どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

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第三話︰1番落ち着ける場所で製造される黒歴史

 

 

 

簡単な自己紹介、オリエンテーションを終えれば初日なので帰るだけ。静さんは寮生活なので徒歩で帰宅。僕と美智瑠はそれぞれの迎えの車で帰宅。女子校と言っても度の越えたお嬢さま学校というわけでもないので学園駐車場に迎えの車が大挙するということもないが今日は入学式ということもあって車帰りの子も多いようだ。

「おかえなさい、華月さん」

「ただいま」

車で数十分の自宅に帰れば珍しくお母様が出迎えてくれた。父母共に忙しく国内にいないことも多いことを考えればこの昼間の時間に家にいるというのは本当に珍しい。

「入学式はどうでしたか?」

「んー、特にこれと言って何事もなく。ああ、美智瑠と静さんと同じクラスでした」

「あらあら、それはようございましたね。あなた達仲がいいですものねー」

「うん、今日は家で夕ご飯ですか?」

「いえ、折角の入学祝いですし外にいきます。お父様も無理矢理でも帰宅させますからそれまではゆっくりしておいて下さいな」

もうお母様の一言で我が家の力関係がわかるな。

 

お母様>>>超えられない壁>僕≧お父様=ジャンヌ(犬)

 

といったところだろうか。

「分かりました。ではまた後ほど」

そのまま無駄に、本当に家族3人とペット、そして侍女や秘書の人たちをいれても十人前後が住むには広すぎる日本屋敷の廊下を五分くらい歩いた1番奥に僕の部屋がある。部屋といっても屋敷内に1LDK構えた1室なので実家で擬似一人暮らしをしているようなものだが。

別に家族仲が悪い訳では断じてない。正直こんな中身おっさん入ってる見た目詐欺の娘に愛を注いでくれる父母に対する申し訳なさはあるが、だからと言ってこちらから壁を作っているわけではない。

ただ中学2年の身体が思春期の頃に自分の部屋が欲しいな、とポロリともらしたらポンとお父様が1晩で用意してくれたのがこの部屋だ。

監修はお母様。テーマは『自立した子供部屋』らしい。お金があるからと言って親に頼り切らず自分の事は早いうちから自分でできた方がいいと言う素晴らしい考えからくるものだがそれを実現させるために家の中に新しく水道をひく辺り金持ちの感覚ってやっぱズレてると再認識させられた。

まあありがたい事には変わりない。一人娘だからか周りの大人は何が何でも構って手を貸して甘やかそうとするので常に誰かに見られているストレスがあったのだ。

完全にマンションの1室同然と化してる自室のドアをカード認証で開ける。入ったらしっかり内鍵も閉めてぱっぱと制服をそのへんに投げ捨てながら寝室に直行。

そのままキングサイズの、ベッドにダイブ!

「あ゛ぁ゛あ゛あー、疲れた! 疲れたぁーもーほんと女の子やるの辛いーっ」

防音対策万全だからできる文句を思いっきり叫ぶ。いや、ほんと辛い。周りすべて女子って環境がもう今年でもう十年目に突入する。同年代の男の子を近くで見て触れ合ったのなんて幼稚園時代まで遡らないと思い出せないレベルだ。

現在の性別的に男と触れ合いたいなんて口が裂けても言えないがあまりにも周りが女の子で固められていて自分の常識が狂いそうだ。

「しかもやたらと距離近いし……。美智瑠とか絶対レズでしょ」

やたらボディタッチが多いし。あそこまでいくとレズとか超越したヤンデレに足を突っ込んでる気もするけど。

「静さんもなー、時々目が笑ってないのがなー怖い」

時々ね、時々だけどね。

美智瑠のボディタッチが激しい時とか「ははは、程々にねー」って宥めてるようで全く目が笑ってないどころか殺気を含んでる気がするんだよねー、美智瑠に対して。

「……うん、あんまり深く考えるのはやめよう。───それよりも」

ベッドをころころ転がって立ち上がってリビングに向かう。お昼食べてないから自分で作らないと。

本日のお昼はお手軽簡単チャーハン! 野菜とかお肉なんかは何も言われないけどインスタントラーメンなんか持込もうとしたら没収されてしまうから食べられないのが少し悲しい。

自炊に関しては前世の成人時代の一人暮らし歴の長さから安くて簡単、しかもそこそこ美味しいのを作れる自信ありだ。今となっては安上がりなんて気にしなくていいのだが染み付いた貧乏性は抜けなかった。

「今日は何見ようかなーっと」

チャーハンができたらノートパソコンで何かいい面白い動画はないかと動画サイトをサーフィンする。

ああ、やっぱり自室が一番俗世に染まってて落ち着くなー顔見えないから皆言いたい放題で日常とは違う意味で距離感が近い。

「Y〇uTuberかー、こういう人との繋がり方もあるけど正直僕がやった場合身バレしたらただじゃすまなそう……」

生主!ってのはなんか女の子ってだけでちやほやされる場らしいので論外。別にちやほやされたいんじゃなくて僕は気軽な話とかしたいのだ。

「ん、変声機でネカマとかあるんだ……これ逆でやれば……」

男の声でなら皆辛辣な感じで来ていいんじゃない、これ。

べ、別に罵られたいわけじゃないんだからねっ!

ただ男同士の下ネタとかいれた馬鹿みたいなやりとりに飢えてるだけで!

「顔出しなんて当然できないしー、Twi〇chで変声機使ってゲーム配信ならありかも?」

でもでもそういうのやるってなったらマイクとか機材がいるんかな? うーん、美智瑠とかとパソコンで喋る為で許してもらえるかな?

今夜聞いてみよ。

「配信かー、わ、ちょっと楽しみかも」

 

この時僕はこれが、これから起こる圧倒的黒歴史のフラグを建築中とは全く気づいていないのだった……

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