星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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どうも、fgoにハマりまくってる作者です。邪 ン ヌ が 欲 し い !

シュウジ「よーっす、シュウジだ。前回は北の山脈地帯に入ったぜ」

雫「聞いたわよ、カマキリの話。もう少しなんとかならなかったの?ほら、蝶とか」

シュウジ「んー、そう思って作ったら何故かゴ◯ラができた」

雫「ほんとになんで?」

ハジメ「俺は◯モラ好きだけどな」

エボルト「俺も」

雫「こら、そこの相棒二人甘やかさない。すぐに調子乗るんだから」

二人「「はーい」」

美空「八重樫さん、もう完全にオカンだ……」

香織「あはは、相変わらずだね。今回はドラゴンと戦うらしいよ。それじゃあせーの……」


六人「「「「「「さてさてどうなる襲撃と再会編!」」」」」」


終わりを告げる黒き竜

  突如現れた黒竜は、いかにも空の王者といった風格を醸し出していた。まるでどこぞの下位クエにも出てくる空の王者()のようである。

 

『やめてやれよ、あれでもG級のはそこそこ強いんだから』

 

  俺とハジメにかかれば即フルボッコで徹夜で百周とかいけるけどな。

 

  体長は七メートルほど、長い前足には五本の爪が生え、漆黒の鱗に覆われた全身には濃密な魔力が流れている。特に体を浮かしている翼はうっすらと可視化するほどだ。

 

  何より印象的なのは、その絶対王者にふさわしい黄金の瞳。満月よりも美しいそれは爬虫類のように瞳孔が細まり、俺たちを睥睨している。

 

  見たとこ、上の下ってとこだな。ハジメの記憶にあったヒュドラやあのクルォォズマグマァ!的なドラゴンほどではないが、相当強力な個体だ。

 

 〝マスター、この個体はおそらくこの種の姫か何かだ。だが、今は洗脳されているようだ〟

 

  さて、どう動くかと思っていると、ルイネから念話が入った。そういや、俺の教えた魔法で血や魂の純粋さが測れるんだったか。

 

  試しに俺も使ってみれば、なるほど確かに前世で見たような野良ドラゴンの格の低い魂ではなく、相当強い魂の持ち主だった。

 

  このレベルの魂の持ち主がそうそう洗脳されるとは思わんが……ま、種族的に俺より詳しいルイネが言うなら間違いないっしょ。

 

『ちなみに黒竜の確認から魂の解析まで、わずか0.2秒のことである』

 

  フッ、その通り。前にも言ったが俺は五つ並列思考ができる。この処理能力は訓練もあるが、ちょいとばかし脳の構造をいじった。

 

  そんなことを考えている間に、黒竜とエンカウントして一秒がたった。その時、黒竜の目線が俺の後ろにいるウィル君に定まる。

 

  俺がまずい、と思い異空間を開くのと、黒竜が大きな口を開き、そこに音を立てて魔力を収束していくのは同時だった。

 

「下がれ!」

 

  俺の叫びにハッと我に返ったハジメたちが後ろに飛びのく。俺はウィル君をハジメたちの方に突き飛ばし、黒竜の攻撃に備えた。

 

  恐怖に硬直していたウィル君が驚いたよう顔をした瞬間、甲高い音を立てて黒竜が漆黒のブレスを吐く。熱を肌が感じ取った。

 

 

 ガィインッ!

 

 

  しかし届いたのは僅かな熱だけであり、ブレスが俺を消し飛ばすことも、後ろのハジメたちに当たることもなかった。

 

  〝それ〟は、長大な黒い鎖だった。表面に紫色の呪文の浮き出たそれは俺の体の周りをぐるりと囲み、まるで結界のように守っている。

 

  鎖は密集してブレスを受け止め、呪文から自分の中に取り込んでいる。みるみるうちにブレスの魔力が吸い取られ、やがて消えた。

 

「〝擯斥の黒鎖(リフューザル)〟。なかなか良いだろ?」

 

  自分のブレスを飲み込まれたことに驚く雰囲気を醸し出す黒竜に、ニッと不敵に笑う。それに反応するように黒鎖が揺れた。

 

  〝擯斥の黒鎖(リフューザル)〟。ミラーリフレクターやプレデーションシールド同様、〝鏡界石〟と重力魔法を使って作ったアーティファクトだ。

 

  吸収をするほうの〝鏡界石〟を凝縮し、適当に狩った奈落の魔物の魂を改造して中に入れることで自動的に攻撃を防御・吸収する。

 

  さらに呪文の形に練り込まれた〝重力石〟で重力を中和することで、こうして浮遊している。自慢の逸品の一つだ。

 

「んじゃあ、やられた分はお返しするとしまーーッ!?」

 

  〝擯斥の黒鎖(リフューザル)〟と対になるアーティファクトを使おうとした瞬間、研ぎ澄まされた本能が殺気を感じとった。

 

  遠く離れていてもわかるほどの濃密なその殺気に、俺の生命反応が告げる。この殺気の主を全力で排除しろと。

 

  即座にアーティファクトの使用対象を、黒竜からその殺気の主へと変えた。黒鎖の内側に隠れていた白い鎖が、眩い光を放つ。

 

 

 キュィィィンッ!!!

 

 

  〝解放の白鎖(ベフライウング)〟という名を持つアーティファクトは、黒鎖が吸収した魔力をそっくりそのまま楔のついた先端から放出した。

 

  虚空を切り裂いて飛んでいった白亜の光線に対する殺意の主の返答は……俺でさえ全身に悪寒が走るほどの、ドス黒い極光だった。

 

  空の彼方から飛来した極光はいとも容易く光線を飲み込み、まっすぐ俺に向かって落ちてくる。このままでは全員消し炭だろう。

 

『おい、まずいぞ!』

「わかってらぁ!」

 

  さっさと鎖を異空間に引っ込め、手をかざしてブラックホールを形成する。それはまるで針の穴に糸を通すように極光を取り込んだ。

 

  二十秒程して、ようやく極光が途切れたのでブラックホールを閉じ、荒い息を吐く。前世ではなかった力だ、流石に長時間使うのは体力を消耗する。

 

「おいシュウジ、平気か!?」

「警戒しろ! 超ド級のとんでもねえ奴が来るぞ!」

 

  珍しく切羽詰まった俺の声に、全員の顔に緊張が走る。すぐさま各々の武器を構え、ルイネとマリスがウィル君やリベルの護衛に回った。

 

  程なくして、それは空の彼方から会われた。警戒して唸り声を上げる黒竜よりさらにふた回りも巨大な、黒より黒い漆黒の竜。

 

  筋肉の鎧で覆われた体には不気味な模様が浮かび、瞳のない丸い目にはこちらへの明確な殺意が滾っている。

 

「こいつは、とんでもないのが現れたな……」

「う、うわぁああああああああああっ!?」

 

  ウィル君の裏返った悲鳴が聞こえた。おそらく、あの竜こそがウィル君の怯えていた竜なのだろう。そしてそれは当然だ。

 

  かつて、神代と呼ばれた時代。限りなく神に近づいた竜がいた。そしてその竜は、全身に不気味な模様を持つ漆黒の竜だ。

 

  女神様からもらった知識にあるその竜は、まさに破壊の権化と呼ぶにふさわしい残忍な竜だった。全てを滅ぼし、神すら滅ぼそうとした。

 

  その竜の名は……

 

「闇の翼、〝アクノロギア〟。まさかのまさか、まだ生きてたとはねぇ」

 

 

 ゴアァアアアァァアアアアッ!

 

 

  俺の言葉に答えるように、漆黒の竜……アクノロギアは大口を開けて咆哮した。ビリビリと、その場にあるもの全てが激しく震える。

 

  真の王者と言うにふさわしいアクノロギアは俺たちをゆっくりと睥睨し、そして一瞬黒竜とウィル君に目線を止める。

 

  黒竜が威嚇するように吠え、ウィル君が尻餅をつくが、アクノロギアはフッと興味を無くしたように視線を外して再び俺たちを見渡した。

 

  そして、俺に目を止める。そのまましばし見つめ合い、互いの殺気をぶつけ合って牽制しあった。ギシギシと空気の軋む音がする。

 

 

 

 ゴアァアァァァアアァアァアアアッ!!!

 

 

 

  やがて、アクノロギアは満足したように俺()()に向かって吠えると、身を翻して百メートルほど飛んでいき、降下すると森の中に姿を消した。

 

  間髪入れずして、もう一度大きな咆哮が聞こえる。おそらく、俺を戦う相手と見定めたのだろう。こいつは決闘のお誘いだ。

 

『行くんだろ?』

「ああ。こっちとしちゃあ、ハジメたちから遠ざけられるのは願ったり叶ったりだぜ」

 

  エボルトに返答しながら黒竜を見て、まだ動き出しそうにないことを確認するとハジメたちに瞬間移動で近づく。

 

  ハジメたちはすぐに気がつき、アクノロギアのヤバさをわかっているのだろう、強張った顔つきで目で指示を求めてきた。

 

「ハジメ。俺はあのとんでもないやつをぶっ飛ばしてくる。お前らはあの黒竜を倒してくれ」

「……一人で平気か?」

 

  少しの不安のこもった声で聞いてくるハジメに、俺はコートの袖を広げて〝安心してください、殺ってますよ!〟というシャツを見せつける。

 

「あったりまえよ。俺を誰だと思っとる?」

「バカ」

「ストレートに酷くね?」

「冗談だ。さっさとぶっ飛ばしてこい」

 

  不敵な笑みを浮かべたハジメは、ドンと握りこぶしで俺の胸を叩いた。そうするとユエらに目配せして戦闘準備を始める。

 

「あ、でも殺すのはダメよ〜ダメダメ。洗脳されてるみたいだから、ガツンと一発かまして目を覚ます感じで。洗脳した相手の情報持ってるかもしれないし」

「了解。こっちは受け持つから、あっちは頼むぞ」

 

  俺のギャグを軽やかにスルーしたハジメはこちらを振り返りもせずに答えると、再び臨戦態勢に入り始めた黒竜に殺気を向け始める。

 

  その背中に頷くと、ルイネとマリスに目配せしてウィル君を退避させる。すべての懸念がなくなったところで、瞬間移動をした。

 

  視界が切り替わり、次に見えたのは真っ黒な焼け野原。森の中が半径二十メートルほど円形に黒焦げになっていた。

 

 

 グルルルルル………

 

 

  そして、その中央に悠然と佇むのはアクノロギア。まるで闘技場で挑戦者を迎え撃つ絶対王者のような風格である。

 

「なるほど、わざわざリングまで作ってくれたわけね。いやー気がきくねえ」

『で、どう相手する?』

 

  こいつは女神様の知識によると、魔法を食らう固有魔法を持ってる。だから魔法を使った暗殺手段は全部なしだな。

 

『それだと三分の一くらい削られね?』

 

  そうなんだよなー。俺の持ってる暗殺方法は30%以上が魔法を使ったもんだから、この手の力を持った奴にゃ物理縛りプレイを強制される。

 

  しかもこのアクノロギア、神竜に属するタイプのドラゴンだからさらに一段厄介。神竜の強さは単純明快、バカ(ぢから)でバカ速くてバカ硬い。

 

「ま、だからと言って負ける気はしないけどねん」

 

  異空間からエボルトリガーに似た柄のナイフを二本……エボルトの装甲剥ぎ取って作った……取り出し、アクノロギアに構える。

 

  俺の殺気を感じとったアクノロギアは楽しそうに唸り声を漏らすと、翼を広げて姿勢を低くした。緊迫した空気が焼け野原を包む。

 

「そんじゃあ……ひと狩りいこうか!」

『プ〜プ〜⤴︎』

「おい誰だ今あの笛を吹いたやつ」

 

 

 ゴアアァアアァァアアアアッ!

 

 

  ボケる暇もなく、アクノロギアが翼で空気を切り裂きながら真正面から突っ込んでくる。すぐさま意識を戦闘に切り替えた。

 

  体をほぼ地面すれすれまで落とし、当たったら即お陀仏な速度で襲いかかってきたアクノロギアの突撃を交わす。

 

  そして一瞬の交錯の瞬間、体の下をナイフで無数に切り裂いた。が、三回以上同じ場所を切った場所以外は全て弾かれる。

 

「ヒュ〜、なかなか硬いね」

 

 

 ゴアアァッ!

 

 

  自分が傷つけられたことに怒りを覚えたのか、ふざけるなと言わんばかりに尻尾を振り下ろしてくるアクノロギア。

 

  それを受け止めようとするが、長年の訓練と測定不能なハザードレベルで相当なものになっているはずの膂力でも、アクノロギアの力は支えきれなかった。

 

  仕方がなく、ナイフの角度を変えて外にずらす。体長の半分を占める尻尾を揺らされたことでわずかにアクノロギアの動きがぶれた。

 

  その隙を逃さず、袖に隠していたリングから糸を射出し、後ろ足を二本とも絡め取る。しかし、アクノロギアは翼を強くはためかせる。

 

  次の瞬間ブチン、という音とともに、糸がたやすく引きちぎれた。アクノロギアは空高く舞い上がり、所在なさげに糸が地面に落ちる。

 

「おいおい、すげえパワーだな」

『完成品がちぎれたのは初めてじゃないか?』

「こりゃ、まだ要改良だな」

 

  リングを外して異空間に放り込み、ナイフを握り直す。するとタイミングを見計らったようにアクノロギアが大口を開け、極光を吐き出した。

 

「同じ手は二度は食わねえよ」

 

  〝擯斥の黒鎖(リフューザル)〟を3本ほど取り出し、極光を受け止める。そしてすぐに〝解放の白鎖(ベフライウング)〟で解放した。

 

  三本の楔から飛び出る光線をアクノロギアはひらりとかわし、まるでミサイルのように急降下してくる。即座に後ろに飛び退いた。

 

  轟音とえぐれた地面が飛び散り、土煙が濛々と立ち込める。そんな中、俺の感覚は鋭角な殺意をしっかりと感じ取っていた。

 

 

 グルァアアアアアァアアッ!!!

 

 

  一歩足を前に出した瞬間、アクノロギアが土煙を突き破って現れる。そして音速を超えたスピードで鉤爪を振るってきた。

 

  距離的に避けようのない爪撃をマトリックスムーブで回避して、袖口の装飾に隠した刃を展開すると爪を根本から切り落とす。

 

  俺を通り越して着地したアクノロギアは、自分のなくなった爪を見て唸り声を上げる。俺はひらひらとキャッチした爪を揺らした。

 

「シュタル鉱石製刃、なかなかの切れ味だろ?」

 

  そういう俺に、しかしアクノロギアは余裕のある顔で上を見上げ、空に向けて極光を放つ。そして落ちてきた極光を食らった。

 

  すると、失った爪が音を立てて新たに生え変わる。アクノロギアは力を確かめるように新たな鉤爪を握り、大きく咆哮した。

 

『なるほど、魔法を食らう竜、ね……自己回復とは、厄介な力だぜ』

「オートリジェネならぬセルフリジェネってか。〝暗器創造〟」

 

  魔法で爪をナイフに変えると、エボルトに生成させた毒を指から出して刃に纏わせてアクノロギアに投擲。

 

  アクノロギアは片翼をはためかせて、風圧でナイフを吹き飛ばす。その一瞬意識がそれた隙に懐に潜り込み、鳩尾に拳を一発お見舞いした。

 

  衝撃を貫通に特化させた一撃はアクノロギアの装甲を突き抜け、背中の翼の間にある鱗が吹き飛ぶ。

 

 

 ゴッ……!?

 

 

「暗殺者だからって、非力なわけじゃないぜ?」

 

 

 グ……ルァァアアアァアアッ !!!

 

 

  ふざけるな、と言わんばかりに大きく一回転して尻尾を叩きつけてくるアクノロギア。それをバク宙して回避し、尻尾の先端に乗った。

 

  異空間からルインエボルバーを取り出して、そのまま背中まで駆け抜ける。そして先程の一撃で鱗の削れた場所に深く突き刺した。

 

 

 ガァアアアァアアァアアッ!?

 

 

  大きく絶叫し、なんとか俺を振り落とそうと暴れるアクノロギア。しかし、翼に金色の糸で体を固定しているので落ちはしない。

 

  この糸は、先程物の見事に破壊された糸と違って千切れることはない。例の魔物からもらった糸で作った、特別中の特別製だ。

 

『俺のローブ散々剥ぎ取ったくせによぉ、浮気しやがってよお』

 

  おっそれはつまりもっと剥ぎ取っていいってことだな(乗り気)

 

『やめてくださいしんでしまいます』

 

 とまあ、それはともかく。

 

「さらにここに……!」

 

  腰のホルダーから、青い瞳を持つ骸骨のレリーフのついた、紫色のエボルボトル……〝アサシンエボルボトル〟を取り外す。

 

  アサシンエボルボトルをルインエボルバーの円環に差し込むと、マークが浮かんで刀身が漆黒に染まった。

 

 

《エボルブレイク! Ciao!》

 

 

  そこでグリップのスイッチを押し込むと、軽快な声とともにアクノロギアの全身に紫電が駆け巡った。

 

 

 ガギガアアァアアアアァアア!?!!?

 

 

  これまでにないほどの絶叫を上げるアクノロギア。紫電は時間経過でどんどん激しくなっていき、自滅する前にルインエボルバーを抜いて退避した。

 

  着地してから数秒後、紫電がフッと消える。アクノロギアは全身から煙を上げ、どうと地面に倒れ伏した。

 

「どうだ、俺オリジナルのボトルの味は?」

 

  ルインエボルバーを肩に担ぎながら問いかける。アクノロギアはなんとか立ち上がろうとしながら、激しい怒りの目を向けてきた。

 

  アクノロギアは、この世界に存在するありとあらゆる魔法、技能に対しては意識内外どちらでも完全な体制を持つ。

 

  だがその反面、トータスに本来なら存在しない力にはすこぶる弱い。つまりエボルボトルにも弱いってわけだ。

 

「しっかしこのボトル、とんでもない威力だな」

『そりゃ、俺とお前が三日三晩かけて作り出した最強のエボルボトルだからな』

 

  ルインエボルバーにはまっているアサシンエボルボトルを見ながら、二人で話す。こいつを作るのにはめちゃくちゃ苦労した。

 

  俺の遺伝子とエボルトの遺伝子を掛け合わせ、コンマ一つのズレすらなく調和させる。それは前世で肉体改造しまくってた俺でさえ困難だった。

 

  しかし結果は上々。この世界の魔物の中で最強クラスに入る、あのアクノロギアにでさえ大ダメージを与えられた。

 

「変身したらどうなると思う?」

『そうだな、フェーズ5……いやネオフェーズってとこか?俺にも未知数だからわからん』

「ほー、そいつは次の大迷宮が楽しみだ」

 

  物語の展開的にもそういうとこで初変身したいしね(超メタい)

 

 

 グ、ルガアァアアアァアアアァアア……!

 

 

  そんなことを話し合ってるうちに、アクノロギアがようやく立ち上がった。そうすると全身から黒いオーラを吹き出し始める。

 

  そのオーラに合わせるように、アクノロギアの力が増していった。全身の鱗や翼はより鋭利な形になり、攻撃的なフォルムになっていく。

 

 

 グオォオォォォォォォォンッ!!!

 

 

  本気モードみたくなったアクノロギアは、大きく翼を広げ天に向かって吠えた。さっきまでよりさらにとんでもない衝撃が肌を打つ。

 

「へえ、あと二段階くらい変形残してそうだな」

『どこのラスボスだよ』

 

  エボルトと馬鹿な言い合いをしながら、ルインエボルバーを某牙な突の形に構える。視線をこちらに戻したアクノロギアも前項姿勢になった。

 

  次の瞬間、互いに向かって肉薄。踏み込んだ地面がめくれ上がり、凄まじい轟音を立てて爪とルインエボルバーを打ち合わせた。

 

  またさらに一回り強くなった膂力で爪を押し込んでくるアクノロギアに、俺はまた力の流れを外に逃がすと返す刀で腕を斬りつけた。

 

  アクノロギアは気にした様子はなく、もう一方の鉤爪で切り刻もうとしてくる。それをさらに避け、関節部分を切り裂く。

 

  それすらも、アクノロギアはものともせずに噛み付いてきた。すごいガッツがあることに少し笑いながら、ルインエボルバーで受け流す。

 

  それから十度、俺とアクノロギアは攻撃して、反撃してを繰り返した。その度にアクノロギアの傷は増えていき、ルインエボルバーに紫色の血が染み付いていく。

 

 

 グルゥ………!

 

 

  このままではジリ貧だと理解したのか、アクノロギアが飛び退る。そうすると両腕に力を込めるような動作をし、鉤爪を伸ばした。

 

「おお、やっぱまだ変形した」

 

 

 ガァアアアァアアァアアッ!!!

 

 

  より太く、より鋭利に、そしてより長くなった鉤爪に黒いオーラを纏ったアクノロギアが、鼓膜が破れそうな声を上げ、後ろ足に力を込めた。

 

「よかろう、かかってこい……といいたいとこだが、ここら辺で終わりだ」

 

  構えを解いて、指をパチンと鳴らす。すると四本の足と首、尻尾、そして大きな翼のすべてに禍々しい輪が出現した。

 

  輪はそれぞれ赤、青、緑、黄、白、黒の鎖で繋がっており、それがひときわ強く輝いた瞬間、アクノロギアはまるで脱力したように地面に倒れる。

 

  全く動けない様子のアクノロギアに、俺はスタスタと歩み寄った。そしてしゃがみこむとアクノロギアと視線を合わせる。

 

「何も伊達に、お前と真正面から打ち合ってたわけじゃないんだよ。こいつをつけるために接近してた」

 

  発光する鎖を叩けば、アクノロギアはなんだと?とでもいいたげな声を牙の間から漏らした。

 

  このアーティファクトの名は〝ルベシャト〟。対象の技能を反転させる力を持っており、相手によっては容易に自滅させることが可能だ。

 

  今回はアクノロギアの魔法を無効化する技能を反転し、〝すべての魔法に対して極度に弱体化する技能〟に書き換えた。

 

  そしてこれらの鎖にはユエに込めてもらったそれぞれの属性の最強の魔法が付与されており、今のアクノロギアには効果覿面である。

 

「お前みたいなやつを相手にした時……というより、女神様の知識にあったお前を基準に作ったアーティファクトだ。いやー効いてよかったよ」

『攻略本見てボス倒してるような感じだけどな』

「しっ、それは言わないお約束」

 

  疲れた疲れたとでもいうように肩をすくめていると、首輪の内側から司令官のカマキリが出てきて俺の方に飛び乗った。

 

「お前もお疲れさん。よく長時間ルベシャトを透明化してくれたな」

「キシッ」

 

  楽勝よ、とでもいうように器用に前足をすくめる司令官。人間っぽい動きに思わず笑いながら、アクノロギアを見た。

 

  アクノロギアは、じっと瞳のない目で俺をみている。その目からは屈辱と、わずかな賞賛も感じられるような気がした。

 

  最強の竜としての誇り高さを感じるその姿勢に、俺は終わらせるためにルインエボルバーを振り降ろしてーー

 

 

 

 ゴガァァアアアアアァアアアアァアアッ!!!!!

 

 

 

「何っ!?」

 

  これまでにないほどの咆哮を上げたアクノロギアは、全身の筋肉を三倍ほどに膨張させると、なんと強引にルベシャトを引きちぎってしまった。

 

  流石の俺も驚愕と、アクノロギアが飛び上がった際の風圧で身動きが取れなくなる。それでもなんとかルインエボルバーを振り、アクノロギアの片腕を切り落とした。

 

  空へ戻ったアクノロギアは、血の流れ出る自分の右腕を見ると、おもむろに傷口を左手で握りつぶし、無理矢理止血する。

 

  そして俺を見下ろしてきた。そこには先ほどまでの殺意はなく、まるで相手を見定めるような雰囲気を感じる。

 

「ははっ、さすがは最強の竜。あの状態から抜け出すとはねぇ」

『どうする? もう敵意は薄れているが……』

 

 

〝……我の右腕、預けておこう。矮小なる人の子よ〟

 

 

  エボルトと相談をしようとすると、脳内にエボルトとは別の声が響いた。アクノロギアが発したと思われる、低い男のような声だ。

 

  それだけ言うと、アクノロギアは踵を返してどこかへ飛んでいった。後に残ったのは、破壊されたルベシャトとアクノロギアの右腕だけ。

 

「やれやれ、とんでもない相手にライバル認定されたぜ」

『ま、右腕一本持ってったんだ。そうそう手は出して来ないだろ』

「そうだといいですけどね、っと」

 

  ルインエボルバーとバラバラのルベシャトを異空間に放り込むと、アクノロギアの右腕に触れる。そして〝暗器創造〟を使った。

 

  巨大なアクノロギアの右腕は黒い光に包まれ、輪郭を崩していく。やがて俺の手元に凝縮していき、一振りの刃物となった。

 

  アクノロギアの右腕からできた武器は、シンプルな作りの美しい漆黒のナイフだった、荒々しい模様の浮かんだ刀身と、丸っこい柄頭。

 

  鍔の部分にはアクノロギアの目元にあった模様が浮き彫りになっており、非常に格好良い。何より、異様な何かが潜んでいる。

 

「すげえなこれ。ナイフになった途端、魔力が一つの意思に変わりやがった」

『つまり、意思ある武器ってわけか』

「ああ。まるで〝生霊武装〟みたいだ」

 

  感心しながらナイフを眺める。ちなみに〝生霊武装〟ってのは、暗器創造の上位互換にあたる禁術中の禁術だ。

 

  生物を生きたまま武器に変え、元となった生物の特性を武器の能力に変換する。非常に扱いが難しく、怒らせたり嫌われたりすれば逆に殺されることもあったりする。

 

  まあ、俺は前世で結構な回数使ってたけど。ていうか怒った時の雫の方が億倍扱い難い。というかぶっちゃけ手ぇつけられない。

 

『アクノロギアは神竜クラスの魔物だ、たとえ右腕だけでも相当強力だろうよ』

「だろうな……ま、使いこなしてみせるさ」

 

  強大な意思を内包したナイフをジャグリングしてキャッチすると、異空間から手頃な鞘を取り出して後ろ腰につける。

 

「うん、いい感じだ。そんじゃあハジメたちんとこに……」

 

 

 

 

 

 〝アッーーーーーなのじゃああああーーーーー!!!〟

 

 

 

 

 

  さてハジメたちのところへ向かおう、そう思って踵を返そうとした瞬間、脳内に悲痛な女性の悲鳴が響き渡った。

 

  思わずその場で立ち止まり、警戒して周囲を見渡して探索魔法を使うが、怪しい反応はない。どうやらこの近くから聞こえたわけじゃなさそうだ。

 

「とすると、もしかして……」

『ハジメたちのほうじゃねえか?』

「かもしれん。一体何があったんだか……」

 

  なんかやらかしてそうだなーと思いながら、瞬間移動する。そうして元の川に戻った時、俺の視界に移ったのは……

 

 

 〝お尻がぁ~、妾のお尻がぁ~〟

 

 

  でっかいパイルバンカーの杭がケツの穴に刺さった全身ボドボドの黒竜が悶えているのと、その周りで困惑しているハジメたちだった。




そう、タグの正体は……FAILY TALEだったのさっ。


【挿絵表示】


これは、今より少し先の未来の姿……

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