響き渡るのは三色の恋音   作:しゅ〜

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よろしくお願いしま~す!


#2 上原ひまり

花咲川学園高校 3-A

 

午前中の授業を終え、昼の休み時間。

ほとんどの生徒は昼食を取り始めていた。

そんな中、響は昼食を出さず携帯を弄っていた。

 

「花音遅いなぁ~」

 

その理由は花音を待っていたからだ。

今日の朝に花音から

『お昼一緒に食べよっ!』って連絡が来ていた。

そんな時・・・

 

「し、失礼します!」

「お、来た来た。こっちだ~」

 

松原花音が教室に入ってきた。

 

「遅くなっちゃってごめんね!ちょっと迷っちゃって・・・」

 

苦笑いをする花音。

ちなみに花音は極度の方向音痴で慣れた場所以外はほとんど道に迷う。

多分、3年教室なんてあんまり来ることないから迷ったのだろう。

 

「一応学校だぞ…それにしても今日は何で俺となんだ?いつも千聖と食べてるんじゃないのか?」

 

千聖というのは花音の親友で、度々テレビや雑誌なんかに出ている若手女優。

彩と同じアイドルガールズバンド「Pastel*palettes」のメンバーでもある。

 

「それがね、千聖ちゃんは今日お仕事みたいで公欠みたいなの。だから一人だと寂しくて・・・。響君なら一人でご飯食べてるかなって思って・・・。」

「その考えは俺に対して悪いと思わないのか?」

 

とはいいつつも響は昼食時は一人で食べるときの方が多い。

・・・というのは隠して置いて。

 

「ま、なんでもいっか。早く食べようぜ」

「うん!」

 

そういうと花音と響は自分の弁当を広げて食べ始める。

そしてしばらく食べていた時

 

「響君ってお弁当は自分で作ってるの?」

「まぁ多少はね。ほとんどコンビニ弁当だけど」

「一人暮らし…なんだっけ。」

 

響は一人暮らしをしていて、両親は離れた別の場所で暮らしている。

 

「まぁね、もう3年経つけど」

「そっかぁ・・・。じゃあ今度私がお弁当作ってきてあげるね!コンビニのお弁当ばっかりだと体に悪いよ?」

「うんまぁ・・・楽しみにしとく」

「うんっ!・・・あ、そういえば今日バイトは?」

「あー・・・今日は確かひまりと一緒だったかな」

 

ひまりというのは響や花音と同じファーストフード店で働くアルバイトの一人。

ちなみにうちの店で働くようになったのは花音や彩より少し遅れるくらいだが飲み込みが早く今ではうちの主力の一人だ。

 

「ひまりちゃんかぁ・・・。ヘンなことしちゃダメだよ?」

「なんだよ変な事って。ってか俺をなんだと思ってるんだ?」

 

そんなことを話しているとチャイムが鳴った。

このチャイムは昼休みの終わりを告げるチャイムだ。

 

「あ・・・お昼休み終わっちゃった・・・」

「・・・みたいだな。そろそろ戻った方がいいんじゃないか?」

「そうだね・・・もう少し一緒に居たかったなじやぁ…またねっ!」

 

響に届くか届かないか微妙な声で口にするが響の耳に届くことはなく空気中に消えていく。

花音は弁当袋を持つと響に小さく手を振り教室を出ていく。響は出ていったのを確認すると授業の準備に取り掛かった。

 

 

■ ■ ■

 

 

放課後 ファーストフード店

 

「ありがとうございました〜」

 

放課後の客が少ない時間帯、響はいつも通りアルバイトに精を出していた。というのも今日はいつもより早めに上がっても良いと店長から言われて少し上機嫌になっていた。

 

「おっはよーございまーす!!」

 

調子の良い声がスタッフルームに響き渡る。

声のした方を見ると一人の少女が元気良く、笑顔で入ってきていた。

 

「おはよう、ひまり。」

 

彼女の名前は上原ひまり。

王道ガールズロックバンド「Afterglow」のリーダーで、ピンクの長い髪が特徴的。

羽丘女子学園の1年生で元気かつとても人懐っこい

 

「響せんぱい!おはようございますっ!」

 

そういうと颯爽と奥の方へ着替えに向かう。

…そしてすぐに戻ってきた。

 

「今日も頑張りましょう!えいえい!おー!」

「毎回思うがそれは何なんだ?」

「のってくださいよっ!」

 

っていうのが響とひまりのいつもの会話である。

ひまり曰く「えいえいおー」はバンドメンバーも誰ものってくれないらしい。

 

「まぁ、なんだ。仕事の方も頑張ってくれ」

「む〜…。はぁ〜い…!」

 

不満気な顔をしながらもひまりは自分の持ち場に移動する。

こうして今日も仕事を始めた。

 

 

■ ■ ■

 

 

20:00

 

響は仕事を終えて帰る支度をしていた。

それを見かけたひまりが響の元へ寄ってくる。

 

「あれっ?響せんぱい、もう上がりですか?」

「あぁ、まぁな。店長の計らいで今日だけな」

「じゃあ一緒に帰りませんかっ?私も今日8時で上がりなんですよっ!」

 

この店は基本的に高校生は8時までなのだが響は特別。

それは学校にも許可を得ていて、降りている。

…というどうでも良い話は置いておいて。

 

「別にいいが晩飯奢りは無理だぞ?」

「む、バレましたか…と、言いたいところなんですけど!今日は私の奢りです!」

 

自分の胸に手を当てえっへんと鼻を鳴らすひまり。

その胸は僅かながらにも揺れる。

 

「後輩に奢ってもらうのは気が引けるんだが…」

「どうせせんぱい、栄養取れる食事なんてろくにしてないですよね?」

「……否定できない自分がいる」

「じゃあ決まりです!行きましょー!」

 

結局、ひまりのテンションについていくまま店を後にする。

そしてそのまま近くにあるファミレスへ足を運ぶ。

店に入ると店員に人数を言って、席に案内される。

そして席に座ると2人でメニューを開く。

 

「まぁどうせ給料貰ったら集りに来るつもりだったんだろ?」

「えへへ、バレちゃいました?」

 

給料日には花音・ひまり・彩の3人を連れて食事に行くかことが稀にある。それは響から3人へのいつも店を支えてくれるささやかなお礼だった。

 

「ま、今月も予定はしてたけどな。たまにはひまりの奢りでも悪くは無いかもな」

「今日だけですけどね〜♪さっ、早く頼んじゃいましょ〜!」

 

結局この日、気が引けると言っていた響は遠慮の二文字を忘れて頼みまくったらしい。




次回は彩ちゃんの回をちょこっと。
ではまた。
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