どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

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第二十五話︰コスプレイヤー華月

 

 

美しいことは得である。

スタイルがいい事も得である。

どんなに気に入った服でも自分で着ることができなければ意味はないし、似合わなければ浮くだけである。

たまーにゴスロリを着ている何とも表現し難い容姿の人や年甲斐のない可愛い服を着ているどうにも年齢以上に老け顔の方を見るが、彼女らはきっと鏡を見る習慣がないんだろう。

勿論美しくなければ着飾ってはいけないと言いたいわけではない。

自分の容姿は百も承知。それでもこの格好が好きなんだ、という人もいるだろうし。

僕にしても着てみたい服があるし、やってみたい格好がある。

しかし、出来ない。それをやるには足りないのだ。

 

圧倒的に胸が。

 

そんな訳でやってきました。忙しい忙しいお盆前に東京ビッグサイトに。理由としてはコスプレだ。

折角の性別女である。折角の絶世の容姿である。活かすならばそれは、もうコスプレだろうっ!

あ、ファッションモデルとかは無理です。笑顔作れないです。カッコよくクール系とかなら、って言われても嫌です。めんどくさい。

 

しかし、いざコスプレするとなって困るのはコスプレしたいキャラと自分のスタイルが全くもって一致しないことだ。なんで極端にないかあるかの二択なの? 美乳キャラもっと増えろよ。限りなくAに近いBという素晴らしいピンポイント美乳キャラ。

あと黒髪ロングキャラ。

僕が、みんな大好き頼光ママなんてやろうものなら失笑の嵐で泣いちゃうね。まぁ、あんな裸タイツみたいな衣装絶対着ないけど。世のコスプレイヤーは凄いね。もういかに露出を増やすかで勝負している層がネットやカメラマンを騒がしているが僕には無理そうなので正統派で行く。

無難に行くならゆきのんだろう。リアルJKがJKヒロインをやるとか完璧すぎるし、衣装も制服なんで凝ったことをする必要もないので比較的楽な部類だ。

あと貧乳だし。

しかし、時節的流行りを追うなら少し古い気もするしなー。やっぱりいつでも皆の人気者ほむほむだろうか。がはらさんもありな気はするがどうしようと悩んだ末に僕が選んだのは……

 

「さすがお兄様です」

 

さすおにブラコンシスターである。こちらもこちらで旬を多少逃してる気もするが映画も上映されてたし許容範囲だろう。しかし、僕ではあのかわいいはやみんボイスは出ないのが残念である。中の人がんばれ。

 

しかし、暑い。暑さ対策のアイテムを色々用意したがそんなもの関係ないくらい暑い。

コスプレとしてはゴテゴテした装飾もなく楽な部類でもこの暑さなのだ。

あそこの褌姿のアカムの兄貴は涼しそうな見た目なのに、むきむきの筋肉が暑苦しそうだ。というか、あれはありなのか? 相方のキリン男爵は厠だろうか。

女性のコスプレイヤーはやはり露出過多な人が目立っているようで、カメラマンが囲んでいる。ああいうのって撮られてる側は恐怖を感じそうなものだが、慣れるものなんだろうか。

僕の場合、並びでの撮影オンリーでやっているので囲まれることはない。しかし……

 

「ねえ、美智瑠。静さん。毎回のことだけど何回も並ばないでくれます?」

 

「何を言いますか! いくら友人と言えどその場その場のマナーというものがございます!」

 

「いや、そういうことじゃなくてですね」

 

「華月さんのコスプレ写真は学内で高く売れるからね。種類多く撮っておかないと……おっと、これは内緒だったんだ」

 

静さん、あんさんなんばしよっと? 一時期中等部で僕の盗撮写真諸々が、高値で売買されてる事件あったけど首謀者あんたか! とんだ近くにいたもんだよ。

 

「なんかどっと疲れてきましたよ……」

 

「大丈夫ですかっ、こちらに飲み物も用意してあるのでどうぞお飲みください」

 

「ありがとうございます」

 

差し出されたペットボトル飲料をごくごくと飲む。やはり炎天下の下での活動は喉が渇く。そんな僕を笑顔で見る美智瑠と静さん。

ふう、と一息。

 

そこから意識がない。

世にいうペロガクならぬゴクゴクガクである。警戒心なさすぎてがっつり飲んじゃったけど。

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

僕は寝起きがいい方である。若い子特有の俺今日寝てねーわー、まじ全然寝てねーわーとアピールしたい気持ちもないのでしっかり六時間以上の睡眠を心がけている。

だからこうやって何かの薬を盛られても目覚める時はすっとぱっと覚醒できる。

うん、ここはどこかの撮影所といったところか。拉致したのが美智瑠、静さんなので特に身の危険もないはず……たぶん。きっと。メイビー。

 

「お目覚めですか、姫様」

 

「ええ、今日はどういう趣向ですか」

 

「話が早くて助かるよ。私達としては少しは狼狽えてくれると珍しいものが見れて嬉しいんだけど」

 

「慣れましたから。まさか薬を盛られるとは思ってませんでしたが」

 

「ご安心を。無味無臭無害ですので。効果的すぎて一生世に出ない品物です」

 

そんなものを公衆の面前で使わないで欲しい。別に説明してくれたら行くから。

どうにも美智瑠は過去に僕に誘いを断られすぎた事が一種のトラウマにでもなっているのか強硬策をとることが多い。

 

「今回は姫様に人様の前ではお披露目できないようなコスプレをしていただきたくてお連れした次第です」

 

「それって……もしかして」

 

「はい、例えばこちら!」

 

そう言って見せられるのは真っ白なドレス。ウェディングドレスっぽいが何か割とすけすけでコケティッシュだ。

 

「今流行りの姫シリーズからキングテレサ姫の衣装です。髪の方はダメージゼロ、むしろ潤う染色料を使うのでご心配なく。姫様の肌の白さなら間違いなく神コーデになります」

 

うん、ありだ。自分でもきっと素晴らしい出来になるだろうと想像できる。ただ露出の高さを考えれば人前では確かにできないだろう。

 

「私からはこれだ」

 

そう言って静さんが持ち出したのは真っ赤な衣と袴? もしかして……

 

「察しの通り犬〇叉だ。美智瑠さんから髪を銀髪に染めると聞いてたからね。これなら半妖と人間両方できるだろう?」

 

静さんはそうきたか。

なるほどなるほど、なるほどなぁー。

 

超ありだ。

 

この二人は一体いつの間にこんなに僕のツボをつくのが上手くなったのだろう。

基本的に着飾るのが苦手と言っている僕が彼女らに明かしている珍しい趣味の一つが、コスプレで、長い付き合いの中で二人とも知識を身につけたのだろうが、やりがいのあるところを選択してくるのがずるい。

後、静さんの求めるコスプレは夏場の空調のない場所でやると確実に死ぬので確かにこういった撮影所でないと無理だろう。

 

「しょ、しょうがありませんねぇー。二人がどうしてもというなら僕もやぶさかじゃないです。……今回だけですよ?」

 

 

(ちょろいですわ)

 

(ちょろいな)

 

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