どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

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第十話︰転生者にとってのテスト期間

 

 

GWが終わりテスト期間がやってくる。高校最初の中間テストとなるわけだが僕の胸中にあるのは自由な時間が増えるという喜びにつきる。

 

そもそもテストに関してはこれまでと同じく予習復習をこなしていれば十二分の結果を得られるだろう。

ならば、お昼すぎには帰れるテスト期間は日頃から十分勉強をしている生徒達にとっては授業時間の減る嬉しい期間とも言える。

まあ、これは元々やる気の無い生徒達にも言えることなんだけども、うちの学校にはそんな生徒は殆どいないだろう。

いるとしたら……

 

「華月さん、今生のお願い! 勉強教えて!」

 

「あー……奈々さん、一応聞きますけどどうしてですか?」

クラスメイトの赤城奈々(あかぎなな)さんが涙目でお願いしてくる。元男としては女の子の涙は見慣れないしどうしたらいいか分からなくて少し落ち着かない。

 

「私勉強全然できないの! 実力テストでもいい点とれないし……このままじゃ赤点とっちゃう!」

 

さすがに高校一年のテストで赤点を取ることは滅多にないと思うが彼女の表情から中々切羽詰まっているようだ。

どうでもいいけど切羽って刀の鍔についてる金具のことなんだね。それが詰まると刀が抜けないから切羽詰まる。武士の人が刀抜けなかったらそら焦るわ。

字だけ見て切羽の存在知らないと切った羽が詰まるってどういう状況? って思っちゃうのは僕だけ?

 

「僕も基本的に予習復習くらいしか普段からしてませんから……人に教えられるような技術とかうまい教え方できませんよ?」

 

「でも華月さんのお友達みんな頭いいよね?」

 

「あー、あの二人はまあ、かしこいですね」

 

入学後に行われた実力テストでは僕、美智瑠、静さんの順でトップ3を埋めたし、高等部から入学の人には頭のいい三人が仲がいいように映るのだろう。

 

まあ、中等部の頃からずっとそうだったのでエスカレーター組には見慣れた光景なのだけども。

 

「それなら、僕だけじゃなくてあの二人も呼んでみんなで勉強会しませんか? その方がお互いの分からないところも教えあえますし」

 

「お、それいいね! 凄く助かる! じゃあ、私声かけてくるねー」

 

あっという間に奈々さんは二人に声をかけにいきこちらにまるっと両手で作ったサインを送ってくる。その行動力の高さは割と無気力な僕からしたら羨ましいところだ。

 

 

❁❀✿✾

 

 

そうしてやってきましたファミリーレストラン。略してファミレス。

 

「んで、なんでこんなに大所帯なんですか?」

 

到着したのでずっと突っ込みたかったことを聞いてみる。

 

奈々さんと僕に美智瑠、静さんはわかる。

愛衣さんがいるのも委員長だし彼女もまた成績優秀なのでわかる。

そこに更に二人ほど知らない顔が追加されている。コレガワカラナイ。

 

「いやー華月さん達に勉強教えてもらえるって聞いたら一緒行きたいってお願いされちゃってさー」

 

「そ、園田一子(そのたいちこ)です!」

 

「赤野二江(あかのふたえ)よ」

 

「ま、まあ、よろしくおねがいします」

 

まあ、新しい交友というのはないよりは、あったほうがいいだろう。

正直僕って興味ないことすぐ忘れちゃうから次話しかけられた時に顔と名前が一致するか不安なんだけども……

 

「そういえば私達ってこういうファミレスに集まるの初めてですわね」

 

「本当にそういえば、だね。私はたまに愛衣とくるけど……華月さんなんて来たことすらないんじゃない?」

 

「そうですね、初体験です。ファミレスによる機会がそもそもないですからねー」

 

「ファミレス来たことないって、やっぱり華月さんってお嬢様なの? ずっと気になってたんだよね、いっつも車で送り迎えしてもらってるし!」

 

「僕のことはいいから勉強しましょ? 脱線してる時間はありませんよ?」

 

「うー、気になるー」

 

まあ、ファミレスって若者の溜まり場ってイメージあるしこれぐらいの年代ならよくくるものだろう。僕も前世の学生時代は某バーガーチェーンで長々と友人と駄弁っていたわけだし。今思えばあれほど迷惑な居座りもないな、と思い申し訳なくなる。

 

「ちゃんと真面目に勉強してたら華月さんも教えてくれるんじゃないかしら?」

 

「ちょっと愛衣さん……ええ、ちゃんとお勉強した後なら」

 

「よーし、分かった! 一子も二江もがんばろ!」

 

「は、はい、がんばります!」

 

「私は別にそんなやばくないんだけど……折角、だしね」

 

みんな素直、なのかな?

正直勉強教えるって言っても、

 

「明日は古文と世界史ですので……とりあえず出題範囲黙読しましょうか」

 

「へ? 黙読?」

 

「はい! 何回も読んで内容完全に覚えておけば最低90点はとれますよ!」

 

「えーとー……もっとこうここを覚えれば大丈夫とかは」

 

「僕ってそういう山勘みたいの下手みたいですからねー……あまりあてにしない方がいいですよ」

 

何かマンガで効率のいいノートの書き方とかリズムよく問題を解くのができるようになる秘訣だとか見たことがあるがテスト前日にすることではない。ここまで来てしまったらいかに出題範囲を覚えられるか。

 

「後はー……あ、ノートの書き写しもいいですよ。先生方がポイントを纏めてくれてますからノートに書いたことがテストにでるわけですし」

 

「うー、なんか地味だね。もっとこうばばん、と! こことここを、覚えたら大丈夫! みたいなのがあると思ってたー」

 

「僕は別に頭は天才的にいいわけじゃないですからねー。予習復習を日常的にやってるだけですから」

 

「それむーりー」

 

まあ頭で分かっていても遊びたい盛りの子供には難しいのかもしれない。

僕にしても前世で子供の頃にもっと勉強していれば、真面目に授業を受けていればもしかしたら、なんていう後悔があるからこそだし。

 

「ま、ぶつくさ言わずやってみましょ」

 

「そ、そうですよ、折角私たちに付き合ってくれてるんだから……」

 

「うー、わかったよー」

 

友人二人に促されて奈々さんも渋々教科書を読み始める。

うんうん、いい子いい子。

 

そんな、彼女たちを尻目にパフェ喰ってる先生側の三人は少し……頭冷やそうか。

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