「あなた……骸鬼の気配を感じるけど、何者かしら?」
拝啓、父さん母さんついでに絢。
空亡さんは今、東方のやべーやつ筆頭に尋常じゃないほどの妖力を浴びせられています。
空亡さんは……何か悪い事をしましたか?
絢のおやつを食べたことですか? 雪花を落とし穴に居れた事ですか? 朧の酒を呑んだ事ですか? それとも……。
俺は今までやった罪をひたすら思い出していた。
だって、この妖怪怖いんだ。
何でこんな冷たい目で見るんディスか? そんな目で見られて、興奮する空亡さんではありませんからね、無駄ですよ……無駄だからな?
ですので、本当にその目はやめてください。マジこわです。
「ねぇ、早く答えてくれないかしら?」
「あの……その……ちょっと」
空亡さん現在進行形で、しどろもどろになっていまする。
これどうすればいいですか? 静水久さん? 貴方が連れて来たんですよこのやばい妖怪を? 何とかしてくれませんか? 空亡さんにはこの妖怪、手が余ってしまいますです。
口調とかいろいろ崩壊するレベルで、本当に怖い。
「なにかしら? 早く答えてちょうだい?」
「息子です……」
「息子? そういえばその気配半分夜刀……嘘はないみたいね……一先ず信じるわ」
どうやら生き残れるようです……やりました。母さんありがとう。貴方のおかげで空亡は生き残れます。それより何で紫様が此処に居るの? 絶対おかしいって、パワーバランス考えろよ……などと。そんな現実逃避紛いの事をしている俺氏。
そもそも、何で紫様は父さん達の事を知っているの? 俺はこの世界に十六年住んでいて一回もあった事ないよ? どういう関係?
俺の中に紫様に対する疑問が溢れ続ける。
――――もう分からない、それが結論だった。だって分からないものは分らないんだから。
月光に照らされる森の中、鳥や夜の虫が鳴いている。そんな中にいる俺はどうすればいいのかを考え続け居ていた。
とういか、静水久が連れて来たのだから何とかしてくれない? この言葉も何度目だろうか?
「紫そろそろ、そこらへんにするの。空亡が怖がってる……なの」
「ごめんなさいね……それで静水久、何で私を呼んだのかしら?」
「空亡が骸鬼達の屋敷に帰れなくて送ってくれ……なの」
「…………それを口実に骸鬼と会えるわね、よし連れってあげるわ。空亡でいいのよね」
「あ、はい空亡です。ミジンコと呼んでください」
「何いってるの? 連れてってあげるからこれに入りなさい」
そう言って紫様は代名詞でもあるスキマを出現させた。
「これ……安全なのか?」
「なによ、安全に決まってるじゃない。私に間違いはないわ」
何だろうかこの駄目妖怪感……朧と同じ気配を感じる。 もしやあまり怖くないのでは? 俺はそう思って安心した。紫様は能力がやばすぎるから偏見を持っていたのかもしれない。それを無くせば普通にいい妖怪なのかもな。
俺はそう思いスキマに入った。
――――次の瞬間、俺は空中に居た。
「どういうことだよこれ!? 待って空中!? 何で!?」
この体験……何度目だよ!?
真下には母さんが居た。庭の手入れをしている様で俺には気付いていないらしい。そして俺の真上には紫様が居て何かを喋っている。
「ごめんなさい。スキマ出す場所間違えてわ」
「間違えないって言ったよな!?」
「謝るわ頑張って生きてね」
それは無責任すぎる気がするんだ。
「あれ? あ、お帰り空亡。何で空に居るの?」
「母さん助けてくれ」
「分かった。『止まれ』」
母さんの言霊で俺は空中に停止させられた。助かったんだけど動く事が出来なくなった……これは助かったという事が出来るのだろうか?
紫様が地面に降りて来た。そして母さんに挨拶を始めた……俺を空中に放置したまま。
「久しぶりね夜刀。相変わらず無茶苦茶ね」
「久しぶりだっけ紫?」
「そうよ貴方が夜刀と結婚してから私たち会ってないわよね」
「そうだったね。何で会いに来なかったの?」
母さん何となくだけどそれは地雷な気がするんだ。その証拠に紫様から妖力が溢れている。
「ねぇ夜刀? 久しぶりに戦わないかしら?」
「なんで……分からないけどいいよ」
「ちょっと結界を張るわね『四重大結界』」
俺が空中に停止させられている状態のまま、話が進み母さん達が戦うことになってしまった。いい加減、地面が恋しくなってきた。それよりこの結界をたった一言で作り出す紫様はさすがである。
「手始めに結界『夢と現の呪い』」
紫様は空を飛びその技を使った。空中から妖力で出来た弾幕が放たれる。
その弾幕は広がっては水に出来る波紋のように増えていき、母さんに狙いを定めては一斉に収縮する。それは母さんの周りを全て囲っており、母さんは逃げ場を失っていた。
「多いね……関係ないけど。『静止』『収縮』『形成:槍』『穿て』」
母さんは四つの言霊を一斉に使う。
紫様の弾幕が母さんの言霊に合わせて止まった。その後に全てが一箇所に集まって、形を作り始める。
それは一本の槍だった。
弾幕で出来た巨大な槍、近い物だとレミリア・スカーレットの『スピア・ザ・グングニル』だろうか? 七色に光る槍が最後の一言である『穿て』その言葉に従うように紫様の元へ飛翔する。
「まぁ予想はしてたけど……やっぱり効かないわよね。でも私の技を返すなんて……挑発しているつもりかしら?」
紫様はスキマを出現させてその槍を飲み込まさせた。
槍はどこかへ消えだろう。スキマの先は紫様しか知らないから。
「次は私からだよ」
母さんはそう言って、武骨な大剣を取り出した。
次回へ続く。ジェノさん。誤字報告ありがとうございました。コノ話がよかったら感想やお気に入り登録お願いします。