星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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前回に雫の紹介文を加えました、申し訳ありませんでした。
今回から第3章です!
楽しんでいただけると嬉しいです。

シュウジ「よーっす、シュウジだ。今回から新しい章だぜ。粉骨砕身の思いで頑張るぞい!」

エボルト「右に同じく」

シア「エボルトさん、それ違います。エボルトさんが立ってるの右側です」

エボルト「うっわマジで?」

ユエ「…ダサい」

エボルト「うっそーん」

ハジメ「いやこれ、ダラダラグダグダの間違いじゃないのか?…まあいい、今回は地上に戻った後の話だ。それじゃあせーの…」


五人「「「「「さてさてどうなる襲撃と再会編!」」」」」


【第3章】ウルの街
再びブルックへ


  視界を覆っていた光が収まり、周りの風景が見えるようになる。最初に見えたのは緑色の生い茂る草木だった。

 

  警戒しながら探知魔法で場所を調べてみると、どうやらブルックの街に向かう街道の側の森の中らしい。近くに泉がある。

 

「さてさて、ハジメたちが近くにいるはずだが……」

『水に流されてたから、泉のほうじゃねえか?』

 

  それっぽいな。探知魔法に四つ反応が引っかかってる。そのほかにも何人かいるが、馬車も一緒だからそっちは休憩中の通行人だろう。

 

  規則正しい寝息を立てている幼女を抱える腕を微調整し、ルイネを促して泉の方に向かう。つってもほとんど目と鼻の先だった。

 

  ほんの2分程度でそこにたどり着く。ルイネが茂みをかき分けると、視界が開けて泉が視界に飛び込んできた。

 

「もう一度溺れてこいこのエロウサギッ

 !!」

「きゃあああ!!」

 

  そして、ハジメがシアさんを綺麗なフォームで泉に投げ込むのが視界に飛び込んできた。うん、今度は一体何があったのかね。

 

  プロ野球選手さながらのスイングでシアさんを投げたハジメの近くには、ユエとウサギもいた。もともと両生類だからか、ウサギの腕の中のカエルも元気そうだ。

 

  バッシャーンと水柱が上がるのを見ながら、ゼェゼェと肩で息をしているハジメに近づく。足音ですぐに気づいてこちらを振り返った。

 

「よっハジメ、さっきぶり」

「ギルティ」

「なぜに!?」

「こちとら散々泳がされた挙句あのエロウサギの応急処置までしたんだよ。お前らだけ楽に出やがって」

 

  なるほど、だからさっきシアさん投げ飛ばしたのね。大方人工呼吸をキスと勘違いしてがっついたんだろう。南無三。

 

  悩ましげな顔をしているユエに聞いてみれば、俺の予想は当たっていた。なんか「ハジメにキス……でも頑張ったからご褒美……うぐぐ」とか唸ってる。

 

『お?お?これは認定きたか?』

 

 何その資格認定的なノリ。

 

『ハジメの嫁認定、みたいな』

 

 それで本部は美空なんですねわかります。

 

『不認定不可避』

 

 何その無理ゲー。

 

  あ、補足しておくと最初はユエが重力魔法で飲んだ水を外に出すという暴挙に出ようとしたらしい。流石に強化なしで受けたら死ぬということで、人工呼吸になったとか。

 

  デレデレとした顔で迫るシアさんをハジメがあしらい、それを不機嫌そうながらも見守っているユエと微笑んでいるウサギを見ていると、人が近寄ってきた。

 

  そちらに視線を向ければ、なんとブルックの街のマサカの宿の看板娘とルイネとのデートで立ち寄った店の店主さんだった。

 

  確か宿でソーナちゃんと呼ばれていた子はハジメとシアさんを見て頬を染め、店主(クリスタベルさん)はあら〜ユエちゃんたちじゃないと手を振ってくる。

 

  ちなみにこのクリスタベルさんだが、身長二メートル強の筋肉モリモリマッチョメンである。スカートを履き髪をリボンで結んだお方である。

 

『素直にオカマって言えよ』

 

  違うよ、クリスタベルさんはオカマなんじゃなくて漢女(おとめ) なんだよ(震え声)

 

  まあクリスタベルさんが男の肉体を持った乙女(意地でもオカマとは言わない)かは別として、手がける服のデザインは見事だ。

 

  実際俺も普段着を何着か買ったし、ルイネに至っては1時間に渡ってクリスタベルさん監修のファッションショーが開催された。

 

『ゲッツ!とか合掌してたりしたな』

 

  それどこのファッションセンス皆無おじさん?

 

  で、彼ら……彼女ら?に話を聞いたところ、この泉はブルックの街から数時間ほどのところにあるらしい。

 

  ハジメたちと相談した結果、一度ゆっくり休みたいということで馬車に乗せてもらい、ブルックの街に再び寄ることになった。

 

  ハジメたちが濡れた服を着替えるのを待ち……その間またシアさんがハジメにアタックしようとして一悶着あった……俺もデップースーツに着替えると、馬車へと移動する。

 

『またそれ着るのかよ』

 

 気に入ったからな。

 

「あら、その子は?」

 

  対岸の方に向かって歩いていると、クリスタベルさんが俺の腕の中の幼女に気づいた。俺は肩をすくめる。

 

「まあ、ちょっとな」

「へえ……あんまり目移りして、ルイネちゃんを泣かせちゃダメだからね♡」

 

  流石にホムンクルスとは言わずに曖昧に答えると、どうやら別の方向に勘違いしてくれたクリスタベルさんであった。

 

「俺がルイネを泣かせる?はは、ないない」

『この前の夜も散々泣かせて……』

 

  エボルト、それちゃう。泣かせるじゃなくて鳴かせるや。

 

『妙に細かスギィ』

 

  泣かせるじゃなくて鳴かせるや(大事なことなので以下略

 

  そんな風に会話しているうちに、馬車に着く。護衛……クリスタベルさんがいるのに護衛いるの?とか言っちゃいけない……の人たちに挨拶する。

 

「おっ、あんたらはこの前の」

「おお、門番の人か」

 

  するとそのうちの一人に見覚えがあった。最初にブルックの街に行った時に門番をやってた青年だ。やはり冒険者だったらしい。

 

  青年と少し話しているうちに休憩が終わり、全員が馬車に乗り込んでブルックの街に向けて出発する。飛び入りの俺たちは入り口の方だ。

 

  ガタガタと音を立てながら、街道を馬車が進んでいく。一週間迷宮にこもってたせいか、馬車の中に差し込む陽光がとても心地よい。

 

『Zzz』

 

  現にエボルトは、もう俺の中でいびきをかいていた。こいつ寝相もいいし歯ぎしりもしないけど、小さくいびきだけはするんだよな。

 

「ふふ、可愛いな……」

 

  ぼんやりと外を見ていると、腕の中の幼女の頭をルイネが撫でる。その顔にはとても優しげな微笑みが浮かんでおり、目は慈しみにあふれている。

 

  こいつは昔から子供好きだった。なんでもルイネの血筋である本家の他に分家がいくつもあったらしく、子供の面倒を見ることが多かったらしいのだ。

 

  ルイネに感化されたのか、ウサギやユエ、女の冒険者が恐る恐る手を伸ばし、頬をプニプニしたり髪を撫でたりする。そしてほっこりしていた。うむ、平和だ。

 

「んう………」

 

  そう穏やかな心境でいると、不意に幼女が声を漏らして体をよじった。流石にあれだけ触られてたら、嫌でも起きるか。

 

  幼女が、ゆっくりと目を開ける。ぼんやりとした顔で俺の腕を掴み、寝かせていた体を気だるげな動きで起こした。

 

  虚ろな目で掴んでいる俺の腕を見ると、そこから視線を上へ上へと上げていき、最後に俺の顔を見る。その状態でしばらく静止。

 

「パパ〜」

 

  やがて、完全に目が開くのと同時に満面の笑顔で告げられた言葉は、そんなものだった。両手を広げ、俺の体を抱きしめる。

 

  一瞬固まる俺。瞠目するルイネ、ユエ、ウサギに、こちらをギョッと振り返る先ほどまで乳繰り合っていたハジメとシアさん。

 

  その視線に我に返って周りを見れば、冒険者たちもこっちを見ていた。こちらは驚くというより、スリスリと頬を擦り付ける幼女に和んでいる。

 

  流石の俺でもどうすればいいのかわからずに困惑していると、ピタリと幼女が動きを止める。そして涙目で見上げてきた。

 

「パパ……?」

「おう、俺がパパだぞ」

 

  俺の行動は我ながら非常に速かった。気がついたら幼女の頭に手を乗せて撫でていた。えへへ〜と嬉しそうに笑う幼女。可愛い。

 

「これは……刷り込みか?」

 

  ポツリ、とルイネが呟く。刷り込みとは、卵から孵った鳥の雛が、最初に見たものを親として認識する現象だ。

 

  なるほど、確かにそれによく似ているかもしれない。この幼女は覚醒して一番最初に見た俺を父親だと判断したんだろう。

 

  思わぬところで父親になったなぁと考えていると、俺同様つぶやきに反応したのか幼女がルイネを見る。そして……

 

「ママ〜」

「なっ……」

 

  俺の膝から降りて自分に抱きついた幼女に、ルイネは衝撃を受けた顔をした。対して、あいも変わらず能天気な笑顔の幼女。

 

  しばらく固まっていたルイネだったが、ゆっくりと幼女の頭に手を置き、撫でる。途端に嬉しそうな顔をしてキャッキャとはしゃぐ幼女。

 

「はうっ……!」

 

  心臓を射抜かれたかのごとく胸を押さえるルイネ。しかし次の瞬間には瞳の中にハートマークが浮かんでおり、幼女を愛で始めた。

 

「きゃはは、ママ〜!」

「くぅっ、なんだこの可愛い生き物は……!」

 

  たまらないという顔をするルイネ。わかる、わかるぞその気持ち。俺もマリスに始めてパパと呼ばれた日は殴られるまで頭を撫でたもんだ。

 

「ふふっ、可愛いなぁ」

「くすぐったいよママ〜」

「……ルイネの顔、すごくとろけてる」

「……ハジメの次に可愛い」

「うぅ、私もナデナデしたいです……」

「お前らな……はぁ、ったく。お前はいつも驚かせてくれるな」

「カカッ、こいつは俺自身もびっくりだよ」

「八重樫がなんて言うかねぇ」

「ちょっとハジメ?不吉なこと言うのやめて?」

 

  ニヤニヤと意地の悪い顔をするハジメ。ふん、そういうことをする奴にはとっておきの仕返しをしてやろう。

 

「おーい、こっちおいでー」

「なぁにパパー?」

 

  トテトテと戻ってくる幼女。ルイネしゅんとした顔をする。この短時間で完全に籠絡されてやがる……!

 

  思わず写真に収めたいのをぐっとこらえ、幼女を抱き上げる。そしてハジメの方を指差して話し始めた。

 

「いいかい?この人はね、ハジメおじちゃんって言うんだ」

「ハジメおじちゃん?」

「なっ!」

 

  声を上げるハジメ。ふっふっふっ、俺をからかおうとした罰を受けるがいい!

 

「そう、ハジメおじちゃん。パパの大切な友達だから、挨拶しような」

「わかった!よろしくお願いします、ハジメおじちゃん!」

「ぐふっ!」

「ハジメさん!?」

 

  17歳でおじちゃんと呼ばれることに甚大なダメージを受けたハジメが、吐血して床に転がる。ふっ、これが俺の実力だ(ゲス顔)

 

「パパ、この人はー?」

 

  エボルト面(要するに悪人面)をしていると、幼女がユエを指差す。こわばるユエの表情。あなた300歳超えてますもんね、ユエおばちゃんなんて呼ばれたらシャレにならないですからね。

 

「こいつはユエ。それでこっちがウサギで、あれがシアさんだ」

「んー……」

 

  唇に小さな指を当て、悩む幼女。ソワソワと体を揺らしながら、冷や汗を流す三人。果たして幼女の出した答えは……

 

「ユエおねーちゃんとウサギおねーちゃん、シアおねーちゃん!」

「「っし!」」

「……よろしい」もふもふ

「ゲコッ」

 

  ガッツポーズをするユエとシアさんと、満足そうな顔で幼女の頭を撫でるウサギ。未だに撃沈中のハジメ。

 

  それに冒険者たちが笑い、和気藹々とした空気になる。それ以降のブルックまでの道のりは、幼女を中心にした俺たちと冒険者たちのバカ騒ぎで過ぎていった。

 

「着いたわよ」

 

  それから数時間、すっかり日が落ちた頃にようやく馬車が止まる。馬車を下りた俺たちは、約8時間ぶりに地面を踏みしめた。

 

  この前の青年同様門番をやっている冒険者にクリスタベルさんが手続きをし、一週間と数日ぶりにブルックの街へと足を踏み入れる。

 

  入って早々、冒険者たちはソーナちゃんから護衛以来に関するものだろう何かの書類を受け取るとギルドの方に歩き始めた。

 

「さて、俺たちはギルドに行って依頼完了の報告をしなくちゃな。それじゃあまたどっかで会おうぜ」

「おーう、元気でなー」

 

  帰りの馬車の中でそれなりに仲良くなった青年に手を振り、クリスタベルたちに乗せてくれたことの礼を言った俺たちは、これからの予定を決めることにする。

 

「これからどうする?とりあえずマサカの宿に行こうと思ってるが」

「オッケ。てことでソーナちゃん、今日大丈夫そう?」

「はい、しばらく隣町にいて離れてたのでわからないですけど、多分空いてます」

「そりゃ好都合だ。じゃあ厄介になるぜ」

「はい!……ぐふふ、今度こそアブノーマルなプレイを………」

 

  怪しい顔をしているソーナちゃんの先導で、マサカの宿に向かう。ちなみにクリスタベルさんには別れ際、明日店に行くことを言った。

 

「パパ、高い!」

「そうだろー?ほれ、高〜い高〜い!」

「きゃ〜!」

 

  理由はもちろん、俺たち一向に新たに加わったこの幼女の服を買うためである。当たり前だがオスカーの隠れ家に子供用の服なんてなかったし、ミレディもくれなかった。

 

  明日買うものを考えているうちに、マサカの宿に到着する。幸い、三人部屋が二つほど空いていたので俺たちとハジメたちで一つずつチェックインした。

 

  てっきりユエが反対するかと思ったが、どうやら道中聞いたところによると随分シアさんは頑張ったらしく、一度も弱音を吐かなかったとか。

 

  そのため多少は認めたのか、仕方なしと受け入れていた。シアさんは嬉しそうにユエに抱きついていた。うむ、良きかな良きかな。

 

  ていうかよく考えたらユエ三百年もぼっちだったわけだから、あんなに真っ直ぐ友愛を見せられたらいつかは折れるわな。この変化はある意味当然とも言える。

 

『九百年以上ぼっちだったお前がそれ言う?』

 

 それな。ていうか起きてたのかエボルト。

 

『ちょうど今な。寝てる間に色々と面白いことになってんじゃねえか』

 

  まさか二回も娘ができるとは思わなかったぜ。お前も後で紹介するわ。

 

『よろぴく☆』

 

 やっぱしない。

 

『ちょっ』

 

「風呂貸切にしたいんだけど、どれくらい空いてる?」

「今なら最大2時間まで使えますけど……どうします?」

「ハジメー、俺たちが1時間、そっちで1時間でいいか?」

「ああ、それでいい」

 

  そういうわけで、風呂に入ることにする。ハジメたちは後でいいというので、最初に俺たち三人が使わせてもらうことにした。

 

「ってことで、ウサギにカエルさんを返しなさい」

「なぬっ!?」

「ゲコッ」

 

  そんなごむたいな!という顔をする幼女。腕に抱え込まれたカエルがマイペースに鳴き声をあげる。

 

「うぅー、カエルさん……」

「……また後で、ね?」

「うん……わかったよウサギおねーちゃん……」

 

  名残惜しそうな幼女の頭を撫でると、手を引いてた風呂場に移動した。その間、他の宿泊客の微笑ましい目があったのはいうまでもない。

 

  風呂場に到着すると、貸切なのをいいことに三人一緒に服を脱いで……俺は真っ赤なコスチュームだけど……風呂に入る。

 

  その時、幼女の服を脱がせるのに苦労した。金色の装飾と秀逸な刺繍がいたるところに施された衣装が、結構面倒な造形をしていたのだ。

 

『これはミレディに抗議するしかないな』

 

 明日にでも行かないと(迷惑)

 

「わー!すごーい!」

 

  湯気に包まれた風呂場を見て、バンザイして飛び跳ねる幼女。緑色の髪と小さな体が上下する光景はなんとも可愛らしい。

 

  対するルイネは、やはりいつ見ても最高としか言いようのない美しい体をしている。くびれた腰、程よく筋肉のついたすらりと長い足と腕。そしてシアさんと同レベル、あるいはそれ以上の胸。

 

  風呂の中に立ち込める湯気でしっとりとしてきた髪をかきあげる仕草が、妙に艶かしい。いかんいかん、子供もいるんだからそういうのはアウトだ。

 

『常にギリギリな件について』

 

 ちょっと何言ってるかわからないですね。

 

  放っておくと風呂の中を走り回りそうな幼女を捕まえ、鏡の前に座らせると頭や体を洗っていく。マリスを育てていた経験があるので、力加減はお手の物だ。

 

『そいつ洗いながら自分の体も同時並行で洗ってるあたりすげえなお前』

 

 説明ご苦労さん。

 

「ほら、泡を流すぞー」

「パパ、あったかーい!」

「気持ちいいだろー?」

「マスター、背中を洗おう」

「おっ、サンキュ」

 

  俺が幼女を洗い、ルイネが俺の背中を洗う。側から見れば、完全に家族の光景だろう。実際そんなようなものだけど。

 

  そういえば、マリスも拾ってきた時こうやって風呂に入れたっけか。見ず知らずの俺に体に触れられているにも関わらず、全くの無抵抗だった。

 

  マリスと比べたら、こいつはかなり元気だな。頭についた泡を洗い流しながら、俺はそう思った。そのタイミングでちょうど、ルイネも俺の背中を洗い終える。

 

  体を綺麗にした俺たちは、お待ちかねの湯船に浸かった。思わず口からホッとした息が漏れる。ああ〜落ち着くんじゃあ〜。

 

「マスター、だらしのない顔になっているぞー」

「そういうルイネもなー」

 

  ふやけた顔をする俺たち。一度風呂の魅力に取り憑かれて仕舞えば、もう抜け出すことはできない……これ温泉旅館の広告に使われそう。

 

  そんな俺たちの前では、はじめての風呂にキャッキャとはしゃぐ幼女が泳ぎ回っていた。貸切だからこそできる芸当である。

 

『自由だな……』

「そうだなー……ん?」

 

 自由……自由か。

 

「おーい、こっちおいで」

「にゅ?」

 

  何?という顔で振り返った幼女が、こちらに泳いでくる。目の前まで来ると俺は幼女を抱き抱え、口を開いた。

 

「お前の名前は、今からリベルだ」

「リベル?」

「そう、リベルだ」

 

  復唱する俺。元ネタはローマ神話に登場する女神、リベルタスである。リーベルタースとも呼ばれる、自由を司る女神だ。

 

  こいつを作ったミレディや他の解放者たちは、神からの解放を、人々の自由を願っていた。ならばその願いの結晶であるこいつに、それに相応しい名前を。

 

「リベル……わたしリベル!」

「そう、よくできたな〜」

「えへへー、ママ!パパがほめてくれたよ!」

「ふふっ、よかったな」

 

  もう完全に母親の顔で答えるルイネ。こいつの中では既に幼女……いやリベルは、自分の娘として認識されているらしい。

 

  よっぽど名前をもらったのが嬉しかったのか、先ほどよりも早く風呂の中を泳ぎ回るリベル。それを微笑みながら見守る。

 

「なあ、マスター」

「んー?」

 

  心を開いてくれた頃のマリスを思い返していると、ルイネが声をあげた。そちらにゆったりとした動きで振り向く。

 

「私は、あの子の母親になろうと思う」

「というと?」

「まだたった数時間しか経っていないが……あの子の笑顔を守りたいと、そう思った」

 

  慈愛に溢れた声音と顔で、俺の目をまっすぐに見て言うルイネ。それに俺はゆっくりと肩をすくめる。

 

「そっか。なら覚悟しとけ、子育てについてみっちり教えてやるよ」

「ふふ、またマスターの指導が受けれるとは、感無量の思いだ」

 

  そうルイネと笑い合い、俺たちはリベルを見ながら時間いっぱい風呂を楽しんだのだった。




やべえ、また眠い中描いたから適当に…明日あたり修正するかもです。
次回、愛ちゃん先生たち登場。
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