パーフェクトヒューマン(緑)   作:蕎麦饂飩

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番外編・おふたり恋戦争!

番外編『おふたり恋戦争!』

 

 今日も私の王子様は素敵ね。凜々しさが形になった様なお方だわ。

 私の心のアルバムは、今日も彼のページで埋まっていくの。残念なことに彼の目線は何時も私を向いていないけれど。でも、仕方ないわ。

 私が彼に気が付かれないように見守っているのですから。

 

 えっ? ストーカー?

 まさか、その様な事ありません。

 何故なら、私は彼の婚約者ですから。最早妻といっても構いませんわ。

 

「ママー、あのきもののおねーちゃん、どうしてでんしんばしらにかくれてるのー?」

「こら、見てはいけません」

 

 外野から何か声が聞こえますが、心配は要りません。

 何せ、貴方何様エリカ様と言われるくらいに私はお嬢様です。

 お嬢様は繊細そうでもそれなりの面の皮が厚くなくては出来ません。

 財布と面の皮が厚いのがお金持ちな生活を続ける基本です。はい。

 

 グリーン様は常に世界を変え続けています。

 お父様に提案した発明や、特許には枚挙に暇が無いほどです。

 全てを商品化して普及した暁には、この世界は目まぐるしく変わるでしょう。

 太陽が出て働いて、暗くなったら寝るという適当な生活が時計という発明で時間単位で仕事を定められるように変わったように。

 その革命を一番近くで常に見守りたいと思うのはまさしく愛に他なりません。

 

 世界を革命する力。

 普通の人間には無い、物語の王子様のような存在。

 …さしずめ私は王子様を待つお姫様でしょうか?

 

 いえいえ、最近のお姫様は城を抜け出して王子様の御行をおはようからお休みまで見守るのがトレンドです。

 タマムシウォーカーという雑誌にも書いていました。

 見守り系女子というものらしいですよ?

 ストーカーとはちょっと違うのです。

 何が違うかと言われると説明が難しいのですが、とにかく違うのです。

 

 あら、アレはナツメさん…でしょうか?

 

 ツインテールだなんて、直ぐにテレビで見なくなった子役時代以来ですね。

 商談…にしては随分と気合いが入ったお洒落具合です。

 というか、ゴシックロリータは狙いすぎじゃ有りませんか?

 それこそ、子役時代の『マジカルキュート☆ナツメちゃん』時代の衣装でしょう。

 少しは年を考えて――――

 

(あら、エリカじゃない。どうしてこんなところでストーカーしているのかしら?

彼とのデートの邪魔なのだけど)

 

 コイツ直接脳内に…!

 というか、デートでは無いでしょう。デートでは。

 

(私がデートだと思えば、例えヤマブキジムのプロデュース談義であれ何であれ、デートなのよ。

私にとってはね)

 

 かなり強いですわね。性格:お嬢様(ずぶとい)かしら?

 

(お嬢様と書いて図太いと読む人は初めて見たわ。

では、この後は邪魔しないでくださる?)

 

 商談については邪魔しないと誓いましょう。

 ですが、私は彼の婚約者(実質妻)としておはようからお休みまで見守る義務があるのです。

 ここは譲れません。

 

(くっ!! 本当に婚約者なのね…。

では、そうね…。おはようからお休みまでと言ったけれど、お風呂の間は如何かしら?

私の念写写真を分けても良いけれど)

 

 …魅力的な提案です。

 こんな提案が出来るなんて彼女はエスパーなのでしょうか?

 …そう言えば、そうでしたね。

 では、1時間だけ私も休息を取りましょう。

 

(…3時間。良いわね?)

 

 …2時間。此処が落としどころでしょう。

 

 

(解ったわ)

 

 

 

 全く。ナツメさんにも困ったものです。

 昔は超能力ブームが去った途端、急に番組を打ち切ったり手のひらを返したテレビ局や大人を信じられなくなって、引き籠もっていたこともあったというのに。

 今では随分と強かになりましたね。

 超能力以外でモデル業などを通じてメディアに返り咲くことで裏切った大人に復讐すると言っていましたし。

 同じく箱入り娘という、実質的な引きこもりだった私の初めてのお友達でしたが、まさか恋敵になるとは思いませんでした。

 …私の勝ち確定の勝負ですけれど。

 

 ナツメさんは何だかんだで未練がましい方ですが、親友なので良いとして、カスミさんはマークする必要も無いとして、

それでもそれなりに彼の周りには女性が集まってくるので心配ですね。

 最近は四天王の女性もよく会いに来てはお話ししている様ですし…。

 

 

(…カンナさんは違うから安心なさい。

それと、早く休憩(・・)に入りなさい。まだ2時間のカウントを始めてないのなら別だけど)

 

 親友(ライバル)がそう言うのならそうなのでしょう。悪意のある嘘で利益を得ようとする人ではありませんからね。

 では、何処で時間を潰そうかしら?

 確かタマムシウォーカーに美味しそうなスウィーツのお店が載っていたような…。

 そうそう、名前は確か――――

 

 

(あっ、そこは私が今から使う予定だったのにっ)




 Gさん



 最近どうにも寝付きが悪い。
 誰かの視線を常に感じるのはなれている。世界を変える者は常に周囲の期待や憎悪の視線を受けるのは当然のことだ。
 だが、今感じているような視線の感じ方は生前も少しの期間の間だけあった。
 確か妻と結婚する少し前のことだったと記憶している。
 結婚してからあの視線を感じたことは一度も無かったはずだ。
 フーディン、お前なら解るか?
 ……首の振り方がぎこちないな。
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