どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。 作:今日のぱんださん
FPSというゲームジャンルがある。簡単に言えば一人称でのシューティングゲームである。三人称の場合はTPSというらしい。最近ではそれに+αバトルロワイヤルルールを取り入れたゲームなんかが大変人気とのことなので、早速流行りのF〇rtniteさんをやって配信してみた。
いわゆる初見プレイでやってみた!的なのりでやってみたのだが、あれだね、そもそも閲覧者がこないね!
数人閲覧者が増えてるけどコメントすることもなく、去っていっているみたいで、それなのに1人ゲームしながらえー、とか、うわーとか拙いリアクションとって喋ってるのはもう恥ずかしいことこの上ない。世の配信者さんは凄い。
あとこのゲーム凄く難しい。敵を見つけて銃で倒すのも大変なのに建築とかなにそれ? こっちが先に見つけて撃ってるのにかかかっとあっという間に櫓作って上から撃たれて負けるとかなにそれ? チートなの? 人間スペックがチートなの?
「うん、僕には無理無理。建築ボタンとかそもそも指届かないし。リアクション取りやすいけど向いてないなーそもそも配信してみようとか早計だったんだ」
わざわざ変声機入れていい感じのおっさんボイスでやってたけど、そもそもゲーム配信をやる能力が圧倒的に不足してるから閲覧者がつくわけもない。
もうやーめよっと。ボイスチェンジャーを切り動画サイトでプロゲーマーのスポットライト動画を見る。
一瞬のうちに建築したり落下しながら敵を倒したりボム?を使ってテクニカルに敵を倒してるのを見てると「すごーい」とか「やば!」とかただただ語弊力の乏しい言葉ばかり漏れるが見てる分には楽しそうだ。見てる分には。
動画を楽しんでいるとプルル、と僕のスマフォが鳴る。画面を見ればお母様からだ。
「はい、何でしようかお母様」
「あ、華月さん? 明日からお父様と私、海外に行きますので今夜は外でご飯にしようと思います。何か希望はありますか?」
「でしたらー、僕は久しぶりにあの美味しいピザ屋さんに行きたいです」
「ああ、あそこですね。分かりました、では7時すぎに玄関に来てください」
「はーい」
電話を切る。やった、久しぶりのハイソすぎない夕食だ。たまには居酒屋さんなんか行ってみたいのだが流石に15歳の女の子が求めるご飯ではないだろうから我慢だ。
さて、今の時間は6時。お風呂に入って乾かしてれば丁度いい時間になるかな。
「ふふーん、ぴっざぴっざー」
楽しみで鼻歌なんか歌っちゃいながパソコンをシャットダウンしようとする。ブラウザなどを閉じていこうとすると点滅してるブラウザがあることに気づく。
「んー? ……あ」
配信切り忘れてた。なんかめっちゃコメント来てるんだけど。
え、なになに、声めっちゃかわいい? リアルお嬢さまktkr? とりあえずパンツの色教えて?
典型的だな、こいつら! 性別判明した途端これか! いや、待てまだ慌てるような時間じゃない。まだ挽回できるとマイクを付け直す。
「ふーははは、馬鹿め騙されたな! わざとボイスチェンジャーで女声を作ったのだ! まんまと釣られてコメントしたな!」
『無理すんな、お嬢さま』
「あ、あう…お嬢さまじゃないし! 違うしおっさんだから!」
『お嬢さま系おっさん爆誕! これははかどりますな』
「捗らねぇから! いや待て勘違いするな、僕は30後半のちょっと前髪の後退気にしてるおっさんだから!」
『やめてくれ、その言葉は俺たちに効く』
『リアル僕っ子ゲーム下手お嬢さまとかキャラ盛りすぎだろ』
「ゲームやってるの見てたならコメントしろよおぉぉ!」
ああ、だめだこれは否定すればするだけ墓穴掘るやつだ。これは切ろう、仕切りなおそう。
「もういい! 僕お風呂入らないといけないから配信切るから! そもそも配信切ってる予定だったしね、じゃあな!」
『ごくごくごく』
『ごくごくごく』
『ごくごくごく』
「うわー……」
配信切ったけどほんと気持ち悪いな、こいつら。しかもほんのちょっとのやり取りのはずなのに0だったチャンネル登録者数が数10人に増えてるし。
やっぱネットの民って女の子が好きなんだなー配信者とか距離ちかいけどちょっと二次元っぽさもあるのに中身は三次元というまさに2.5次元体現してるようか存在だもんな、特に女性配信者だと。
いやでもこういう弄られる感じはなんか新鮮でいいな。食いつきはえげつなかったけどちやほやとは違ったし。これは信者みたいになってきたらもう怖いしやるたくないけど。
「案外ありかも?」
❁❀✿✾
その頃の本邸。
「やはりうちの娘は世界一かわいいですね」
「全くもって。ご飯10杯は余裕です」
「思春期だし何か隠し事の一つや二つあるだろがまさかネット配信とは…むしろ御褒美だな!」
「気持ち悪いです、清良さん」
「気持ち悪いです、旦那様」
「嫁と秘書が辛辣すぎる」
居間のテレビに映し出される我が娘の姿。横にあるノートパソコンにはさっきまでされてた華月の配信もばっちり視聴してた。
「しかし、葉月、配信止め忘れてる事を教えずわざわざ電話で性別バレさせるとは…オヌシもワルよのう」
「いえいえ、娘の部屋のリビングにがっつり隠しカメラ設置してる清良さんほどではありませんよ」
夫婦二人ではははふふふと笑い合う。それを見てどっちも大概と思う秘書田中(たなか)であった。