どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

14 / 29
第十四話︰夜は考えることが多い

 

 

最近両親の様子が少しおかしい。

お風呂上がりに珍しく二人共リビングにいたので話していたが、何かひっかかる。

お父様に関しては今までも充分ウザかったんだけども最近はなんというかそわそわしながら話しかけてくるようになった。

ついに思春期の娘との距離感というのを掴めたのかとも思ったがどうも違うらしく、もっと家族だけの時は肩の力を抜いたらいいだの最近の流行りのゲームは何か、と今までは言わなかった事聞いてこなかったことを聞いてくる。

お母様にしても有名Y〇uTuberの名前を出して興味はあるか、知っているかと聞いてくるし最近ではバーチャルY〇uTuberというのもいるけどそれはどういうものなのかと聞いてくる。

そんなん知るか。自ら放送してお金を稼ぐという新たな仕事の形態と言っておいたが正直その認識が正しいのかも分からないし、特にバーチャルの方は二次元に萌えられる日本人にしか需要がないんじゃないかとすら思う。

二人共僕がそちらに対して詳しいかのように聞いてくるけど僕が両親の前でその方面に興味を示す素振りはみせていないからわざわざ話題に選ぶには何か理由があると思う。お父様に関しては何も考えてないかもだけど。

配信の為のミキサー購入がやっぱりそっちに興味があると思わせたのかな? さすがに購入目的が配信の為とは思ってないと思うけどネット界隈に無知を演出していった方がいいかもしれない……。

配信してるなんてバレたら、恐ろしいよりも恥ずかしい。

あんな素の姿なんて1度も見せたことがないんだから。今更砕けきった態度で接するなんて恥ずかしすぎる。できる事なら成人するまではしっかりお嬢様を演じて大人になったら徐々にクール系さばさば口調に転向していきたいところだ。

理想像としてはやはりお母様のようなおっとりしてるのにずけずけものを言うような女性なれたらいいのだが中身がこれだから難しいだろう。

むしろ、お母様の若い頃はどんな感じだったのかが気になる。きっと素晴らしい淑女だっただろうから是非参考にしたいところなのだけども。

正直今の僕の口調や立ち居振る舞いがしっかりお嬢様やれてるか不安な面もあるしね。

 

そういえばテスト、奈々さんたち大丈夫だったのかな?

明日には結果張り出されるけど、テスト終わりの様子を見る限りでは悪くはなさそうだったけど数学だけはちょっと表情暗めだったからあまりよろしくないのだろうが、終わってしまえば悔いてもしょうがない。

まあ、最終日には打ち上げと称してカラオケに行っていたので切り替えは早いようだ。

 

「カラオケ、ねぇ……」

 

つい独りごちる。思えば今世では1度も行ったことがないな。といっても前世では大のカラオケ好きだったというわけでもなくストレス発散目的で一人カラオケをたまにしたり職場の打ち上げや二次会なんかで稀に付き合わされたりと思い返してみても一般人の利用率としてはまさに並というくらいだろう。

だがよくよく思えば今の身体だからこそ前世よりもカラオケを楽しめるのではないだろうか。特にそう女性ボーカルのアニメソングなどは高音だから全く出ないということがないはずだ。

逆に男性ボーカルの低音が出せないのだろうがそこまで求めるのは欲張りすぎる。

カラオケか……行ってみたいけど全然今どきの曲知らないな。

家族揃ってテレビを全く見ないので今の流行りというのに滅法疎い。少なくともアイドルグループの名前などうろ覚えだし、最近で覚えてるのも不祥事を起こした山〇メンバーくらいだ。顔に関しては全く覚えてないけど。

女性アイドルグループに関してはもうまるで分からない。AK〇48がまだ活動しているかも知らないし、どの子が卒業してどの子が新メンバーかも定かではない。というか、あのグループの人気ソングで現役メンバー主体の曲はあるのだろうか。

 

これは、歌いに行ってもアニメソングと懐メロしかわからない事になってしまうのでは?

ヒトカラなら別にそれでも構わないのだがして現役JKとしてそれはダメだろう。というか四条華月がヒトカラとか許せないし、許されない。

学校帰りに1人で行ったら絶対田中さんにバレるしバレたらお母様に誰と行ったかとか聞かれるし、下手な嘘は絶対バレるし。

最悪の場合我が家にカラオケルームが新設されて定期的に家族でカラオケなんてことになりかねない。

というか娘が1人でカラオケ行ったとか知ったら絶対そうなる。張り切ってお父様が娘とカラオケしたがるに決まってる。

うーん、やっぱり美智瑠たち誘って行ってみようかなぁー。でも、美智瑠もカラオケって行ったことあるのかな?

電話で聞いてみよ。

 

「…………あ、美智瑠? 夜分にすいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど今大丈夫ですか?」

 

『こんばんは、姫様。こんな時間に珍しいですわね。ええ、私でよろしければ何なりとお聞き下さいな』

 

「ありがとうございます。あのね、美智瑠はカラオケって行ったことあります?」

 

『カラオケですか? すいません、存在は知っているのですが入ったことは一度も』

 

「あ、そうなんですね。実は……ちょっと興味が湧きまして」

 

『行ってみたい、ということですわね?』

 

「はい、でも一人で行くのは怖いので一緒に行きませんか?」

 

『姫様からのお誘いを断るわけがありませんわ! いつになさいますか?』

 

「ありがとうございます。僕はー、今週の土曜日昼から夕方までは空いてるのでその間でどうでしょう?」

 

『かしこまりました。静さんたちもお誘いしても構いませんか?』

 

「うん、大丈夫ですよ。明日また詳しいこと話しましょう。ありがとうございます、美智瑠」

 

『いいえ、私を頼ってくださって嬉しいです。そういえば――』

 

 

そこから1時間ほど話し込んでしまった。なぜ夜の電話というのは長引いてしまうのだろう。

 

 

後日談というか今回のオチ。

結局羨ましかったお父様によって我が家にカラオケルームが増えました。

運命は変えられないのです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。