「────愛そうか、殺そうか……そ、その前に服はきちんと着ろ!」   作:佐折

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一晩寝てる間にお気に入り数が一気に増えてて作者は嬉しすぎて動揺してます。その内大ポカをやらかしそうです。

そしてあらかじめ言います。ルーン魔術などについてかなり独自解釈しています。万能化してます。


女王様は退屈

透き通った扉。透き通った壁。透き通った階段。透き通ったシャンデリア。全てが氷で出来た透明な城。確かに防衛を一切考えない分、その美しさは段違いになる。

 

実際、中に入って過ごしてみてもその輝きは衰えない。曇りのない水晶を惜しみなく見れるのは中々に楽しい。容姿や能力が氷雪の女神スカサハ=スカディになった為、寒さの心配もない。一般人が入ろうものなら遭難必至な気がするけど。そう考えると、防衛能力0って訳でもないのか。流石女神様。

 

因みに、城の周りは半径1km内くらいの氷原にした。草原の中の城よりは見栄えがいいかなと。この島の生態系は大丈夫なのかと言われれば、答えは多分イエス。草原自体はかなりの面積あったから、全部氷原で覆うなんて事をしなければ、多大な被害は出ないはず…ルーン魔術で辺りの地形を調べたけど、島の外側は森になってるから、主にそっちで生活してるだろうし。ルーンって便利。

 

そんなわけで、1人氷の城を満喫中なのである。我ながらいい出来だし。

 

ただし、如何せん問題なのが…。

 

 

 

 

「暇…何故こうも暇なのだ」

 

そう、“退屈”である。城を作ったはいいものの、この島は無人島のようで、人はいない。つまり、この世界の情報を得ようとしても不可能なわけで。ましてや、ただの話し相手すらも探すだけ無駄というわけで。いや、居たとしてもこの城を見たら逃げるな。結局無理か。

 

そして今に至る。城を作って3日。スカサハ様の体のおかげか、空腹や睡眠とは無縁になったのだが、1人で過ごすには些か無理があった。人間、話し相手くらいは欲しいのである。今は女神だろと言う苦情は受け付けない。

 

 

 

「獣たちでは会話は成立せんからな…」

 

何処ぞの、鉞持ったゴールデンさんのスキル『動物会話』ならいけたかもしれない。詳しくは知らないけど。大学生の時ゲームしてたけど、ゴールデンさん来なかったから…!

 

 

「…暇潰しに散歩でもするか。新しい発見というのもあるやもしれん」

 

結局、いい案も出る筈がなく。諦めて適当に島を散策することにした。何気に自分の常識が通じない植物や動物を見つける事が多いので収穫はそこそこある。図鑑とかを持ってないので名前も詳細も分からないのが玉に瑕ということを除けば。見たこと無いものが多すぎて未だに「ここは何処だ」状態。進歩なし。元の世界に帰りたいです。

 

 

 

 

急ぐ用もないので、いつも通りのんびりと城の入口に向かう。ルーンを使えば割と何でも出来るのでわざわざ移動するのに歩かなくてもいいけど、そこは雰囲気で。城を歩くって優雅だと思う。誰か共感して欲しい。無人島悲しい。

 

「…まぁ嘆いても仕方あるまい。この島に人はおらん。それが事実なのだからな」

 

いっそこの島の全部を支配する勢いで生態系を管理するか。この島を北欧()と言った手前、有言実行するのも悪くない。

 

「ふふ、それはそれで楽しいな」

 

少し気が紛れたので、改めて頑張ろう無人島生活。まずは森へ向かおう。植物と動物の観察から開始である。

 

 

「___と、流石に森へ徒歩は堪えような」

 

 

軽く5kmは先にあろう森に徒歩で行くのは無謀というもの。主に退屈という意味で。神様である分体力的な問題は多少無視しても大丈夫なんだろうけど、道中暇なのは退屈凌ぎに城から出た甲斐がない。本末転倒もいいところ。ということで。

 

「ルーンで行くとするとしよう」

 

空中にルーン文字を刻み、体を浮かせる。飛んで行けばあっという間なので、退屈する時間はない。ついでに空中浮遊は密かな憧れだったりしたので、一石二鳥。

 

「それでは行くか」

 

 

城を離れ、森へと飛ぶ。少し城を空けるけど、無人島だから心配無し。防犯について考えなくていいって安全すぎだよこの島。猛獣も寒い氷原には近寄らないし。快適快適。

 

 

 

そう安心して、城にこれといった術を施さなかったのがいけなかったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────私はその時失念していた。

いくら無人島とはいえ、“外から”入ってくる存在がゼロではないという事を。

 

 

 

「うぉ!すげーなこの城!」

 

 

あの北欧で見た、炎の快男児のような人間が来るとは、夢にも思っていなかったのだ。

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