どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

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第二十四話︰酒宴をひらくわけ。

 

 

 

金持ちは何かと集まってパーティーだのと会合を開きたがる。求めるのはコネクションやら伝やらメンツやらと理由は様々だが、実際に開きたがるのは主催者よりもその周りであることが多い。

四条家当主であるお父様の言だが「必要とする人がいるから開催する」ということらしい。

今と昔も四条の名は強くパーティーの主催主賓にうってつけらしい。

僕には関係の無い世界だと、将来的に関わるつもりもないけど、次期当主という肩書きはそういう場に参加しなければならない宿命を負うらしく……

 

「四条家の娘さんは今日も美しい」

 

「本当に。ぜひ家の嫁に……」

 

「いや、あんたの家では格が合わんだろう」

 

「分かっているさ。しかし、もしもを想像するくらいいいだろう? あんな娘にお父様と呼ばれてみたいものだ……」

 

「それは確かに……」

 

超聞こえてるんですけど。ヒソヒソしてるくせに声でかいんだよ。

あれじゃないの? 今どきああいうのはセクハラ認定されるんじゃないの?

理由としては、脳内で娘と呼ばせる妄想をしている事を話していて嫌悪感を抱いた、みたいな。

ハラスメントは厳しいからね! 今でこそ声大きく言われてるけど前世の学校教育とかハラスメントの嵐だったからね。教師が差別贔屓してるんだからそらイジメも起こるわ。見本そのものが腐ってるのにそれを知らずに真似してるんだから。

そういう意味では現世の学校は優秀だなと上から目線に感じるのは通ってるところがそもそもかけられているお金が段違いだからかもしれないけども。

 

「華月、折角のパーティーなんだからそんな嫌そうな雰囲気を出すものじゃないわ」

 

僕を呼び捨てで呼ぶ人は非常に少ない。お父様とおばあ様。

後は……

 

「楓さん、来てたんですね」

 

神島楓(かみじまかえで)さん。美智瑠の母であり僕のお母様の無二の友であり、僕らの通う間同立学園の理事長もしているハイスペック美人だ。

 

「ええ、たまたま日本にいたのでね。あなたがこういった場を苦手にしてるのはわかるけどあまり態度にだすものじゃないわ」

 

「僕そんなに嫌そうでした?」

 

「ええ、あなたをただの鑑賞物と思っている殿方は分からないでしょうけど親しいものが見ればすぐ分かるくらいには」

 

僕はそんなに分かりやすいのだろうか。デフォが無表情なのでそこから読み取れないはずなのだが皆簡単に僕の感情を読み取っていく。

僕といえばそういう人の感情の機微には疎いので、言ってくれないと分からないことの方が圧倒的に多い。

察するって難しいと思うんだけどなー。

 

「にこやかに……は難しいでしょうし、愛想を振りまく……必要もないわね」

 

「やっぱり僕は大人しく隅っこにいるのがベストなんしゃないですかね」

 

「それは駄目よ。折角綺麗に着飾っているのに端っこに置いておくなんて勿体ないわ。ああ、そうだわ。華月、あなた私と一緒にまわりなさい」

 

「え、えー……」

 

「そんなに嫌そうな声を出さなくてもいいでしょう」

 

「だって、楓さんと一緒にまわったらおば様たちにもみくちゃにされちゃうじゃないですか」

 

「美しき者の宿命と思って諦めなさい。皆若さに飢えているのよ」

 

楓さんが挨拶に行くようなマダムは皆裕福で日頃からエステに通って己の美しさを保つことに余念のないような人たちばかりだ。そんな彼女たちからしたら十代半ばのぴちぴちの肌を持つ僕を弄くり回すのは凄く楽しいらしい。

でも、昔を懐かしみながら頬を引っ張ったりない胸触ったり、ヒップラインをなぞるのはやめて欲しい。同性とか関係なく怖い。主に目が怖い。

 

「あら、姫様。ご機嫌麗しゅう」

 

そこにグッドなタイミングで美智瑠がやってくる。何かパーティーと言えば、と言った感じのすごいドレスを着込んでいるがそんなことはどうでもいい。

 

「ああ、美智瑠、ちょっと一緒にお花をつみにいきませんか」

 

「ええ、ええ。この美智瑠、姫様のお誘いでしたらどこへでも付いていきますわ。さあ、こちらへ」

 

のばされた美智瑠の手をとってさっさと移動する。楓さんには軽く会釈だけしてなるべく目は合わせない。

 

「ちっ、逃がしたか。次はこうはいかないわよ」

 

怖い。やっぱり楓さんは怖い。

お母様みたいにうふふ、って笑っているのに怖いっていう特殊なパターンじゃなくてはっきりと快刀乱麻に切り捨てる様が怖い。

 

「大丈夫ですよ、姫様。何があろうと私がお守りしますから」

 

「ありがとうございます、美智瑠。グッドタイミングでした」

 

「ええ、ずっと姫様を見てましたから。このタイミングがベストと判断して馳せ参じた次第です。あら、これは言わない方がよかったでしょうか」

 

ぱちり、とウィンクをする姿も様になっている。やはり美人には何をさせても似合うんだな。

 

「まぁ、助かったから構いませんが。美智瑠、ウィンク上手いですね、僕はそんなに器用にできません」

 

「淑女の嗜みというやつですわ。幼い頃に意味もわからずされた教育の成果です」

 

「ああ、僕もお茶や生け花させられましたね」

 

お家柄、そういう場に出席する機会も少なくないのできちんと身につけているし、礼儀作法を学ぶという意味で非常に有意義だったが普通の子供にやらせても嫌々で大して身につかない気がする。

 

「我が家はそのへんはあまり厳しく教えられませんでしたね。母はいかに奇麗に魅せるか、などはうるさかったですけど」

 

「ああ、楓さんらしいですね」

 

結局その後は美智瑠と別室に移動して他愛ないお喋りを楽しんだ。

 

酒さえ飲めればパーティーも悪くないのだが如何せんこの身は未成年。

早く成人しないかなー。

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