Alice gear aigis〜Ravens rebirth〜   作:Shukurea

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今回はちょい短めです。

尚、これより原作という舞台装置をぶっ壊しますのでご了承ください。

長らくお待たせ致しました。継続して書くのは案外難産ですねぇ…


ムラクモって存在はいつの時代もロクデナシばかり

「俺〜は、ファットマン〜、戦場の運び屋〜。俺〜はファットマン〜。いつも運び屋〜。バンバ〜ンハバ〜ン…」

成子坂に着任したファットマンは何の曲か分からない鼻歌をしながら社内を案内してもらい、ある程度の施設を見てから事務室に着く。

「ほう。まぁ、ありふれた感じで一般的だな。あ、自己紹介は好きにしていいぞ。ラインアークが持ってきた資料でプロフィールは把握してるもんでな。えーと…比良坂さん、兼志谷さんと百科(ももしな)さんか。改めてよろしくな!」

ファットマンは享楽的な表情で話す。

「「「よろしくお願いします。」」」

3人は揃った挨拶する。先程の傭兵の考えが響いてるようにその声色から恐怖が抜けきってないようだ。

(あちゃー、これは下手なこと喋ったかなぁ…俺、昔から女心ってのが理解しにくいしな…ううむ。)

と、この空気を遮るようにファットマンの端末に電話が入る。(因みに着信音はdirty worker)

「ラインアークから?もしもし、依頼開始早々にどうした?…は?テレビだと?アクトレスニュースを見ろって?」

端末片手にテレビを点ける。そのニュースによると成子坂を叢雲工業が買収する準備をしている発表だった。

叢雲工業はアクトレス業界最大手とも言える大企業だ。そんな企業が成子坂を買収することは、ラインアークを経由して成子坂の依頼を受けているファットマンからしたら依頼契約と報酬が無に帰り兼ない事態であった。

「は?マジかよ⁉︎これじゃあ金も全部パーだぜ!マジにならないとちょっとマズイかもなぁ…」

「「「ええええええ⁉︎」」」

『すまない。この情報は電撃的に発表されてな…予め伝えるのは難しかった。だから一つだけ言うぞ。敵さんは大企業だ。あらゆる面から気をつけろ!こちらから新しく情報が入手できたらまた連絡する。頼むぞ、ファットマン!』

ラインアークがそう言うと通話が切れた。

「買収されて叢雲工業って事は…いきなり有名企業のアクトレス!現代のシンデレラだね!」

シタラが気楽そうに言う。

「バカ言うなよ!買収されたら俺も報酬受け取れないし、お前ら皆リストラだ!…だが、内情がラインアークでも掴めてないからなぁ。百科さん。この会社にそこら辺に通じた情報屋みたいなヤツは居ないのか?ラインアークが中身を捉え切れてない以上、そういう人間がいると助かるんだが。」

「一応、整備班の磐田さんなら分かるかもしれないから聴きに行きますか?」

「勿論だ。1ミリでも中身が掴めるならどんな手段でも使うさ。」

——————————

 

所変わって成子坂地下の整備室。

そこにファットマン一行が押しかけて整備班の磐田に事情を説明する。一応、アリスギアを扱うため、アクトレス3人組はアクトレススーツに着替えていた。

「…んで、俺んトコに来たってワケか。俺も寝耳に水でな、内情はよく分からないンだよ。無駄足踏ませてすまないが、そういうこった。」

「そうか…初日から押しかけて失礼かけちまったな。」

「ただ、正直言うと金銭的にこの会社が危ないからってのはあるのかもしれん。」

「…あー、成る程な。つまり、金銭的にヤバいから救済しつつ取り込むのがヤツらの狙いって考えられる…と。」

ファットマンは磐田の発言から簡略的だが把握する。

と、ここでファットマンの頭に引っかかってワードがあった。

「待て、今金銭的にヤバいって言ったか?具体的にはどのくらい赤字溜まってんだ?」

「「•••••••••••••••」」

「え?言いたくないくらい溜まってんのか?そうか••••」

そう言うとファットマンはため息をつきつつも

「んで、やるのか?借金返し代わりのヴァイス掃除をさ。俺はまあ…俺の生活費掛かってるし、やるべきとは考えるが。」

これがファットマンの生き方を表す言葉であるが、勘違いを招きやすいのも然りである。これに百科はちょっとだけ憤りを感じた。

「ファットマン、貴方は他人に考えを委ねているのかしら?」

「ハハハ、まあ言い方が悪かったな。俺の生き方ってのは『好きにように生きて、好きなように死ぬ。誰の為でもなく。』つまるところ、俺はお前らの生き方や考え方に異は唱えない。それに異を唱えてイキッて救えなかったことがあるからさ…。だからさ、お前らも自分らが思うがままにやってみようじゃねぇか…ってさ。あの依頼やりたいとか、こうして私は何々をしたいとかさ。あ、ただし命に関わる話なら別だがな!ハハハ。」

ファットマンが言ったのは傭兵兼運び屋としての矜持だった。

他人に異を唱えず、他人をその人が思うがままに生きようとさせることが人生を楽しむルールであると信じるが故に。

「ファットマンさんの言い方は分かりにくいです。けど、何か大切なことだって思います。私は、ヴァイスを倒して人助けをしたいんです。だから、私は行きます。隊長。」

夜露がそういうことに応じて

「なら、決まりだな。んで、ちょっと気になったんだが…俺はそこで指揮を執るだけか?そこの椅子に座っているだけでか?」

「まあ、そういうことになりますね。初日から忙しいですが、よろしく頼みます。」

いつもの武装ヘリでない為か、ファットマンはちょっとだけ慣れないように見える苦笑いを浮かべながら司令室の席に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

——————-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、コンソールの端にメール受信通知があったがファットマンはこのヴァイス討伐ミッションが終わるまで気づかなかった。

その依頼主は叢雲工業の関係者を名乗る人物であり、後にあらゆる意味で重要な事象を引き起こすトラブルメーカーでもあった。

 

 

 

 

送信者:吊り下げ男

件名:そこにいる傭兵に依頼をしたい

本文

突然の依頼、失礼します。私は叢雲工業の関係者であるが、最近の叢雲工業はキナ臭いことをしている。どうも違法な研究をしてるらしく、更には壁外区域にて発生した大型種を放置しているらしい。

だが、一介の関係者には調べることは容易ではない。

そこで、傭兵のアンタとアクトレスらに壁外区域の調査を依頼をしたい。詳細な話は浅草エリアのBar「老神」にて行いたい。なるべくアンタ1人でな。勿論、私も1人で行く。

とは言え、一方的に依頼するのも人間性的に申し訳ないと思う。

そこで、ちょっとしたギアを試験的に提供したい。これは叢雲工業としてではなく、一個人としてだ。無論、金の代わりに戦闘時の稼働データを頂きますが。

アンタのいる成子坂も資金難だ。ギアも手に入るし、壁外区域の養殖がクロで大型種を倒せば基本報酬に上乗せされ、更にギア使ってくれたらデータも手に入って私とそちらでwin-winでしょう。

返答を待ってます。

 




オリジナルギア紹介
G-AL-LG5:カラサワ(量産だと星3重力属性)
有志で集まった技術屋集団であるチーム−G製の実弾型スナイパーキャノン。かつて存在したという伝説がある名銃・カラサワ…を模して製作されたもの。
模して製作された為か、伝説が出来た時代ほどではないがアリスギア業界でも随一の破壊力を有する。
尚、専用型も設計段階は終了しているらしく、その際はエネルギー型スナイパーキャノンになるそうだ。

次回は序盤ミッションで登場する大型ヴァイスミッションのお話になります。
題名:毒蛾の対処方法は手慣れている

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