プロローグ
目が覚めたら平安時代だった件について、いきなりそんなこと言われても何言ってんだこいつってなるが、そう思った君達は正常だ。俺もそんなこと言われたら同様の反応すると思うし、そんな奴がいたら、離れて冷めた目で見守るのが吉だ。もちろん夢だと思ったが、こんな綺麗な建物見たことないし、どこかで習った寝殿造りの建物があるってことで判断したんだが……多分あってるはずだ。
そんなこと言う俺の自己紹介でもしようとしたが、元の名前はノイズの様な物が聞こえて思い出す事が出来ない。でも一つ覚えてるのは最後に”Fate/Grand Order”というスマホアプリをプレイしていた事だ。その中で一番好きでそして聖杯を捧げた、茨木童子というキャラの水着が実装されると聞いて、狂喜乱舞しながらコンビニまで走り、魔法のカードを購入。その後、家で全て注ぎストーリーガチャで茨木童子を狙うというアホなことをした後から記憶がない。
我ながら何をしているんだ?
そこは、ピックアップ中に回せと思う人もいると思うが……言わないでくれ。ピックアップがあまり来ないんだ。
まあ、そんなことは置いておこう。今の状況に比べたら些細なことだ。今、俺は朱殷の髪をした凄い美人の女の人に抱きかかえられている。
そして俺は悟った……これ転生じゃん。
□月■日 曜日は知らん 晴れ
転生したと悟ってから三年が経った。赤ん坊時代? ははは殺すぞ、あれは黒歴史だ。聞いたら殺す慈悲はない。
まあ筆を持つ事が出来るようになったの日記でも書こうと思う。
そしてこの両親やばいと知った。この両親何か書きたいとショタボイスで言ったら、紙を簡単に渡してきたからだ。平安時代では紙は高価なはずだしそれを簡単に渡すなんて何者だよ、とか思ったが日記が書けるなら良しとしよう。細かい事は考えてはいけない。
それでは今日あった事を書こうと思う。
まぁ転生したらまずやる事と言ったら……転生特典の確認だ。だって。誰だって憧れるだろう? 無限の剣製とかゲイボルグとか無限の魔力とか。完全記憶能力とか。
それでまずはFateの中でも屈指の中二能力の一つである無限の剣製を試そうと「投影開始」とか叫んでみたが何も出なかった。両親に見られ死にたくなった。その他にも試した見たが何も起こらず余計に虚しくなってもうやめる事にした。
□月〇日 曜日?良い奴だったよ 晴れ
今日は走ってみようと意気込んで外に出ようとしたら、父さんに止められた。
夜にこっそり抜け出そうとしたはずなのに、何故か一瞬で見つかって変な笑いが出た。
□月△日 曜日の霊圧が消えた! 晴れ
そう言えば今の俺の名前を書いてなかったことに気付いた。今世での名前は
あと今日俺は、なんか頭重いなーとか、変な考えで頭を触ったら手が切れた。なんで? と思い家にある池で自分の顔を見ていみると頭に鋭利な一本の白い角と黒い二本の角が生えていた。
その時に俺はマジで困惑して変な奇声を上げてしまった。両親がその声を聞きやってきてその姿を見てさらに奇声を上げた。
いつも優しい母さんの頭には、俺の真ん中に生えているのと同じ鋭利な角が生えていて、父さんは俺に生えている残った角と同じ黒い角が生えていた。
悲報、俺の両親が人間じゃなかった件について。そのまま俺は脳のキャパが超え気絶した。だってさ、三歳にこれはきついって情報が多すぎる。
□月×日
朝起きると、両親に呼び出された。昨日の事で話があるらしい。覚悟はあまりできてない。少し怖いからだ。俺はかなり緊張しながら両親が居る部屋に向かった。
今思うと、この家広いよね? とか何で他に人がいないの? とか両親は何者!?とか現実逃避をしていたが哀れになってきたので部屋に着いた時にはもうやめた。改めて自分の鋭利ではない黒い角を触る。うん、リアルの角だ。鬼とかについてる。正直中二病の頃は鬼になりたい!とかよく考えていたので冷静に考えると、とても嬉しくなった。これも多分現実逃避だったんだろう。
そして俺はそんな気楽な考えで部屋に入り、そこには昨日の姿の両親が居た。両親の顔はいたって真面目で自分が馬鹿なことを考えていたことを知った。母さんの名は
母さんの前に座ると、真剣な顔つきで話し始める。俺の正体はどうやら半分鬼で、もう半分は神だったようだ。これを聞いた時、俺は頭が真っ白になった。自分が人間じゃないと分かっても他人に聞かされるとかなり違った。
心のどこかでは自分は人間だと思っていたのだろう。それだけではなく神などと言われても理解できない。
そんな俺を置いて母さんは話しを続ける。自分達の事を……母さんは夜刀神という神のようだ。夜刀神それは、その姿を見た者を一族諸共に滅ぼす神であるという事を聞いたことがある。あとは妖力が凄いらしい。どこかで調べて見つけた記憶がある。母さんが滅ぼすなんて、いつもの性格からは全く思いつかなかったが、嘘が嫌いな母さんのことだ、冗談でこんなことをいったりはしないだろう。
それに父さんの種族は、骸童子というらしい。凄く中二心をくすぐるなこの名前。骸童子、その鬼は死者の骨を操ったり、無から様々な形の骨作れるらしい。強度は自由、収縮自在。どんな場所でも一瞬で作れるという物のようだ。
つまり俺は半神半妖? 何だそれ初めて聞くぞ。そんな現実味の無い話を聞かされ俺は混乱したまま部屋に戻った。
□月◇日 曜日?もうわからない。きっと晴れ
俺は未だ混乱している。いきなり夜刀神とか骸童子とか言われても分からない。自分が人間じゃないことも現実味がないし、心のどこかでまだこれは夢だと思っていたからだ。
夢から覚めたら水着茨木を引くんだってずっと思っていた……だけどこれは現実だ。
ただ純粋に怖かった。目が覚めたら得体のしれない世界に居て、何もわからない。帰りたい。それが俺の中を支配した。
いくら覚めろと願っても、帰らない。死ねば帰れると思って首でも絞めて死のうとしたけど、本能でそれはできない。元々凡人だった俺にそんな勇気はないからだ。
角で手を傷つけ、いくら血を流しても、すぐにそれは塞がってしまう。そこに両親が駆けつけてきた。多分だが俺の流した、血の匂いでも嗅いだのだろう。
二人は何でこんな事をしたのか聞いてきた。慌てて、今まで見たことのない表情で怒っていた。俺はただ……二人が怖かった。人間じゃなく簡単に命を奪える力を持った二人。意味が分からない。理解したくない。俺は両親を拒絶した。化物と泣き喚き罵倒した。
衝動のままに、ただただ感情を撒き散らした。自分の溜めていたものを全て……それなのに両親は受け入れてくれた。そんなの関係ないと、君は俺達の息子だよと。それを聞き俺は今世で初めて泣いた。年相応にさっきの恐怖から来る涙ではなく安堵の涙をひたすらに。
俺は嬉しかった。こんなのでも息子でいいと知れて。俺はずっと怖かったのだ、元々この場は別の空亡の居場所だったはずなのにそれを奪ってしまったことが、だがそれは許された。
二人は笑顔で言ってくれたこれで本当の家族になれたと。俺はそれが嬉しくて二人に抱きついた。
これ以上は恥かしいので、やめにしよう。今回の日記はここまでだ。
魔王と勝利の方は来週中に絶対出します。待っていてください。