前回の少女の正体について、二話に加筆をしました。確かめていただけると嬉しいです。
シュウジ「うぃーっす、シュウジだ。いよいよこの章になったか。早く雫に会いたいぜ」
雫「すぐに会えるわよ。後少しの我慢よ……私」
エボルト「自分に言ってたのかよ。ていうか手プルプル震えてんぞ」
雫「ああ、早くシューに抱きつきたい…!」
ハジメ「末期だな……」
美空「ハ〜ジ〜メ〜?」
ハジメ「こ、今回はフューレンに着いた時の話だ!それじゃあせーの!」
五人「「「「「さてさてどうなる再会編!」」」」」
バックトゥザフューレン
古い夢を見た。
もう覚えてないほどに遠い昔の、古い古い記憶の再生。本当になんでもないような無数の日々の、とある日の出来事。
俺はランダと二人で、酒を飲んでいた。確か〝世界の殺意〟になってから五……いや、六百年経った頃のことだったか。
五百〜七百年目のときの俺はよく、ランダのところに行くことが多かった。なにせ、前世の世界で唯一と言っていいダチだったからな。
〝世界の殺意〟を継承したものは、その時点であらゆる人間の記憶の中から完全に消える。某椎茸嫌いな男も真っ青なシステムだ。
そんな俺を覚えていられるのは次の候補者……マリスたちや、あるいはランダのような世界意思の抑制から外れた超越存在のみ。
そのため友達は非常に少なかった。ていうか片手で数えられるくらいしかいなかった。その中でも一際つるんでたのがランダだ。
「君も暇だねぇ。一週間前も来たじゃない」
「仕方がないでしょう。私の仕事は、そう多いわけではない」
呆れるように笑うランダに、微笑みながらワインを飲む私。吸血鬼の国に行った時に入手した、五百年ものとかいう超超レア物だ。
〝世界の殺意〟の仕事は、生命のバランスに致命的なダメージを与える存在を排除すること。そしてその機会は数十年に一度という頻度。
さらにそれが不定期なこともあって、かなり暇だったのだ。だからいくつか設けられてる制約に引っかからないなら、何をしてもよかった。
歴代の継承者の中には、有り余る時間を使って徒歩で世界一周した人もいたし、いくつも国を作った人もいたとか。
「それで〜、今回はどこの国のわるーい奴を殺したのさ?」
「ドワーフの国にて、国民を使って生体兵器を作り国家転覆を狙っていた大臣を。断末魔の叫びごと首を刎ねました」
俺はもっぱら、世界中に潜ませた〝目〟を使い、さまざまな場所に行って悪人を暗殺していた。
そして実は、そんなことをしてたのは、歴代の中でも俺だけだった。なぜならどれだけ悪人を狩ろうとも、それは無意味なことだから。
人がいる限り善があり、悪がある。どれだけ引き抜いても際限なく生えてくる雑草のように、いくら殺しても悪人はいなくならない。
それでも俺は殺した。たとえ世界の流れがコンマ一ミリも変わらないとしても、歴史書の一文が書き換わるか書き換わらないかの些事でも殺した。
それを正義だとは思わない。それでも一人でも多くの善良な人間を救えるのならと、無情の刃を振るっていたのだ。
そして決まって、悪人を粛清した後はランダのところへ酒を飲みに来た。
「勤勉だね〜。君の先代でさえ、仕方のないことだと静観するだけだったのに」
「……別に、ただの自己満足ですよ。生きるべき人間が、死んで然るべき人間の欲望の餌食になるのを見ることが嫌なだけです」
「理想家だねぇ〜」
理想と、ランダは言った。なるほど確かに夢物語だ。たった一人で全ての善良な人間を救おうなどと、子供の絵空事でしかない。
それをわかっていてなお、俺は刃を振り下ろす手を止めなかった。たとえ全てを救えないとしても、せめて眼に映る誰かを助けられるならと。
そんな夢想を続けて一千年。思えば我ながら頑固なもんだ。多分今のハジメに話したら「お前馬鹿だろ」とか言われそう。
「やめちゃおう、とか思ったことないわけ〜?」
「……〝世界の殺意〟としての生を得てから、六百以上の月日が巡るのを見ました。それだけ経ってもまだ、私はそうすることでしか自分の存在を見出せない」
殺すことでしか、自分の存在意義を確かめられない。俺はそういう人間だった。いや、人間とすら呼べないのかもしれない。
自我が芽生える前に殺すことを命じられ、殺すために育てられた殺戮兵器の成れの果て。それが俺を表現するのに一番適切な言葉だろう。
止めなかったのではない。止められなかったのだ。だって殺すことが、■■■としての俺の根底だったのだから。
「だから私は、役目を終えて消えるその日までこの薄汚れた手を下ろすことはないでしょう」
「そんなに深く悩むこともないと思うけどな〜」
「それは、元より時の概念がなく永遠を生きられる貴女だからこその思考です。人より長いとはいえ、限られた時間しかない私はこれを張るしかない」
それもそうだね〜、と呑気に笑うランダ。この時は一つの思考に縛られるという概念がないことに、羨ましいと思ったものだ。
しかしきっと、俺がこの生き方に縛られたのは生い立ちの他にも、〝あれ〟があったからだろう。俺たちを象徴する、最強の武器が。
そんなことを考えながらグラスを傾けていると、ふとあることに思い至った。俺はランダの方を向き、真剣な顔で語りかける。
「ランダ。貴女に頼みがあります」
「なにかな〜? 親友の頼みなら、無理なことじゃなきゃ聞くよ〜」
のほほんとしたランダに、これ幸いと俺はあることを頼んだ。
「もし、私のーー」
●◯●
ガタンッ!
「……んごっ」
大きな振動で顎から手が外れ、ガクンと頭が落ちる。その拍子にダッシュボードに思いっきりおでこを打ち付けて目を覚ました。
「ってー」
「おう、目ぇ覚ましたか」
若干ヒリヒリする額をかきながら隣を見れば、運転席に座るエボルトがいる。エボルトは車内に流れる音楽に合わせて、指でハンドルを叩いていた。
そこでようやく、俺は車に乗ってることを思い出す。そういや30分前運転めんどくなってエボルトに押し付けて昼寝したんだったわ。
現在、俺たちはフューレンに向かっている。あの時マリスと別れて、ウルの街を去ってからすでに一週間弱ってとこだ。後ちょっとでフューレンに着くだろう。
「お前にしちゃ珍しく熟睡してたな。いい夢でも見たか?」
「んー懐かしい夢見た」
「なるほど悪夢か」
「俺の過去全部ダークにするのやめない?」
「えっ違うの?」
「はっはっはっ、何言ってんだそうに決まってんだろいい加減にしないと鼻の穴にピクルス詰めるぞ」
「鮮やかな手のひら返しアザーッス」
いつも通りのコントをしたところで、ところでハジメはんたちはどないしてるんやと振り返って後部座席を確認する。
すると何やら、ハジメの腕にシアさんが抱きついて幸せそうな顔をしていた。反対には仕方がないかという顔のユエとシアを撮ってるウサギ。
「おろ、俺がグッドスリープしてる間に何かあったん?」
「なんだ、起きたのか」
そのまま永遠に寝てりゃいいのにとか思ってそうな顔をするハジメ。うーん最近親友からの反応がどんどん雑になってると思う今日この頃。
「まあ、あったといえばあったな」
「聞いてくださいよシュウジさーん、ハジメさんがデートしてくれるんです!」
「なん……だと……!?」
あのハジメが、シアさんとデート?あの超絶鬼畜無双大好き問答無用で発砲大魔王どころか大魔神なハジメが、シアさんとデートだと?
「明日はモーセが石版を投げつけるのか……!?」
「誰が地を割るって?別にデートじゃねえよ。ただ一日付き合うってだけだ」
「人はそれをデートというby誰でもない」
「懐かしいなそれ」
あのドラマ面白かったよね。主に緊縛が。おっとそこの君、特殊性癖とか言わない。別に俺が縄縛りが好きなわけじゃないんだからねっ。
で、詳しい話を聞いたところ、今回の襲撃……蹂躙劇?でのシアさんの奮闘はめざましく、そのご褒美として一日中二人きりで一緒にいるとか。
よくこいつが許可したなとか思ってると、「まあ、こいつも今は大事な仲間だしな」という返答が返ってきた。やはりこれは天変地異の(ry
「まあ、よかったなーシアさん。そのままハジメを落としても、ええんやで?」
「頑張りますぅ!」
「頑張らんでいいわ」
「マスター。そろそろ私にも構ってもらっていいか?」
ハジメをからかって遊んでいると、そんな言葉が聞こえてきた。そちらを見れば、少し不満そうな顔のルイネがいる。
「おお、メンゴメンゴ……って、おろ?リベルは?」
「あちらだ」
隣を指差すルイネ。そこにはカエルを抱えて寝るリベルを膝に乗せるウィル君がいた。この一週間弱でかなり仲良くなったんだよなー。
だが、嫁にはやらん(違う)。まだまだリベルが出ていくのは早い。というか一生うちにいてもいいのよ(圧倒的な親バカ)
え?あの変態ドラゴンはどうしたかって?……さあ、どこにいるんだろうねー(閉まっている後部座席のシャッターから目を逸らす)
「ハジメ殿たちばかりと話していると、拗ねてしまうぞ……なんてな」
「おおっと、奥さんに拗ねられちゃあ一大事だな」
「ふふ、そうだな」
楽しそうに笑うルイネ。最近、ルイネはこういったことをよく言うようになった。果たしてその理由は……CMのあとで!
なーんてことはなく、なんかマリスに意識を持ってかれてないかと心配らしい。別にそんなこと思わなくても、マリスは娘だからありえないんだけどネ。
『ケッ。イチャつきやがって。いきなりブレーキ踏んでやろうか』
新章開幕最初の念話がそれかよ(メタメタ)
ルイネと雑談したりハジメをからかったり窓の外に見えたデンジャラスゾンビ阿部さんを狙撃したりして過ごすこと、二時間ちょっと。
「お、フューレンが見えてきたな」
窓の向こうに、フューレンの外壁が見えてくる。一週間ぶりに見るが、別にバイオテロが起きてゾンビが群がってたりはしなかった。
数分前に起きていたウィル君は、それを聞くや否や座席の間から笑顔を出す。やっぱり知った場所に着くとなると安心するらしい。
「いやー、6日と半日。長かったですね」
「そうだにゃー。ところでウィル君、どっかに捕まってたほうがいいよ」
「えっ?」
「ご乗車の皆様、これから華麗に停止いたしますので、シートベルトをお締めください」
エボルトはそういうと、アクセルを踏んで速度を上げる。全く踏ん張ってなかったウィル君は後部座席に強制退去した。
車はぐんぐんスピードアップし、瞬く間に町との距離を詰めていく。程なくして、町に入る長ーい人の列の最後尾が見えてきた。
それが見えるや否や、エボルトはブレーキを踏む。同時にハンドルを横に切り、キキィィイイイイイイイイイ!と甲高い音を立ててドリフト停車した。
「し、死ぬかと思った……」
「ご利用ありがとうございます、ってな」
「んにゅ……?ついたの……?」
「おーリベル、起きたか」
「んー」
ぽろっとカエルを手放してこっちに手を伸ばすリベルを抱き抱え、車を降りる。続いて後部座席の皆も外に出た。
外に出ると、列に並んでいた全員が車を凝視していた。こっちの世界には自動車なんてないからね、しょうがないね。
「あ、あのう、妾も下ろしてくれるとありがたいのじゃが」
「あ、忘れてた」
ウィル君が呆然としている人たちに頭を下げているのを眺めてると、荷台にくくりつけといたティオから声がかかった。完全忘れてたわ。
『むしろ存在を抹消されて喜んでるけどな』
よーしさっさと下ろして人目のつかない所にポイしとこーっと()
ティオをポイしてボンネットを見れば、そこに座ったハジメが列を見てあと一時間くらいかかりそうと呟いた。
「はーい、ババ抜きする人この指とまれ」
どうせ時間がかかるならレッツ暇つぶし、ということで異空間からトランプを取り出して人差し指を出す。豆腐食べたくなってきた。
『どこの天の道をゆく男ですかねぇ』
中学の時講習受けて調理師免許持ってます(誰も聞いてねえよ)
全員がこの指に留まったのでリモコンでボンネットを操作してテーブルを出した。ハジメにじとっとした目で見られる。
「また知らんうちに改造しやがったな」
「てへっ☆」
「よしそこを動くな、そのふざけた面に弾ぶち込んでやる」
「きゃー暴力反対(棒)」
いつものやり取りをしつつ、トランプを全員に配る。実はウィル君が地味に強かったりするのだ。ちなみに先生はエボルト。
「はい、次ユエ」
「…ん。私のターン。ドロー」
「ユエ、それは違うゲームだ」
「あっ」
「……シア、ババ引いた?」
「な、なんのことでせう」
「あはは、シアおねーちゃんバレバレ!」
呑気にババ抜きする俺たちをヒソヒソと人が見ているが、基本スルー。というかウルの街で大暴れしたので今更コソコソしても意味がない。
もし国とか教会に接触されてもマリスとかが味方してくれるし、最悪ハジメさん方式(物理的解決)すればいい。
『それでもダメな時は〝あれ〟を使えばいいしな』
それはマジで最後ね。
「はい、シアさん」
「うぬぬぬ……はっ!はうぁ!」
「まーた引いたよこいつ」
「うう……はい、シュウジさん」
「あらよっと。お、キングで上がり。あ、そういやもうシアさんの首輪とっていいんじゃね?」
「そういやそうだな」
シアさんの力も証明された以上、もう庇護対象を振舞う必要はない。ハジメが外すか?とシアさんに問いかける。
しかし予想に反して、シアさんは首を横に振った。若干頬を染めながら、自分に首にはまっている首輪を撫でる。
「いえ、このままでいいです。首輪とはいえ、初めてハジメさんに頂いたものですし。それに、ハジメさんのものって感じがして、割と気に入ってて……」
「そういうことなら、俺はもう口を閉じますかね」
「できればそのままずっと閉じててください」
「辛辣ゥ!」
「ふむ……」
うさ耳をぴこぴこさせてちょっと恥ずかしそうにするシアさんに、ハジメが手を伸ばす。そして顎に指を添えると顔を上げさせた。
いきなりの行動にシアさんの頬と凝視している周りの男の足元が赤くなる中、ハジメは宝物庫から宝石を取り出すと首輪を錬成し始める。
「あ、あの、ハジメさん」
「じっとしてろ」
柔らかい声音で言ったハジメは、無骨な首輪を新たしいものにしていく。最初の頃に比べりゃ随分な対応の変化だ。
錬成の結果、シアさんの首輪は地球で売ってそうなファッション的なデザインのチョーカーに変わった。店で売ってても不思議じゃない。
「よし、こっちの方がいいだろ」
「前から思ってたけど、ハジメさんセンスいいっすよね」
「そうか?」
「あの、ハジメさん。ありがとうございます。大切にしますね」
「おう。せいぜい大切にしろ」
ぶっきらぼうにいうハジメに、にヘラと相貌を崩したシアさんが抱きつく。一瞬で場の空気が桃色に染色された。
これはもうあれですね、後ちょっとで結局くっついちゃいました的な展開になるね。今から撮っておかなくちゃ(美空に見せる用)
『軽くゲスで草』
「いやー、仲良いことですな」
「私たちも、だろう?」
ぴったりと密着してくるルイネ。いつものクールなルイネも愛しているが、ここ最近の甘えたルイネもいいと僕は思います。
さてさて、どれくらいで街に入れるかな。
●◯●
それからルイネとイチャついたり女性陣目当てで近づいてきたチャラ男を阿部さんの巣にとばしたりしてるうちに列が動いた。
ハジメの予想通り一時間もする頃には、いよいよ検問に差し掛かった。あ、車はもう異空間に仕舞いました。
「ステータスプレートを見せてくれ」
「はいどーぞ」
代表して俺が見せると、どっかのマダオみたいな顔の衛兵さんはん?と眉をひそめる。おろ、ステータスは隠蔽してあるが。
『あれじゃね?天職の欄に夢の国の使者って入れたから』
おいやめろネズミの執行者が来るぞ()
「シュウジ?ということは、そっちはハジメ、ユエ、シア、などといった名前か?」
「そうだが。なんか問題でもあるのか?」
「いや、そうではない。支部長からの依頼の帰りなら、すぐに通せと言われてるのでな」
「あ、そゆこと。ならこれ、依頼状」
衛兵さんにイルワさんの署名入りの依頼状を渡すと、衛兵さんは注意深い目つきで読み込み、よしと頷くと通してくれた。
「さて、とりあえずウィル君を送り届けますか」
「そうだな」
ということで冒険者ギルドに直行。十分ほどで到着し、受付で依頼状を見せるとこの前と同じ応接室に通され、待つように言われた。
用意された高そうなお菓子をバリバリモッシャモッシャムッシュマシュマロキングしていると、勢いよくた扉が開いてイルワさんが駆け込んでくる。
「ウィル、大丈夫かい!?怪我とかしてないか!?」
「お、落ち着いてくださいイルワさん。私なら平気ですから」
「そ、そうか。それは良かった……」
心底安心した様子で、どっかりと座り込むイルワさん。本当に心配していたようだ。それだけウィル君が大切な存在なのだろう。BL的な意味じゃなくて。
「イルワさん、すみませんでした。私が無理を言ったせいで、色々迷惑を……」
「なにを言うんだ。私の方こそ、いくら荒療治とはいえ危険な依頼を紹介してしまった……ウィルに何かあったらグレイルやサリアに合わせる顔がなくなるところだったよ」
「ご心配をおかけして、本当にすみません」
「いや、もう過ぎたことだ。二人も随分心配していた。早く顔を見せて安心させてあげるといい。君の無事は既に連絡してある。数日前からフューレンに来ているんだ」
「父上とママが……わかりました。直ぐに会いに行きます」
イルワさんに両親のいる場所を聞いたウィル君は、もう一度お詫びとともにイルワさんに頭を下げ、次いで俺たちにも感謝する。
最後に後日改めて礼を言いに来ると言って、部屋を出て行った。後に残った俺たちはイルワさんに向き直り、柔和な笑顔を浮かべる。
「いや、本当に助かった。ウィルを連れて帰ってきてくれてありがとう。てっきり、もうダメかと……」
「まー運が良かったのもありますけど、本人の意地の勝利っすかねー。なんにせよ、助けられて良かったです」
そういうとイルワさんはにこやかに微笑んだ。ちなみにこれは全部本音だ。ウィル君の生きる意志こそが、今回の結果の一番の要因だ。
「加えて、数万もの魔物の軍勢から街も救ってくれるとは…感謝しても仕切れないね」
「おや、情報がお早い。監視でもついてました?」
「まあ、君だったら気づいてそうだったけどね。そうだ、私の部下を密かに追走させていた。まあ、あのアーティファクトのおかげで半泣きだったけどね」
そりゃどんなに早くても車にゃ追いつけないわな。ハジメは逃げる車のトランク鷲掴みにして「どこに行くんや」とか凶悪な顔で言いそうだけど。
「おい、今変なこと考えたな」
「さって、説明でもします?」
「スルーすんな」
「ああ、そうしてくれると助かる」
ハジメにヘッドロックかけられながら説明しようとして、あることを思い出した。
「説明を始める前に……ステータスプレート、お願いできますかね?それもあったほうが説明しやすいんで」
「ああ、わかった……ところでそれ大丈夫なのか?なんかミシミシ言ってるが……」
「ヘーキヘーキ、モーマンタイです」
あっ頭蓋骨にヒビはいった。超速再生ですぐに治るからいいけど。
俺が解放される頃には、人数分の(ティオも希望しました)ステータスプレートが職員さんによって用意された。
全員が受け取り、俺たちもやった手法で確認した結果、皆のステータスはこのような感じだった。
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ユエ 323歳 女 レベル:75
天職:神子
筋力:120
体力:300
耐性:60
敏捷:120
魔力:6980
魔耐:7120
技能:自動再生[+痛覚操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+魔力強化][+血盟契約]・高速魔力回復・生成魔法・重力魔法
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シア・ハウリア 16歳 女 レベル:35
天職:占術師
筋力:60 [+最大9700]
体力:80 [+最大9720]
耐性:60 [+最大9700]
敏捷:85 [+最大9725]
魔力:3020
魔耐:3180
技能:未来視[+自動発動][+仮定未来]・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+変換効率上昇Ⅱ] [+集中強化]・闘術・重力魔法
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ティオ・クラルス 563歳 女 レベル:89
天職:守護者
筋力:770 [+竜化状態4620]
体力:1100 [+竜化状態6600]
耐性:1100 [+竜化状態6600]
敏捷:580 [+竜化状態3480]
魔力:4590
魔耐:4220
技能:竜化[+竜鱗硬化][+魔力効率上昇][+身体能力上昇][+咆哮][+風纏][+痛覚変換]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮]・火属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・風属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・複合魔法
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ウサギ ???歳 女 レベル:ーーー
天職:バーサーカー、魔神の妃
筋力:25000
体力:25000
耐性:25000
敏捷:30000
魔力:2000
魔耐:5000
技能:超強化[+感覚強化]・獣化[+部分変化][+全身獣化][+完全獣化]・獣闘術[+一切粉砕][+一切鏖殺]・魔神寵愛[瞬間強化]・奪力・生成魔法・変化
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ルイネ・ブラディア 24歳 女 レベル:100
天職:龍姫、紅の殲滅者
筋力:20000
体力:40000
耐性:40000
敏捷:50000
魔力:10000
魔耐:40000
技能:操糸術・完全耐性・龍力・龍刃錬成・龍鎧精製・隠密・変装・諜報・暗殺術・超忍耐・闘術[+獣術][+鬼術][+魔術]・生成魔法・重力魔法・変身
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リベル・北野・ブラディア 3歳 女 レベル:10
天職:重術師
筋力:700
体力:1000
耐性:5000
敏捷:1000
魔力:5000
魔耐:6500
技能:重力魔法・■■
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流石というべきか、全員ぶっ飛んだステータスだ。リベルも俺たちからすれば文字通り子供レベルだが、ホムンクルスだからかこの世界の人間よりは何倍も強い。
え?エボルトのステータス?俺のと共有してるから特に新情報はないよ。天職のところに怪しいエイリアンってあるくらいじゃね?
『そこは怪しい悪役って言えよ』
「どいつもこいつも化け物だな」
「魔神の妃、つまりハジメのお嫁さん……えへへ」
「むう……なんで私のにはついてない」
「いいなぁ〜ウサギさん。私もその天職がよかったですぅ」
「ルイネは、流石俺の弟子って感じだな。頼もしいぜ」
「ああ。ぜひ頼りにしてくれ」
「パパ、ママ、わたしのも見てー!」
わいわいとはしゃぐ俺たち。その横で常識外のステータスに唖然としてるイルワさんがいた。
「いや、何かあるとは思ってたが……まさかこれほどとはな」
「そーいうことでさぁ。それじゃあ早速ウルの街でのことでも話しますかね」
最初の会話の通りに、魔物の大群のことを話す。清水のことについては、マリスがなんとかすると思うので伏せといた。
俺たちの話を聞いたイルワさんは、深くため息を吐いてソファの背もたれに体を預ける。あまりに突飛な話に衝撃を受けたんだろう。
『まあ普通ならホラで終わるような話だしなぁ。ステータスを見た以上、信じるしかないだろうが』
「どうりでキャサリン先生が目をつけるわけだよ……ハジメ君とシュウジ君が異世界人というのは予想してたが……実際はその斜め上たったね」
「で、あんたはどうするんだ?俺たちを危険因子として教会にでも報告するか?」
「まさか、冗談にもならない。君たちを敵に回したら、その日のうちに街も私も破滅だよ。それに、君たちは恩人だ。恩を仇で返すほど、私は愚かじゃない」
「そいつはよかった」
余計な敵が増えるのは面倒だからな、と言うハジメ。イルワさんはホッとしたように息を吐き、居住まいを正して真剣な顔をした。
「私としては、約束通り可能な限り君達の後ろ盾になろうと思う。ギルド幹部としても、個人としてもね」
「そりゃ助かる。サンキューイルワさん」
「いや……まぁ、あれだけの力を見せたんだ。当分は、上の方も議論が紛糾して君達に下手なことはしないと思うよ。一応、後ろ盾になりやすいように、君達の冒険者ランクを全員〝金〟にしておく。普通は、〝金〟を付けるには色々面倒な手続きがいるのだけど……事後承諾でも何とかなるよ。キャサリン先生と僕の推薦、それに………ね」
俺の方を見てウィンクするイルワさん。〝あれ〟のことだと察した俺と体内のエボルトは不敵に微笑んだ。
その後、フューレンにいる間はギルド直営の宿のVIPルームの使用権やイルワさんの家紋入りの手紙などなど、大盤振る舞いの報酬を受け取る。
『今後も仲良くしてくれ、ってことだろうな』
まあ、その気になればフューレンくらいならカーネイジ使えば一瞬で真っ二つにできるしな。
お礼を言って退室すると、俺たちは早速フューレンの中央区にあるギルド直営の宿のVIPルームに向かった。
途中、ウィル君の両親とかにも会った。
「この度は息子を助けていただき、誠に感謝しております」
「本当に、本当にありがとうございます……!」
「いえいえ、依頼でしたから」
王都のパンドラボックスの光の影響下にあったヒゲみたいな貴族達と違って、ウィル君の両親は筋の通った人間だった。こう言う貴族は信用できる。
グレイル伯爵は、しきりに礼をしたいと家への招待や金品の支払いを提案したが、結局有事の際に頼りにするということで退散してもらい。
そしてVIPルームに行き、だらけながら明日以降の予定を相談したり、リベルと遊んだりして、その日は休んだのだった。
うっわ長すぎ……
感想をくださいお願いします。