シュウジ「うーす、シュウジだ。前回は魔人族が出てきたな……ついでにどっかのクレイジー兄貴も」
エボルト「よし、ここをこうすれば即死性の対ブラッド族毒薬が……」
ハジメ「目がマジだ……ていうかシュウジは何作ってんだ?」
シュウジ「え?アンリのトゥルーエンドルートの追加データ」
ハジメ「ああ、あれな……流石に頭に剣ぶっ刺すのは狂気過ぎてやった時二人で引いてたよな」
シュウジ「なのでうまい感じのエンドのデータ作ってる。まあ俺しか使わないけど。とまあそいつはともかく、今回はキルバスとネルファの戦いだ。それじゃあせーの……」
三人「「「さてさてどうなる再会編!」」」
目の前にいる、キルバスと名乗った男を私は冷めた目で見る。
まったく、変な輩が現れたものですわ。今回はただ、八重樫雫の成長を見について来ただけだというのに。
別に無視して転移魔法で帰ってもいいが……そうなるとおそらく坂上龍太郎やあの間抜けな勇者たちを標的にするだろう。
別に私はそれでもいいが……
「あ………あ………」
ちらりと八重樫雫を見る。キルバスとやらのオーラに飲まれた彼女は、恐怖に身を震わせていた。
今の状態だと、ここで他の者たちを切り捨てて彼女だけ連れて帰っても、高確率で折れる。それは私としても少々困るのだ。
それに、あの男からわずかにだが、神気が感じられるのも気にかかる。神エヒトに連なるものかもしれないから、力を確認しておく必要もある。
「はぁ……仕方ありませんわね」
溜息を吐き、椅子から立ち上がる。そうするとキルバスが面白そうに仮面の下で笑った気がした。
「八重樫さん、あなたは坂上龍太郎の援護に行きなさい」
「あ……え、ええ」
かろうじて私の言葉に反応した八重樫雫は、半ば逃げるように後退する。これで巻き込む心配はなくなった。
キルバスに向き直る。いつの間にやらキルバスは両手に、赤い装飾のついた蜘蛛の足のような細い双剣を携えていた。
私はおもむろに手を上げ、指を鳴らす。その瞬間地面と天井の土が動き出し、壁となって私たちと八重樫雫たちを分断した。
「さあ、舞台は整えましたわよ」
『やる気を出してくれて嬉しいねぇ!』
「かかってきなさい。優雅に………踏み潰してあげますわ」
『ハハハハハ!やってみろぉ!』
笑い声をあげながら、キルバスは突撃してくる。私は両手を腰の後ろで組みつつ、静かにキルバスを見据えた。
双剣の間合いまで肉薄してきたキルバスは、まず右の剣を振るってくる。それを体を横にずらして避けた。
赤黒いオーラをまとった一撃は空を切り、しかしキルバスは慌てることなく旋回して左の剣を横薙ぎに斬りつけてきた。それも避ける。
空を切った斬撃は、私の代わりに遥か向こうの壁に大きな切り傷をつけた。わずかに眉をひそめる。
『いい動きだ!ならば!』
最初の二撃は小手調べだったのだろう、楽しそうに肩を揺らしたキルバスは連続攻撃を繰り出してきた。
その速度は先ほどの比ではなく、まさに神速。程なくして視界を斬撃の嵐が埋め尽くした。
一つ一つを刹那の瞬間で慎重に見定め、数ミリのところで躱す。肌のすぐ近くを通る刃からは、チリチリと嫌な力を感じた。
なので、ブーツに崩壊の呪詛を付与する。そして最後に飛んできた突きに合わせて足を振り上げ、一撃で剣を破壊……
ガキンッ!
「………何?」
『隙ありィ!』
一瞬動きを止めた私に、キルバスが逆袈裟斬りを放つ。即座に手を引いて足に力を込め、後ろにバク宙して回避。
そのままトン、と椅子の背もたれの上に着地する。キルバスを見れば、悠然とした姿勢でこちらに無傷の剣の切っ先を向けている。
『なかなかの動きだ。だが次は逃さん』
「……それ、神造兵器ですわね」
『ほお、わかるのか』
やはりか。どうりで私の呪詛が効果を発揮しないわけだ。
神造兵器とは文字通り、神の作った兵器。いわゆる神器といわれる類のものであり、それ一つで地形を大幅に変えるほどの力を持つ。
古いものなら神気が薄れているので破壊できるが、見たところあれは新品。おそらくはキルバスのバックにいる神が与えたものか。
『こいつは
「でしょうね。まったく、厄介なものをお持ちですこと」
しかし、そうなると少し事情が変わってくる。軽くあしらうつもりでいたが、多少は本気を出さなくては。
私にとって神の祝福を受けた武器というのは、ある意味
「こんなところで神器持ちと戦うことになるとは、私も災難ですわね……」
『さあ、いくぜェエエ!』
半ば狂乱したような高揚した声をあげて、キルバスは一瞬で肉迫してきた。即座に椅子の背もたれから飛び退く。
次の瞬間、赤黒い軌跡が椅子を細切れにした。そのまま接近してくるキルバスに、着地と同時に回し蹴りを叩き込む。
返ってきたのは、ブーツと胴体の鎧がぶつかり合うけたたましい音。粉砕するつもりだったのだが、思うより頑丈ならしい。
ならばと〝魔眼〟を発動し、その力でキルバスを投げ飛ばす。飛んで行ったキルバスは、しかし天井に両足をつくと弾丸のように飛んできた。
『オラァ!』
「あら、危ない」
隕石のごとき一撃をすらりとかわす。そうすると地面に突き刺さっている剣を踏みつけて封じた。
「女性には刃物を向けてはいけないと教わりませんでした?」
『あいにくと、俺は男女平等主義でなぁ!』
剣を手放し、手にオーラを纏って殴りかかってくるキルバス。足を上げて膝を腕にぶつけ、軌道をずらす。
私の胸を捉えていた拳は顔の横を通過していき、一瞬無防備になる。私はそっと、キルバスの腹部に手を添えた。
「では、ごきげんよう」
パァンッ!!!
手から衝撃を発し、キルバスを後ろに向けて音速で吹き飛ばした。壁にぶつかる轟音とともに、部屋が揺れる。
濛々と土煙が立ち込め、一瞬の静寂が訪れた。私は土煙の向こうに目を凝らし……そして思わず、チッと舌打ちする。
『ハハハハハ!!!お前、やるなァ!!』
土煙の向こうから、無傷のキルバスが出てきた。内臓を破壊したはずだが………
『以前の俺ならばダメージを受けていたかもしれないなァ!』
「完全に殺すつもりで放ったのですが。随分とお堅いようで」
『いいぜいいぜ、これくらいでないと、戦いがいがないってもんだ!』
話を聞いているのかいないのか、キルバスは笑いながら背中から巨大な二本の爪のようなものを出現させる。
血のように真っ赤なそれを、私めがけて振り下ろしてきた。跳躍してあっさりとかわすと、爪の上に乗る。
「この程度ですか?」
『やるねえ、それならこれでどうだ!』
すると、さらにもう二本キルバスの背中から足が生えてきた。それを使い左右から挟み撃ちにしてこようとする。
しかし、いくつになったところで同じことだ。結界の魔方陣を無詠唱で出現させて防ぎ、爪の上から降りて元の位置に着地する。
『まだまだァ!』
キルバスは4本の爪を器用に操り、私を押し潰そうとしてきた。それを避けるたびに紙面がえぐれ、壁に穴が空き、まるで爆心地のようになる。
しばらくすると避けるのも飽きてきたので、破壊の呪詛をブーツに付けて4本とも粉砕した。その際、わずかに神気を感じる。
まあ、気にしても仕方がないと接近してきたキルバスの斬撃を踊るようにかわした。一撃でも当たれば、あのグズ勇者なら即死だ。
やがて、攻撃の間にわずかなタメを見つける。そこを見計らって前蹴りを入れると、キルバスはわざと後ろに飛んで衝撃を殺した。
そうすると再び爪を生やして、蜘蛛のように天井にぶら下がると私を見下ろす。
『クク、ここまでやって死なないでいられた奴は久しぶりだ』
「あら、人を見下ろして話すなんてマナーがなってないですわね」
『あいにく、俺は元はブラッド族の王でな。見下す方が慣れてるんだよ』
こんなのを王にするとか、ちょっとその一族イかれてるとしか思えませんわ。いえ、私の国の王族の方がイかれていたかしら?
他国侵略のために、人喰いの悪魔とその眷属なんぞを召喚してくれた下郎どもの顔を思い出す。ああ、思い出すだけでも忌々しい。
『フゥ、ようやく温まってきたぞ』
唾棄すべき屑どもを記憶の隅に追いやっているうちに、キルバスが降りてくる。肩を回し、まるで準備運動を終えたとでも言いたげだ。
ポゥ……
すると、キルバスの体に薄い光が灯った。儚げで、今にも消えてしまいそうに見えるそれは、しかし私の本能に警鐘を鳴らせる。
「……それは〝神の加護〟?」
『ようやく体に馴染んできたようだ。さあ、ここからは本気だ。死ぬ覚悟をしろ』
「あいにくと、とっくの昔にできていますわ」
そう。
「ですが、今ここでそんなものを確認する必要は感じません」
『そうか……なら、まずはこれだ!』
キルバスが胸の前で双剣を交差する。すると加護の一部が双剣にうつり、かと思えば刀身が毒々しい青色に染まった。
〝不味い〟。本能の発したその警鐘に従って、とっさに頭を下げる。キルバスが双剣を振り切ったのは、それと同時だった。
ズバァンッ!!!
大きな音を立てて、部屋を二つに分かつ壁が切り裂かれる。分厚い壁はいとも容易く斬り裂かれ、あちら側が見えるようになってしまった。
『ハハハァ!いくぞォ!』
「チッ!」
驚く暇もなく、キルバスは爪を使い跳躍して攻撃を再開した。小さく舌打ちしながら、最初の一撃を避ける。
本気というだけあって、キルバスの猛攻は凄まじいものだった。それこそ、私がそれなりに本気で回避をしなくてはいけないほどに。
剣を振るだけで風を巻き起こし、刀身に触れた服の裾は溶けていく。対してこちらのカウンターはあまり効いていない様子だ。
「く……!」
『いつまで逃げ切れるかなァ!』
ああ、最悪ですわ。よりによって唯一の天敵にこんなところで会うとは。それに、この余裕の態度も苛立ちを覚える。
「あまり……調子に乗らないでくださいまし!」
手のひらに呪力を集中させ、特殊能力を貫通する技を胸に入れる。数歩分後ろに吹き飛ぶキルバスだが、そこで止まった。
「加護は完全には無視できませんか……」
『いい気概だ。それなら……こいつはどうだァ!』
そういうと、キルバスは私……ではなく、後ろで坂上龍太郎とともにスマッシュと戦っている八重樫雫に向かって飛んでいった。
その速度は非常に速く、今から走って追いかけても間に合わないだろう。
ならば……
『死ねぇ!』
「なっ……」
「させるとお思いで?」
ドッ!
短距離転移魔法で近づいた私は、八重樫雫の背中に向けて振り下ろされた剣を手のひらで受け止めた。
神器は一応張った結界を容易く食い破り、肌が切り裂かれてて血が流れる。痛みと一緒に流れ込んでくる毒に、思わず顔をしかめた。
「御堂さん!」
『かかったなァ!』
喜びとも勝利の雄叫びともつかぬ声をあげ、もう一方の剣を振り下ろすキルバス。だが。
「あら。自分の話をするのがお好きなんですね」
ドガンッ!!!
腰から伸びた鮮やかな紫色の触手……
「御堂さん、平気!?」
「ええ。手で受けたのは下策でしたわね」
感覚の鈍い左手を見る。血管の中に入り込んだ毒はすでに肘のところまで上がってきており、あと三十秒もすれば使い物にならないだろう。
別に毒ごときで死ぬことはないが、後で再生するときに面倒なので、赫子で二の腕から先を切り落として止血する。八重樫雫がギョッとした。
「御堂さん!? あなた……」
「あとで生やせますわ。それより平気ですの?私の血を飲んだりしていませんこと?」
「え? いや、別に飲んでないけど……」
「それなら良かったですわ」
生まれ変わって別物になったとはいえ、肉体を変質させた以上血を飲んでしまえば
今こうして話している間も、神気を受けたことにより怒りとともに食人衝動が出てきている。だから受けたくなかったのだ。
「それより、その目と触手?は……」
黒く染まっている私の片目と、ゆらゆらと揺れ動く赫子を見る八重樫雫。その表情は普通ではないとでも言いたげだ。
「美しいでしょう?まあ、私はあまり好ましくないのですが」
「優雅じゃないから、かしら?」
「あら、あなたもわかってきましたわね」
そう。これは美しくはあっても優雅ではない。私の特性を何より象徴するものの一つだが、淑女としてはナンセンスだ。
『嬉しいねえ!まだそんな力を持っていたとは!』
そんなことを話していると、キルバスが復活した。即座に赫子をもう二本増やし、三本の赫子で牽制する。
キルバスを足止めしつつ、戦況を確認する。どうやらキルバスと戦っているうちに、だいぶ悪くなっていたようだ。
新たに増えた魔物と、それを操る魔人族の女によって半ば壊滅状態。中には魔人族の女の魔法か、体の一部が石化しているものもいる。
『オルァアア!』
「オォオオオオ!」
坂上龍太郎はといえば、最後のスマッシュの一体と殴り合いをしていた。暑苦しさがこちらまで届きそうな気迫だ。
「ふむ……」
それらを見て、考えをまとめていく。といってもそう多くをとらえる必要はなく、ほんの十秒程度で終わった。
「八重樫さん」
「何かしら?」
「坂上龍太郎がスマッシュを倒すのと同時に、全員を連れて上へ逃げなさい。私が足止めをします」
「それは……」
そんなことはできない、という顔をする八重樫雫。だが言葉に出さない以上、それは戦場において無用の甘さだとわかっているのだろう。
そして聡明な彼女は、これが自分のための提案だというのも理解している。なぜなら私にとって、彼女以外を逃がす理由はないのだから。
「………わかった、お願いするわ」
しばらく険しい顔で考えていたものの、彼女は賢明な判断を下した。それでこそ彼の方に愛された女だ。
「ええ、任せてくださいまし」
「絶対に、死ぬんじゃないわよ」
「あなたに心配されずとも、彼の方に会うまで死ぬつもりはありませんわ」
私の言葉に強く頷き、坂上龍太郎の援護に戻る八重樫雫。それを見送り、徐々に近づいてるキルバスに視線を戻した。
「あなたには、もう少しそこにいてもらいますわ」
指で宙に魔力の円を描き、キルバスの頭上に飛ばす。円環は瞬く間に大きくなっていき、キルバスの真上に辿り着いた瞬間……
ドガァンッ!!
円環の中から巨大な足が現れ、キルバスを反応する前に踏み潰した。ズズン、と地面が揺れ、天井から土が落ちてくる。
「言ったでしょう?踏み潰してあげると」
赫子を戻して、魔方陣の維持に魔力を回す。わずかに揺れ動いていた足は、その強さを増して下にいるキルバスを押さえつけた。
これで数分は問題ないと、今度は魔人族の女の方を向く。魔物たちを使って、撤退の気配を見せる八重樫雫たちを仕留めようとしている。
「〝イル・イルラ・イルラリア 望むは雨 終わりなき苦しみ 招くは狂気 49の黒き槍 我が声に応えて呪いと憎しみを撒き散らせ 《
手の内に出現した黒い魔方陣より、異界から異形の槍が召喚される。呪いを纏うそれを、魔人族の女とその魔物に向けて放った。
降り注ぐ死の雨は魔物たちを串刺しにし、絶命させる。女がこちらを驚愕の表情で振り返った。
予想外という顔にニコリと微笑み返しながら、続けて槍を召喚して撃つ。といっても元が少ない魔法だ。すぐに残りわずかになった。
5本、4本、3本……そして最後の2本の一つを射出した時。
『こいつで……終いだぁああああ!』
《シングル!ツイン!ツインブレイク!》
「ガァアアアア!?」
坂上龍太郎が、最後のスマッシュを倒した。私は勇者たちとともにいる、八重樫雫を探す。
案外、すぐに見つかった。あちらも私を見ていたからだ。張り詰めた面持ちの彼女に、コクリと頷く。
「っ……撤退するわよ!」
八重樫雫は最後に一瞬後悔の表情を浮かべたが、すぐに撤退宣言を下して全員を部屋から避難させ始めた。
当然邪魔しようとする魔人族の女だが、そんなことは許さない。短い詠唱で追加の槍を召喚すると、目の前に射出して妨害する。
「坂上龍太郎、あなたもいきなさい」
『すまねぇ!恩にきる!』
スマッシュとの連戦で動きを止めていた坂上龍太郎も、私が完成して動けない女と魔物たちの横を走り去って部屋を後にした。
残ったのは、忌々しげな顔で私を睨む魔人族の女。それと……
『ハァッ!』
足に無数の切れ込みが入り、分解されてキルバスが姿を現した。
『女ァ!よくも、この俺を足蹴にしてくれたなァ!』
「あら、お似合いでしたわよ?」
「あんた一人で、私たち二人を相手にする気かい?」
魔物を従えて、魔人族の女が近づいてくる。私は不敵な笑みを浮かべた。
「何か問題がありまして?」
「その状態じゃ、満足には戦えないと思うけどね」
圧倒的優位と思っているのか余裕の笑みを浮かべる女に、私はクスクスと笑ってしまった。怪訝な顔をする女。
「まさかこの程度で私に勝てると思うなんて、滑稽ですわね」
「負ける前に強がりかい?」
「どうやら勘違いしているようなので言っておきますが……………暗殺者をなめるな、小娘」
少しだけ、本気の殺意を向ける。女は一歩後ずさり、私を畏怖のこもった目で見た。
「暗殺者は一度殺すと決めたら、たとえ四肢がもげようと、正気を失おうと、そんなことは関係ない。絶対に、徹底的に殺す」
「………!」
「片腕がない?だからどうしたというのですか。せいぜい、武器が一つなくなった程度のこと。それなのに勝った気でいるなんて……随分と生温い生き方をしてきましたのね?」
「っ………だ、だが、不利なのは事実だろう?なにせ数が違う」
「なるほど、多勢に無勢と? ますますわかっていませんね……ですがそうですね、そう言うのならば」
左腕の傷口から血を掬い、地面に向けて一滴落とす。地面に触れた途端、血は魔法陣を描いて怪しく光り輝いた。
「〝ベルラ・ベルエル・ベルェリィ 我が命に応え目覚めよ獣 百の戦 千の勝利を繰り返し 魔に己を捧げた愚かなる王 汝は無窮を求めしもの 極みに至らんが為 民と心を捨てし罪人なり 今ひと時のみその胸に火を灯し 十六の罪の鎖破りて灰の中より立ち上がれ 《
呪文を唱え、命令を下す。黒く染まった魔方陣は速やかにそれを受理し、私の中の〝闇〟からそれを引きずり上げた。
魔方陣の中から現れたのは、三メートルに届こうかという巨人。擦り切れたマントと壊れかけた鎧……そして爛れた体を持つ死せる王。
「さあ、〝無顔の愚王レシュト〟。遊んであげなさいな」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーッ!!!!!!」
「くっ!」
腐れ落ちた喉から声にならない咆哮を上げ、レシュトは巨大な剣を振り上げ襲いかかる。唖然としていた女は魔物に攻撃を命じる。
レシュトと戦う女をよそに、キルバスに向き直った。静かに待っていたキルバスは、やはり楽しそうに肩を揺らしている。
「さて。私たちも始めましょうか」
『面白い!お前の絶望の表情を見るのが楽しみだ!』
そう叫びながら、キルバスはこちらに走り出した。私は赫子を出し、優雅に微笑みながら。
「さあ、私とワルツを踊りましょう?」
あークッソ、本当にまとまらない。
赫子のイメージは実写の金木くんの感じです。
感想をお願いします。