真剣で私に恋しなさい!~もう一人の武神~   作:Ragal

17 / 18
ちょっと間が開きました!すみません!
今回は結構オリジナル展開です。
やりたい放題です。


15話

それぞれ別々で闘っていたが、闘いも佳境に差し掛かる時にお互いが集まり総力戦となっている。

 

「恐らく連携では向こうの方が上です。俺がリズムを少しでもずらせるように動くので、

 二人でずれた隙を突いてください。」

「分かりましたわ。無理はしないでくださいまし。」

「きつくなったら少し下がっていいからね。」

「わかりました。それでは、行きます!」

 

簡単に作戦を立て、神威が陽動として先陣を切る。

 

「あのチビ、スピードだけは侮れねえ。油断するな。」

 

先ほどまで翻弄されていた楊が二人の気を引き締める。

 

「あの程度のスピードなら私にだtt…え!?」

「ぐっ!急にスピードが上がりやがった!」

 

神威は楊に言われたのにもかかわらず二人が油断しているのを好機だと思い、ギアを上げる。

回りながら細かく打撃を加えていく。

 

「ちっ!うざったいわね!」

「くっ!たまに重い一撃を混ぜて来てやがる!」

「だから言っただろう!!」

 

神威の思惑通り連携どころでは無くなっている。

陽動としての役割と十二分に果たしている神威は一瞬ケンイチ達を見て合図を送る。

 

「ケンイチさん、今ですわ!」

「はい!!ウオオオオオ!!!」

 

ケンイチがまず楊に突っ込んでいく。

 

「ちっ!やはりこのタイミングで来るか!!」

「ハァ!!」

「ぐぅ!!!」

 

ケンイチに意識を向けようにも神威の攻撃が常に続いているのでケンイチの攻撃が直撃してしまう。

 

「楊!!!」

「よそ見してる暇はありませんわよ!!」

「くっ!!さっきの続きだ!叩きのめしてやる!」

 

美羽は先ほどと同様帳を攻撃する。

 

「ちっ、こうも簡単に崩されるとはな…!!」

「連携取られると厄介だと思ったので。先手必勝で行かせてもらいましたよ。」

「このガキっ…!!」

「ガキだと思って甘く見ると痛い目見ます、よ!!」

 

二人がそれぞれの相手と戦闘が始まったのを見て、攻撃を郭に集中させる。

郭は神威の攻撃を捌きながらふと思う。

 

「お前…あのケンイチって奴より筋がいいな。

 お前があの方に教えていただいているのであれば俺らもそこまで怒りはないんだがな。」

「ケンイチさんは俺なんかよりもよっぽど梁山泊の一番弟子として相応しい信念を持っている。

 そのケンイチさんを侮辱することは許しませんよ…!!」

 

神威はそう言うと更にスピードを上げる。

ちなみにそれが聞こえてたケンイチは思わず涙腺が緩み、楊の攻撃を見事に食らっていた。

 

「なんだお前急に泣き出して…」

「う、うるさい!気にするな!!!」

 

気を取り直して、と言うより誤魔化すように楊にラッシュをかけるケンイチ。

ただ、神威のケンイチを想う言葉を聞いてから、パワーが目に見えて上がっている。

 

「くっ!訳のわからん奴め!!!」

「僕は!師匠達の為にも!友の為にも!弟弟子の為にも!負けるわけにはいかない!!」

 

仲間の為、大切な人たちの為になると力を増すケンイチ。

それこそが活人拳に、梁山泊に相応しいのである。

 

「楊!!!」

「よそ見している暇があるんですか?」

「なっ!?ぐっ!!!」

 

楊が劣勢になると、郭がそこに気を取られ神威に殴り飛ばされる。

郭は楊の方向に飛ばされ、神威もケンイチに合流する。

 

「君さっき僕によそ見がどうこう言ってなかったかい?」

「ちっ!黙れ…!認めんぞ…お前が一番弟子など…!認めんぞ!!!」

「なっ!郭!!!それは使わないって約束でしょ!!」

 

美羽と闘っていた帳が郭の変化に狼狽える。

そこに攻撃を加えようとした美羽だが、明らかにおかしい変化に美羽は攻撃の手を休め郭に注目する。

 

「ひたすら強くなる為に、秘密裏に習得した技…使うまいと思っていたが…!仕方がない!!」

「むっ!!あれはまさか…!!」

「静動轟一…!!!あの子、ケンちゃん達を殺しに行く気ね…!」

 

以前ケンイチの幼少期の親友、朝宮龍斗の身体を苦しめ、破壊した禁じ手である静動轟一。

その技をケンイチは許すことが出来ない。

 

「やめるんだ!!!それは君の身体を壊してしまうんだぞ!!」

「うる、さい!!貴様などに、貴様などに、負けて、たまるか!!!!」

「くっ…!美羽さん!神威君!彼を止めるぞ…!これ以上あの技の犠牲者を出してはいけない!!」

「そうですわね…一旦ここは休戦させていただけませんか?」

 

闘っていた帳に真剣な眼で休戦を申し出る。

 

「わかった…郭を…郭を止めてくれ…」

 

今にも泣きそうな顔で懇願する帳。

この技は絶対に使わないと3人で約束していたのだ。

使ったら自分達もただでは済まない事を知っていたからだ。

 

「意識を刈り取れば強制的に解除できるはず…3人で隙を突いて止めましょう。」

「そうですわね。止めはケンイチさんにお願い致しますわ。」

「わかりました…行きましょう!!」

 

 

「静動轟一…緒方の作り上げた禁じ手を何故あの子たちが…」

「黒虎白龍門会は殺人拳ね…闇と通じててもおかしくないね。そこに緒方がやり方を流したとなれば…」

「静動轟一を使える奴らが多数いるってことになりやがるな。」

 

梁山泊の面々は最悪のシナリオを考え憤る。

使用者身体を破壊する技を広める緒方。武人としてあるまじき行為である。

だが、彼は武人とは別に研究者としての顔を持っている。

研究において実験というものは付き物。

その実験の対象に不運にも彼らが選ばれてしまった。

 

「この会場にももしかしたらいるかもしれんのぉ。」

「その可能性は高いですな。もしも見つけたら、我々も覚悟して挑まなければ…」

「緒方と一戦交えるとしたら、恐らくあの笑う鋼拳とも闘う事になるね。」

「この大会には本郷の弟子もいる。あいつもいるとなると、一影九拳3人になっちまうな…」

 

ここで闇との全面戦争をしなければいけないとなれば、弟子達を守って闘う余裕はない。

そのような事態を避けるために、梁山泊の達人たちは静かに動き始める。

 

 

「くっ!全てにおいてさっきの比じゃないですね…!」

「迂闊に近づいたらやられてしまいますわ…!」

「二人とも!僕が囮になるので、その隙に…!」

「行けませんわ!ケンイチさんがやられてしまったら…」

「大丈夫です!これでも梁山泊の一番弟子です!耐久力には自信があります!」

 

そう言ってケンイチは郭に突っ込んでいく。

 

「目を、覚ますんだ!!」

「ガァ!!!」

「くっ、理性がなくなってる!?君は仲間と、友と約束したんじゃなかったのか!

 その技は絶対に使わないと、誓ったんじゃなかったのか!!」

「ッ!?ううう…仲間…友…」

「そこにいる二人は違うのか!苦楽を共にした、大事な仲間じゃないのか!」

「うぅ…ガアアアアアア!!!!」

 

暴風雨のような攻撃の中で郭を説得するケンイチ。

その言葉が届いているのか、苦しみ始める郭。

 

「そうよ郭!!3人で闘えばこんなものは必要ないって言ったのは、あなたじゃない!」

「そうだ!これ以上それを使うのであれば、友として、お前を止める!!」

「帳…楊…」

 

次第に理性を取り戻す郭。

 

「二人とも…すまない…」

「「郭…」」

「ケンイチもすまない。今回は俺たちの負けだ。こんなものに頼ってしまった俺はまだ未熟だ。」

「郭…」

 

理性を取り戻した郭は己の敗北を認める。

 

「しょ、勝負あり!!勝者!!梁山泊!!」

 

MCが梁山泊の勝利を告げると、観客からは大ブーイングの嵐。

もっと闘え、つまらない、両方負けにしろ、などひどい言われようだ。

 

「黙れぇ!!!!!!」

 

だがそのブーイングもディエゴの怒声によって静まる。

 

「武人が負けを認めた、その時点で勝負ありだ!これに何か文句がある奴は俺が相手をしてやる!」

「ほう、あなたが相手をしてくれるのかい?」

「!!貴様…緒方一神斎…!貴様がこの闘いに水を差したんだな…!俺の、俺の大事な大会に!!!」

 

軽く怒るディエゴの下に、郭達に静動轟一のやり方を流した緒方一神斎が現れた。

梁山泊の予想通りこの場に来ていたようだ。

 

「もうちょっとデータが欲しい所なんだ…だからあの子の力を強制解放させたいと思っていてね。」

「他の所では構わないが、ここは俺の場所だ…!!勝手な真似は許さんぞ…!」

「いい加減にしろ赤子よ…神聖な闘いの場をこれ以上汚すな。」

 

闇同士の一触即発な場に、怒りに満ちたヒュームが現れる。

 

「おやおやこれは。九鬼帝の飼い犬、ヒューム・ヘルシングさんじゃありませんか。」

「そんな安い挑発には普段は乗らないのだがな…今の俺に我慢というものは存在しないぞ…!」

「貴様ら…!!!俺を無視するとはいい度胸だな…!!」

「やめんかお主ら!!!!!」

 

そこへ更に長老が介入する。

 

「ここは弟子達の闘いの場。これ以上お主らがとやかく言うのであれば、外でワシが相手をするぞ…!」

「ふっ、無敵超人さんが相手だと流石に分が悪い。ここは退かせてもらうよ。」

 

そういうと緒方一神斎は姿を消した。

 

「すまない…俺としたことが頭に血が昇ってしまった。」

「助かったぞ無敵超人殿。今回ばかりは礼を言う。」

「ホッホッホ。気にするでない二人とも。さぁ、トーナメントを再開しようぞい。」

 

一波乱あったが、梁山泊は無事駒を次へ進めた。

 

 

「あの方の弟子にはなれずじまいか…」

「しょうがないわよ。もっと強くなってからね。」

「これからも三人で切磋琢磨すれば、必ずあいつを追い越せるはずだ。」

「別においちゃん教えないなんて言ってないね。」

「「「!!」」」

 

意気消沈している三人の下に剣星がやってきた。

 

「ですが…我々は負けてしまいました。」

「でも、黒虎白龍門会にはもう戻れないはずね。それならおいちゃんの息がかかっているところに匿うしかないね。」

「なっ!!いいんですか!?」

「おいちゃんを慕ってくれてる子達を見捨てるほど腐ってないね。手筈は整えてあるから、安心するね。」

「あ、ありがとうございます…」

「たまに顔を出して、軽く鍛錬するから、覚悟しておくね!」

 

3人は涙を流して剣星に感謝した。

 

 

やっほー。神威だよ。

凄い幕切れでちょっと状況が掴めないけど、何とか勝利できた…

やっぱりケンイチさんには人として凄い力があるみたいだ。

だけど普段はやっぱり…

 

「あぁ…死ぬかと思った…あれを使ってくるなんて想像してなかったよ…」

 

どうにもヘタレが抜けきらないんだよなぁ…

郭さんの静動轟一の物凄い攻撃を終わった途端思い出して今更怖くなったらしい。

逆鬼師匠にもどやされてるし…

まぁ、あれがケンイチさんの良い所でもあるから。うん。そうだよ良い所だよ。

 

「神威君は怖くないの…?」

「いやー、俺はいつも理不尽の中で生きてきたので…」

「神威君も辛い人生だね…」

 

何で俺慰められてるの…?理不尽だったけどあの馬鹿姉の事は嫌いじゃないしなぁ。むしろ好きだぞ。

うっ!何か悪寒が…何か感じてるのかあの人…?

 

 

「何か今馬鹿扱いされた気がするぞ!」

「うるせえなぁ。お前実際馬鹿だろうが。」

「何!?釈迦堂さんでも言って良い事と悪い事があるぞ!」

「お?何だ?やるか?」

「やめんかお主ら!!!!!!」

 

 

「さて、無事勝てたことだし、今日は休んで次の闘いに備えようじゃないか。」

「おいちゃんと秋雨どんでケアはしてあげるね。安心するね!」

「「「ありがとうございます(ですわ)!」」」

「おいちゃんは先に美羽から…」

「美羽は私だけでやるよ。剣星は先に二人をやるんだ。」

「そんな!?秋雨どんだけずるいね!!!」

 

この人カッコいい時との差がホントに激しいな…

何はともあれ、次の闘いは今回より激しくなるはずだ。

さーて、次の相手は…

 

「…我流Xじゃん」

「あ!?忘れてた…」

「お爺様…」

「んー?何じゃ?我流Xとワシは別人じゃぞ?」

「そんな事一言も言ってませんですわよ?」

「そうじゃったかのぉ?最近物忘れが激しくてのぉ!!!」

(((絶対嘘だ…絶対この人が我流Xだ(ですわ…))))

 

鉄爺、釈迦堂さん、ルーさん、百姉。

俺はもしかしたら死ぬかもしれません。




どうでしたでしょうか!!
お気に入り300件超えありがとうございます!!
これからもがんばります!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。