どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

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第五話︰やはり日常は非日常

 

 

 

高校生になって1ヶ月。

学校生活はどうか、と来訪するよく親族に聞かれる。華月さんは優秀だからさぞ皆に慕われるのだろう、と軽い感じで言ってくるが正直僕からしたら慕われるなんてそんな生温いものではない。

 

高校に入るにあたってこれからは一般生徒のように電車通学を試みてみたが一週間あたりで登校時間を把握されたのか当たり前のように美智瑠と静さんが駅のホームで待っている。美智瑠はまあ例の如くストーカー気質があるから分かるがなぜ静さんもいるのか。しかも彼女の場合寮生活だから学校まで徒歩五分の距離に住んでいるはずなのに。

 

問うても無言の笑顔で「おはよう、華月さん」だ。

怖い。

 

 

登校時間を把握しているのは何も彼女たち二人だけではなく見知った顔が当然のように、同じ電車同じ車両に乗ってきて僕の周りだけいつも通り人口密度過剰に陥り酸欠になる。

 

うん、これはやっぱり今まで通り車登校だなと思い直してたのは二週間目に入ってすぐ。それからは登下校の時間が家の外では唯一ゆっくり安らげる時間と言って差し支えない日常だ。

教室に行けば囲まれ、昼食時は何とか避難を試みるが如何せん身体能力にそこまで自信の無い僕では十数人の追尾を振り切れるわけもなく、大人しく大食堂に紛れてしまう方が賢いと気づいてそうしているが、最近先回りして席を確保されているケースが増えてきているのでまた新しい手段をこうじる必要がありそうだ。

 

 

放課後の部活動に関しては帰宅部なので束縛はないので、なるべく真っ直ぐ家に帰るようにしているのだが結構な確率で生徒会の先輩方に捕まることが増えてきた。現生徒会長が中等部の頃も生徒会長を任されていた人なので当時会計だった僕を覚えていたようだ。

 

高校は部活動にも生徒会にも所属しない、自堕落な生活を送りたかったのだがこの分だと生徒会に引きずり込まられそうな嫌な予感がする。これも断れない性格が災しているようなのだが前世の僕の年齢からしたら姪っ子あたりな年齢の子供たちの頼みというのは何とも断りづらいところがある。

 

 

まあ、今日は帰るけどね! 思惑とは異なったけど配信がうまく軌道に乗りそうだしこういうのは継続が大事だから忘れられないようにしないと。

授業終了とともにさっさと教材を纏めて帰り支度を整える。美智瑠はバスケ部、静さんは剣道部に所属しているので帰る僕を止めることはないはずだ。

 

はずだった。

 

「姫様、お帰りですか?」

美智瑠が本当にいつの間に移動したのか僕の背後から聞いてくる。

あれ、おかしいな、さっきまで右斜め前の席にいたのになんで僕の後ろにいるんだろう? イザナミかな?

「ええ、特に用もないですから」

これが悪手だった。

「それはちょうど良かった。これから美智瑠さんと宿泊研修の為のお買い物行こうと思ってたんだ」

静さんも後ろから僕の肩にすっと手を置いて言ってくる。因みに彼女の席は最前列。僕は1番後ろ。

ザ・ワールドかな?

「宿泊研修…ああ、そんなものもありましたね。でも、僕はこれと言って、わざわざ購入するものもないから家にかえ───」

「いけません! 淑女たるものお泊まりとなれば新しいパジャマに下着は必須です! それに…華月さんこの間の身体測定の時少しお胸が成長してましたよね?」

待て、なぜそれを知っている。

「私を、誰だとお思いですか? 華月さんの1番の理解者、神島美智瑠です! 身体の変化を知るなど朝飯前でございます」

「美智瑠さん、そのへんの情報後で私にも詳しく教えてくれない?」

「本来なら部外秘ですが、静さんにだけはこっそりお教えします」

がっしりと硬い握手を交わす2人。ああ、なんで僕はどうしてこんな人たちと友人をやっているのだろう。

いや、別に悪い子達じゃないんだ。基本的には品行方正、成績優秀の淑女を素でいく2人だ。

授業は真面目に聞き、部活動は活力的に取り組み、広い友人関係を持ち、人を悪くいうことも無い。

話していて話題も尽きないし楽しい。うん、悪いことなんて何も無いはずだ。

 

何もないはずなのに、

「さあ、華月さんお買い物にいきましょ?」

「部活なら心配いらないよ。もう昨日のうちに休むことは伝えてあるから」

右肩に美智瑠、左肩に静さんの手が乗せられ、両腕もがっしりと掴まれる。僕のカバンはさも当たり前かのように美智瑠のSPさんに預かられ教室からの退室を促される。

 

唐突だが、二人共容姿に優れている。

美智瑠は茶色がかった巻毛でふわふわしたボリュームの髪とのほほんとした柔らかい印象を受けるおっとりタイプ。

静さんはショートヘアのすらっと高身長のクール系王子様。

タイプは全く違うが二人とも文句の付けようのない美少女だ。

そんな二人がにこにこと笑っている姿などさぞ絵になるのだろうが、その目はぎらぎらとまるで獲物を見るかのに僕を見てくるので正直ただただ怖い。

「姫様にはどんなパジャマを着てもらいましょうか。普段は男物の随分とラフなものですしここはしっかりフリルをあしらったかわいらしいものもいいのでは?」

「ラフさを追求してワンピースタイプもいいんじゃない? いっそ透け透けのやつ、とか」

「攻めすぎな気もしますがそれもグッドですわね! ああ、想像するだけで…」

ごくり、じゃないから!

「ええ、もうこれは想像するだけで…」

はあはあ、しないで!

この後、めちゃくちゃ着せ替え人形させられた。

 

 

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