パーフェクトヒューマン(緑)   作:蕎麦饂飩

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もてる者は全てを手に入れる

第13話『もてる者は全てを手に入れる』

 

 フリーザーを手に入れたグリーンは、残りの伝説のポケモン、サンダーとファイヤーについて調べた。

 ファイヤーはグレンタウンか何処かの暑い場所であろうが、絞り込むのは難しかった。

 一応、チャンピオンロードでの目撃談もあるという噂だが、そもそもバッジが揃っていないグリーンには、今は無縁の話だ。

 だが、誰かに取られる前には急いで捕獲する必要があった。

 

 一方サンダーは、以前から電力供給が不安定な無人発電所にいると当たりを付けていた。

 無人発電所は人件費削減のために、完全自動化に成功させたシルフカンパニーに最近買収された電力会社のものだが、

人間が居なくなるや、野生ポケモン達が居付き始めた場所だ。

 

 グリーンはハナダシティの東にある無人発電所に向かった。

 無論、サンダーを捕まえるためだ。

 

 道中でエレブーなども捕獲できた。

 素早く爆発するボール型のポケモンはやっかいだが、レベル差と努力値ですばやさで上回るダグトリオの敵では無かった。

 何せ紙のような装甲だ。

 そもそも(初代では)威力100の『あなをほる』に勝てる電気タイプなんて、飛行を兼ね備えるサンダーくらいしかいないだろうが。

 コイルは一件打たれ強そうで、ノーマルタイプの攻撃などこうかはいまひとつの様な外見をしているが、実はそうでも無い。

 普通にペルシアンのきりさくで倒せた。

 

 そうやって、特にギミックも無い無人発電所の奥にグリーンはやってきた。

 その正面には電気泥棒ことサンダーがいた。

 

 発電所で作られる一番新鮮な電気を貪っている。

 ピカチュウ達など、端っこの方でそれなりに控えめに電気をムシャムシャしているのに、やはり王の風格を持つサンダーは堂々としていた。

 …やっていることはタダ飯の食い逃げだが。

 

 ぶつけるのは捕獲要員ゲンガー。なんでもなおしがあれば伝説と言えど、野生でレベル50のポケモンなど恐い相手ではない。

 あっさりと捕獲した。

 これにより、カントー地方の無人発電所の発電力が大きく回復したことをグリーンは後で知った。

 

 

 グリーンが発電所から出たとき、何故かエリカが入り口にいた。

 入るときは入り口からしか入れないのに、出口から出ると入り口と同じ場所に出る不思議な無人発電所の仕様が、

グリーンの後を付けてきたけれど、人気の無い無人発電所に入るのを怖がった為に入り口付近で窓から中を伺っていたエリカとグリーンを鉢合わせた。

 

 エリカは予想外のことに混乱した。

 

「今日も良いお天気ですね」

 

「ええ」

 

 エリカは混乱すると、自動的に社交界モードに移行する。

 全く当たり障りの無い会話で、意味の無い時間が過ぎ去る様に無意識に会話できるモードである。

 エリカは普段、女性同士のトークのためのトークの際、興味が無い話題の時に、よくこれを使用している。

 

 故に、自然な会話が出来ていた。

 勿論、無人発電所の窓を覗き込んでいた姿は極めて不自然だったが。

 

「今日も良いお天気ですからね」

 

「ええ」

 

 おや、エリカのようすが…?

 

「だって、良いお天気ですものね」

 

「…え、え?」

 

 エリカは今までにないくらい混乱しており、社交界モードへの正常な移行も出来ていなかった。

 恋する乙女は盲目だから仕方ないと言えよう。

 

 正常に機能しない社交界モードを強制終了させたエリカは、めのまえがまっくらになりそうなのを気力で押さえて、

取り敢えず自分の言葉で何か言ってみることにした。

 

「えっ、えーっと、その、結婚しましょう」

 

「是非、そうしよう」

 

 完全な自爆、というか大爆発で自分が間違いなく瀕死になって終わり。

 ぼうぎょの高いグリーンは健在という可能性を、良く解らないことを口走った瞬間エリカは思いついたが、

 

 グリーンはベストを尽くす男である。

 狙ったチャンスは無駄にしない主義だ。

 好みの女性が隙を見せたら、そこを攻めない選択肢は無い。

 あるとすれば、攻めない方がベストだという判断がされた時のみだ。

 

「………へ?」

 

 変な声を出したとエリカは自覚した。『へ?』よりは寧ろ『ふぇ?』に近い発音だ。これではまるで痛いぶりっこでは無いか。

 だが、その前に、それ以上に凄いことが起きた気がする。

 凄いことを言った気がするし、凄いことを了承された気がした。

 というか、気のせいじゃ無くて実際それが起きていた。

 エリカは状況を整理し直していた。

 

「では、法律が許す時にすぐ君の夫になれるように、予約を入れさせて欲しい」

 

 合理的でビジネスライクなグリーンらしい回答に、自分が今行った一連の発言を整理し直したエリカは、

 

「こちらこそ、おねがいいたしますわ」

 

 そう言う他なかった。勿論、内心はガッツポーズでのきららジャンプである。

 こころはぴょんぴょんと飛び跳ねていた。

 

 

 一方、グリーンは満足しつつも、(カンナ)には悪いことをした。

 だが、ベストを尽くしてこなかった姉も悪い、と喜びと同時並行で三十路前の姉を哀れんでいた。

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