モンスターや魔法、一部の剣には属性というものがある。その属性の組み合わせにより、有利不利が決まる。属性は大きく7つに分けられる。炎、水、雷、土、風、光、闇だ。それぞれに有利不利があり、炎には水が有利、水には雷が有利、雷には土が有利、土には風が有利、風には炎が有利だ。そして光と闇は互いに有利となっている。
また、例外として氷属性や草属性といった属性も存在する。氷属性は水属性の派生で、水属性と同じようなものだが、有利不利が逆になる。炎には弱く、雷には強いとなるため、氷と水は同じようで違うものになってくるのだ。草の場合は土の派生だ。水には強く炎には弱いとなり、有利不利がそもそも変わってくることになる。
ただ、この例外属性を持つモンスターや魔法、武器はかなり上位の方になり、扱える冒険者、モンスターはごくわずかだ。
先日戦った魚のウルナーギに何故ドラゴンのイフリートが負けたか。それは属性にある。ウルナーギは水でイフリートは炎だ。イフリートもバカではない。炎が効かない相手に炎を使うなんてことはしないため、接近戦で戦うことになった。しかしウルナーギは泥により地面を滑りやすくし、自分に有利な条件を作って戦っていた。これにはイフリートもどうしようもなかった。足をすくわれ、強力な締め付け攻撃により身動きが取れない。その締め付け攻撃は攻撃力を強化したイフリートですら振りほどけないほどだ。
そんなウルナーギを一撃で倒したゴーウィンの戦い方、それは有利な属性に自身の属性を変化させ、強力なサポート魔法を使い、かつ弱点に強力な一撃を叩き込むというような戦い方だった。
オーラ系の魔法は自身の属性を変えるという魔法で、魔法戦士のみが使える魔法だ。そしてサポート魔法の中で最も強い効果を発揮するアルティメットブースト。すべてのステータスを2倍にするというものだ。ただ、消費MPが大きすぎるため、MPが2倍になっても魔法を一回二回使えるかといったところだ。それに加え魔法戦士はMPの量はさほど多くない。そのためあの魔法を使った時点でゴーウィンのMPはほぼ0だったはずだ。そして効果時間はまさかの30秒。強い分デメリットも大きい魔法だ。アルティメットブーストを使って別の魔法を使っていたらその間に効果は切れてしまう。そのためゴーウィンは最初にオーラ系の魔法を使っていたのだ。
だが、それだけでは恐らくレベル差があろうとボスモンスターであるウルナーギは一撃ではない。なぜ一撃だったのか。それは武器にある。ゴーウィンが持つ武器は、アビリティーブレイドという魔法戦士の最難関試練をクリアできたものにのみ与えられるものだ。攻撃力こそは高くないものの、武器に付与されている能力が物凄いものだ。属性はなしだが、能力は自身の属性と同じ属性を持つというもので、つまりオーラ系を使えば自身とともに武器も属性が変わるということだ。そして武器や魔法の属性というものは使うものの属性によりその威力が変わる。雷属性の戦士が雷属性の剣を持てばその剣の攻撃力はかなり上がる。逆に土属性の戦士が雷属性の剣を持てば攻撃力はガクッと下がるのだ。
つまり、ウルナーギに与えたダメージは、雷属性による有利、属性一致の剣の攻撃、ステータス大幅アップ、弱点へのダメージだ。これではウルナーギと言えど耐えられるはずもなかった。
学園内の図書室で僕たちは密かに夏休みの宿題を先に終わらせようとしていた。宿題は早めに配られ、夏休み中にやるようにと言われていたが、夏休みの大切な時間を宿題なんかに費やしたくはなかったのだ。そのため、昼休みを利用し、僕たちは宿題を終わらせている。
宿題の内容は簡単だ。種族、属性、冒険者の基本、武器等に含まれる能力などだ。武器の能力以外はサモナーにとって知っておくべきものだった。そのため、スラスラと解いてしまう。
「ねえねえノエルー。宿題見せてよー」
とセシルが話しかけてくる。チラッとセシルの宿題を見ると、結構前に終わらせたページだった。内容は種族に関することだ。僕はそんなセシルに呆れながら答える。
「ダメだよ。しっかり自分で解かないと」
「ブーブー!」
セシルとなぜかエールまでぶーぶーとブータンのような声を出しながら駄々こねていた。ブータンとは人気の家畜モンスターで、そのお肉は極上の代物だ。
「よし、とりあえず夏休みの宿題終わったかな」
ぼくはそんなブータン二人をよそに、宿題を終わらせた。
「早いよノエルー!」
「そうだよー早いよー!」
そういう二人に苦笑しながら、ぼくは立ち上がり、本棚を漁る。目的の本の場所は大体覚えているため、すぐにそれを見つけ、取ってくる。
「まあまあ、わからないところがあったらヒントくらいは出すから。僕はモンスター図鑑を見てるね」
席に着き、本を開いた。
「しっかしほんとノエル頭いいよねー」
本を読み始めた僕に対し、宿題を進めながらセシルが話しかけてくる。
「そんなことないよ。サモナーにとっての基本くらいしか覚えてないし」
「それ全部じゃん!サモナーってモンスターを使うから、属性、種族、生態やらなんやら全部覚えておかないといけないんでしょ!」
「武器の種類とかは覚えてないよ」
「そんなの覚えてる方が珍しいよ」
僕の持つ指揮棒にも確か正式名称があった。確か……見習いサモナーの指揮棒……だっけか。そんなことはいちいち覚えていられない。
武器にもいくつも種類と性質があるが、ぼくたちが使う武器は一般のもので、覚える必要がない。また、ゴーウィンが持っていた武器など滅多に手に入らない武器は、そもそも教えられることもない。覚えていなくて当然だ。まあ、戦士や魔法使いの場合は武器の性能差が出るため、自分の武器くらいは覚えておくものだろうが、ぼくはサモナーだ。サモナーの武器も一応性能差はあるが、それは微々たるものだ。武器の違いで戦闘を左右するようなことはない。
「セシルだって立ち回りとかの授業じゃよく正解するよね」
「そりゃあ、戦士だし。立ち回りしっかりしないと仲間に被害が及ぶ上に自分自身も危ないからね」
「エールも魔法の種類たくさんあるのにしっかり覚えてるでしょ?」
「魔法使えないと魔法使いはただの的だからね。それくらいしっかり覚えておかないといけないよ」
「つまり、自分たちのクラスにあったものを覚えてるってこと。僕は少し覚えることが多かっただけのことだよ」
ぼくはそうフォローしたが、逆にセシルたちのやる気を奪ったようで、セシルたちは椅子にうっかかり、手をだらんと伸ばした。
「なーんかやる気なくなってきたー。そうだ!夏休みさ、海行かない?」
唐突にセシルがそう提案してくる。海といわれてパッと思い浮かぶのは、ギルドの南に4時間ほど歩いたところにある、サーモス海岸という場所くらいだ。
「海って……サーモス海岸?」
「そうそう!泳ぎに行こうよ!」
そういうセシルに対し、ぼくは、
「いいけどその前に宿題終わらそうね」
と言い放った。それに対しセシルは、
「ぶーぶー!」
とブータンになり、返事をした。
セシルとエールの分からないところを教えつつ図鑑を読んで時間を潰していたら、昼休み終了のチャイムが鳴る。僕は立ち上がり、図鑑を元の場所に戻してきた。
「はー結局終わらなかったな―」
「まあまあ、まだ放課後とかあるんだし、焦らなくてもいいじゃん」
「そういえば次の授業なんだっけ?」
「確か……属性有利の授業じゃなかった?」
「さっきやったところじゃん!なんでまた同じところやらないと行けないのよー」
教室に戻りながら、そんな話をしていると、廊下の向こうからグルフトがやってきた。
「おうハーレム!どこで何をしてたんだ?」
「あ、グルフト。図書室で夏休みの宿題を終わらせてたんだ。グルフトはもう終わってる?」
「……お、おう!終わってるぜ!」
ぼくの問いかけに対し、グルフトはあからさまに動揺し、そう答える。
(終わってないな)
(終わってないね)
ぼくたちがそう確信して、呆れていると、グルフトは話題を変えるように食い気味に聞いてくる。
「ところで夏休み、何か予定あるか?」
「一応みんなでサーモス海岸に泳ぎに行こうって話になってるよ」
そう答えると、グルフトは急に神妙な顔になり、こう語り始める。
「この前聞いたんだけどさ、サーモス海岸って出るらしいんだ……」
「出るって何が?」
「ある女の子二人がサーモス海岸に行ったとき、泳いでいると突然足をグッ!っと捕まれるような感じがしたらしい。彼女たちは必死に逃げて浜辺に戻って海を見てると……」
一度グルフトは間を置く。僕の肩に手を置き背後に回るセシルとエール。
「海の中から海藻まみれの化け物が這い上がってきたんだ!!」
グルフトは早口で少し大きな声でそう言った。そしてひっと後ろで聞こえた。
「ということで俺も海行こうって思ってたところだ。一緒に行こうぜ!」
どうやら目的は違えど、行く場所は同じようだった。
「そ、その話嘘よね!?嘘だよね!?」
「ハハハハ!!所詮は噂だよ!俺はその噂を確かめようって思ってな」
冒険心旺盛でなんでも確かめたがるグルフトらしいと思うが、わざわざそんな話しなくてもよかったと思う。
「相変わらずだねグルフトは。まあ、海に行く仲間が増えるのはいい事だからね。いいよ。アダンとかも呼んで来たら?」
「アダンたちはなんか別の用事があるってんで仲間探してたところだ」
「そうなんだ」
と話していると、グルフトの後ろから一人の少女が近寄ってくる。
「その話、面白そうね」
「あ、シエル」
クラスメイトのシエル。種族はリーパーだ。職業はネクロマンサー。死神らしく黒い服装で鎌を武器としている。また魔法も使えて基本闇属性だ。ネクロマンサーという職業は極めて珍しく、リーパーやアンデットといった種族しかこのクラスにはなれない。このクラスの特徴として、アンデットモンスターを使役し、闇属性の魔法を扱い、一撃必殺の魔法すらも扱える。また、蘇生魔法等も扱えたりとかなり万能なクラスだ。
シエルは黒いフードを被った白髪、赤目の女の子で結構無口だ。そして何よりオカルト好きだ。
「シエルも行く?」
「……うん。その化け物、気になる」
そういうシエルに対し、グルフトは若干嫌そうな顔をする。死神は災いを呼ぶとされているからだ。しかし、半年シエルと一緒に授業を受けたりしているが、何か事件が起こったりはしなかった。
「死神と一緒に海かよ!俺たち大丈夫かよ!」
「大丈夫じゃないかな」
「私、人を食べたりしないわ」
グルフトのような反応には慣れているのか、邪険にされていることに対したいして思うことはないようだ。
「冒険者候補生になっているということはそれは証明されているということ。それにシエルはかなり強いしもしもの時は頼もしいよね」
「そうね。もしもの時は頼りになるわね」
冒険者候補生になるには、様々な条件がある。まず他の冒険者を襲わないというのが大前提だ。二つ目に、人間に友好的であること。三つ目に言葉を理解し、話せるということだ。それらに合わないものはたとえ人間でも冒険者候補生にはなれない。
シエルはそれら三つに当てはまってるため、死神であっても冒険者候補生としてここにいられる。
教室の前で喋っていると、廊下の向こうから先生が来る。
「お前たち!授業始まるぞ!早く席につけ!」
「は、はーい!」
先生に促され、僕たちは急いで席につき、授業の準備をした。チャイムが鳴り、授業の挨拶を行ったあと、先生が話し始める。
「授業の前にみんなにお知らせがある。みんなも知っているだろうが先日、イリアヌ洞窟の奥へ進む道が発見された。発見したのはそこのノエルとグルフトだな」
「はい」
「あの時はびっくりしたぜ」
「で、本題だ。ギルドの調査兵の方が奥まで進み、危険度を調べた結果、危険度3クラスのモンスターが出てくるということが判明した。よって、これからあの洞窟は危険度3となった」
「それってもうあそこに遊び行けないってことですか?」
他の生徒がそう尋ねる。
「そういうことだな。先生か頼れる冒険者の同伴でない限りお前たちは入れないぞ」
先生がそういうと、別の生徒が、噂のメタルコーラルについて尋ねる。ぼくたちが見つけられなかったモンスターだが、調査が入ったということは何か発見があったかもしれない。。
「せんせー、メタルコーラルはいましたかー?」
「メタルコーラル?そんなのこの近くにいるわけないだろ……って言いたいところだが、それっぽいやつを見たという報告はあるな。生徒のレベル上げは授業の一環だ。時間があるときに話しかけてくれたら一緒に行ってやるぞ。メタルコーラルはノエル達が見つけた道とは真逆の壁に小さな穴があってそこから行き来してるみたいだ。そこは爆破しても小さな穴が奥に続いてるだけで、どうも奥には進めないらしいから出てくるまで息をひそめて待つことになるな」
僕には放課後時間がある。それにレベル上げはイフリートの強化にもつながる。僕は手を上げ、先生に尋ねる。
「先生、今日の放課後、一緒に行ってもらうことは可能ですか?」
「今日の放課後か。行けるな。チームは4人まで。俺とノエル、あと二人時間があるやつはいるか?」
教室を眺める。手を上げたのはシエル、そしてグルフトだ。
「よし、それじゃあ今日の放課後はお前たちだ。学校が終わった後、ギルドの入り口付近に集まるように。それじゃあ授業始めるぞー」
先生はそう言って、授業を始めた。
授業が終わり、放課後、ギルドの入り口へ集まる僕たち。少し待っていると先生がやってきた。
「それじゃあ行くぞー。はぐれるなよ」
先生の後に続き、僕たちはイリアヌ洞窟へ向かった。途中でビギナークラスの冒険者と出会い、メタルコーラルについて聞いてみた。この冒険者たちもメタルコーラルの話を聞いて、イリアヌ洞窟に行ってきたのだろう。
「ああ、俺たちもメタルコーラルを狙ってみたが、全然だ。諦めて帰っているところだ」
「そうですか」
ぼくたちはそう言って会釈し、別れた。
「やっぱり見つけるのは難しいようだな。まあ、行ってみるだけ行ってみるか」
「そうですね」
僕たちはあの道を見つけた空間まで来た。ここは洞窟であるため、暗い。松明こそは持っているものの、松明の明るさではこの小さい穴を見つけることは至難の業だった。しかし、僕たちが道を開き、再び探索が入ったことで、この穴の存在も知られることになったのだ。
「さて、待つか」
「一応弁当やらおやつは持ってきたぞ。好きなだけ食べろ」
「キャンプじゃないんですから……」
グルフトがそうつっこむ。松明を近くに立て、弁当を広げる先生に苦笑しながら、ぼくたちもそこに座る。
「おいシエル!黙って黙々とおかし食べてるんじゃねえよ!」
「……もぐもぐ」
「じゃあ僕はこれを」
「おいノエルも!キャンプしに来たんじゃないんだから!」
グルフトだけはキャンプに乗りきじゃなかったようだが、しばらくすると座っておやつを食べていた。
そんなこんなで1時間。メタルコーラルは一切出てこなかった。
「あー待ちくたびれたな。帰ろうか」
「……先生、この穴ってどのあたりまで続いているんでしょうか」
「んーそうだな。この穴の長さが分からない以上はっきりしたことは言えないが、丘の麓あたりじゃないか?」
メタルコーラルの巣がどれほどなのかわからないが、コーラル系のモンスターの巣は長い。地形やその生態から予想し、先生は巣の大きさを推理する。
「そうですか。それじゃあグルフト、ちょっとついてきて。先生とシエルはここで待っててください」
僕は作戦を思いつき、グルフトに付いてくるよう頼む。
「……ん」
「何をする気だ?」
「まあまあ、ここで待っていればメタルコーラルは必ずここから出てくる。それを先生たちに倒してほしいんです」
「まあ、何をするか分からないが分かった。ちゃんと戻って来いよ」
ぼくはうなづき、グルフトと共に外へ出て丘の麓まで降りた。あの空間から出る前に穴のある方角を確認して置いた。北の方だ。途中で曲がったりしてない限り、まっすぐ麓まで伸びていると思う。
「ここだね。グルフト、爆竹って出せる?」
「爆竹!?そんなの出せねえよ。召喚士ってのはな、あらかじめ魔法陣の中に武器を準備しておく必要があるんだ。爆竹なんて準備してないぞ」
「そうなんだ。それじゃあ爆弾でいいよ。それをそこら辺のものを利用して爆竹にするから」
「そうか。じゃあ、爆!」
召喚魔法で爆弾を召喚した。僕はその爆弾から火薬を取り出す。そして周辺に落ちている枯れ木の枝を拾い集めた。指揮棒で中心部を抜き、中に火薬を詰め込む。そして落ち葉を蓋に使い、簡易的な爆竹の完成だ。
「行くよ」
まずは一つ目。それを地面に投げ、爆発させる。大きな音が鳴り、地面の下からゴトゴトと何かが動く音がする。そこからその音を追いかけるように爆竹を爆発させる。そして洞窟の入り口。そこから急いで二人が待つ空間に向かった。
「キッキッ!」
「キーッ!」
まるで機械を爪でひっかいたような声を出すそのモンスターこそ、メタルコーラルだ。大きさは片手の掌ほどだ。
メタルコーラルLv15 種族:妖精 属性:なし
恐ろしいほどたくさんのメタルコーラルの群れ。一体倒すのに一苦労なのにこの数だ。僕は急いで指揮棒で殴る。イフリートでの一掃も効かないし、召喚したくもない。魔法も効かないため必死に指揮棒で殴るしかないのだ。
「我が声に応えよ、死者の軍、召喚!」
シエルの周囲に5つの魔法陣が現れ、そこから召喚されたのはスケルトンだ。
スケルトンLv10 種族:アンデット 属性:闇
スケルトンはメタルコーラルを骨のみの手で殴る。ダメージは1だがメタルコーラルの体力は少ない。そのうち1体、2体とメタルコーラルは倒れる。先生も剣でメタルコーラルを叩く。メタルコーラルは倒してるうちに穴に逃げていく。そして結局倒せたのは4人で10体だった。
「すごいなこれは。倒してるうちに力が込み上げてくるのがはっきりとわかる」
「そうね。みんなレベル上がってそうね」
グルフトとシエルは、体の奥から力が沸きあがる感覚に興奮を隠しきれないようだった。
「ところでノエル。どうやってメタルコーラルをあの穴から出したんだ?」
先生はぼくにそう尋ねる。
「メタルコーラルの習性を利用しただけです。メタルコーラルは音に敏感で、特に爆発音などの大きな音がすればそこから逃げるように動きます。それを追い込み漁の要領で爆竹を投げただけです」
「なるほどな。さすが学園トップの成績なだけある。さて、そろそろ帰ろうか。皆レベルの確認はしておくように」
「はーい」
僕たちは先生の後についてギルドへ帰った。レベルの確認はステータス検査所で無料で行える。ここは治療等も受け付けており、蘇生等も可能だ。治療などの場合はお金がかかる。
僕たちは順番にステータスを確認し、ギルドの待合室でその結果を見せ合う。
「前にレベル確認したときは僕は12レベルだったから……すごい!12レベルも上がってる!」
「俺も12レベル上がってるな。26レベルだ」
「私は19レベル。9レベル上がった」
互いにレベルアップを喜んだ。僕は最後にレベルを確認したのは12の時。今は24のため、かなり上がってると言える。グルフトも26レベルまで上がり、シエルは10レベルから9レベル上がり、今は19だ。レベルだけ見れば冒険者候補生でトップクラスだ。
「そうか。俺たち割と強いボスと戦ってきたから」
「そういえばそうだね。あれで結構レベル上がってたんだね」
思い返すと、レベル40のギガントモグーラを倒し、ぼくたちが倒したわけじゃないが、レベル40のウルナーギとも戦っている。戦っただけでも経験は積まれるため、多少だがレベルは上がっていたようだ。
「26レベルってことは危険度2くらいなら余裕だろうな」
レベル20の冒険者は、チームを組んで危険度2をクリアできる程度。もうすぐ30のグルフトならば、一人で危険度2の洞窟のボスを倒せる程度の力はあるだろう。
「メタルコーラルは初めて倒したけどここまでレベル上がるなんてね」
「ついて行ってよかった」
「それじゃ、俺はこの辺で。早く寮に帰って夏休みの宿題をやらないと」
「あれ?終わったんじゃなかったの?」
「私もやらないと」
「そっか。それじゃまた」
僕たちは別れ、それぞれの寮へ帰った。それから数日、放課後にメタルコーラル狩りが流行ったのは言うまでもない。
おまけ
僕はモンスター図鑑を読んだ。モンスター図鑑はモンスターの生態等を詳しく書かれている。その一部を紹介したい。
モグラ 種族:獣 属性:土
その性格は温厚、主に夜行性の生物だ。昼間は洞窟内で過ごし、夜は外へ出て地面に近い位置にあるきのみを食べる。鼻は主に索敵をするのにつかわれる。また地理の把握にも使われ、地面の中からどこに何があるかまで分かる。
戦い方は、地に潜り接近し、鋭い爪で切り裂く。安全な倒し方は果物を投げ、それにつれたところで攻撃する。
バット 種族:獣 属性:風
その性格はかなり好戦的で、動くものによく噛みついている。夜行性で昼間は洞窟の中で眠っており、夜は外へ出て獲物を探す。大きな耳と鼻から超音波を出し、索敵をする。動きは素早く、剣や槍での攻撃はなかなか当たらない。
戦い方は、素早い動きで接近し、相手に噛みつく。安全な倒し方は、大きな音を立てるものを投げる。耳がいいバットはその音で気絶するため、その間に攻撃する。
クレイモグーラ 種族:獣 属性:土
その性格は温厚、主に夜行性の生物だ。モグラをまとめ上げ、ギガントモグーラのための餌集め、基地づくりなどを行う。モグラのリーダー的存在だ。モグラに集めてもらった餌を食し、生きる。長い鼻は索敵、地理把握に使われる。
戦い方は、地中に潜り接近し、鋭い爪で切り裂く。また、土の下位魔法を使うことができる。安全な倒し方、臭いにおいを放つものを投げ入れ、嗅覚を狂わせる。鼻により地理把握や索敵を行うモグラ、クレイモグーラは身動きが取れなくなるため、その間に攻撃する。
ギガントモグーラ 種族:獣 属性:土
その性格は非常に攻撃的、主に夜行性の生物だ。クレイモグーラに命を下し、モグラを働かせる。モグラ、クレイモグーラのボス的存在だ。モグラやクレイモグーラが食料調達に失敗すると、お仕置きとして鼻を爪で摘み、数分間吊り上げる様子が確認されている。鼻は索敵、地理把握に使われる。
戦い方は、突進し、鋭い爪で切り裂く。また土の上位魔法を使うことができる。安全な倒し方、麻痺等の状態異常に弱いため麻痺させ、ひたすら攻撃する。