どうやら百合百合しい世界に転生したらしい。   作:今日のぱんださん

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第八話︰少女たちの語らいは終わりを知らない

就寝時間を迎え、あとは寝るだけ。友人二人が鼻から愛という名の血を流した以外は特におかしな出来事もなく滞りなく一日の終わりを迎えようとしている。

 

が、女子の夜はここからが長いのだ。

消灯したからと大人しく寝るはずはなくそれぞれのスマフォを灯りに布団を被ったまま座り直す皆。傍らにはトランプや飲み物とまだまだ遊ぶ気満々の様子だ。

 

「さあ、皆さん今夜は語り明かしますわよ!」

 

「美智瑠、僕はもう寝たいんですけど」

 

「そうよ、美智瑠さん。明日も朝早いんだからちゃんと寝ておかないと。それに夜ふかしはお肌に悪いんだからね」

 

僕に続いて我がクラスの委員長である木崎愛衣(きさきあい)さんも寝たい派のようだ。

 

「えー、私ももう少し喋りたいな。ねー、愛衣、ちょっとだけだから! ダメ?」

 

最初から美智瑠と結託してたであろう静さんが愛衣さんにお願いしているが、我がクラスの委員長がそんな安いお願いに惑わされるわけ…

 

「ま、まあ、静がそこまで言われるなら…」

 

陥落早いな、委員長!

愛衣さんも中等部から一緒でお互いに知らない仲ではないが、そういえば前々から何かと静さんに対して甘々だったような気がしなくもない。お互い呼び捨てだし。

 

「愛衣さんは静さんと仲がよろしいんですね」

 

「仲がいいなんてっ! ま、まあ中等部からずっと寮の同じ部屋だから仕方なく、よ」

 

「私は愛衣が同じ部屋で感謝してるよ。ほら、私って片付けられない女だから」

 

「片付けられないんじゃなくて最初から片付ける気がないの間違いでしょ。出したら出しっぱなし。脱いだら脱ぎっぱなし。いつも誰が片付けてると思ってるの?」

 

「うん、だからありがとね、愛衣」

 

「…もう、仕方の無い人」

 

うわー、ほんとチョロイな委員長。

 

「愛衣さんも賛成のようですしこれで3対4ですわね、姫様」

 

「はいはい、分かりましたけど何を語り明かすんです?

 

「やはりこういう時の定番と言えば…恋バナ!」

 

「怪談!」

 

「「え?」」

 

美智瑠と静さんで意見が分かれる。まぁ、どっちも定番中の定番と言える。

女の子と言えば恋バナ! と言えるくらい女の子は恋バナ好きだ。

怪談話も夜の暗闇の中で薄あかりで行うと雰囲気も出てもってこいだ。

僕としては恋バナよりは怪談の方がいい。

そもそも恋バナと言える恋バナのストックがひとつもないのだ。なんなら出会いそのものがない。

いや、別に僕は悪くないんだけどね。街を歩けばナンパなんてすぐあうし、アイドルやらモデルやらとスカウトもうける。

だけどもそれが恋バナに発展することなんて万が一にもないし、それ以外で異性と触れ合う機会なんて親戚付き合いの会合であう従兄弟再従兄弟くらいしかいないのだが、 いつからか避けられるようになった。どうやら大き過ぎる家名がどうも邪魔しているらしい。

うん、僕悪くないな。

 

と言っても、別に男性に興味があるわけでもないし、四条家の決まりとして第一子が当主を継ぐ決まりなのでそのうちお父様がお婿さんを連れてくるだろう。

恋愛結婚は無理だろうなー…

 

「やはり気になるじゃないですか、誰かが誰かを好きとかそういう話って! 特に姫様が誰かに興味があるとかそういう話とか!」

 

「それは凄く分かるけどやっぱり、定番と言えば怪談でしょ!」

 

「二人共もう少し静かに。あんまり騒いでると先生きちゃうわよ」

 

「姫様は、どちらがいいですか!? 恋バナですわよね?」

 

「勿論ホラーだよね!」

 

「ん? んー、両方したらいいんじゃないですか? あ、因みに僕は恋バナありません。出会いも無いし男の人に興味もないですからねー」

 

「……男性に興味が無い? それってつまり…」

 

「女性に興味があるってこと?」

 

「あらー」

 

ん? 言葉のニュアンス間違えたかな? なんか三人が顔を赤らめて僕を見てくるんだけど。

まぁ、女性の方が興味あるってのは間違いじゃないか。元々がそうだったのだから。

不思議と自分には全く欲情しないし、それどころか欲情って何ぞってくらいずっと賢者モードなのは性別ゆえなのか内面が枯れ果ててしまったのか…

 

「まぁ、女の子の方がかわいいし一緒にいて楽しいことには違いないですねー」

 

「あーそれは分かるな。私も今現在男性とのお付き合いは考えられないし華月さんや美智瑠さん、愛衣と一緒にいる今が楽しい」

 

「私は今だけと言わずずっと一緒にいたいですわ!」

 

「…私は恥ずかしくてとてもそんなこと言えないわ」

 

うん、やっぱり、みんないい子だなー。

 

「よし、いい雰囲気だし私がとっておきの怪談話を披露しよう。とある少年達が十二宮へと続く階段を────」

 

「それ以上はいけない!」

 

「ひでぶっ」

 

意気揚々と怪談話をしようとした静さんがぱたりと女の子と思えない声を上げて倒れる。

一瞬の出来事に美智瑠は何事かと駆け寄るが僕は確かにあの一瞬の間に静さんの首元に何かをする愛衣さんの姿を見た。

恐ろしく早い手刀…僕じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

「きっと疲れていたのよ。今日はもう寝ましょ」

 

「そうですわね。お二人共おやすみなさい」

 

「ええ、おやすみ」

 

「うん…おやすみなさい」

 

にこやかにたおやかに言う愛衣さんに僕は何も言えずそのまま見なかったことにして眠りにつくのだった。

 

くせ強い人多いなー

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