「そう言えば空亡、貴方は何の妖怪……なの? 空亡からは妖怪と神の気配を感じる……なの」
「よく気付いたな静水久、これでもかなり気配を消してるはずなんだが……」
「私はこんな姿でも長生きしている……なの。その程度分かるに決まっている……なの」
そういう物なのか、妖怪の姿ってなんかさm強い奴ほど幼女の姿をしている気がする……と考えてみたけどそれはないな。母さんとか朧とか成長した女の姿しているし、母さんは蛇神だけど。
そうだ。蛟である静水久は俺と種族が似ているのかな? 蛟は蛇だし……そういえば、確か蛟は
ということは……静水久は五百歳以上ってことか? 絶対強いじゃん。萃香みたいに煽らないようにしよう……命の危機が危ない。
なんか日本語崩壊した。
それに蛟って事はまだまだ強くなるじゃん。蛟は千年で龍に更に五百年で角龍となり、そして更に千年を経て応龍となるといった化物妖怪だ。
「それで種族名としてはどういうの……なの。それになにか失礼なこと考えなかった?……なの」
なんでだろうな? 初対面の筈なのに俺の心が読まれている……俺ってそんなに分かりやすいのか? あとジト目はやめろ。会って間もない妖怪にジト目されるのは若干つらい。
「勝手にだが鬼蛇って呼んでいる。語呂良いだろ?」
「初めて聞く……なの。確かに語呂がよくて覚えやすいね……なの」
やった語呂が良いと言われた。結構気に入っているからねこれ。あの伝説のホモロリと同じぐらいで語呂が良い気がする。
それでだけど、さっきから静水久を観察して気になることが……なんで静水久はずっと濡れているんだ? そのせいか体は幼女なのはに色っぽい気がする……
「静水久なんで濡れているんだ?」
「水の妖だから?……なの」
「でも雪女は凍ってないぞ雪の妖なのに」
「凍ってたら動けないよね……なの。やっぱり阿保……なの」
「阿保とはひどいぞ?」
「さっき自分で言ったのは空亡……なの」
言ったけ? あ、言ってたわ。俺、どんどん阿保キャラになっている気がするんだけど……気のせいだと信じたい。
「そういえばそうだな……」
ちょっと話を変えよう。なんか変な空気になってきた。話を変えないと、じゃなきゃどんどん自分で自爆してアホなところを見られまくるかもしれない。
最近、雪花にまで「若はアホですねー」とか言われる始末。ははは、なんかどんどん虚しくなってきた。
それに最近さ、他の妖怪にまでなめられているのか分からないが俺の部屋によく遊びに来るんだ……そのせいで俺のプライバシーが仕事していない気がする。 遊びに来るときは決まって俺の部屋。俺の立場ってどうなっているんだろう?
「空亡? さっきから暗い顔しているよ……なの。どうしたの?」
「いや……色々思い出してへこんでいるだけだ。気にしないでくれ余計に惨めになる」
「そうなんだ……よくわからないけど分かった……なの」
「………………」
それでさ……さっきから気になっているんだけどね、ここを通るの何回目? もう十回以上この景色を見た気がするんだけど……。
「…………なぁ」
「…………なに……なの」
「…………迷ったのか?」
「……………………」
「……………………」
お互いが無言。無駄な時間が一分ほど過ぎる。風が吹き、鳥が鳴くそんな場所で俺達は無言で立ち尽くす。この時間はただただ無駄に過ぎていき、二分ほどたってから静水久が口を開いた。
「…………てへ?……なの」
静水久はポーズを取ってそう言った。…………うん。
「あはは」
「ふふ」
「おい……どうするんだ?」
「感じろ……なの」
なるほど……全く分からない。fgoに意味が分からない? 感じるんだ。みたいなセリフあった気がするけど。無理だよな。何を感じればいいか……それは全然わからない。
「まじでどうしよう……なの」
「考えはないのか?」
「まったくないぜ……なの」
「それは大変だな」
「そうだね!……なの」
にっこりと笑って、そう言う静水久。今、静水久と居て一時間ぐらいたったんだが結構打ち解けた気がする。
俺コミュ力あったんだ嬉しいな、前世は酷かった気がするから。
でもおかしいなさっきから微量だが妖力を感じられる。多分、妖怪が住んでいるからだと思っていたが……明らかに技を使った時のように異質な気配を感じる。
「…………静水久……気付いているよな?」
「当然……なの。数は一人で妖怪、敵意あり……なの」
すごいな……流石だ。敵の情報までわかるなんて。こういうことを出来る妖怪は周りに沢山いるが、それはどれも何百年も生きた者達だ。
妖怪は長く生きる程そう言うのが分かるようになるのだろうか?
空気が張り詰める。
いやにでも周りに集中してしまう。
静水久と背中合わせになって、周りを警戒する。
不意に、足音が聞こえた。ガサゴソとそんな音だ。
相手は四足歩行か? 多分そうだろうな、この足音は歩くごとに三回から四回ほどの音がする。
四速歩行の生き物はそんな感じの足音だったのを父さんに強制的に覚えさせられた。
「来るよ空亡……なの」
「了解した」
すぐそこまで相手は来た。あと数秒もしないうちに俺達の前に姿を現すだろうな、俺はいつでも相手が来てもいいように、骨で刀を作り出す。もう来るな……
そして現れたのは……狸だった。
「……狸?」
「そうだね……なんで狸……なの?」
拍子抜けだ。警戒したのに狸なんて……損したな。
それがいけなかった。今の刹那に張りつめていた空気と緊張感が自然と緩まってしまった。ならば―――敵がこの瞬間、この隙を見逃すはずの愚か者ではなく――――
そして、一瞬のうちに俺の首と左腕に、何か丈夫なワイヤー? いや違う。細い縄のような物が巻き付いていた。
「――――空亡危ない!?」
静水久は気付いたのか、そう声を荒げた。
しかし、もう遅い。瞬時に俺の体は縄に縛り上げられて、木の方へ引き寄せられる。圧倒的な早業、気付いたのが遅れた俺は反応することなど出来ずに、俺は二度目の空中旅行を楽しむことになった。
「ガッ―――――痛ッ!」
そのまま木に激突する。縛られたことに加えて、体勢は不安定だ。
そんな状態では当然、受け身など、とれはしなくて後頭部と背中を同時に木に打ち付ける。
かなりの速度ぶつかったせいで一瞬で意識が朦朧と煙り出す。
「くっ―――――かはっ―――――」
痛みを味わう間にも、縄は活発に動き、俺を拘束するのを止める事はない。縄は生き物のように自在に動き、俺の体を締め付ける。激突したばかりの木に俺は、死刑を待つ罪人の様に磔にされた。
その中でも左腕の拘束と首の拘束は、完全に獲物を逃がさないといったみたいに異常な執着を見せる蛇のようだ。
呼吸が封じられる。意識が、所々途切れ始めていく。
「空亡! 今助け―――ッ」
静水久がここに向かおうとした瞬間に、異臭が放たれる。
とても嫌な臭いだ。生物が忌み嫌う死体の臭い。それも、ドロドロに溶かされてれて腐ったような……最悪な物。
静水久の目の前には、半分白骨化して肉が腐った妖怪の死体が投げ込まれていた。
人間より五感が鋭い妖怪は、当然より強く、この臭いを感じてしまう。
離れた俺ですらも、鼻を覆いたくなるような酷い臭いだ。近くに居る静水久が感じる臭いは、これよりも何十倍も酷い物だろう。
……こうしている間にも拘束はより強くなる。……だめだ。ここで気絶したら死ぬ。死ねば楽になるこの痛みだが。楽になってしまったら、静水久までこの縄の餌食になる。
それは阻止しないといけない。だが……もう、意識が飛びそうだ。
俺は飛びそうになるのを止めるために舌を噛み切った。
「ごっ、ふ―――」
鬼の再生能力のおかげで、すぐに舌は治ったが……人間だったらこれは自殺になっていただろう。
口の中が赤く染まる。自分の血で噎せ返る。首を括られて頭に血が回らずに……視界が消えていく。
「―――――」
ついに声すら上げられなくなる。体は動かない。目も機能しない。情報を得るには、鼻や耳を頼らなければいけないのに……死体の異臭が邪魔をする。最後に頼るしかない聴覚を頼ると……真上から、笑い声が聞こえて来た。
「ヒヒ、ヒヒヒヒ、ヒヒヒヒヒ」
それは、とても不気味で、気味が悪く、不快感を覚える。そんな笑い声だった。
ぎゅり、ぎち、ぎり、ぎゃ、ぎり……
笑い声のほかに、不吉な音を俺の耳を拾う。
香る臭いに鉄臭さが混じりだす。
耳に届く音は、何かを縛り付けるような物。
べちょり。
そんな擬音と生暖かい感触を俺は感じる。
俺の顔に降り注いだのは、無駄に生暖かくて鉄臭い液体のシャワー。とても規則正しい、心臓の痙攣みたいに淀みもないリズムで、それは俺に降り注ぐ……
ぎゃぐり、ざく、ぎゅじゅ、ぶしゅーじゅぶ――――――びしゃ、どちゃ、べちゃり。
擬音にするならこんな感じか? そうだ、だいたいこんな感じだろう。
どんなに想像力が乏しい者でも、目の前で”何が起きているか”などという事は、嫌にでも想像できてしまうだろう。
そして、まだまだ拘束を強めてくる生き物のような縄が、肉に食い込み血が飛沫の様に流れ出す。もうわかるだろう? さっきから聞こえる、気持ちが悪く、不快な音は全て……
「私の奏でる音色は、お気に召しましたか? 名も知らぬ鬼よ」
今、喋った男が俺の真上で……生き物を、輪切りにしている”音”という事だ―――
今更だけど静水久これでいいのかな? 結構前に見たやつだから分からない。
登場はした。セリフ一個だけだけど……なんか凄く強キャラっぽい気がするのデス。良ければ感想やお気に入り登録お願いします。あとリクエスト募集中です。ロート・シュピーネの直訳で赤蜘蛛にしたんですけど……これあってます?