なんにでも変身出来るヒーロー志望ですが何か 怪!   作:輝く羊モドキ

4 / 13
主人公の奮励努力的な第四話

「お~っし。こっちの準備はいつでもおっけーね!」

「こっちはとっくに準備終わってんだよ待たせやがって」

 

 なんだか戦闘準備が整うまでものすっごい時間が掛かったような気がするがそんなことは無かったぜ!

 親友と対峙しながら改めて訓練のルールを思い起こす。

 

 ルール壱、互いに相手をヴィランだと思う事。

 ルール弐、殺傷を目的とした攻撃は禁止。

 ルール参、最後まで油断してはいけない。

 

 ルール壱は、まあ互いに本気を出しましょう程度の意味と弐、参を意識した作りになっている。

 ルール弐は、壱を前提とし、それでも相手を確保しろって事だ。ヒーローたるもの、いかなる理由でもヴィランを死に至らしめてしまってはいけない。まあ、ヴィランを殺すのはヒーローじゃなく法ってことさぬ。

 ルール参は、この戦闘訓練をより実践的に捉えさせる働きがある。ヒーローに捕まりました。参った。で終わるようなヴィランなんぞ居ないってことだ。捕まってもまだ暴れられるだけの体力や個性が残っているのなら生き足掻こうとするのがヴィラン人情。

 ……ちなみに今までで最後の最後の油断で逆転負けした回数はもはや両手の指では数え切れない。学習しねえな私。

 

 さてここで問題です。此処に、あらゆる物と融合できる男と、様々な物に変身できるヒトが居ます。どの様にすれば捕獲できるでしょう?

 

A.相手が動けなくなるまでボコる。

 

 普通にヒモかなんかで括っても、どちらも個性で容易に脱出が出来る。故に個性が使えなくなるまでボコボコに殴って体力を奪うのがセオリーというか唯一の解法というか……そういうアレなのよ!個性も身体能力、使い続ければいつか疲れ果て機能しなくなる。ならば疲れ切るまで延々とマウント取り続けるしかないじょのいこ。

 

 そう、何が言いたいかというとですとね……

 

「さあ、行くぜ。『融合活人拳(フュージョンアーツ)』!!」

「かかってきんしゃい。『変幻自在戦闘モード!!(メタモルコマンド)』」

 

 互いに必殺技ぶつけまくっても千日手になっちまいやがりやすんですねんよ!

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 つま先だけ地面と融合し、すぐに融合解除。その時に勢いよく分離することにより踏み込みの勢いにプラスされ、たった一歩で爆発的な推進力を得る。見た目上ではほぼ予兆の無いこの技は『縮地』と呼ばれてる。呼んでるのは主に化太郎だけだが。

 弾丸の如き速度をもってあいつに接近。先手必勝とばかりに腕を伸ばし掴みかかる。捕まえればそのまま地面と熱烈に融合させることが出来る。ま、()()()()()()()だがな。

 パシャン。

 水が打ちつけられたような音をたて、視界から一瞬にして消え去った化太郎。この時慌てて化太郎を探そうとしてはいけない。飛びかかった勢いをそのままに化太郎の消失点を超え、離れる。

 ズブァッ!

 重量のある()()が振るわれる音が聞こえた。地面に飛びこむようにして受け身を取りながら音が聞こえた向きを確認すれば、銀色の人の胴体ほどもある大きさの握り拳が突き出ていた。

 これでだいたい予想がついた。今、化太郎は水銀のような何かになっているのだろう。化太郎の基本戦術の一つだ。

 

 化太郎は、その日の調子に物凄く左右される。その個性は、十全に使いこなせることが出来れば敵なしなのだろう。だが、制御方法が『自分のイメージ』だけ故にあまりに不安定だ。

 俺の個性なら、ベースは常に俺。個性発動時において起点は常に俺。言ってしまえば、1+1=2にする個性であり、片方の1は基本的に俺だから発動も、制御も容易い。

 だが、化太郎は常に自分だけの数式を組み立て続けなけらばならない。それが小学生レベルの物になるか高校レベルの物になるかは、全て化太郎のイメージ次第。しかも数式が簡単なら制御も簡単だ、数式が難しければ威力も高い、等というものでは無い。目まぐるしく状況が変わり続ける戦闘時、非常時において確固たる『自分のイメージ』を持ち続けなければならない。

 何かしらの理由でそのイメージが揺らいでしまったが故に無防備な隙を晒した、なんて事が今までに何度もあった。だが、逆にどれだけ手を付くしてもイメージが一切揺らがない時だって何度もあった。

 

 何が言いたいというと、今日の化太郎は今まで俺が知る中で最高に調子が良い状態だということだ。

 水銀のような何かになっており、その身体を自在に操って水銀の拳を作り上げた。見た目質量と振るわれた時の音からして、重量もかなりの物だろう。何よりもあの速さが、当たればヤバイって事を否応にも無く理解させられる。

 化太郎曰く、『不定形だからこそイメージし易いが、反面攻撃に転じるとイメージがブレ易い』液体状の姿でありながらしっかりと攻撃のイメージが確立している様子を見て冷汗が出てくる。

 

 水銀の拳が解れ、ばらばらと棒状の何かに変わっていく。イメージがブレた……のではなく、次の布石か!

 

「叩いて伸ばしちゃうよー!」

「悪いが、俺は褒められて伸びるタイプだ!」

 

 棒状の何かは、ウゾウゾと姿をクネらせて伸びていく。それはさながら、イソギンチャクの触手の様だった。男の触手プレイとか誰得だよ……。

 直後、触手の一本が鋭い軌跡を残しながら俺に向かって振るわれる。

 一歩、脚を動かすだけで回避したが、振るわれた触手がその勢いのまま地面に叩きつけられ、地面に浅くはない穴を開けた。

 

「……人に向ける技じゃねえだろそれ」

「大丈夫!直撃しても骨の一本や二本パッカーンするだけだから!」

「ソレを向けられてる俺からすりゃ大丈夫じゃねえやい」

 

 触手は未だに水銀と同じ位の質量を保持しているのか重く、それが高速で振り回されることから直撃すれば相応の衝撃が身体を貫くだろう。少なくとも、頭に当たっちまえば頭蓋骨がパッカーンするのは間違いなさそうだ。

 ……流石に、そんな事は起きないように計算して振るってるとは思うがな。

 

 なんにせよ、このままの状態であの攻撃を受けたらダウンは必至。倒れたら当然のようにマウントを取られ、その重量で一切の身動きが取れないまま一方的にボコボコにされる。故に生半可な異形系や増強系個性ならそのままノックアウトだ。

 だが、俺は違う。

 数多の触手が鞭のように振るわれ、一見すると逃げ場が一切無いかのような面攻撃が行われる。しかし、俺の逃走経路は常に確保されている。

 『縮地』の時はつま先だけを地面と融合し直後に解除したが、何も地面と融合できるのはつま先だけではない。俺の全てを地面と瞬間的に融合する!

 その直後、『痛い』では済まされない高威力の鞭が嵐のように俺が居た所に落ちてくる。こんなモンに生身で当たったら身体がバラバラになるわアホ!

 

 だが、もう()()()は終わった。

 

「HEYHEY!フュージョンボーイ、ビビってんのか?わちき達がやってんのはかくれんぼ違うさぬ!」

「ああそうだ。捕獲勝負だもんな?」

「ひょ?」

 

 バグン!と化太郎とその周囲の空間ごと土と草で出来た逆開きのくすだまにぶち込む。

 個性訓練とは、発想との勝負。自分が出来ると思えた事は訓練してでも出来るようにしておくべきだ。このようにな。

 地面と融合した俺は、圧し固められた土で出来たいわゆる『土人形(ゴーレム)』の様な姿を取る。それは、自身の身体能力に土の頑強さと重量を更に加算する、お手軽戦闘用コスチュームな訳だが、その本質は違った。周囲一帯の地面を操り、自身の手足の延長線にすることこそがこの姿の真骨頂だったのだ。

 地面の中で土の半球と半球を造り。相手を巻き込むように、半球同士をトラバサミの如く勢いよく閉じ合わせる。するとそこには、土で出来た巨大なくすだま(相手入り)が出来上がるのだ。

 突然、土で出来た拘束具の中に閉じ込められるのだから相手からすればたまったものでは無いのだろう。身じろぎ一つとれない様にガッチリ土を固め、脱出をより困難なモノにする。『土人形(ゴーレム)』状態の俺なら、土の中の相手の様子が手に取る様に伝わってくる。故に窒息しかけたなら呼吸用の吸排気孔を作ればいい。これにより事故なくヴィランを捕獲できるようになった。

 

 だが、それでもまだ油断は出来ない。何故なら今の相手はあの化太郎なのだから……

 

「んん~~!ミッシングパワー!」

 

 ドバァン!とくすだまを内側から割られる。見れば、化太郎の身体が3メートルほどに巨大化していた。

 化太郎の変身は、自身の元々の質量に囚われずに変化することが出来るらしい。つまり元の化太郎の体重が30キロだったとしても、変身後の重量は化太郎がイメージした通りの重量に変化出来る。質量保存の法則何処行ったし。

 

「さあ第二ラウンドでゲソ!」

「せめて見た目と口調を合わせる努力をしろ」

 

 化太郎がその巨体の四肢を振り回す。巨体相応の重量が当たれば『土人形(ゴーレム)』形態でもただでは済まないと告げている……が、その巨体相応に動きが緩慢でもあり、当たる事も無い。

 

「と思っているのかァ?」

「は?」

 

 右の大振りを悠々と回避した次の瞬間、視界の端から光る何かが高速で飛んできた。転ぶようにして避けたが、体勢を崩してしまった。

 その、隙を狙われた。

 

「それ土竜昇破拳(巨)」

「お前ソレ巨体でやる技じゃバッ!?」

 

 地面が爆発した。下から突き上げるような衝撃に成す術なく空へと吹き飛ばされる。あまりの勢いに纏った土鎧の一部が剥がれ飛ぶ。

 

「フハァーン!空に浮いてしまえば身動きもとれまーい!」

 

 化太郎の両手から大量の光弾が放たれる。これは直撃待ったなしだ。

 

「と思っているのか?なんてな」

「フォッ!?」

 

 初手の『縮地』と原理は一緒。俺は融合を解除する時に勢いを付けることで離脱するように跳ぶことが出来る。勿論、融合対象が俺より軽すぎたらそっちが飛んで行くがな。今は『土人形(ゴーレム)』がかなりの重量を持っている。ソレを空中で脱ぎ捨てるが如く光弾の直撃コースから逃れる。代わりに土鎧が何処かに吹っ飛んでった。

 

「んに……逃がさん!」

 

 再度光弾が放たれる……が、自分に直撃するコースの数個だけを、融合解除するときに敢えて残した石を投げて壊す。そのまま石があらぬ方向に飛んで行くが、俺が無傷なので無問題。

 漸く地面の上に降りた。さて、仕切り直しだ。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 ううーん。やっぱり融剛は強い。私は家系的に()()()()()()()()()()からともかく、融剛もヒーロー一家の期待のタマゴなだけあってかなり厳しく育てられている。私も融剛も、既に戦闘面ならそこらのプロヒーローに後れを取らないとのお墨付きを頂いている。しかし私達の夢は、トップヒーローなのだ。『そこらのヒーロー』程度の強さで満足していられない。

 ……いや、もっと本質的な事を言えば、負けたくないのだ。目の前の相手に。

 融剛は私の親友でもあるが、ライバルでもあるのだ。なら、負けられないじゃないか。

 さあ、テンションが上がってまいりました。私の顔。私だけの新しい『顔』がここに在って、何でも出来そうな気分だ。素晴らしい。

 何でも出来そうで思い出したわん。きっと今なら考えてた必殺技イケるかもにゃ。うふふ、見てろよ見てろよぉ~。

 

 さあ、今から始まるのは歴戦ヒーロー達によるスペシャルパレードだ!

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 ……雰囲気が変わった。なんとなく、化太郎が良くない事を考えている気がする。化太郎と長く付き合っているが、最近どうもこういった『第六感』とでも言える物が発達していってる気がするなぁ。

 化太郎がその巨体の両腕を更に巨大化させ、地面に振り下ろす。何が目的か分からないが、この距離じゃあ俺に掠りもしないぞ?

 巨大な腕が地面に振り下ろされ、辺りに相応の衝撃波をまき散らす。その衝撃で土埃が巻き上がり、視界を遮った。何のつもりだ?

 と、思ったその時。土埃の中から大量の小さな錨が飛んできた。これは……。

 

「必殺!キャプチャーアンカー!」

 

 小さな錨は、よく見たら細いロープが結ばれていた。そのロープを巧みに操り、一見不規則に、だが精密な計算が成された軌跡で俺を追い立てる。避けるが、数が多すぎて躱し切れない。直撃こそ避けたが、小さな錨がロープと共に腕に巻き付いてしまった。まあこの程度のロープならすぐ斬れ……

 

「ボルトアンカー!」

 

 身体に巻き付いた怒りがデカく、重くなった。あまりの重さに抵抗することも出来ずに腕が怒りと共に地面に縫い付けられた。

 ってか、この捕縛方法は『キャプテンアンカー』のじゃねえか。マズい。これはマズい。

 腕に巻き付いたロープを自身と融合。そしてすぐ解除。拘束から離れたが、その隙だらけな姿を見逃すほど化太郎は甘くはない。

 

「でやあああああああああああ!」

 

 大気が震えたんじゃないかって言うほどの気合いの入った声を出し、いつの間にかその手に持っていた竹刀で超速連撃を繰り出してきた。今度は……『バンブシドー』!?

 この振り回す竹刀が普通の物だったならば多少痛い程度なのだが、アレは間違いなくバンブシドーの『雷光竹刀』。一撃目を食らったら、竹刀から弱めのスタンガン程度の電気が流れて体が一時的に麻痺し、すぐさま二撃目が、そして三撃目が、と体力が尽きるまでボコボコにされ続けてしまう。

 一旦退こうにも既に間合いの中。間違いなく一撃は貰ってしまう……ならば、俺も切り札を切るしかない。

 

「『ダメージフュージョン』」

 

 竹刀が振り下ろされる。それを俺は、掌で受け止める。そして流れる電撃を()()する。

 これが、俺の個性の真骨頂。相手の攻撃と自身を融合する。融合した攻撃はそのまま返すことも出来るが、その攻撃力を形を変えて自身の攻撃力に加算することも出来る。

 かなり強力な技だが、欠点も当然ある。この技は基本的にカウンター技だ。目に見えない『ダメージ』を自分と融合する所為か、普通の物と融合する時とは勝手がだいぶ違う。なにより動きながら発動が出来ない。そして、来ると分かっている攻撃しかまだ融合が出来ない。さらに言えば、ダメージを融合しきれる許容範囲を超えて融合しようとすると、内側からダメージが()()()

 ぶっちゃけ、欠点とは言えない程度の欠点かも知れないが、相手が化太郎となると話は別だ。先の光弾のように、さも当たり前のように人体の構造を無視しまくった攻撃を仕掛けてくる。さらに言えば、今までの経験上、化太郎は『人の死角を取るのが上手い』。死角とは、認識の外だ。『ありえない』を平然とやってのける規格外さが化太郎にある。まあ、とは言えそれも化太郎のその日の調子に左右される要素なんだが……。

 

「ぶるぁあああああああ!!!」

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 化太郎は一息で超速の連撃を繰り返す。俺はその連撃に対して的確に掌で受け止め、流れる電撃を()()する。化太郎の息が切れるか、俺の許容量が限界を迎えるかの我慢比べになった。

 我慢比べの結果は、意外とすぐに現れた。化太郎の竹刀を振る速度が目に見えて落ち始めてきた。

 

 今ッ!吸収したダメージを今度は()()する!

 

「『ダメージディフュージョン:エレキストライク』」

「つ”ぁばばばばばばッ!?」

 

 攻撃と攻撃の僅かな合間。刹那に腕を滑り込ませ、竹刀を振るう化太郎の腕を取った。腕を引き、化太郎の腹に掌底を撃ちこみ電撃を解放した。そのダメージは、バンブシドーのコスチュームである武者鎧を貫通し化太郎に直撃した。

 けして軽くはないバンブシドーの身体が地面を離れ宙に浮く程度の威力でもってもまだ化太郎は倒れない。むしろ空中で器用に受け身を取りつつまた変身した。調子に左右されやすいとはいえ、今日の変身頻度と速度が早過ぎる!

 

「ロケットアームズ!」

 

 空を飛びながら、その両腕を射出した。今度は『アストロハンド』だと!?ミサイルの様にその両腕が俺に向かって飛んでくる。俺はその腕を叩き落とす……が、空中を自在に動ける腕を捕らえることは出来ず、むしろ逆に俺がその両腕に捉えられてしまった。

 

空気一本背負い(エアロ・ア・ラウンド)!!」

 

 一瞬にして天地がひっくり返り、地面に叩きつけられる。

 こ、呼吸が……

 

D・D・G!!(Deadly-Dive-Graveyard)

「ガボッ!?」

 

 瞬間的に空に引き上げられ、振り回す様に地面に再度叩きつけられる。

 あまりの加速度に意識が一瞬遠のいたが、気合で無理やり意識を繋ぎ止める。

 が、化太郎は容赦がなかった。

 

「マウント頂き」

「っ……!」

 

 衝撃で呼吸すらままならない俺に向かって、()が拳を振り下ろす。

 

「ダメージディフュージョン:キャノンインパクト!!」

 

 

ドズゥゥゥン!

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 勝った!第三部完!

 いやまだ三部始まってすらいねえよ、それどころか序章終わってもいねえよ。

 ……あれ何言ってんだ私。ま、いいや。

 ふふふ、やはり今日の私はサイキョーであった。間違いない。これはトップヒーロー目前ですわ。

 いやはや。良くあれだけのヒーロー達に連続して変身出来たよね。んっん~自画自賛。

 よしよし、ヒーローの必殺技を連続して借り続けるこの変身技。早速名前付けしなくては。必殺技には名前を付ける物。古事記にも書いてある。

 うーん。やっぱり『HERORUSH』かな?安直すぎるかにゃん?

 ん~、『HEROVision』……ちょっと違うな。

 『ExtraHERO’s』……ちょい狙いすぎかな?もっと自然な感じのネーミンg ズボォッ!!

 

 はて、気が付いたら首から下が地面に埋まってますわん?

 

「お前最後まで油断するなってあれほど言われてただろうが……」

「ばかなっ!?貴様、死んだ筈では!?」

「殺すな馬鹿」

 

 あぁん踏むのらめぇ。

 

「お前はとにかく最後は大振りって決まってるからな。まあ、やられた振りして倒れてればトドメを刺しにくるだろ。とは言え、アストロハンドの投げはキツかったがな……。まあそこを狙ってダメージフュージョンで防御。反撃を……と思ったところでお前が油断しまくりだったからなぁ。こうして拘束させてもらった、と言う訳だ」

「ぐぬぬ……。今日はとにかく絶好調だったのにぃ。サイキョーへの道は今だ遠し」

「はいはい。ということで今日の戦闘訓練は俺の勝ちだ。今日はもうおしまい」

「ぶーぶー、もっかい!次は勝てそうな気がしないでも無いわけじゃないぜ!」

「喧しい、疲れた、終わり。今日はもう帰れ」

 

「おっとそうはいかないわよ?」

 

 融剛の後ろからそこそこに聞き慣れた声が聞こえる。そっちに意識を向けたら、ニコニコ笑顔の調律姐さんが立っていた。

 

「んだよ律姉、俺とっとと汗流したいんだけど」

「助けて調律姐様!融剛の奴が急にSに目覚めたの!」

「喧しいぞ負け犬。口を慎め負け犬」

「酷い!」

 

 そんなやり取りをにこにことしながら見つめる調律姐さん。いや、むしろもっと笑みを深めて……。

 

 そこで私は妙な違和感を悟った。

 何かとんでもない、とんでもない間違いを犯しているかのような、そんな違和感。

 

 すごい違和感を感じる。今までにない何か肌寒い違和感を。

 風・・・なんだろう吹いてきてる確実に、着実に、俺たちのほうに。

 中途半端でやめよう、とにかくこの辺で帰ってやろうじゃん。

 視界の向こうには融剛がいる。決して一人じゃない。

 信じよう。そして彼に任せよう。

 もしかしたら融剛が邪魔に入るだろうけど、絶対に流されるなよ。

 

 地面から出てる顔を辺りに向ける。そう、違和感の正体はこれだったのだ。

 

「融剛、唐突で悪いけど私は帰る事にするよ」

「え?お、おう?」

 

 私はミミズ。私はミミズ。私はミミズ。私はミミズ。私はミミズ。

 

■■■■■(まちなさい)

「ピュィッ!?」

 

 今なんか人語ではない何かが聞こえたような。

 あ、あ、あ、だめ。身体が自分の意志に反して動かされるこれ、だめ。

 もこり、と地面から顔を出す私。すると目の前にはとても深い笑顔をこしらえた調律お姉様が。

 ああ、私はその時魂で理解した。笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である事を。

 

「私は、毎回毎回、何度も何度も、口を酸っぱく、すぅぅっぱくして言ってるよね。庭を荒らすなって。言ってたよね」

 

 その声はまるで地獄から響く怨念の声のように。

 

「なのにあんた達と来たら、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も……」

 

 やばい。先ほどの戦闘訓練とかいつぞやのヴィランにリンチされた時以上の生命の危機が訪れている。私のサイドエフェクトがそう言ってる。

 逃げよう。こんなもの、人が対峙出来るものじゃない。動け、動け動け動けぇええええ!!

 俺は……無力だッ!誰も救えない、ただ自分の身を護ることしか出来ないなんて……!すまない融剛。俺は、俺はお前を……見捨てるっ!

 再びモコモコと地面に沈んでいく。

 

 

 ▼ しかし まわりこまれてしまった。

 

 

「よぉ親友。お前俺を置いて逃げるとか無いよな?」

「何を言っているのでしょう大親友。そんなことはある訳無いじゃないですかだからその手を放してください」

「お互い死ぬまで一緒って約束したじゃないか。俺達、ズットモだょって」

「えぇえぇ、どうせ人間死んだら皆同じ所に行くんです。だからちょっとの間離れてようとも大丈夫ですよ」

「いやいや。ほら、今の俺ってウサギモードだから。寂しいと死んじゃうから。だからお前も一緒にいようぜ」

「馬鹿なこと言わないでください。ウサギほど縄張り意識の強い小動物なんてそうそういる物じゃあありませんよ。だからここはお互い少し距離を取ってですね「ねぇ」ピヨッ!?」

 

 

 私達二人はゆっくりと、ゆうっくりと同じ方向に首を向けた。

 すると、そこには

 

 

庭の修繕。お願いね?

 

 

 

 ああ。未だ嘗てこのようなお願いなんてあっただろうか。(反語表現)

 私達は同じ言葉を紡ぐことしか出来なかった。

 

 

 




 原作開始までこのような戦闘訓練を続けていくことで経験値めっちゃ貯めていくってスタイル。
 原作開始時にはヤベー強さに育ってます。既にヤベーですが。


化太郎の変身先リスト

水兵ヒーロー『キャプテンアンカー』
 いつもセーラー服(学生服じゃない方)を身に纏い、錨を担いでいる女性ヒーロー。
 個性は『重厚長大』。持っている物を重く、厚く、長く、大きくできる個性。変化させたものを元に戻すことも可能。
 セーラー服の中に隠している紐付き錨を用いて主にヴィラン確保をしている。
 融剛の両親であるヒーローコンビ『ゲームマスターズ』の相棒サイドキック

サムライヒーロー『バンブシドー』
 コッテコテのサムライ服を身に纏い、腰に竹刀と竹光を挿しているアメリカ生まれの日本オタク。
 個性は『帯電剣』。剣状の武器に麻痺属性を付与する。
 元々無個性と思われていたのだが、日本オタクを拗らせて日本に行き、剣道体験したところ個性が発現した。化太郎はすぐに息切れしたが、本物は相手が倒れるまで打ち込み続けても息切れ一つしないスタミナ馬鹿。1対1ならかなり強い。『ゲームマスターズ』の相棒サイドキック

ロケットヒーロー『アストロハンド』
 元々コイツを主役に考えていたが格闘系ヒーロー多くね?(原作にも二次創作にも)との思いから主役から外れてしまった悲劇のヒーロー。でも個性はなんか好きだからせめてもの供養。
 個性は『操腕』。自分の腕を関節単位で切り離し、見える範囲まで自在に操ることが出来る。腕だけワンピースの道化のバギー。必殺技名が無駄に格好いい。


『ミッシングパワー』
 幻想郷に住むとある鬼の技。身体がでっかくなっちゃった!

『土竜昇破拳』
 ジャンプ漫画でドラゴンをクエストしている漫画のとある拳聖の技。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。