どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

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第十八話︰夏休みの過ごし方 その一

 

 

 

夏休みいかに有効活用するか。

それはもういかに自室から出ないか、だ。

 

 

終わり。

 

 

というわけにもいかない。いや、実際ひと月と少しある休暇の初めのうちに宿題を全て終わらせて残りはいつも通りの予習復習してるだけでもかなり時間に余裕があり、残りはひたすら自室でごろごろ堕落した毎日を送ることができるだろうし、本当ならそうありたい。

だがしかし、僕個人がそれでよくても周りはそれをよしとせず外へ外へと連れ出そうとする。

まあ、別に外出するのは嫌いではない。友達との生産性のない語らいというのも楽しいし、多少なら身体を動かすのもいいだろう。

しかし、僕の親しい友人代表二人は身体を動かすのが一際好きなようで、部活動だけに飽き足らず新しい遊びを見つけてくる。

今日誘われているボルダリングもその一つだ。

知らなかったから検索して見ればクライミングの一つでロープとかハーネス? を使わないで行うものをさすそうだ。高さ制限などもあって最近では室内で行える場所もあって人気らしい。

うん、よくわからなかったけど、でこぼこした壁を登るらしい。絶対しんどい。

彼女らなりに日光の下で遊ぶのが嫌いな僕に配慮した結果なのだろうが、違うんや。

そもそも動きたくないのだ。夏なら「あいーすあいーす」とか言いながら転がるくらいがベストなのだ。

なぜ垂直の壁を突起があるとはいえ登らないといかないのか。そんな壁を登らないといけないような状況に陥るとでもいうのか。

いつかミサイル発射口に幽閉されるとでもいうのか。その未来が確定しているなら死ぬ気で身体を鍛えるけども!

ただ遊びとして行うならばそれはただの苦行ではないのか。勉強が社会においてまるで役に立つことのないように!

 

とまあ、言いたいことは色々あるわけだけども、一度承諾した以上は断るわけにもいかない。

そんなわけでやってきました、街のボルダリング施設。初心者コースから中級、上級と分かれ難易度が上がれば岩場の数や高さが変わってくるわけだけど……

 

「姫様? どうして動かないのですか?」

 

「……」

 

初心者コースのスタート地点から動けない僕でした。

いや、まずこのスタート位置に捕まり続けるだけでしんどいんですけど。足場もしっかりあるけどここから体重移動させて移っていくとか無理なんですけど。

逆になんで美智瑠や静さんはすいすいと進んでるわけ? 愛衣さんなんて早々に諦めて観覧モードに入ってるけど。

「あの静さんこれ、動けないですけどコツとかありますか?」

 

「え、んーと、こう……えいっ!ってやるだけだよ」

 

うん、なんか静さんに聞いたのが間違いだったね。ふんわりしすぎてて何にも参考にならなかったよ。

 

「右手の石に左手も持ってきたらいいのよ。そこから右手を次の石にスライドしたらいけるんじゃないかしら?」

 

さすが愛衣さん。第三者視点から的確なアドバイスをくれる。でも、分かってても自分でやってみる気はないんだね……

 

「んしょ……ん? あれ? ……ああ、なるほど」

理解した。この遊び僕がやるには筋力が足りなさ過ぎる。片手で身体を支えるとか無理。

そうと分かれば諦めの一手である。体育座りしてこちらを見ていた愛衣さんの隣に座ってまだ頑張っている二人を応援することにしよう。

 

❁❀✿✾

 

「今回のボルタリングは失敗でしたわね……」

 

「まぁ、私や華月さんにはさすがにしんどい遊びだったわね」

 

「そうですねー、正直なところ楽しさを見いだせなかったので……」

 

やっていく中でステージをクリアするなどの達成感や楽しい疲労感という充実感を得られるのだろうが僕たちの身体能力を甘く見てもらっては困る。

 

「私たちとしては2人にも運動の楽しさを知って欲しいけど中々難しいねー」

 

「美智瑠や静さんとはそもそもの体力差が酷いですからねー。ウォーキングあたりから始めたいところです」

 

と言ってもこの真夏の昼間を歩くのは辛いので夜が嬉しいけども。

 

「いいですわね、ウォーキング。あ、なんなら母に相談して学園で肝試しなんていかがです?」

 

なにそれ、楽しそう。やはり夏といえばホラーだよね。静さんはB級ホラー大好きだから賛成だろう。愛衣さんだけが嫌そうな顔をしていらっしゃる。

 

「それって、明かりのない校舎を歩くってこと?」

 

「ええ、中等部校舎も合わせればかなりの広さになりますわ」

 

「いいね、私は賛成だ」

 

確かに相当な広さだろうし、夜の学校なんて初体験だからわくわくしかない。いっそお化けでも出てくれれば更に楽しい。

 

「えー、私暗いの苦手なんだけど……後お、お化けとかでそうじゃない」

 

「大丈夫ですよ、愛衣さん。お化けなんて非現実的なものが存在するわけがありませんし、学校内外ともに警備の人がいらっしゃるので不審者に出会うこともありません」

 

「……そんな何か出てほしいみたいなキラキラした目で言われても説得力が一つもないわ、華月さん」

 

僕そんなに楽しみそうだった?

基本的に感情の起伏は激しい方でもないし、表情に至ってはぴくりとも動いてないのだがみんなは割と簡単に僕の喜怒哀楽を言い当てる。

目なのか。

目は口ほどに物を言うというやつか。

 

「はあ……まあ、確かに夜の学園が面白そうとは私も少しは思うし、いいわよ」

「決まりですわね。では手配しておくので今夜八時に再び学園前に集合しましょう」

 

夏休み早々いきなり肝試しとはこの先にプールも待っていると思うと早くも満喫してるなーと思う。

今日も既に外に遊びに来てるわけだし。

 

これも、一つの若者らしさってやつなのかなー

 

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