響き渡るのは三色の恋音   作:しゅ〜

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この小説の中で彩ちゃんが主人公してる気がする


#5 丸山彩の密かな制服デート

~花咲川学園3-A~

 

放課後。たくさんの生徒が各々の行動をする中、響は1人教室で人を待っていた。というのも前にある人と約束をしていたからだ。

携帯を触りながら待っていると教室のドアが開く。

 

「響くーん!勉強教えてー!」

「来たな…彩」

 

教室に入ってきたのはいつものアイドル衣装とは別に制服に身を包んだ丸山彩だ。前々から勉強を教えて欲しいと言われていてお互いの都合が合う日にしようと決めていた。それが今日の放課後てある。

 

「最近アイドル活動忙しいだろうに。よく時間作れたな」

「特に撮影とかもなくてオフになったんだ〜!バイトも無いし教えてもらうなら今日かなーって!でも響君のお休みの時間取っちゃって…ごめんね」

「嫌なら断ってるから。まぁいいや、さっさと始めっぞー」

「響くん…うん!ありがとう!」

 

少しシュンとした表情を見せる彩だったがすぐに笑顔になる。

そして向かい合って椅子に座り、教科書を広げ勉強を教えていく。

 

 

「ところで何の教科をするんだ?」

「んーっとね、とりあえず明後日に数学の小テストがあるから数学を・・・。」

「明後日とか間に合わないでしょ」

「つ、詰め込めばなんとか!範囲も狭いからなんとかなるはず!」

「まぁいいけど…後になって忘れたとか言うなよ?」

 

彩は自信満々に口にするが彩はアイドルの仕事で度々学校を公欠する。そのため勉強、特に苦手教科に関しては苦手どころの話ではない。

 

「んじゃまぁこの辺からか、とりあえず簡単なこの問題解けるか?」

「響先生!最初からわかりません!」

「自信満々に言わないで欲しいなぁ…じゃあ解説しながらやるか」

 

胸を張ってわからないと豪語する彩に響は落胆したが元はと言えば教えるという約束で今日という時間を作っている。

 

「はーい、響先生。お願いします♪」

「……さっきからその先生ってのやめろ」

「照れてるの?」

「ムズムズする」

「えぇ…」

 

そう言いながら一応はペンを持つ彩。それに合わせて勉強会を始めた。

 

 

■ ■ ■

 

 

「じゃあ10分くらい休憩するか」

「うぅ〜…やっと半分かぁ…」

「やっと、とは言うけど結構ペース早い方だろ?…彩にしては」

「最後の一言は余計だよぉ…」

 

とりあえず1時間弱勉強をして休憩時間に入る。響は鞄から飲み物を2本取り出すと1本を彩に渡した。

 

「はい、お茶」

「ありがと〜!わざわざ買ってくれてたんだ?」

「まぁ前々から約束してたからな。飲み物くらい出す」

「さっすが〜!」

 

彩はペットボトルに口を付けお茶を喉に通していく。ある程度飲むと口を開いた。

 

「そういえば、お店の方って今日は誰が入ってるの?」

「ん、今日は確か・・・ひまりと花音だな。他も何人かいるけど」

「へぇ~、ひまりちゃんと花音ちゃんのシフトは覚えてるんだ?」

「あ、彩?顔が笑ってないんだが・・・?」

「そんなことないよ~?」

 

アイドルとは思えないほどの無表情で響を見つめる彩。そんな彩から目をそらし響は言葉を続ける。

 

「ちゃんと彩のシフトも覚えてるよ、三人分把握しておかないと俺の帰宅時間が変わってくるからね」

「本当!?・・・えへへ~」

 

さっきの無表情が嘘だったかのように彩の顔に笑顔が戻り、頬に手を当てながら響に近づく。

そしてぴったり隣にくっついた。

 

「おい彩・・・近くないか?」

「むぅ・・・響君は私が隣に居ちゃ嫌なの?」

「嫌じゃないけど・・・そういう問題じゃなくてさ・・・」

「嫌じゃないならいいじゃん!」

 

珍しくグイグイ来る彩に驚きと戸惑いを隠せない響。

 

「な、何か今日の彩変じゃない?いつもこんなにくっつく事ないじゃんか?」

「変って何さ〜!も〜…ここまでしてるんだから気づいてよ…」

「…どゆこと?」

「なんでもないよっ!」

 

グイグイくると思ったら急にプイっとそっぽを向く彩。響は「いよいよ女心はわからない」と心の中で思って複雑な感情だった。

 

「…まぁいいや、それより勉強続けるぞ?下校時間とかもあるし」

「は〜い…」

 

彩は現実に戻されたのかまた渋々ペンを握った。

 

「…彩。この状態でするのか?」

「へっ…あっ…」

 

さっき彩は響の隣に来てベタベタしていた。その場所で勉強するということは響にぴったりくっついて勉強するということ。

 

「ご、ごめん!」

「いや、別にいいけどさ…」

「…やった!じゃあこのまま〜!」

 

そしてやたらと距離が近い勉強会が再開した。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

「ん〜〜!!終わった〜!」

 

彩が立ち上がって思いっきり伸びをする。その姿を見ながら響は勉強道具を鞄に仕舞いながら帰りの支度をする。

 

「お疲れ、折角ここまでやったんだから赤点取るなよ?」

「うん!頑張る!」

「…ちなみにうちの学校は赤点取ったらバイト停止あるからな」

「えっ!?そうなの!?」

 

逆に今まで知らなかったのかと肩を落とす響。

 

「はぁ…まぁいいや、今日のとこは帰ろうか」

「うん!一緒に帰ろうね!」

「おう、帰りに店よって飯でも食ってくか」

「休みなのにわざわざお店行くんだ…」

 

そんな会話をしながら彩と響は教室を後にする。店までの道、彩はずっと響の隣を歩いていた。

店に着くと客は疎らに居るくらいでいつも通りだった。中に入ると丁度レジにいた花音に気づく。

 

「あっ、響君に彩ちゃん!いらっしゃい、今帰り?」

「花音、お疲れ様。今まで彩に勉強教えてたんだよ」

「へ〜、響君が彩ちゃんに勉強…彩ちゃん!響君に変なことされなかった?」

「おい花音。それは俺が傷つく」

「あはは…。大丈夫だよ?」

 

花音は「冗談だよ」と言いながらクスッと笑う。

少々雑談をしていると、話し声を聞き付けたのか奥のスタッフルームからひまりが出てきた。

 

「花音さ〜ん!休憩交代ですよ〜…って響先輩に彩先輩!来てたんですか!」

「おう、売上に貢献しに来たぞ。そうだ、彩。俺が注文しとくから先に席取っといてくれ」

「は〜い!」

 

彩は返事をすると椅子テーブルを確保し携帯を取り出す。

 

「あ、そうだ。ほい、差し入れ」

 

響は鞄からコンビニの袋を渡す。中には今日出勤している人数分のドリンクが入っていた。

 

「そんなに気を遣わなくてもいいのに」

「まぁ一応な。あとで他の奴とも分けてくれよ」

「やったー!ありがとう響先輩♪」

 

ひまりと花音は袋を受け取るとひまりはレジに、花音は袋をもって休憩に入る。

 

「じゃあ私は休憩だけどゆっくりしていってね」

「おう、じゃあこれのセットを2つ貰おうかな」

「はーい!少々お待ちください!」

 

ひまりは慣れた手つきで準備を進める。ある程度進んだところでひまりは思っていたことを口にする。

 

「そういえば響先輩の制服姿見るのは初めてですね」

「ん、まぁ学校違うからな。しょうがないだろ」

「それはそうですけど…なら今度、制服デートしましょうよ!」

「デートって…まぁ考えとくよ」

 

デートという言葉に少し戸惑う響だが、多分ひまりが言いたいだけだと判断して曖昧な答えを出す。それと同時に厨房から注文した品が届く。

 

「はいっ!どーぞ!ごゆっくりしていってくださいね〜」

「はいはい、ありがとな」

 

響はトレーを持ってレジを後にする。そして彩が座っている席に向かう。

 

「お待たせ」

「全然待ってないよー、にしても今日はお客さんいないね?」

 

彩はドリンクのストローに口を付けて飲みながら周りを見渡す。

 

「まぁ平日だしな、こんなもんだろ」

「あはは、響君って休みの日なのにお店の事気にしてるー」

「理不尽だな。彩から振ってきたくせに」

「ふふっ」

 

響の顔を見て笑う彩。響はそれに気づかないままポテトをモソモソ食べていた。

そんな響の姿を彩は思い立ったように携帯のカメラで写真を撮る。

シャッター音が鳴ると響は彩が写真を撮ったことに気づいた。

 

「……俺を撮ってどうするんだよ」

「んー、携帯の待ち受けとかにしちゃおっかな♪」

「勘弁してくれ…」

 

悪戯っぽく笑う彩だったが既に待ち受け画面は響の写真に変更されていた。それを響に見せる。

 

「誰かに見られても知らんぞ」

「だいじょーぶだよ!」

「ほら、彩んとこのバンドの氷川とか白鷺とか」

「……だっ、だいしょーぶ…」

 

段々と自信がなくなっていく彩を見ながら笑う響。何気に響も彩を弄るのが好きで反応見るのが面白い。

 

「ま、それに関しては俺からは何も言わんがな」

 

ドリンクを飲みながら響が言うが彩は「大丈夫だよね…」と意地でも待ち受けを変えたくない様子だった。

それから15分程雑談しながらご飯を食べ、少し店に客が入ってきた頃に2人は席を立った。

 

「そろそろ行くか、家まで送るぞ」

「うんっ!ありがと〜!」

 

トレーのゴミを捨て最後に花音とひまりに「じゃあな」と言って店を出る。

 

「(多分響君の事だから制服デートなんて気づいてないんだろうなぁ…)」

 

近くにひまりと花音がいる焦りからか、はたまた響に自分の想いを伝えようとしたのか、彩本人すらもわからなかったが気づくと彩は響の腕を掴んでいた。

 

「ん?どうした?」

「手……繋いでも良い…?」

 

この時の彩は顔が真っ赤だった。響に見られるのが恥ずかしくて下を向いていたが、それでも分かるくらい真っ赤だった。

 

「どうしたんだよ急に……」

 

顔を覗こうとした響だったが彩の声でストップをかけられる。

 

「い、今はほんと…顔見ないで……」

「何なんだよ一体…これでいいのか?」

 

そういうと響は躊躇い無く彩の手を握った。

響の手の感触に彩はドキリとする。

 

「ひゃっ…あ、ありが…と…。響君、恥ずかしくないの?」

「恥ずかしいに決まってる。アイドルと手繋いでるんだぞ?」

「だ、だよね〜…」

「(うぅ〜!恥ずかしくて手が震えちゃう…けど…私だって…!)」

 

実際、響も中々緊張していた。バイト先の後輩とはいえ異性、しかもアイドルと手を繋いでいるのだ。いくら響と言えど緊張はする。

 

「あ、彩先輩…!私だって…負けませんよ!」

「彩ちゃんも…やっぱり響君が好き…なんだ…」

「えぇっ!?『も』ってことは花音先輩…も?」

「ふぇぇぇ!な、何でもないよ!!」

 

2人のやり取りは彩には届かなかったが、彩は最後に2人の方を振り返って真っ赤な顔て照れ笑いをした。

 

「花音先輩!彩先輩は抜け駆けする気ですよ!」

「彩ちゃんはそんな事しないと思うけどなぁ…。ひまりちゃんも響君が好きなんだからちゃんと見張っとかないと」

「えっ!?なんで知ってるんですか!?」

「気づいてないと思ってたの…?」

 

この時、花音は心の中で密かに燃えていた。

 

「(わ、私だって…負けない!)」




次回はかのちゃんですよ〜
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