なんにでも変身出来るヒーロー志望ですが何か 怪!   作:輝く羊モドキ

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被服控除!
 入学前に『個性届』『身体情報』を提出すると学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる素敵なシステム!

「さー!今年の一年共はどんな素敵なアイデアを見せてくれるんだろうなぁ!」

 サポート会社は新しい発想を取り入れるのが大好きなのだ!



「うんうん。一通り見たけどどれもフレッシュ!って感じだね!」
「先輩。追加の『要望書』です。」
「ありがとう後輩!さてさて!どんな要望が来たのかな!?」

遊戯融剛
 どんな悪路でも怪我しない靴。動きやすく頑丈、かつ薄く。

「靴だけて!!」
「ユニーク!!」
「居るんだよねー!たまに自分の個性を万能だって勘違いして完全に機能だけを重視したようなコスチューム要望出す奴!お前ヒーロー何だと思ってんの!!」
「そんな君には嫌でもかっこいいコスチュームを作ってやろうじゃないか!!覚悟しろよ!」

「次だ!コレの後ならどんな要望でもイケそうな気分ッッ!」

殺生石化太郎
 可食

「…」「…」

「「 可食!!? 」」


VS戦闘ガチ勢


最悪腕の一本くらいは覚悟してもらってもいいですか!?

 午前は必修科目や英語等、普通の高校としての授業がある。雄英とは言え勉強をおそろかにしないのだ!

 

 お、おそろか?おろろか?おそそか……分からんぅ!

 

『おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーー!!!』

「イエー!!」

(((またお前か……)))

『オーケーオーケー!じゃあ仮面リスナーこの問題の答え言ってみようかーー!!』

「I don't know how to explain it in English.(グーグル音声)」

((( !? )))

『別に答えは英語じゃなくて良いからな仮面リスナー!!』

「あ、じゃあ4番」

『ファイナルアンサー!?』

「Final Answer!」

『……』

「……」

 

『セェイカァイッ!』

「(無言のドヤ顔)」

『YEAH!仮面リスナーに拍手!』

 

 シーン

 

『おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーー!!!』

「イエー!!」

((( 無限ループ……!? )))

 

 

 昼は大食堂で一流の料理を安価で頂ける!なんとあのクックヒーロー『ランチラッシュ』のメシが食えるのだ!凄い!

 

「けど私は弁当派なのです!」

「化太郎!一緒に食べよー!」

「イイヨー↑今日も可愛いツノしてんねぇ!」

「ちょ、触るのは駄目だよー!」

「私も一緒にいいー?」

「イイヨー↑今日もお肌のツヤが良いねぇ透ちゃん!」

「分かるの!?」

「適当に言った!」

「適当かよ!」

 

キャイキャイ

 

「……言ってる事はセクハラオヤジとそう変わんないのに受け入れられる。人は見た目が九割とは良くいったモンよ」

「何言ってんだお前。それよりお前はあの輪に入らねえのかよ」

「俺は食堂派だからな」

「そういう問題か?」

 

「お弁当っていつも作ってるの?」

「ん~ん。作ってもらってるの!」

「やっぱお母さんとかに?」

「違うよー、お母さんはあんまりそういうのやんないし。そもそも実家暮らしじゃないし」

「え?一人暮らしなの?」

「んにゃ、私以外にも家族が何匹ゲフンゲフン……あ、い、居候が一人」

「「居候」」

「ほら、この子」

 

 そう言って私はスマホの中に入ってる唯一と言っていいさとりんの写真を見せる。

 

「この子写真嫌いだからこれしか無いんだよねぇ……。ほら、恥ずかしがって顔隠しちゃってさ」

「は、恥ずかしがってると言うか、なんというか……」

「(目線だけ掌で遮って……これ、やらしい店の宣材写真みたい)」

「でも可愛いでしょ!?」

「あ、うん。か、カワイイネ!?」

「でしょー?もう毎日なでなでしたい。そんでこの子が作ってくれるお弁当がコレ」

 

 ドンッ!

 と明らかにカバンに入るサイズじゃない大きさの弁当箱を取り出す。

 

「「弁当というか重箱だこれ!?」」

 

 急に教室内がザワつきだした。

 

「……もしかして殺生石ってめっちゃお金持ち?」

「別にそんな事無いよ。ふつーよふつー」

「いやいやいや!お弁当で重箱持ってくる人とか漫画でしか見たことないよ!」

「まあ、一般人より滅茶苦茶食べるからね!普通サイズの弁当箱じゃ足りないモン!」

「あぁ……昨日もあれだけ食べてたしね……」

「えっ?昨日?どっか行ってたの?」

「皆がマック来ないって言うから透ちゃんとマックに行っただけだし!」

「いつの間に」

「あ、そう凄いんだよ!?気が付いたら駅前のマックにテレポートしてたの!」

「てれぽ……テレポート!?」

 

 更に教室内がザワつきだした。お前等昼飯食えよ。

 

「そ、そんな事も出来るの化太郎!?」

「ふふん、私に出来ない事など、あんまり無い!」

「あんまり無いのかよ!」

「そんな事はどうでも良い、重要な事じゃないんだ。それよりほら、ご飯食べよ?」

「あ、そ、そうだね……」

「食べよ食べよ!ねえねえ、おかず交換しない?」

「イイヨー↑」

 

 重箱を開ける。五段重ねなモンだから広げるとかなりのスペースを取るが、そこは近くの机を借りてカバーする。中身は煮物揚げ物焼き物炒め物と幅広くバランス良く詰まっている。実に美味しそう。

 

「……あのさ、化太郎」

「なぁに?」

「私の目が狂ってなければ中身の9割がお肉に見えるんだけど」

「うん、三奈ちゃんの目は狂ってないよ。良かったね!」

「良くないよ!バランス悪いってモンじゃないし白米すら無いってどういう事!?」

「私、最終的に米に落ち着かなかったタイプの人間なんだ」

「日本人か貴様!?」

「三奈ちゃん、驚きすぎて口調がおかしくなってるよ」

「いやでも透ちゃんコレ絶対おかしいよ!?」

「確かに化太郎は変だけど!いろんなところが変だけど!だけど否定しちゃだめだよ!変な所を否定するのは良くないよ!」

「透ちゃん……透ちゃんの言葉が嬉しすぎて私涙ちょちょぎれちゃうよ……」

 

 変なのは自覚してるけども!自覚はしてるけどもぉ!

 そんなこんなでがっつりご飯食べて午後の授業、ヒーロー基礎学!

 

「わーたーしーがー」

 

「普通にドアから来た!!」

 

 HAHAHAHA!!と普通に来てズンズンと教壇前まで歩いてくる。ヒャア、マジ生マイトだ!たまんねえなオイ!

 

「(何だろう、なんか化太郎で見慣れたからか、まるで感動しねえ……)」

 

 そんなこんなで戦闘訓練!に、伴って渡された戦闘服(コスチューム)!!テンション爆上がりやんけオラァ!!まあ私にとって普通の戦闘服(コスチューム)なんてマジで飾り以下なんだけど……なんで私の個性は衣服すら纏めて変質するんだ全く!お陰で毎日着る服に悩まなくていいけどね!まあとりあえず完全実用で頼んだ戦闘服(コスチューム)はどんなのかなーっと………………

 

「マイティー先生!」

「マイティー先生!?私の事か殺生石しょう……少……年?」

「私って()()()で着替えればいいと思う?」

「ど、どっちって?」

「『ブスリ♂』か『ブスリ♀』のどっちですか!」

「言いたいことは分かるが何を言ってるのか分からないぞ殺生石少年!」

 

 どっちでもいい事になった。まあ私ノージェンダーですし!?

 

「そういうのノージェンダーって言わないし」

「じゃあノンセクシャル!」

「それも意味違うと思う……」

「アンノウン・Xジェンダー!」

「未知の性……」

「厳密に言えば殺生石さんはXジェンダーでもありませんわ……」

「性別の無い存在……つまり私は天使とほぼ同義なのでは?」

「良いように言うな。お前はカタツムリと変わらんだろ」

「は?」

「あ?」

「こらこら君たち!?自由が売りとは言え流石に自由すぎると困っちゃうぞ!?着替えて着替えて!」

「ッチ」

「……」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 確かに可食としか書かなかったがよ。

 

「おぉ……凄い、化太郎なんか……お姫様みたい!」

「なんかふんわり甘い香りが……」

「これは……一体どういった素材で作られてるのでしょうか?」

「女子以上にドレスを普通に着こなしててムカツク」

「ケロッ、お菓子の家みたいね」

「なんか見てるとお腹減ってくるやん……」

 

 何この……何?何コレ?食べられるのほんとに。

 どれどれ、コスチューム説明書には……

 

『殺生石化太郎君へ。そのコスチュームはお菓子ヒーロー『マスターパティシエール』渾身の食べられる戦闘服になります。防弾、防刃、防爆、防音、防毒、防溶、その他諸々の防御力等は()()無いですが、代わりに乾パンよりも長い賞味期限に食感、味、共に最高峰である事を此処に記します。更に熱を加えることでよりサクサクとした食感に。冷やす事で溶けるような舌触りに変化しますのでお好みでご賞味ください。』

 

『P.S. デザインは私の趣味です。』

 

「知るか馬鹿野郎!!」

 

 スパァン!と説明書を地面に叩きつける。誰がここまでしろと言った。なんだこの服は、これから舞踏会にでも行くんか?

 ヒラヒラモコモコのスカートを舞わせながら外に出る。ミルクチョコレートのドレスが太陽の光を反射し、飾られた生クリームのフリルが風を浴びて優雅に靡いては男子の視線を独り占めしている。

 熟れた林檎の様に紅いリボンが胸元で揺れ、キャンディーの腕飾りがしゃらりと鳴り響く。ハチミツを固めたティアラがキラリと輝き、クッキーの靴がコツコツと音を鳴らす。

 

 誰がここまでしろと言った。いや、律儀に着る私も私だがさぁ……。

 

「お、オイ……あれ……」

「マジかよ……!」

「綺麗だ……」

 

「せ、殺生石君!なんだそのコスチュームは!?そんな動きにくそうな格好では戦闘訓練にならないのではないか!?」

「んー?もしかして、マジメガネ君?」

 

 なんか目の前のガションガション言いそうなロボモドキは顔が見えないが、特徴的な腕の動かし方でなんとなーく中身を察する。

 

「マジメガネ君とはなんだ!?俺の名前は飯田天哉だ!いや、それよりもそのコスチュームだ!?何故そんなにひらひらと動きにくそうな恰好なんだ!」

「可動域以上に絶対動かなそうな上に無駄に重そうなキミほどじゃないですわ」

「何を言う!このコスチュームは俺の個性を最大限活かせるよう、スピード重視の工夫が凝らされている!」

「なら私も私の個性が活かせるように工夫が凝らされてる上に、見る人の心を奪う一石二鳥のコスチュームだですわ?」

 

 そう言ってドレスの裾を持ち上げひらりと回る。辺りにふわりと甘い香りが漂った。

 

「な、なるほど……!確かに俺のコスチュームは人によっては威圧感を与えてしまうかもしれない。しかし殺生石君のコスチュームは、子供から大人まで幅広い年代の方から支持されるようなキャラクター性を感じる。このヒーロー飽和社会、人気ヒーローになる為にはまず愛される見た目から入るということか……!くっ、これが最高峰!俺には無かった発想だ……!すまなかった殺生石君!俺は誤解をしていた!」

 

 何だコイツ、良いように解釈してるぞ。これ適当言っただけって伝えたらどんな顔するんやろな。まあ今フルフェイスだからわかんねーけど。

 

「みんな揃ったようだな!さあ始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 ……で、まあ屋内での対人戦闘訓練。最初の組の出久君と爆豪のヤローが色々あって大暴れした所為で場所を移す羽目になった。まあ、それは良いよ。問題は、私の対戦相手だ。

 話は少し戻って組み分け、Aクラスは22人、二人組で作っていけば11組、当然ヒーロー対ヴィランと別れるのなら11組じゃキリが悪い。結果、二組だけ3人のグループになった。

 透ちゃん、尻尾の君、私のヴィランチーム。そして、無口(物理)、ハーフ&ハーフ、融剛のヒーローチーム。

 これも神の思し召しって奴かねぇ。丁度ぶん殴りたいと思っていた相手が敵側に回ってくれるなんて。

 

「まあそれは置いといて、透ちゃんは知ってるけど、尻尾の君は知らないよね。殺生石化太郎で御座いますわ。宜しくあそばせ?」

 

 そう言って完璧なカーテシーを披露する。その仕草に周囲の男子はメロメロ、特に目の前の尻尾の君は分かり易く狼狽えてた。お前さては……どうt

 

「尻尾の君?こ、こちらこそよろしく……。でも測定不能マンが味方に来てくれて心強いよ」

 

 まてい、測定不能マンって何だよ。アレか?個性把握テストで測定不能出しまくったからかこの野郎。まあいいけどね。わたくしの心は寛大ですのよ。

 まあそんな事よりさっきからマジで気になってるのが、この、コレ。

 

「もし、尻尾の君。貴方の個性の尻尾、触っても宜しくて?」

「尻尾の君じゃなくて、尾白猿夫。尾白でいいよ。それと尻尾の件もまあ……いいよ」

「いやっほう」

「うわッ!?ちょ!!?」

 

 許可が下りたので早速全身で触ってみる。

 

「触るって言うか抱きつきに来てる!?」

「触っていいって言ったじゃないの!」

「限度って物が有るだろ普通!」

「普通という言葉では収まらない存在。それがわたくしでしてよ!」

「ならせめて手!手で触るだけにしてくれ!」

「む、そこまで言うのなら仕方ないですわ。このわたくしが譲歩して差し上げますわ」

「何で俺が譲歩される側なんだ……?」

 

 尻尾の君がしぶしぶと尻尾を差し出す。差し出された尻尾を、両手で包むように触る。

 

「な、なんかむず痒いなぁ……」

 

 差し出された尻尾は鍛えられた筋肉のように硬く、微細な毛に覆われているが以外にも触ると艶々した感触だった。そして、当然と言えば当然なのだが尻尾にも神経は通っていて、心臓と一緒の拍動も感じられた。

 

「うわ、尾白君のコレ……スッゴくカタい……。しかも……ヒクヒク脈打って……すごい、熱いよ……」

「ッ!??」

 

 尻尾の感想を口に出しただけだと言うのに、物凄い勢いで尻尾を振るわれた。

 

俺はノーマル俺はノーマル俺はノーマル俺はノーマル……いきなり変なことを言うな!!」

「あぁんいけずぅー。あんまり触ったことの無い感覚だったからつい尾白君のをコスコスしちゃっただけよー?」

「だ、だから変なことを言うなって!」

 

「無知シチュ……」

「お前も変なこと言うなブドウヘッド」

「す、スキンシップもその辺にしときな殺生石少年!!」

 

 

 閑話休題

 

 

 そんなわけで3on3の戦闘訓練が始まった。5分後にゃ似非ヒーローどもがノコノコやって来るわけだが、さあて。

 

「どないしょか?」

「それな」

「せやな」

「せやせや」

「あのさ……二人してボケ倒さないでくれ……」

「「せやかて工藤」」

「工藤じゃないっての……。さっきの訓練見て真面目にやろうとは思わないのか?」

「思うよ!やっぱ熱くなるよねさっきの見たら!」

「私も年甲斐なく胸が熱くなりましたわ」

「君は何歳なんだ」

「あなたが望むなら、何歳でも」

「おぉー、大人な女性って感じ!」

「いや、だから……。はぁ、いいよもう……それで、作戦はなにか考えてるかい?」

「私が手袋とブーツ脱いで本気だすわ」

 

 うおー!!と気合い入れる透ちゃん。可愛い。

 

「(葉隠さん……透明人間としては正しい選択だけど女の子としてはやばいぞ倫理的に)」

脱ぐって聞いてエロイ妄想してんじゃねえよ童貞

「してないし!?ってかど、どう……口悪いな本当に!!」

()った?」

「たってないから!?」

「何の話ー?」

「ィい!?葉隠さんは聞かなくていいから!」

 

 ぶぅー!と抗議する透ちゃんマジ可愛い。

 

「全く……!君は馬鹿なのか?」

「失礼ですわ。ただオープンなだけで御座います」

「それを馬鹿だといってるんだ俺は……」

 

 ふぅ……と大きなため息を吐く尾白。つい悪戯心がムクムクと勃ちあがる。

 音もなく尾白の耳元に近づいて……

 

「(本当に勃ってたら後でシてあげましょうか?この格好で……♥)」

「ブッッッ!!?」

「なーんて、冗談よジョーダン。ジョーダンジョータン上段突き~♪」

「っ……!君は、嫌いだ!!」

「……本当に何の話?」

 

 

 閑話休題

 

 

「とか言ってるうちにもうヒーローチーム来ちゃうじゃないか!」

「作戦どころか核何処に置くかも決まってないよ!」

「んー……しょうがありませんわね。ここは一つ、高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に行きますわ!」

「それってつまり行き当たりばったりなんじゃ……」

「と、とりあえずヒーローチームが来るまでに核を動かさないと……!」

「あ、じゃあ二人は核をなるべく上に運んでいただけるかしら?私は先にオールマイト先生に確認したい事が御座いますの」

「……まあ、いいけどさ」

「化太郎!早めにね!」

「勿論ですわ!…………さて、聞こえてるかしらオールマイト先生?少し確認したい事が―――

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 さて、なんだか賑やかそうな化太郎達(ヴィランチーム)だったが、俺達は……

 

「……」

「……」

「……」

 

 作戦会議の一つも無くずっと無言だった。何なんだお前等、クールぶってんのかおい。

 そしてそんな中、俺をずっと睨み付ける様な視線を送るこの紅白のオメデタイ野郎はマジで何なんだ……。いや、()かは知ってるがよ。

 

「……おい」

「……」

「……」

「無視すんなカマボコ野郎」

「……?俺はカマボコじゃねえぞ」

「知ってんだよんな事!そうじゃねえよさっきからお前の視線がうっとおしいってんだよ!」

「わりぃ」

「お、おう……」

「……」

「……」

 

 ちらりともう一人の味方に顔を向けるが、困ったように頭を掻かれた。俺が一番困ってるんですが?と言うかお前もなんか喋れ!

 

「……お前には」

「あ”ぁ”?」

「(チンピラかコイツは)」

「お前には……負けねえ。遊戯」

「はっ、その言葉足らずな所は相変わらずだな轟クゥ~ン?今も変わらずエンデヴァーに唾吐いてんのかぁ?」

「お前には関係ねえ」

「は、そーかい」

「……」

「……」

「(なんで味方同士で喧嘩腰なんだ……?)」

 

 轟 焦凍。ナンバー2ヒーロー『エンデヴァー』の子供にして、氷と炎を操れる強個性持ち。初めて会った時はお互い身体がまだ全然出来てない頃だったが、推薦試験会場で再会した時は一目で思い出せた。肉体的にはかなり厳しいシゴキを受けたんだろう。だが個性は試験会場という場所じゃぁフルで見る事は出来なかったがな。

 

『さあ時間だ!ヒーローチームスタート!!』

 

「お前等は出てろ、俺一人でいい」

「……轟、これはチーム戦だぞ」

「はっ、ご自慢の個性ですかぁ?いーよいーよほっとけ。どーせ結果は見えてる」

「……」

 

 轟の個性なら先制打てば一瞬だろう。まぁ、それでも化太郎を倒せるかと聞かれれば首をかしげるが。

 そう考えてる正にその時。ヴィランの根城であるビルが完全に凍結した。

 

「なっ……!」

「ほぉー。随分鍛えられたな」

「……」

 

 俺の一言に一切反応せず、そのままビルに入っていった。

 

「ほ、本当に一人で良さそうだな」

「……と、思うじゃん?」

 

 じゃ、俺等は俺等で作戦会議でもしようかね。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 ビルの窓を熱で溶かし潜入する。すると、一階のエレベーターホールに()()凍っているのが見えた。それと共にハリボテの核も置いてある。

 ……ナメてるのか?それとも罠か?だが俺には関係ない。

 

「っ……!こんな……強力な個性だったなんて……!」

「痛たたた……足……死ぬぅ!」

 

「おい……もう一人()()()()が居る筈だが、何処に居る?」

 

「痛っ……横に、ブーツ有るだろ……」

「ちょっとー!それより氷溶かしてぇ!凍死する!ちんじゃう!!」

 

「後でな」

 

 あんまりにもあっさりと決着がついて少し、気が抜ける。()()遊戯とつるんでいた奴だから、と思ったが……。まあいいか。

 そのままハリボテの核まで歩いて行き、ソレに触れる。

 

『ヒーローチーム WIN!!』

 

「悪かったな、レベルが違い過ぎた」

 

 そう言って氷を溶かす様に熱を放出する。

 

 

 

 

「馬鹿め!と言って差し上げますわ!!」

「あぁ?」

 

 突如、氷が溶けるように()()()()()()()()()()が溶け、そこから腕が突き出される。その手には確保テープが……

 

「ッ!?」

「チィィッ!あと僅かでその首刈り取れましたのに!!」

「物騒だな」

 

 テープで首を絞められる寸前に、間一髪で回避に成功した。だが……

 

「おい、訓練は終了したんじゃ……」

「ふふん、それこそ馬鹿め!と言って差し上げますわ!!んっんっ……『轟少年!どうだ!驚いただろう!?サプライズプレゼントだ!!』」

「……な、んだと……?」

 

 それは、正に先程聞いたマイク越しのオールマイトの声そのものだった。つまり俺は、コイツに担がれたと言う事だ。

 ふと後ろに居たはずの、尻尾の男とドレスを着た女を見る。だがそれはよくよく見れば精巧なマネキンの様な物だった。ビルごと凍り、体表面に霜が付着した事で()()()を本物と錯覚してしまった俺のミス……否、アレは確かに()()()()()そのものだった筈……!そこまで思考を巡らせたところで

 

「私相手に余所見とは、死にたいのかな?」

 

 視界が一瞬で跳んだ。数瞬遅れて全身に痛みが駆け巡った。まるで高速で走る車にでも轢かれたかのような衝撃だ。

 

「ゴボッ……な、にが……」

「あっはァ……♥い~ィ顔ねェ……その痛みに歪んで、訳のわからない事に直面したフクザツな顔、大好きィ♥食べちゃいたいわァ……♥」

「っ……!」

「アナタみたいなイケメンをぉ……グッチャグッチャに潰して、擂り潰して、犯し尽くして絶望一色の顔にするのぉ♥あはっ!」

 

 いつの間にか首に確保テープが巻きつけられていた。だが、そんな事が気にならない位に俺はコイツに恐怖している……!

 

「ウフフッ♥無骨な首輪でゴメンネェ?でもスグにイィ物に変えてあげる♥」

「っ……はっ……はっ……」

 

 確保テープがゆっくりと、ゆっくりと締め付けられていく。段々息が苦しくなり、視界がぼやけていく。だが、意識を失わないギリギリで一瞬だけテープが緩む。それが繰り返されていく。

 

「……あら、なあに先生?……訓練?……勿論分かってるわよ?アナタも言ってたじゃないの、ヴィランの思考を学べって。うふふ~♥このクラスで私以上にヴィランの思考がわかるのって、きっとオールマイト先生だけよぉ♥だぁかぁらぁ……クラスの皆に見せつけてあげるの♥本当のヴィランって奴を!」

 

 眩暈がする。身体に力が入らない。抵抗する力が起きない。もはや、死に体。油断した。

 

「そう、アナタは油断したの。その代償がこ~れ♥あなたは、無様に、無惨に、ヴィランに犯され尽して死ぬの♥素敵な最期ねぇ♥でも安心して?これはあくまでも訓練(お遊戯)。アナタには()があるのよ?でもぉ……

 

 痛みを伴わない訓練になんの意味もないわよねぇ!!

 

 腕に衝撃が走り、バキンッ!と大きな音が鳴った。その部分を見れば、不自然な場所で折れ曲がった腕が

 

「っ!?ぐ、ああああああああああああああああ!!!」

 

 ソレを理解した直後に頭に響く電気信号。殴られたり、切られたりする痛みには多少慣れてるが、それとは別次元の『痛みを与えるためだけの攻撃』に、思わず悲鳴を上げてしまった。

 

「んあああああ♥たまらなぁいスクリーム♥素敵、素敵だわぁ♥」

 

 脳に直接響く様な殺生石の声が、俺から僅かに残った抵抗の力を削ぎ落していく。

 今まで見た、どんなヴィランよりも。

 クソ親父が語った、どんなヴィランよりも。

 笑顔で狂気に満ちた姿は、正に『ヴィラン』だった。

 

「ふふ♥安心してねぇ?私って、個性的に人体の構造には人一倍詳しいの。リカバリーガールなら一瞬で治せるように痛めつけてあげたわぁ?そ・れ・に……アナタのスクリームに釣られてヒーロー共がお出ましのようねぇ……♥」

 

「おいおい……!訓練とは言えやり過ぎじゃないのか!?」

「ありゃ化太郎にとっちゃ平常運転だ。諦めろ」

「諦めるモノじゃないだろう!?」

 

「ちょっと!何今の悲鳴!化太郎どうしたの!?」

「おい殺生石!君また変な事したな!てか一人捕獲したのなら言ってくれよ!!」

 

「ふふ♥さあ役者は揃ったわ?おいでヒーロー達。貴方も私のオモチャにしてあげる!!」

 

 クソッ……俺は、俺は()()何も出来ねえのか……!

 

 腕、滅茶苦茶いてぇ……。

 




化太郎:ガンガン行こうぜ!

融剛:お前ががんばれ

的な作戦。

化太郎完全にドレスが気に入った様子(そうは見えない)
轟君に気になる伏線張った所で、今日はこれまで!また今度とか!
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