「だいたい朧は、いつも酒を飲んで……二代目に悪影響が出たらどうするだ? おい何で目をそらしている? なんか言えよ」
「……飲ませてないぞ……儂は断じて、空亡に酒を飲ませておらん」
「おい朧? お前二代目に酒を飲ませたのか?」
朧を何やっておるのだ? 自分から暴露して……それより吾は自分の心配しなければいけないぞ、母上に怒られる……吾は死にかもしれぬ。前に怒られた時は甘味が七日程喰う事が出来なかったのだ。それに口もきいてくれなくて……今思い出しただけで恐ろしい。母上と喋れないどころか無視されるなんて耐えられる訳がない……言い訳を考えなければならぬな。
「おい朧、本当二代目に酒を飲ませたのか?」
「……飲ませておらぬぞ」
朧は冷や汗を流し、震えながら、醜い言い訳をしている。ばれているのに言い訳を続ける朧には、もはや尊敬すら覚えてしまうな。まずい、このままでは吾らだけが説教を受ける事になってしまうさっきから黙っている空亡も巻き込もうではないか! 吾ながら良い案だ。ふふふこれこそ鬼であるな! そうと決まれば空亡を……なぬ? 空亡がおらぬぞ? まさか……逃げたのか、吾らを囮に? 酷くないか………てっそれより空亡馬鹿ではないか? 少し前に攫われたばかりだろう。……まずくないか?
「なぁ狒々に朧」
「何だ絢? いま朧を説教してるんだが」
「絢、助けてくれ……」
「空亡が居ないぞ」
「…………は? 二代目はここに居る……いないだと!?」
「空亡ならさっき出て行ったぞ? 気付かなかったのか? 鈍いのう」
朧は気付いていたようだ。そして気づいていなかった吾らを揶揄いながら笑った。
……呆れて何も言えぬな、朧は遂にボケたのか。空亡がまた捕まるぞ……吾も落ち着いてしまっている早く探しに行かなかれば。
「……おい朧? なぜ俺にそれを伝えなかった?」
「…………てへ」
「流石に殺すぞ?」
「冗談じゃよーぬらりひょんの冗談じゃー。さー探しに行くぞ。また空亡が捕まってしまうぞそれはまずいからな」
「お前の事はあとで大将と夜刀様に伝えておくから、今すぐ二代目を探しに行くぞ」
「それ死刑宣告なのじゃ! 早く探しに行くぞ」
吾らはそうして外に出たのだが外には異変が起こっていた。今は時間的に朝の筈なのに周りは夜になってる。それにさっきから周りから妖怪の気配が感じられる。この夜が妖怪を呼んでいるのだろう。まぁ吾らに害はないが人間には迷惑だろうな。
「朧、俺が来たときは朝だったはずだ。俺は夜になるまで説教してたか?」
「一時間ぐらいだったぞ?」
「だよな俺の勘違いじゃないはずだこれは妖怪のせいだよな……これ放置してると陰陽師出てくるよな」
「これ早く解決しないと本当に陰陽師来るぞ? 多分空亡を攫った奴の仕業だと思うのじゃ……勘じゃけど」
「勘なのかだかお前の感じは当たるからな……ということでお前ら別れて探した方が効率がいいから別れるぞ」
「了解したぞ狒々―――っ何か来るぞ!」
別れようとした瞬間に吾らの元に何かが高速で近づいてきた。それは……巨大な白骨化した蛇だった。吾らに敵意を向けて威嚇している。
「でかいのう……これ何でこれ生きてるじゃ? 儂、始めて見るぞ」
「俺も初めてだ此奴生気がないな……死んでる。二代目を攫った奴の傀儡だろうな」
「空亡を攫える時点でかなり実力はあると理解していたが……傀儡まで使えるのか厄介であるな」
骸を使える妖怪だと思い当たるのは骸鬼と空亡と同じ骸童子の筈だがそれはないはずだ。骸童子は現在あの二人しか存在しない。相手は何の妖怪なのだ? 吾の炎が効くかどうか、心配だな。
「一先ずこいつを片づけるぞどうせ傀儡だ壊しても問題は無い」
「吾も賛成だ今は空亡を探さなければいけないしな」
「儂がやっていいか?」
「朧がやるなら俺達はもう二代目を探しに行く。お前は実力だけはあるからな」
「実力だけって酷いのじゃ儂だって真面目にやる時がやるんじゃぞ?」
普段の行いを見直してみても朧は駄目妖怪だ。でも妖怪としては正しいのか? 欲望のままに過ごすそれは妖怪として正しい形なきがするが……やっぱ駄目だな。朧のいいところを探そうとしてみたが、無理だこいつは……駄目な酒飲みだ。
「じゃあもいいくぞ。絶対にないと思うが死ぬなよ」
「その心配はいらんのじゃ儂はただ一匹のぬらりひょんじゃぞ?」
「そうであろうな」
「じゃあまかせるのじゃ儂もすぐ終わらせる」
そう言葉を交わして吾と狒々に朧は別れた。
◇◇◇
さてさてこの蛇は意外に強いな……めんどくさくなってきた。儂……やっぱり逃げていいかのう? 空亡は探すのだが戦うのめんどくさい。
「やるかぁ」
すぐに終わらせれば問題ないか……”あれ”使えばこの程度ならすぐに燃やせるし。
儂の馬鹿にしたような言い方に蛇の傀儡は怒りを浮かべている。
感情もあるのか結構よくできているのう。ちょっと傀儡遊びと行こうか。
「鏡花水月」
儂がそれを発動した直後に傀儡は儂に突撃してきた。この一撃を受ければ儂の様に細い体なんてすぐに砕けるだろうな。
「………!?」
驚いてる驚いておる。今傀儡はこう思っているであろう。攻撃したはずなのに当たってないと、儂の体を通り抜けたと。
「ほれほれこっちじゃよ、手の鳴るほうへ。もっときてみよ、もしかした当たるかもしれんぞ?」
傀儡は馬鹿の一つ覚えの様に何度も儂に突撃してくる。
「ほれまたはずれじゃよ? 儂はここに居るのにな、ほれほれその程度じゃいつまで経っても儂を殺せんぞ?」
こいつはこう思っているだろうな。認識している筈だ。ここにいるはずなんだ。なのに触れない。まぁ傀儡にそんな考えがあるとはおもんが。
儂の技、鏡花水月。これはぬらりひょんの本質を表す技じゃ。ぬらりくらりと現れては幻のように消え、また現れるまさにぬらりひょん! これのおかげでただ飯が食い放題。儂って本当に天才じゃのう。
そうじゃそろそろ飽きてきたのう……燃やすか。
儂は愛用している妖酒が注いである杯を取り出し、息を吹きかける。そこから青い炎が溢れ出し傀儡の体に纏わり付く。
「奥義・明鏡止水"桜"この波紋が鳴りやむまで炎の中で燃え続けるがよい。これにて傀儡遊びは終了じゃ」
儂は杯の酒を飲み―――熱いのじゃぁ。この酒燃やしたのじゃった。
「さて空亡を探すかのう」
◇◇◇
「此処は何処だ? 何で俺の周りにこんなに傀儡が真っ直ぐ探していた筈なのに」
俺の周りには五十以上傀儡が集まっている。何十種類もの骸の傀儡、一体は弱いがこの数だ、かなり時間はかかるだろう。
「はぁこんな時に何で俺は戦斧を忘れるんだよ。近くに良い木があるなこれ使うか」
俺は俺の身長の三倍ほどある木を無理やり抜いて構える。
「ぶっ殺す二代目に会うためだ悪く思うなよ!」
◇◇◇
空亡を探して半刻ほど過ぎたんだが……いい加減傀儡の数が多すぎるぞ、吾の炎も弱くなってきた。そろそろ見つけないとな、攫った奴と戦う時めんどくさいぞ。そんなときだったこの傀儡とは全く違う量の妖力を持った者の気配を感じる。
「汝は何者だ?」
吾は残る炎をすべて使う覚悟で身構える。この相手は母上と同じ気配を感じる。多分だが鬼であろうな。吾で勝てるかどうか……
「拙者は鬼童丸。おまえの気配は覚えがあるなたしか雅殿の娘か?」
「母上を知っておるのか?」
「ああ知っているぞ、拙者は雅殿とは幾度となく戦を共にした戦友というやつだ」
「何故ここに居るのだ?」
「骸鬼殿に呼ばれてな拙者は正式に百鬼に加わろうと思いここまで来た。だがどういう状況だ?」
吾は分かりやすいように簡潔に伝え手伝って貰えるように説得をしてみた。どうやら手伝ってくれるようだ。
「ここに来る途中で何か見つけたか?」
「そういえば……変な空間があったな何かを無理やり閉じた様な……そこか?」
「感謝する。そこに向かうぞ手伝ってくれるか?」
「お前が雅殿の娘というだけで手伝わない理由はない」
吾はそのまま鬼童丸の案内に従いその場所に向かった。そこは廃神社で異常なほどの妖力がここから感じられる。結界が張られているがそこから漏れる少しの妖気でこれだ。悔しいが、今の吾ではこの結界を破る力はないどうすればいいのだ?
「汝はこれの結界を破れるか?」
「出来るぞこの程度ならな」
「破ってくれ」
「了解した」
鬼童丸が刀を抜き一呼吸した。そして次の瞬間。
『剣戟”梅の木”』
無数の剣戟が一瞬にしてはなたれ結界を破った。
「”梅の木”は無限に広がる枝葉の如き剣この程度の結界紙と同じだ」
すごかった今の攻撃は我では絶対に防げない。これを防ぐにはあと何年かかる? 鬼童丸味方でよかったな。
結界が破られた先には無数の墓が聳え立つ森だった。この先に空亡が速く行かねば。
我は森の中で大声で名前を呼ぶ。
「空亡!? ここか!? 返事をしろ!」
リクエスト妖怪一体目鬼童丸登場!口調大丈夫かな? まだまだ活動報告のリクエストは募集しているのでどんどんコメントしてください。感想待ってます。