龍殺しの村に住むレオン。日課をこなし、無理難題のお願いをこなしていると、村で騒ぎが起こる。それを聞き村に戻ると、大きなドラゴンが暴れているところだった。村のドラゴンバスターが対抗するが、その圧倒的な力に少しずつ押されていた。そこへドラゴンサモナーが現れ、村を襲うドラゴンを倒してしまった。彼の目的は竜の山の冒険だった。
いつもの日課をこなしていると、デルファが声をかけてきた。
「訓練中にすまないね。竜の山について聞きたいんだが」
ぼくはその言葉に対し、何故ぼくなのかと聞く。ぼくはまだ子供で、竜の山に行くことなどない。それならば他の大人に聞けばいい話だ。
「村長に聞いてみたのだが、レオン君、君が一番詳しいと言われてね。正直半信半疑なのだが、知っていることがあれば教えてほしい」
ぼくは軽くため息をついた。竜の山について調べてはいるが、実際に行ったことがないぼくが詳しいだなんていう村長の考えがわからない。しかし、聞かれたら答えないわけにもいかないため、知っている限りを答えた。
竜の山は初山、中山、最山の三つの山からなる。山の中央、雲を越えるほどの高さの山が最山、その周辺を囲む谷を最の谷と呼び、そこを越えないと最山へ行けない。そして最の谷の手前、最山を囲む山を中山と呼ぶ。高さは最山ほどではないが、それでもかなりの高さを誇る山だ。その山の手前の谷を初の谷と呼ぶ。そして山の一番外側の山を初山と呼ぶ。
初山に住む生物は、ワイバーンや蛇竜等の、竜の中でも弱い竜ばかりだ。彼らは周囲の森の生物を狩り、過ごす。そして初山は、中山、最山に住む竜の狩場なのだ。いくら弱い竜とは言えど、相手は竜だ。並の冒険者では返り討ちに合うばかりだろう。
中山に住む生物は、サンダードラゴンやフレイムドラゴンといったドラゴンだ。竜の中では中ほどの彼らは、初山の竜を狩り、過ごす。たまに森へとやってきて、狩りをすることもある。また、初の谷の最下層を通るのは死を意味する。谷の底は溶岩が滾り、また空を飛ばない強力な竜の巣でもあるのだ。
最山はまだ見ぬ竜が住まう山だ。伝承では天龍やバハムートといった伝説の竜が住まうと言われている。中山や初山の竜をくらうと聞くが、それもまた伝承で、最山については伝承でしか伝わっていない。最の谷は初の谷よりも深く、地獄へ続いていると言われ、またそこには伝説の竜が住まうと言われている。そのため、最の谷、最山は禁域とされている。
ぼくはそれらをすべて伝えた。それを聞いたデルファは驚愕していた。
「竜の山という竜が住まう山があると聞いたが、それほどまでに凄まじいところだとは」
この村に住む人間ですら竜の山の深さを知る者は少ない。ほかの土地から来た人々が、それを知っているはずがないため、恐らくは山に竜が住んでいるという程度にしか考えてなかったのだろう。竜の山は初山は危険度16だが、中山は危険度18。最山は危険度未知数となっている。最大の19を超えた世界のため、ブラックの冒険者のみしか行けないが、ブラックの冒険者が挑んだことはない。
「デルファさんはまだクリスタルなので、挑むのは初山までですね。初山の竜はワイバーン程度ですが、たまに中山のモンスターも来るため油断しないでください」
「ああ。いや、君に聞いてよかったよ。その知識はどこで?」
「村の書庫です。よくあそこで魔法の勉強してるので、息抜き程度に調べてみたら、いろいろ載ってまして」
「ふむ。それでは私もその書庫に行ってみようかな」
「書庫に行って調べてもぼくが教えたこと以外のことは書いてませんよ。最山とかは特に。伝説でしかないので」
「そうか。それでは仕方ないな。ありがとう。いろいろ勉強になったよ」
そう言ってデルファは立ち去って行った。僕は再び日課に戻る。
数日後、デルファは冒険の準備を終え、竜の山に冒険へ行った。僕たちはそれを見送った。
ぼくは学校で授業を受けていた。内容はすべて勉強したもののため、退屈だった。リゼさんもそれを理解しているのか、ぼくが退屈で寝ていても、よそ見していても何も言わない。だが、自分の授業で居眠りやよそ見されるのは気がいいものでもないようで、毎回ぼくに無理難題を押し付けてくる。ぼくはその日もよそ見していた。とたんに、体に電気が走るような感覚を覚える。この感覚は、竜が近づいているときに感じるものだ。過去に2回、この感覚に陥り、その時に毎回ドラゴン襲撃が起こった。前回は裏の森に入っていたため、距離が離れていて、気づかなかった。
「リザさん!」
ぼくは立ち上がり、声を上げる。他の生徒は驚きこちらを見る。リザさんも驚いた顔をしたが、すぐにぼくの言いたい事が分かり、避難指示を出す。そして数分後、緊急避難警報が鳴り響く。ドラゴン襲撃だ。
ぼくたちは避難所に行く。非戦闘員の女性や子供は、裏山の奥の洞窟に避難するのだ。ぼくたちは急ぎ足で避難所に向かっていた。唐突に、体中にさらに電撃が走った。かなり近くに近づいている。僕はみんなに叫んだ。急げと。その刹那、ぼくの横を掠めるように、弾丸が打ち込まれた。それは大きな土の塊で、巻き込まれた人々はその一撃で肉塊と化した。土の弾丸が放たれた方を見ると、人型の生物が空を飛んでいた。竜人だ。しかしかれはよく知る人物だった。
「デルファ……」
赤い瞳を宿し、グルルと喉を鳴らす。再び土の弾丸を放ち、また数十人が巻き込まれ、死ぬ。みな逃げ出すが、ぼくは恐怖で体が動かなかった。すると、デルファは人が多いところを狙っているのか、ぼくの後方の逃げ出した集団を的確にとらえ、土の弾丸を打ち出す。グシャリという音と骨の折れる音が生々しく響く。そして、デルファは僕を見、急降下してきた。刹那、デルファが横に吹き飛んだ。リザさんが体当たりしたのだ。
「リザさ……」
リザさんの左腕はなく、所々血を流す。
「逃げろっ!私が!引き付けるから!!」
一言一言が必死に引き絞るような声だった。僕は叫びながら逃げ出した。一心不乱に逃げ出した。
もうどれくらい逃げたのか覚えてない。気づけば村から一番近いサシャ村に辿り着いていた。すでに真夜中で、ほとんどの家に明かりはついていなかった。ぼくは明かりのついた家のドアを叩く。すると、少し不機嫌そうな男が出てきた。
「うるさいなぁ、何時だとおもっ」
「お願いします!!助けて!助けてください!!」
ぼくは必死に泣きついた。何度もお願いしますと助けてくださいをいい、ひたすら泣きついた。
気づいたときにはぼくはベッドで寝かされていた。目を開け、横を見ると、昨日の男が新聞を読みながら座っていた。ふと顔を上げ、ぼくに気づいたようで、優しく声をかけてくれた。
「お、気づいたか」
「……ここは」
「サシャ村だ。昨日、何があったんだ?」
「昨日……」
ぼくは昨日について思い出した。途端に体が震え始めた。怖い。人がどんどん死んでいく。それも惨たらしい死に方で。ぼくは怖くて怖くて仕方なくなった。
「いやだ……いやだいやだいやだ!!死にたくない!死なないで!!」
ぼくが発狂し、そんなことを叫んでいると、男はゆっくりと頭をなでてくれた。
「もう大丈夫だ。ここは安全だ」
その一言で僕は涙を流し、男に泣きついた。男は何も言わず優しく抱きしめ、撫でてくれた。
落ち着くのに時間がかかったが、男は落ち着いたのを見て、ぼくを村役場に連れて行った。そこには数人の大人がいて、ぼくに何があったのかを聞いた。僕はすべてを話すと、みなは血相を変え、動き始める。
「ギルドに連絡を!みな救助に向かうぞ!レオン君、案内頼めるか?」
ぼくははいと答えた。優しい人々に囲まれて落ち着いたおかげで、ぼくにはそれだけの余裕が生まれたからだ。
サシャ村は、登山指南と救助のスペシャリストがそろう村で、龍殺しの村とも交流が深い。子供であるぼくの足では7時間以上かかったが、救難に使われるフェクルと呼ばれる鳥を使えば、3時間ほどで着く。また、モンスターとの戦闘もあるため、ゴールド以上の冒険者と同レベルの憲兵も複数いる。彼らに連れられ、ぼくは龍殺しの村へ戻った。
龍殺しの村は、まるで土砂崩れに巻き込まれたように悲惨な状態だった。家はすべて崩れ、デルファと戦ったドラゴンバスターや大人はすべて岩に潰され、体が真っ二つになりと体の30%以上を失った死に方をしていた。生き返ることは不可能だ。また、戦った人数に対し、死んでいる人数が少ないため、土砂に埋まっているであろうことも分かった。僕は、思わず吐いてしまった。
救助活動を行い始めて、ぼくは避難組の人々の方も案内してくれと言われ、苦しいながら案内した。最初に目にしたのは、首のみとなったリザさんだった。ぼくは再び吐く。優しかったリザさんは、デルファに殺されたのだ。
救助活動が行われ、丸2日。サシャ村に戻って落ち込んでいた僕に聞かされたのは、生き残りはぼくだけだということだった。行方不明数名、他はすべて死亡を確認されている。村を襲ったであろうドラゴンはどこに向かったか分からないでいるようだ。ぼくはデルファを思い出す。翼を生やし、角を生やし、狂ったように人々を殺し続けるデルファ。彼は竜人だったのか。なぜ隠していたのか。そもそもなぜ村を襲ったのか。考えを巡らせた。
違う。竜人でも村を意図的に襲ったのでもない。ぼくの知識にある一つの答え。それは暴走だった。ドラゴンサモナーは竜と血を分け合う。血を分け合ったドラゴンサモナーは唐突に暴走し、竜人と化し、暴れまわるのだ。なぜ暴走するのか、竜人と化すのかは分かっていないし、そういうことが起こるという話も僅かでしかない。そもそもドラゴンサモナーは数が少ないのだ。ドラゴンサモナーは暴走し、無意味な殺戮を繰り返す。ぼくの読んだ本にそう書いてあった。ドラゴンサモナー。ぼくはだんだん心の中に黒い気持ちが湧き出てくるのを感じた。許せない。憎悪が溢れてきた。たぶん今の僕は、あのころのハイドと同じ顔をしているであろう。ぼくは、ドラゴンバスターになる決意をした。
しばらく村に滞在したのち、俺は冒険者ギルドに入ることにした。そこならばドラゴンバスターになるための訓練ができるであろうし、冒険者となるための手続きも楽にすむ。そして俺はギルドに向かったのだった。
ギルドまで歩きでは半年かかる。そのため、転移を使うのだが、俺はあえて歩きを選んだ。道中強い敵と戦うことができればと思ってのことだった。自身のレベルを上げるため、早く強くなるために。
村を出る前に、救助活動中、龍殺しの村に伝わる秘宝、ドラゴンブレイダーを受け取った。生き残った俺にのみ受け取る資格があるということだった。俺はありがたく受け取り、旅に出た。
道中に出てくるモンスターは雑魚ばかりだ。モグラなどは体術だけで十分だったし、多少強い敵もドラゴンブレイダーの一振りで殲滅できる。これではいつまでたってもレベルが上がらない。竜を殺す。その一心で強くなる。いつの間にかできた俺の心持ち。それに気づいて俺は本物のドラゴンバスターとはどういうものなのか理解した。リザさんもその他のドラゴンバスターも本物ではないということを。
「ああ、そうか。だからリザさんもデルファに勝てなかったんだな」
ドラゴンバスターは強い思いを持たないとなることはできないという意味を理解し、俺なら本物になれるということを確信した。
ギルドに着き、俺の体中に電気が走る。
「この感覚は……!」
俺は警戒しつつも先生に案内されて教室に入る。
「よし、じゃあクラスと名前、あと趣味とかがあれば言ってくれ」
「名はレオン。クラスはドラゴンバスターだ。趣味など持つつもりはない。ただ目的を達成するためだけに生きている」
俺はクラスの仲間となる生徒を眺める。そして一人の少年を見た瞬間、体中に雷が落ちる。こいつだ。そう思った瞬間、憎悪が湧き出て、動き出さずを得られなかった。ドラゴンブレイダーを振るい、そいつを殺そうとする。しかし、理性が働き、ギリギリのところで机を切るだけにとどめた。
「お前っ!ドラゴンサモナーだろ!!」
湧き出た憎悪、気持ちを抑えることができない。
教室を移動させられ、ギルド長と他の先生に話しを聞かれる。
「何故君は学び舎の友を殺そうとしたのかね?」
「ドラゴンサモナーは殺すべき存在だ」
「それはどうしてかね?」
「奴らは暴走する!また尊い命が奪われる!そんなことが起こる前に、俺はドラゴンを殺す!」
「君の境遇は聞いている。だが、ここで殺人を起こそうものならここから追い出さねばならなくなる。わかるね?」
「……」
ギルド長は無言で返す俺に困り果てたようで、他の先生と顔を見合わせている。そして、今後問題を起こさないようにと念押しして、俺は解放された。
おまけ
職業はいくつも存在する。基本的な職業とその派生の職業が複数あるのだ。その一部を紹介していく。
戦士 戦闘スタイル:近接、タンク
攻撃力と防御力が高く、敵の攻撃を受け、仲間を守りながら敵を倒す。しかし、魔法への耐性が低く、MPも低いため、魔法を使うこともできない。
魔法使い 戦闘スタイル:遠距離
魔法を使い、敵を殲滅する。威力はどれも高く、パーティーの戦闘用意となる。しかし、防御力が低く、打たれ弱い。またMPが尽きると何もできなくなるため、MP管理が重要だ。
賢者 戦闘スタイル:遠距離、支援
魔法を使い、敵の殲滅、仲間の支援を行う。バフや回復で仲間を支援する。また、魔法を使い、敵を攻撃できる。が、魔法使いほどの火力は出せない。防御力が低く、打たれ弱い。またMPが尽きると何もできなくなるためMP管理が重要だ。
召喚士 戦闘スタイル:遠距離、近接
召喚魔法を使い、様々な武器を扱う。遠距離も近距離もそつなくこなし、魔法を使うため、かなり知識及び身体能力が必要となるため、召喚士になれる人は少ない。剣や槍、爆弾や弓、そしてゴーレム等の人工生物を呼び出し、バフを付与したりと様々な攻撃を行う。しかし、防御力、魔法耐性が低いため、打たれ弱い。
サモナー 戦闘スタイル:支援
召喚魔法で召喚獣を召喚し、指揮する。召喚獣にバフを付与する。召喚獣は召還主と同じレベルとなる。また、召喚獣の強さによって消費の魔力が変わる。召喚獣とは強い絆が必要となるため、召喚獣として使役するモンスターを探すのは大変だ。弱点は、召喚獣を使えないと何もできないため、召喚獣がやられたら何もできない。