〜「if」もしも、あの時あの選択をしていなかったら〜 作:クロノス@百合おじさん
午前の授業は睡魔と健闘し(勝ったとは言っていない)、午後の授業はなんか知らんが、気づいたら終わってた。
HRが終わり、俺は鞄を取り部活へ向かう。
(そういえば、まだこの頃は由比ヶ浜と一緒に部室行ってなかったのか)
そんなことを考えていると、制服の裾を掴まれた。川崎だ。
「この後部活で雪ノ下に話すんだら?だったら私も行くよ」
と、言われ、一緒に部室へ向かった。
部室へ入ると、そこにはいつも通り雪ノ下がいた。
「あら社畜谷君。自分から依頼人を連れてくるなんて、今日は槍でも降るのかしら」
「そんな非現実的な事はそうそう起きん」
一言目から毒舌で始まるのも、なんだか懐かしい。今になって、元の世界の雪ノ下が昔と比べてだいぶ丸くなっていることがわかった。
「それで、今日は川崎さんがきた、ということは何か依頼があるのかしら?」
そう雪ノ下が訪ねてくる。
「ああ、文化祭実行委員のことなんだが、実は俺と川崎がやることになってな。まあ、経緯については察してくれ。それで、俺たちだけだときつそうだから手伝って欲しい」
と、言うと雪ノ下はとても驚いた顔で、
「あなたの口から手伝って欲しい、なんて言葉が出るなんて…本当に今日は槍でも降るのかしら」
と、言った。確かに、俺らしくないやり方であると自分でも思う。きっと、元の世界の雪の下だって同じ反応をするだろう。そんなことを考えていると、
「やっはろー!」
と、由比ヶ浜が部室に入ってきた。
「あれ?サキサキじゃん。依頼?」
「ああ、今ちょうどそのことを話してたんだ」
と、川崎。こいつ部室に来てから初めて喋ったな。
「どんな依頼?」
「文化祭実行委員のやつな、雪ノ下にも手伝ってもらおうかと」
「そうなの?」
「ええ。とは言っても、まだ答えは出していないのだけれど…」
と、雪ノ下はどうやら決めあぐねているようだ。
「何か迷ってるの?」
「比企谷君たちを手伝うとして、実行委員の仕事内容やスケジュールが気になるのだけれど…」
「でも、二人とも実行委員ならスケジュール知ってるんじゃない?」
と由比ヶ浜が答える。
確かに、元の世界の文実ではスケジュール表があった。もっとも、そのスケジュール通りにことが運んだことの方が少なかったのだが。しかし、問題なのはスケジュールの有無ではない。
「文実のスケジュールは実行委員長が決める。雪ノ下が懸念しているのはそれの正確性
だろ?」
俺がそう言うと雪ノ下は首肯する。
いくら雪ノ下が優秀でも、スケジュールが向こうに任せられる以上、無闇に進めることもできない。どうするかと悩んでいると、部室の扉が開いた。
「雪ノ下、頼みたいことが…って、なんだ、全員集まってたのか」
「平塚先生、ノックを」
「君も頑なだな…」
「それで平塚先生、頼みたいこととは?」
「ああ、川崎がここにいるということは文化祭実行委員について話は聞いているな?」
先生の言葉に雪ノ下が首肯する。
「二人のサポートをする、ということですよね」
「ああ、そうなんだが、君もさぞ困っているところだろう」
先生はこうなる事が分かっていたようだ。
「そこでだ、雪ノ下。文化祭実行委員長をやってみようとは思わんかね」
「「「ええっ?!」」」