なんにでも変身出来るヒーロー志望ですが何か 怪!   作:輝く羊モドキ

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原作は少年誌だけどこの作品は少年誌ではない。つまりそういう事だ。

未成年にエログロがんがんブチかませ!(非道)


死ぬ気になれば何でもできるって本気で言ってますか!?

モニタールーム

 

「うわあああああ!!!?腕!?腕が完全に折れ曲がってやがる!!?」

「ひっ……」

「狂気……!」

「なんて顔で嗤ってやがんだ……!」

「おぞましい……!」

「何なんだよアイツ……マジでやべぇヤツじゃねえか!」

 

「(皆の言う通り、おぞましいまでの快楽主義者(ヘドニスト)!自身の享楽の為に人道から外れたその姿は正にヴィランそのもの!正直(プロヒーロー)でも相手にしたくないぞ殺生石少年!だが……)君たち、よく見ておくんだ。あれが、いつか君たちが相手にしなくちゃならない凶悪犯なのだと!()()に出会う前に知ることが出来る機会なんて早々ある事じゃないぞ!」

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

ビル一階エレベーターホール

 

「……つーか轟、なにお前捕まってんの?あんだけイキって一人突っ込んでいきながらよ」

「……」

「うふふ♥だめよぉ仲間内で喧嘩なんてぇ♥」

「お、おい殺生石?何かお前さっきと全然キャラ違うぞ?」

「うふふ♥今の私はヴィランクィーン『暴食のベルゼナーヴァ』よ?次間違えたらその地味な顔から噛みちぎってあげるわ」

「怖っ!!?ってか本気でヴィランを演じ過ぎじゃないか!?」

「訓練だからこそ本気でやるべきよ?やる気の無いコは還りなさい、土に」

「土に!?」

「えーっ!?ていうか轟くんの腕が曲がっちゃいけない所で曲ってる!?」

「ちょっと透ちゃん、今は訓練中とはいえヴィランVSヒーローなのよ?ヒーローに情けを掛けるヴィランが何処に居るってのよ」

「いや、でも、ええ!?」

「それに腕の一本や二本でガタガタ言ってる奴がプロヒーローに成れるのかしら?プロになれば怪我なんて日常茶飯事よ」

「っ……そうかもだけど……」

 

 まるで化太郎を中心に部屋の温度が下がっていく様に、ひやりとした悪意、殺意が放たれる。

 仮面の奥で歪に口元を歪めた化太郎は更に言葉に悪意を乗せて語る。

 

「そもそも訓練が終わればリカバリーガールが治してくれるわ。ならなにを戸惑う必要があるの?なんで躊躇う必要があるの?貴方が本気でプロヒーロを目指すのなら、本気で更にその先を目指しているのなら、全力で『(ヴィラン)』を理解しなさい。悪意に怯んで、誰を守れるというの?」

 

 その化太郎の言葉に、その場に居た全員の気が引き締まる。そうだ、自分はこの場に、ヒーローになる為に来てるのだと。

 ただ、一人を除いて。

 

「演説長ぇんだよ馬鹿野郎」

 

 吐き捨てるように融剛が言い、地面を踏みしめる。それだけで地面が大きく揺らいだ。立ってるものは融剛と化太郎を除き地面に転げる。その直後……

 

人質(とどろき)、回収完了」

「お」

 

 融剛の足元に轟が転がっていた。轟自身も、何が起きたのか分かっていない様子だった。

 

「つーかよぉ……確保したヤツの扱いがこの訓練のルールじゃまるで分かんねえんだが?脱落者として扱うのか?それともその場で抵抗続けても良いのか?」

「ふふ♥知らないわぁ?でも私は貴方(ヒーロー)達が何かする前に足手纏いな人質として有用に使ってあげようとしたのに……ほんと、手のハヤい男ねぇ」

「お前の考えることなんざ御見通しなんだよ」

 

 そう言って、互いが独特な戦闘態勢を取る。片や、自身の個性を最大限に活かせるように。片や、過去(イメージ)のヴィランを模したように。

 

「おい障子。お前はあの二人を何とかして抑えておけ」

「な、おい遊戯!?」

「尾白、透ちゃん、貴方達はあの口無しタコを抑えて紅白饅頭をこっちに連れて来なさい。それで私達の勝ちよ?」

「ええ!?何するつもり!?」

「いや、想像つくけど……本気で考えてんのか!?」

「勿論♥さあ行きなさい!時間切れは私達の勝利だけど、座して待つのはシュミじゃないの!」

 

 そうして、その仮面からはみ出るほど大きく口を裂いて融剛に駆け出す。その姿は悪魔のソレであった。

 

 

「あっ!?思い出した!!殺生石のあの姿、『暴食のベルゼナーヴァ』じゃねえか!?」

「暴食の……?」

「聞いた事ありますわ。『暴食のベルゼナーヴァ』……確か、超常黎明期において猛威を振るった、災害級とまで呼ばれた数少ないヴィランの一人ですわ。その姿を捕らえた映像で現存する物は極僅か……峰田さん、良く御存知でしたわね」

「そりゃあもう!あの災害級おっぱいは一度見りゃ忘れらんねえよ!!」

「……」

 

 そっと峰田から距離を取る女子達。

 

「にしてもそんな昔のヴィランなんてよく再現できんな」

「いや、多分かなりアレンジ加えてる筈だぜ。なんせ本物のベルゼナーヴァは全身赤と黒のドレスだったからな」

「つまりアイツは完全に真似るだけじゃなくイイトコ取りも出来るのか?マジで何でも有りだな……」

 

 

 暴食のヴェルゼナーヴァ。個性:悪食。口に入る物は何でも食べ、消化することが出来る。それは有機物無機物一切の例外なく食い荒らし、あらゆる物を自らの血肉にした彼女は遥か昔に死んだ。

 だが、今このビルの中で嘗ての災害が蘇る。

 

「焼くのも良いわねぇ♥煮るのも好きだわぁ♥刻んで、炒めて、砕いて、蒸して♥あぁぁ、考えただけでも堪らないわぁ♥ねえ」

 

アナタの味はどんな味?

 

 彼女が災害とまで称されたその理由。彼女の好物は人間だったのだ。

 人を喰らい、街を喰らい、国を喰らった。もし、彼女の活動拠点がこの日本であったのならば未だに彼女による災害の傷跡は深く深く残されて、こうして雄英高校が出来る事も無く、オールマイトすら生まれなかったのかもしれない。

 彼女はヒーローの手では無く、軍事力によって殺されたのだ。

 そんな彼女が今、現代に蘇り空腹を満たすために悪意と殺意を振り撒いた。

 大人すら丸呑みに出来るその大口は異形と呼ぶにふさわしい。その口を()()()()コンクリートで出来た壁ごとヒーロー達を喰らわんとする。

 

「馬鹿がっ!隙だらけだぜ!!」

 

 しかし口がヒーロー達に届く前に融剛は爆発的速さをもって彼女の懐に潜り込んでいた。握りしめた拳が、異常なまでの食欲とは裏腹に細い腹部を撃ち抜く。

 だが、撃ち抜いたかと思えばその拳は彼女の両腕によって防がれていた。

 

「そううまくは行かねえか!」

「いたぁい♥でもまだよぉ?今度はこっちの番♥」

 

 彼女の脚がしなやかに揺れ、拳の距離から相手のアゴ先を蹴り抜いた。常軌を逸した体捌きもまた、彼女が血肉にしてきた物だ。融剛はぐらりと崩れ落ちそうになるのを堪えるが、その為に力を入れたまさにその瞬間。

 

 

バクンッ!!

 

 

 融剛の左肩から先が消えた。否、消えたのではなく、()()()()()

 

「~ッ!!」

 

 融剛はとっさの判断で自分とコンクリートの床を融合。肩の止血と共に左腕の代替品をコンクリートで作り上げ、その腕で彼女の顔を殴り抜いた。

 コンクリートで出来た重い腕は寸分たがわず彼女の右頬に当たり、ベキボキと骨が砕け潰れる音が鳴り響いた。

 殴られた勢いそのままに彼女は飛んで行き、ビルの壁にその身体を強かに打ちつけた。

 

 その一瞬の攻防を見ていた生徒全員が、自身の予想を遥かに上回る戦闘に度肝を抜かれていた。

 

 

「な、あ、あ、遊戯さんの腕が……!」

「な、何が起きたん……?」

「全然……何も見えなかった!」

「先生!あれぜってえやべえよ!!遊戯も、殺生石も、どっちもクレイジーだぜ!?どっちかが死んじまう!!」

「……いや、まだだよ」

 

―――聞こえてるかしらオールマイト先生?少し確認したい事があるのだけど。

何だい?殺生石少年!

―――訓練が中断する程度の怪我って具体的にはどれくらいかしら?

当然、後遺症が残るような大きな怪我だ!リカバリーガールの治癒にも限界ってのがあるからね!

―――あら、そう。なら安心したわ。一つ、先に言っておきますわオールマイト先生。

何だい?

―――私と、融剛の事なんですが。腕や脚の一本二本が無くなった位で中止になさらないでくださいまし。

な、何だって!?

―――その程度の怪我なら私も融剛もどうってことないって言ってるんですわ。それではごきげんよう。

ちょ、ちょっと待ちたまえ!

 

「(話には聞いていたが、本当に『ゲームマスターズ』の戦闘指導に()()()()るんだなぁ。例え後で治ると言っても、自身の四肢が欠けたら普通の人なら冷静じゃいられない。なのに君たちは……)」

「先生!!」

「ム、うむ……彼らは……特例だ。本当に死んじゃう時には止めるけどね。彼等の戦い方をよく見ておくといい。誰にでも出来る事じゃないけど、それでも何かを学ぶことが出来る筈だ!」

 

 

「っ……てめ、マジでオイ……俺の腕をそうポンポン取るんじゃねえよ馬鹿野郎が!!」

「おい、遊戯!?大丈夫なのか!?」

「大丈夫だ!それよか障子ィ!お前は早くそっちの二人を仕留めろ!」

「くっ、スマン!」

 

「ちょっと化太郎!?」

「い、いま凄い音したけど、大丈夫か!?」

「ふ、フフ……♥やっぱり、痛いわぁ……♥やっぱり手を抜いて勝てる相手じゃ無いわねぇ……あぁ、お腹すいちゃったわぁ……」

 

 片腕が無くなり、コンクリートと化した融剛。片頬が弾け跳び、抉れて中の肉と歯がむき出しになっている化太郎。しかし化太郎はその個性:変質により見た目上の怪我は一切無視できる。故に状況は片腕を無くした融剛が不利かと聞かれれば、そうではない。融剛は片腕が無くとも、代替品の腕は元々の腕とほぼ変わらぬ機能を取り戻していた。対して化太郎は、その凶悪なヴィランの強さ、その凶悪な個性を再現するのに見合った代償を失い続けている。その結果として空腹になっていた。

 

「あ~あ。折角のおろしたてのドレスがボロボロよぉ……。どうしてくれるのかしら……?」

 

 しかし、ここで化太郎は思い至る。このドレスが()()()()()事に。そう、腹が減ったのなら食えばいいのだ。ならば話は早かった。自身が纏っていたお菓子なドレスを脱ぎ捨て、刹那の間にペロリと平らげてしまった。

 

「ごちそうさまぁ♥」

 

 しかしそう、そのドレスは正に頭の先からつま先まで全て食べることが出来た。当然、中につける下着類も例外では無く、化太郎はその全てを食べたのだ。つまり……

 

「ちょちょちょ!!ば、化太郎ちょっとちょっと!!?」

「は、ぶっ!!!?お、俺は何も見てない!なにも見てないからな!!?」

「……」

「な、っ!!?」

「……あいつマジなーにやってんだ……?」

 

 

「果てないキラメキッ!!」

「にょ、にょた、にょた……ガハッ!?!」

「ナマエロアリガトウゴザイマスっ!!」

「ゴボッ!?」

「お、おぱ、おぱ、おおおおおお!!?」

「で、デカすぎんだろ……ブハッ!!」

「淫魔の……誘い……っ!!」

「オ、オイラはトイレに行くべきか!?それともこの無修正の身体を余す事無く目に焼き付けるべきか!?」

 

「嘘、お母さんよりでっかい……!」

「ケ、ケロ……///」

「ただのエロやん!!?」

デカすぎるだろ何食ったらあんなんなるんだろ

「な、なんて破廉恥な……!」

「「「( お前がソレ言う? )」」」

 

「わー!!?こ、これは皆見ちゃ駄目なヤツだからね!?ちょ、ちょっと殺生石少年!!?早く服を着るんだ!!」

 

 

「ふふふ……♥さあ、第二ラウンドよぉ?次は更に激しめにシてあげるから簡単にイっちゃダメよぁ♥」

「お前その恰好で変な事言うなマジで。青少年の味方かよ」

「何を言ってるのかしら?私は……(ヴィラン)よ!!」

「知ってたよ!!」

 

 互いに駆け出し、拳と拳を撃ち合わせる。その衝撃で、互いの身体全体が撓んだような気がした。

 そこから蹴りと殴りの応酬。乱打、乱打。

 

「お前は昔っからそうだ!人を理解しようともしないで場をおちょくり回しやがって!誰が収拾つけてやってると思ってんだコラァ!!」

「うるさいわ!そう言う貴方は私に対して異様に当たり強すぎじゃないの!もっと私を労わりなさい!!」

「お前こそ俺を労われ!お前の無茶振りに何度付き合ってきたと思ってんだ!」

「無茶振りするのは融剛もだからノーカンですわ!」

 

 殴り合いが激化するにつれ互いの身体は殴り合いを制するように変化していく。

 融剛はコンクリートの鎧をゆっくりと身に纏いその身体を固めていく。

 化太郎は腕を増やし、その腕が金属の様に煌めいていた。腕だけじゃなく、その身体もまたよりシャープに変化していく。

 

「大体お前は何時も好き勝手しやがって!」

「融剛こそ人を何でも言う事を聞く奴隷みたいに扱って!」

「普段からお前に振り回されてる正当な対価だ馬鹿野郎!」

「何が対価だクソダサポンコツセンス!」

「誰がポンコツセンスだこの万年不審者!」

「イケメンの皮を被った産業廃棄物!」

 

 まるで子供の喧嘩のような罵り合いだが、その戦いの中身は高度な技術の応酬だった。

 互いに鋭い一撃が入る。だがその程度では怯みもしない。

 融剛が殴る。化太郎が脚で拳を打ち落としながら顔を蹴る。融剛が蹴りを防ぎつつその脚を捥がんと腕を振るう。化太郎は脚を変化させてナイフの様に斬り払う。それを見越して融剛は身体のコンクリートを一部撃ち出しナイフの側面から叩き折った。

 

「痛いじゃないの!」

「痛覚通ってねえだろ!」

 

 化太郎が増えた6本の腕で殴る。融剛はその拳が届く僅かの間合いの外に出て回避する。化太郎はそれすら見越して胸部から鉛製の大きな立方体を突き出し、融剛をその重量で轢いた。

 

「ゴフッ!!?」

「トドメよ!ドリルライナー!!」

 

 化太郎の6本に増えた腕が一つに組み合わさり、高速で回転を始めた。そして、その回転の勢いを加速させながら融剛に飛びこんだ。

 

「っ、今だ!」

「ハアッ!!」

「ッづぶぁ!?」

 

 しかし突如割り込んできた障子目蔵に、その剛腕で殴られて吹き飛んで行った。

 障子は、追撃を行うために化太郎が吹き飛んで行った方向に駆けだす。

 

「行かせないっ!」

「ぐっ……!」

 

 しかしその行くてを阻むように尾白がその太い尻尾を障子に叩きつけた。鍛えられた尻尾の一撃はそれ全てが筋肉で出来ているのか見た目以上に重い一撃となり、障子の両腕を痺れさせるほどに強力だった。

 

「さあ、これで2対2だ!」

「フ……やるな!」

「あんな凄い戦闘を間近で見せられたんだ。やる気が湧くってもんだろ?」

「ああ、違いない」

 

 互いが互いに集中し、ジリ……ジリ……と動く……が、突如障子が尾白から飛ぶように離れ、その勢いのまま虚空に向かって腕を振るった。

 

「うわっ!?あぶなっ!!」

「やはり其処か透明人間!」

 

 こっそりと障子の後ろを掻い潜り融剛に捕獲テープを巻きつけようとした葉隠だが、障子の個性によって複製された耳は素足で歩く葉隠の足音すら聞き分けた。

 

「ちょっと!女の子に容赦ないな君は!」

「今は、ヴィランだろう?」

「そうだけどさ!」

 

 透明な葉隠は障子の攻撃をかわしていくが、障子の耳はその際に出る足音を逃さない。すぐに追い詰め、その腕で透明な身体を拘束した、が。

 

「ひゃん!?エッチ!何処触ってるのよ!?」

「っ!?スマン!!」

「……なんちゃって!」

「なっ!?」

 

 葉隠の三味線にまんまと引っかかってしまった障子は、緩んだ拘束から一瞬で抜け出した葉隠に拘束テープを巻きつけられた。

 

「へへへー、ゴメンね?でも君も言ったでしょ?私、今はヴィランなの」

「くっ……やられたか」

 

「良くやったわ透ちゃん!さあチェックメイトよ!」

 

 化太郎が戦線に復活した瞬間その両腕がミサイルの様に飛び、拘束テープを巻き付けられた障子とさながら空気のような存在感だった轟に()()()()。そして、まるでトラックに牽引されているかのような力で二人は化太郎に引き寄せられた。

 

「っ、しまった!」

「っく!?なんてパワーだ!」

「くそっ……!」

「うふふ♥️元々一人が捕まった時点で貴方達ヒーローチームは敗北がほぼ決まってたのよ?さあ融剛?好きな方を助けてみなさい!」

 

 障子と轟が化太郎の下に引きずられる。二人は抵抗をするが、それすら嘲笑うかの様に()()()()()()待っている化太郎は融剛の出方を見る。

 

「……チッ」

 

 融剛は地面に沈むようにしてその場から逃走した。

 

「遊戯のヤツ仲間を見捨てていっただと!?」

「あははははッ!!融剛はもう助からない仲間を切り捨てて当初の目的(核の確保)に切り替えたのよ!」

「えー!?じゃあ急いで追いかけないと!」

「無理よ無理♥融剛ならそう間も無く核を確保出来るわ?今から追いかけても意味ないわ。ならさっさとこの拠点を放棄しましょ?」

「いやいや、これ訓練だから!核守んなきゃ駄目だろ!?」

「うふふ♥もっと物事の本質を見抜きなさい尾白くん?何故私達ヴィランチームは核を隠し持っていたの?」

「な、何故って……そう言う訓練だとしか」

「ヴィランがわざわざこの日本に核を持ち込んだ理由……色々考えられるけど、一番シンプルなのは金目的かしら?他に有るとすれば混乱を起こして悦に浸る……とか?なんにせよ、その目的が核で自爆するとかじゃない限りここの()()()()()()で大抵間に合うのよ。ねえ、人質さん?」

「っ……!」

「お前、かなり碌でもない考えだぞソレ」

「そうよ?だってヴィランだもの。そ・れ・に♥私的にはあんなモノ()よりよぉっぽど楽しいオモチャが二つに増えたんだもの♥ヒーロー二人を犠牲にして核を回収した、なーんて素晴らしい美談よねぇ?犠牲になった二人がどんな目に合うかなんて考えもしないんだわぁ♥あぁ、楽しい。楽しいわぁ♥あはっ、あははははっ、アハハハハハハハハハハハ!!!

 

 化太郎の仮面の奥から聞こえる高笑いが、ビルの中だけでなくモニタールームの中にまでハッキリと響いた。

 

『ひ、ヒーローチームWIN……!』

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

モニタールーム

 

「え、えーっと……」

 

 いざ講評をしようとしたオールマイトだがそんな彼に注目してる者は誰も居なかった。

 

「遊戯さん!腕は大丈夫なのでしょうか!?」

「あ?ああ、まあ大丈夫だ。……おい化太郎、いい加減返せ」

「しょーがないわねー。ちょっとまってなs……ヴォエッ!!」

「絵面」

「ほうら私の涎のようなサムシングでぬるぬるべとべとの融剛の腕だよぅ」

「お前マジで俺に何の恨みがあるんだ」

 

 わざわざ口から融剛の腕を吐き出し、その上謎の液体でズルズルになっている腕を渡す化太郎。

 嫌な顔をしながらその腕を受け取って、元有った位置に繋げ治す融剛。

 

「よし、治った」

「いやいやいやいや!!?何さらっと腕治してんだオメェ!?」

「そうだ!腕の傷口から雑菌が入って壊死してしまうかもしれないのだぞ!?」

「腕や脚の一・二本はいつもの事だ。原形のこってりゃ取れても俺の個性で繋げられる。もし身近に四肢欠損したヤツが居るなら俺が治せるぞ。流石に原形無くなる程潰れてたり焼かれてたりは厳しいがな」

「ていうか手足が無くなるのがいつもの事なんや……」

「つーかお前等イロイロとガチすぎんだろ!?何度死んだかと思ったぞ!?」

「あんなんで死ぬようじゃヒーローにゃ成れねえなぁ」

「普通死ぬでしょ、人間なら」

「だいじょぶだいじょぶ。人間って案外ジョーブに出来てるし……こう……死なん!って気迫があればなんとかなーる」

「見てて本当に怖かったわ。ケロ……勿論、ヴィランとしてもだけど」

「それなー!映像しか無かったけどなんつーの?箔?それがヤバかったぜ!?」

「なあなあ!また暴食のベルゼナーヴァに変身してくれよ!」

「やだ、お腹すいたし」

「じゃあなんかメシ奢ってやるよ!」

「良いのか?破産するまで食いつぶすぞ?」

「……ま、また今度な!」

 

「はいはーい!今から講評の時間だからね!皆注目!!」

 

 仕切り直し。

 

「と、いうわけで今回のベストは殺生石少年だ!堂に入ったヴィラン演技は皆の肝を冷やしたことだろう。時に理屈を超えて自身の快楽を優先するヴィランの思考は皆には理解しにくいかもしれない。だが、常識だけでは語れないのがヴィランの心情だ!常に最悪の事態を想定して、最善の結果を目指すのがヒーローのお仕事だ!今回は残念な事にヒーローチームが二人ヴィランの手に落ちてしまった。遊戯少年は最後二人を助けるより核の回収を優先したが、目の前の人命より他の事を優先しなければならない事が時として起こる。そんな時……いや、そもそもそんな選択を迫られる前にそんな事態を回避しなければならない!そういった理不尽を覆すのがヒーローだ!てなわけでせーの!!」

 

「「「 Plus Ultra(更に 向こうへ)!!! 」」」

 

 

「あ、それと次の訓練から腕とか脚を無くすのは無しで頼むから、ね!」

「オールマイト先生……普通の高校生は腕とか脚無くす訓練なんてしないです……」

「それ私達の事普通じゃないって言ってるねえ!?」

「少なくともお前は普通じゃねえよな化太郎」

「腕無くしても平然としてた遊戯も普通じゃねえからな?」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 そんなこんなで放課後。爆豪のヤローと出久君が先帰っちゃった中、戦闘談義に花を咲かせていた私達は気が付けば雄英の室内運動場に居た。

 

「なんで私は半裸赤ウニになってるんだ?」

「半裸赤ウニってお前……いや、メシ奢る代わりに鍛えてくれるっつー話だったろ?」

「ああ、そうだったね。私はクラスメイトの個性を深く知れる。貴方は自分を強くする。互いに体だけの関係だったわね」

「言い方考えろお前!?そんなやらしい間柄じゃねえだろ!?」

「まあそうね。ほら、時間が無いしちゃっちゃとおいで?」

「な、なんて理不尽な……まあ、時間が無いのも確かか。よし、行くぜ!」

 

 そうして切島君が腕を硬化しながら殴りかかってくる。私はその拳に突き合わせるように拳を振るった。

 ガギィン!と甲高い音が響く。腕の硬さ的には申し分は無いようだ。だが殴られた反動で切島君は踏鞴を踏んでバランスを崩してる。

 

「もっと重心を落とすんだ。自分が大木であるかのような重さを意識しろ」

「おっ!?押忍!!」

「腕の硬さは悪くは無いな、なら内臓は硬く出来るか?」

 

 しなやかに脚を動かし、刹那で間合いを詰めて右手を切島君の腹部に添える。

 

「気合い入れてよ?じゃなきゃ暫くまともなメシ食えなくなるから」

「は?」

 

衝撃貝(インパクト)!!』

 

 ドゥン!!と鈍い音が室内に響く。私の掌から放たれた強力な衝撃に切島君はそのまま腹から吹っ飛んで行った。

 

 ……やっべ、死んだか?

 

「お”っ……ぐぐぐ……い”っでぇ……」

 

 生きてたか。良かった良かった、流石にそれなりに鍛えてるだけあってか派手に吹っ飛びはしたがすぐに立ち上がって来れた。

 

「どう、腹の調子は?」

「どうもこうもねえよ……まるで腹の中かき混ぜられたんじゃねえかってくらい最悪だぜ……」

「ふーむ?どれどれ……」

 

 切島君の腹部に手を当て、『気』を探る。ふむ、なるほど、ほうほう。

 

「切島君はどうも身体の表面から筋肉のちょっと奥位まで硬化出来るみたいだね。もし内臓も骨も硬化出来てればその最悪の気分は免れたかもねぇ」

「んだよ……そりゃ……」

「個性は身体能力!『硬くなる』って意識がまだ内臓に届いてないって証拠さ!もし内臓まで硬化出来ればさっきの衝撃貝(インパクト)にも耐えられるかもね?」

「あんな衝撃そのものみたいな技お前以外にやんねえだろ……」

「さあ、それはどうかな?少なくとも衝撃を相手に直接叩き込む技術はそこそこにあるよ」

 

 そう言って片腕で腹部を押さえてる切島君に再び掌を当て、衝撃を撃ち込む。

 

『鎧通し!!』

「ぐぶぉ!?」

 

 今度は吹き飛ばず、代わりに膝から崩れ落ちる切島君。今の技はこの半裸赤ウニ(姿)のままで放った技だからこういう技術があるって事を分かってもらえたと思う。

 

「そう思うでしょ?切島君」

「せめて一声かけてくれ……」

 

 さて、切島君はしばらくの間はグロッキーだから次は……と。

 

「次は、俺だ」

「はい、よろしくお願いいたしますね常闇君」

 

 こうして、クラスメイトと拳を交わして親睦を深めていったのだ。

 

 

 ああ、やはり皆の個性は興味深いなぁ……!

 

 

 




 こうして殺生石塾が時々放課後開かれるようになったとさ。(A組強化フラグが立って)めでたしめでたし。



 おまけ

Q.殺生石君ってネコですか?タチですか?
A.あたしゃゾオン系だよ。

Q.脱いだら凄いって本当?
A.ほんとほんと。そりゃあもう(変身前の状態はお見せ出来ない的な意味で)凄いから。

Q.殺生石!頼めばヤらせてくれるって本当ですか!?
A.いいよ、()らせてあげる。私より強ければの話だがな……!ゴゴゴゴ
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