〜「if」もしも、あの時あの選択をしていなかったら〜 作:クロノス@百合おじさん
「…俺はまた間違えたんですか?」
俺は恐る恐る聞いた。
「今回に関してはね。方法自体はよかったと思うよ。でも、タイミングが悪かった。文化祭で、君は成功するべきじゃなかった」
「今回は?」
「さっき言った慣用句を覚えているよね」
「はい。……もしかして、今回失敗することが、成功に繋がるんですか?」
「ええ。もっとも、その成功が確実なもので、どういったものなのかはわからないけどね。……もう、わかったんじゃない?」
雪ノ下さんから得たヒントを並べていく。
「失敗は成功のもと」と言う慣用句。
今回の文化祭は成功した。しかし、失敗すべきだった。ということ。
今回の文化祭で俺が感じた“違和感”。
そして、雪ノ下さんが俺をこの世界に連れてきた目的……
「雪ノ下さんが俺をこの世界に連れてきた目的は、気づかせるため」
「うん」
「「失敗は成功のもと」…失敗は、元の世界のこと。あの時、俺は失敗したが、その失敗は必要なものだった」
「うん」
「あの結果でも、得たものはあった……失敗したという経験」
「そう」
雪ノ下さんの反応が変わった。恐らく、これで合っているのだろう。
「そして、それは俺だけでなく、雪ノ下達、もっと言えば相模にだって必要な経験だった」
「そう」
「俺が感じた“違和感“の正体は“疑問”だ。元の世界では、あの結果があったから、相模は成長することができた。俺だって、元の世界の文化祭がきっかけで、今の雪ノ下たちとの関係ができたんだ」
「俺は、その機会を潰した」
そこまで言うと、雪ノ下さんは満足したような表情で訪ねてきた。
「もう一度聞くよ。元の世界の文化祭と今の世界の文化祭、どっちが楽しかった?」
「元の世界の文化祭です。もっとも、楽しかったか、と聞かれると微妙ですけど」
「確かに、言い方は悪かったかもね。こっちの方が、君は”違和感“に気付きやすいかな、って思って」
「なるほど。それで、元の世界に戻りたいんですけど、どうすればいいんですか?」
「ん?もう帰りたいの?折角だからもっと先まで見てみようとは思わないの?」
「ここまで引っ掻き回しておいて無責任ですけど、ここは俺がいるべき世界じゃないですから」
「そっか。まあ、ここは君の夢の中だから、目を閉じてじっとしてれば勝手に戻ってるよ」
「…は?え?夢?」
「記憶も断片的でしょ?それに、いくら私でもパラレルワールドなんて作れないよ」
と、微笑している雪ノ下さん。
夢だということは、この雪ノ下さんは俺の妄想なのだろう。確かに、そう思って見てみると
、現実と少し違うように思える。
「まあ、それじゃあ、さようなら?」
「そうなるかな?」
お互いに苦笑する。
なんとなく眠くなってきたので、俺はそのまま睡魔に従って目を瞑った。
後日談、というか今回のオチ。
あの夢を見てから、数日が経った。夢の世界の出来事は、俺に大きな影響をもたらしたが、特に現実での変化はない。それと、あの夢のことは誰にも話していない。あの夢はきっと、俺の中の葛藤だったのだ。俺はやっと自分に向き合うことができたのかもしれない。
と、考えながら、課題のプリントを進める。締めの言葉に迷っていたが、夢の事を考えていたお陰で今思いついた。
ーーーーそういうわけで、夢には自分を整理する効果もあると考えられる。思春期真っ只中である私たちに必要なのは、自分と向き合う時間だろう。よって私は、授業科目に〔睡眠〕を追加する事を提案する。
3年F組 比企谷 八幡
ss初投稿です!!
初めてなので拙いところばかりでしたが、お楽しみいただけたでしょうか。
何か、「こうしたらいい」とか、「ここが良かった」と言う所があったら是非感想下さい!
こうして書いてみて、やっぱりss書くのって難しなあ。と、改めて思いました。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!!