜二つの、絶壁にもたれかかる一枚岩を指差した。
その一枚岩と絶壁の間の隙間にシアさんが走って行き、早く早く!と手招きする。忙しない姿に苦笑して足を踏み出した。
岩の隙間に入ると、壁面側が奥へと窪んでおり、意外なほど広い空間が存在した。へぇ、岩壁の中身を繰り抜くような形なのか。
その空間の中程まで行くと、シアさんが無言で、しかし得意気な表情でビシッと壁の一部に向けて指をさした。
つられて見てみると、そこにはこう書いていた。
〝おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮♪〟
「……なんだこれ」
「みたとこ、結構古いな」
無駄に可愛らしい絵とともに書かれた丸っこい文字に触れる。感触からして、掘られたのは相当昔だろう。見てみれば、ほかにもなんか書いてある。
〝ここからが本当の大迷宮だ!なんちってw〟
〝か〜ら〜の〜?入り口は内緒(爆)〟
「うーんこの既視感」ジー
「……ん」ジー
「……うん」ジー
「ですぅ」ジー
「そうだな」ジー
「おい待て何故俺を見る」
俺は無実(ry
「いやぁ、それにしても本当にあったんですねぇ。おトイ……お花を摘みにきたかいがありました」
どうです、すごいでしょ!と胸を張るシアさんにハジメはハイハイとおざなりな反応をしながらもう一度文字を見た。
「ユエ、ウサギ、ルイネ、どう思う?」
「……ん、多分本物」
「ああ、間違いないだろう」
「
そう、ここに書かれているミレディという名前。これはオスカーはんの隠れ家にあった手記に記された名前、そして俺の知識とピッタシ合致する。
つまりこれを書いたのは正真正銘、本物の解放者の一人であるミレディ・ライセンってわけだ。
「しかしまぁ……なんつーか、同類の匂いを感じる看板だな」
「だろうな。ていうかセンスが古いあたり本物の可能性がさらに高い」
気の抜けた顔をするハジメ。そりゃオスカーはんの迷宮であんな思いすれば、拍子抜けしたくもなるだろう。
対して俺はどうかといえば、多分迷宮内でもこのテンションで色々起きるんだろうなぁって感じである。
なんでわかるかって?俺が1番こういうタイプの煽りスキルの高さを知ってるから(自覚)
「さーって、それじゃあ入り口は……」
一旦目を閉じ、開く。すると視界が中央に向かうにつれ薄くなる赤色に染まっていた。魔法の一つ、〝龍の看破眼〟だ。
それで調べて見ると、シアさんがぺたぺた触ってる壁のあたりに入口があった。ていうかモロ入り口に触ってた。
「シアさん気をーー」
「ふぎゃっ!?」
気を付けやーと言い終える前に、ぐるりんちょと入り口が忍者屋敷さながらに回転してシアさんが消えた。
沈黙が流れる。ハジメたちを振り返れば、なんか色々言いたそうな顔をしながらため息を吐いてた。ルイネも苦笑してる。
とりあえず腕力にモノ言わせて扉をひっぺがすと、なぜか磔にされたシアさんが裏側にくっついてた。
まるで金属から削り出した黒い矢が服に刺さっており、みなさんおなじみ避難口のランプのアレみたいになってる。
ていうかなんか変な匂いもした。でどころは股間のあたり……あっ(察し)
「シアさん、スッキリしたかい?」
「あとで絶対ぶちのめしますぅ……!」
涙を流しながらブラックホールのような目をするシアさんが怖かったのでハジメたちに任せ、俺はルイネとともに迷宮内に入る。
足を踏み入れると、迷宮内はまっくろくろすけだった。物音一つしない…と思った瞬間、本能が危険を告げる。
ヒュヒュヒュッ!
前方から飛んできたなにかを、魔法で押し出す力を消滅させて無効化する。転がったそれを見れば、先程の黒い矢だった。
「なるほど、入ったら飛んでくる仕組みか」
「かなりの速度だ、並の人間なら今ので蜂の巣だろう」
意地悪い迷宮だなぁと思っていると、ポワッと先の方が光り、発生源の石板に文章が浮き出てきた。一体なんだと覗き込む。
〝ビビった? ねぇ、ビビっちゃた? チビってたりして )^o^(ニヤニヤ〟
〝それとも怪我した? もしかして誰か死んじゃった? ……ぶふっ(^ω^)〟
「マスター……」
「いやまって、なんで俺がそんな目で見られてんの?」
「いや、今のマスターならやりそうだと」
「流石にこんな悪意あるものは作りません……多分」
「多分なのか」
ま、まあそれはともかく。
んー、どうするか。女神様の知識、ライセンの迷宮だということは教えてくれるが内容はイマイチ情報がない。
とりあえず攻略は明日にして、あいつに中を探ってもらうかと結論を出し口笛を吹く。するとどこからか咆哮が聞こえてきた。
それから間も無くして、結界の周りの地中を旋回していたあいつの気配がどんどん近づいてくる。
そしてついに俺たちの足元、つまりライセンの迷宮の中へと入ってきて……
パァ……!
「ぬっ!?」
「なっ!?」
突如足元に出現する魔法陣。術式を見れば、案の定見慣れた転移術式さんだった。もうお前オスカーの迷宮で見飽きたよ!
争う間も無く、俺たちは魔法陣の光に飲み込まれる。後ろから「シュウジ!ルイネ!」とハジメたちの声がするが…
ヒュンッ!
その前に、俺たちはどこかへと転移させられたのだった。
祝、50話到達!これもみなさんの暖かい感想のおかげです。
これからも精一杯、精一杯………
ふざけます(^ω^)
とはいえ、アクセス数を見ると自分の文才に失笑しか出てこないんですがね。
どうせ俺なんか……
お気に入りと感想をお願いします。