めっちゃ頑張ったよ。主人公やっと活躍するよ。
今回は大極発動! やっぱり無間大焦熱大好き。炎と雷はロマン!
かれその神避りたまひし伊耶那美は
出雲の国と伯伎の国 その堺なる比婆の山に葬めまつりき 。
ここに伊耶那岐
御佩せる十拳剣を抜きて
その子迦具土の頚を斬りたまひき
――太・極――
随神相――神咒神威・無間焦熱
”太極”それは形を持った一つの宇宙、主たる者の渇望に沿い、絶対の法則として顕現させる天魔の咒法。
要するに固有結界の強化版。母禮の仲間たちが道を見失わないように閃光となって燃え続けたいという渇望を元に全ての法則を捻じ曲げる。ここに広がるのは一つの世界。空には雷鳴、地には灼熱。無限に広がる焦熱地獄。俺がこの技を使うのは許されないかもしれない。天魔・母禮の思いなど俺は背負えないし、理解などできない。だけど椿妃を救うのに最適な技はこれしかない。
どんなことを思われもいい。だけど……今は力を貸してくれ。
よし、発動出来た。でもねこれでさ、しかし……何も起こらなかった……とかになったら、シリアスブレイクを超えた何かになるからね。”人物模倣”この技は長く使いすぎると、性格まで変わるかもしれないという。かなり危険な技だ。しかし、これを使わなければ今の俺には完全に大極を使う事が出来ない。それで使えても五~七分程度しか使えないんだが……。
「……空亡? その姿は何だ?」
「俺のちょっとした戦闘形態? そんな感じだ。絢、酷い傷だな……すぐ治す。『治れ』よし、これで完璧」
今の俺は、戒の中にあった。未来の俺の妖力を取り込んで、何倍にも強化されている。
それも長く続かないけど……だってこれさかなり無理をしたドーピングだぜ。正直、体が爆発しそう。
だけど……たった少しだけでいい。椿妃を救える時間だけでいいから、この力を使えればいい。
「さてと……絢は休んでいろ俺一人で救うから」
「空亡、今の暴走している椿妃は強いぞ、ひとりじゃ無理であろう」
「大丈夫だ絢、正直今の状態じゃ絢を巻き込んでしまうから出来るだけ離れていてくれ。頼む」
「しかし―――」
「本当に危険なんだ頼む」
「仕方ないな……救ってくれよ、吾は椿妃に聞きたいことがあるからな」
「任せろ」
こうしている間に少し時間が過ぎてちょっとやばいけど―――覚悟決めろよ俺。
◇◇◇
椿妃の体からは海と錯覚するほどの量の泥が溢れ出しそこから絶え間なく影英霊が生まれ出す。英霊の紛い物であるそれらだが……戦闘能力は決して低くない。ミノスの牡牛。霧の殺人鬼。クリミアの天使、ケルトの英雄。
理想の王それらすべての影英霊が自分を生み出した椿妃を守りながら、空亡を殺すために殺到する。その手に持つのは強力な武器の数々。この戦力ならば一国程度は簡単に滅ぼせるだろう――――――しかし、この影英霊は塵の様に空亡に殺されていく。
人間的な悲鳴は上げられず、獣じみた絶叫と肉の焼ける音と爆音と雷鳴の狂想曲が絶え間なく、かつ容赦なく鳴り響き焦熱地獄を彩り塵殺していく。
ただただ死ね――――どんな英霊の影か、そんなものはどうでもいい。
今は邪魔だ、紛い物は死んでいろ。
邪魔するなら殺す。
群れるなら殺す。
そんな思考を持ちながら鬼蛇は神の如き力を振るう。雷鳴を轟かせ、灼熱の花を咲かせる。今この場を支配するのは一匹の半神半妖。一人の少女を救うその為だけに力と技を振るう。
椿妃は聖杯の泥に犯され暴走し精神を乗っ取られている。悪を広げろ狂気を巡らせろこの世界を地獄に染めろ。そんな意志を持ちながら椿妃の力を使いづづける。骨の無限再生と傀儡術。そして自分の影英霊。
それら全てを使い邪魔をしてくる妖を殺しつくそう。
展開されるのは神話の様な大戦。巨大な髑髏の妖を朱殷の髪をした英雄が妥当するよな光景。
しかし真実は呪いに犯された姫を助けるという英雄譚。常人がこの場に居れば瞬く間に肉塊と化し物言わぬ骸となり果てるだろう。この光景を後に絢は忘れる事がないと語っていた。
影英霊はもう何百もの数がやられていた。それはそうだ。影英霊と空亡では基本性能が段違いだからだ。影英霊は英霊の紛い物であり、本来の英霊の性能の十分の一以下。それに対して空亡は半神半妖。そして、その身を限りなく天魔に近づけていて未来の自分の妖力まで吸いこんで強化されている。差が出来るのは当然だった。
「Gaaaaaa!」
そう椿妃の意識を奪っている聖杯の泥は咆哮する。その体の骨を異常なまでに再生させ始めた。元々の異形の姿が更に異質な物へと変貌する。さらに巨大になり腕は増え頭蓋には角体を覆う泥は移動して一振りの剣と化していた。それは一撃を放つ。それを空亡は女武者を操り防ぐ。刀と剣がぶつかり周りの空間を震わせる。大気悲鳴を上げ歪みだす。女武者は雷と炎の刀を四本巧みに使い。切り、防ぎ剣を交わす。
「泥を一気に燃やす距離まで移動しないとな………あと少しか」
空亡の狙いは一つ椿妃を蝕む泥を全て燃やす事。
そのために時間稼ぎとして女武者を使い。自分はその間に全部燃やせる距離を見つけ出すのが第一目標だった。今、経過した時間は四分ほど、残り最大で三分、最低二分ほどしか時間がない。
空亡は更に椿妃に近づいていく。影英霊を燃やして雷で貫く。そして辿り着いたのは椿妃の真下。
「着いた……ここなら全部燃やせるな……ゆくぞ『火柱』」
空亡がそう言うと周りにいくつもの火柱が出現しはじめた。神秘的で神威を纏った天魔・母禮の炎。魔性を焼き浄化する咒法。この炎なら聖杯の泥すら焼き払う事が出来るだろう。
「おお、道神よ。憤怒して魔性を撃破せよ。あなかしこ
オン・ケンバヤ・ケンバヤ・ウン・ハッタ
火柱掃射!焼き払え!」
すべての火柱が椿妃に纏わり付く泥を焼く。
泥は悲鳴を上げながらうごめき抵抗しているみたいだ。しかし火柱は勢いが収まるどころか強くなって炎の量が増えていく。この炎は呪いを焼く力しかない。椿妃に一切ダメージは入らないだろう。
「これで救える……未来の俺、約束は……守ったぜ」
そんな時だった椿妃の体が崩れ出し、少女の姿の椿妃が落ちてくる。空亡は一気に椿妃に近づき受け止めた――――その瞬間、椿妃の体から先程とは比べ物にならないほどの、黒く赤き線が入った泥が、空亡と椿を包み込む。
「っなんだ!?」
◇◇◇
何が起こった? ここは何処だ? 周りには聖杯の泥が塗り固められていて部屋の様になっていた。
何でだ? 泥は全て焼いた筈だ。椿妃の体の中に最後に潜んでいたのか?
ッッッ――――――――頭の中に何かが流れ込んでくる。
憎悪。
狂気。
憤怒。
絶望。
軽蔑。
嫉妬。
罪悪感。
殺意。
壊せ、呪え、犯せ、潰せ、絶やせ、滅ぼせ、奪え、消せ、殺せ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ。
頭が壊れそうだ。
コロセ
惨殺、斬殺、撲殺、絞殺、刺殺、欧殺、毒殺、薬殺、扼殺、轢殺、爆殺、鏖殺、圧殺、焼殺、抉殺、誅殺、溺殺、射殺、銃殺。この世にある全ての殺し方が頭に浮かぶ。気が狂う。自我が崩壊する。俺は何故ここに居る? 分からない。
怖い、耳を塞ごうとしたが感覚が無い。まず俺は何処にいるンダ? オレとハ何ダ? 分からない わカらなイ? わか……らない……。
ふと、俺の耳に泣き声が届く。
少女の声だ。何で聞こえるんだ? 何処から聞こえるんだ? 俺は何もわからなかったがこの声がする方に動き出した。
少し歩くと頭に何かが浮かび出す。それは、牢屋の中に居る少女の姿だった。その少女に朱殷の色の髪をした男が前に現れて話しかけている光景だ。
「……貴方……誰?」
「俺か? 俺は
「……私を……どうするの」
「仲間にする」
男は少女の頭を撫でてからそう言った。優しそうに笑いかけている。
それは安心するよな笑みだった。何でこの男は笑っているんだ?あとその顔ムカつくからやめろ。少女はその顔を見て驚いたような顔をして。
「……え?……」
「え?」
「……え?……仲間って何?」
「…………えっと……えーと……えーと?」
男は冷や汗を流しながら、後ろに居た角の生え金髪の女性にむかって、恥ずかしがりながら聞き始めた。
何だろうこの男? 凄く馬鹿っぽい。でもなぜか親近感が……
「えっと絢? 仲間って何?」
「空亡……汝は……呆れて何も言えんぞ。吾らだろう」
「あっありがとう絢。なんかごめん」
「別にいいが空亡お前かっこつけようとして今のはダサいぞ?」
「……ふふっ……面白い……いいよ……仲間?になるよ」
少女が今のやり取りを見て、何故か笑い出してから、仲間になると言い出した。分からないけど俺が馬鹿にされた気がしたんだけど……。
次に頭に流れて来たのは、椿の花が沢山咲く場所に、男と少女と男に仲間がいるところだった。そして男は少女と手を繋ぎながらこの場所を歩いていると、唐突に話始めた。
「オマエ名前がないと不便だろ? 俺が考えてやるよ……椿妃でどうだ?」
「……どうして……その名前なの?……空亡……」
「見てみろよこの満開の椿の花を綺麗だろ? お前と出会ったのはこの時期だ。この椿の花が咲く時期に俺達はお前に出会う事が出来た。それのお前は綺麗だろ花みたいにな、この時期で俺が好きな花と言えば椿妃だから。そんな理由だ。あれ? なんで顔が赤いんだ?」
駄目だこいつ天然だ。ムカつくんだけど何故か異常にむかつくんだけど!
「……えっと……わかんない……」
「そうか……ならいいか。絢!名前決めたぞ椿妃だ」
「おい空亡どういう理由でその名前にしたんだ?」
「だって椿の花が綺麗だからな!」
「安直すぎるぞ……」
絢と呼ばれている女性はまたもや呆れて頭を押さえている。
「じゃあ……ポチとかどうだ?」
「……やだ……椿妃がいい……あれ? なんでだろう……目から水が……」
「なして? ポチ駄目? というか泣かないで、そんなにポチ嫌だったのか…………真面目に考えろよ俺、女にポチはないだろう……」
「空亡………汝が悪い……椿妃でいいよな」
「……うん……なんで……泣いてるんだろう……私……」
歩みを進めると次から次へと流れていく。そして次の光景は椿妃が一人だった。周りには死体が広がり黒い泥が溢れる器の前で何かを言っている。
「……我……聖杯に……願う……」
空亡にもう一度会うために
空亡を救うために
私をも一度あの暖かい日だまりに戻してください。
私の幸せを返してください。
そして……椿妃は光に包まれた。
その光景を最後に遂に泣き声の近くに俺は来た。というか俺が空亡じゃん。未来の俺……あんな奴なんだ……エミヤが自分を否定するの分かる気がするよ。なんか違う気がするけど。
目の前に泣いている椿妃が居る。椿妃は泣きながら耳を塞いでいて、それはまるで現実から逃げたいみたいで、もう何も聞きたくないといった様子だった。
椿妃は俺に気付いて今にも消えてしまいそうな声で話しかけてきた。
「……空亡……なんで……来たの?……私を殺してよ……私は……貴方を閉じ込めようとしたんだよ……」
そんなことで泣いているのか……そんな事気にしなくていいのにな。俺は椿妃を救いたい。その思いでここに来た。
「……俺がお前を救いたいというのは駄目か椿妃?」
「……なんで……」
「未来の俺に頼まれたのもあるし、何より俺はお前の記憶を見て救いたいと思ってしまった。それでは駄目なのか?」
「……おかしいよ……空亡……私に優しくしないで……」
椿妃は俺を拒絶する。それは罪を裁いて欲しい罪人のようで俺に裁いて欲しいみたいだった。だが、それは無理だ。椿妃の事はもう許しているし。なによりこれは聖杯の泥が悪い。椿妃は詐欺られただけだ。椿妃は何も悪くない。救いたいという願いを悪用された被害者だ。
「それは無理だ。椿妃、俺はお前を許している。そんなに自分を責めるな」
「……それは……できない……私は……空亡に……絢に……酷いことをしたんだよ……許されちゃだめなんだよ……」
何でこんなに自分を責めるのかな? もういいのに。なら望みを叶えてやろう。罰を与えよう
「―――椿妃、そんなに自分が許せないか」
「……うん……」
「――なら椿妃俺からお前に罰を送る」
「……分かった……速く言って……私を罰して……」
「――――椿妃、俺の仲間になってくれ」
罰を求めた椿妃は予想外の内容に驚いたような顔をしている。
「……え?……」
「それがお前に与える罰。俺が生きている間ずっと……俺の仲間でいてくれないか?」
「……なんで……なんで……」
「罰は与えた。これでいいだろう?」
椿妃は更に泣き出して俺に笑いかけてくる。吹っ切れたようだ。それに合わせるようにこの空間が晴れる。泥の空間が椿の花が咲き誇るとても綺麗な場所に変わった。広がる青空に何種類もの椿の花。未来の俺が椿妃に名前を付けた場所。
「……空亡は……頑固だね……罰をくれないんだ……」
「そうだな俺は頑固だ。椿妃ここから出るぞ。もうお前は仲間だ。それに父さん達にも紹介しないといけないしな」
「……まだ……答えてないよ……」
「え? 駄目なのか?」
「……駄目じゃ……ないよ……」
「なら出るぞ」
「……うん……」
俺はこの空間から出る方法考えてなかった。……久しぶりにあの技使うかこの空間も敗れると思うしあれなら。でも経津主神・布都御魂剣。までは使えないけどな。残りの妖力的に……だからあの技だ。
「『人物模倣』壬生宗次郎。蝿声!」
刀を取り出し技を放つそれは何物にも邪魔されずに飛んで行きこの空間を切り裂いた。それにより俺達は外に出る事が出来て。さっきの夜の空間にまで戻っていた。周りには絢に朧と狒々。そしてぬら孫の鬼童丸。いやなんでさ……まぁいいか。
「空亡。救えたんだな。お帰りだ」
「救えたよ絢……ただいま」
◇◇◇
この話の後日談としてはめっちゃ父さん達に怒られた勝手に抜け出したことに、自分の命を危険にさらしたこと。周りを巻き込んだ事。そして怒られた後に褒められた。椿妃を救ったことを。そして俺は気付いたんだ。椿妃に仲間になってくれって言ったの……あれ、ほぼ告白じゃんと……めっちゃ恥ずかしい。
そして今、俺は椿妃に襲われかけている。うん。自分で言って意味わからない。
「なぁ椿妃さんや……なしてここに居るの?」
「……恩返し?……」
「じゃあ離れてくれない?」
「……えへへ……やだ……」
「これ見られたら困るんだけど……だから離れて」
「ねぇ……空亡……本当に……ありがとね」
椿妃はまさに花のような笑みを浮かべて俺に抱き着いてきた。あぁ仕方ないなその笑みは反則だ。
「これからよろしく頼むぞ」
「うん!」
次回から平安時代青年期に入ります。青年期のキャラは今募集しているリクエスト次第で変わっていくのでできればリクエストを送ってくれると嬉しいです。
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