第20話『終結点』
「
「ああ 俺は
…長かった。遠かった。高かった。
漸く、お前と同じ目線に立てた」
「いや、まだまだだ」
「何だと」
「俺もお前も未だ道の途中にいる。
確かに此処は一つの到達点ではある。俺も嘗ては此処を頂上と定めた。
だが、今はその上が欲しい。もっと上へ、更にその上へ、上の上の上の更にその上へ――――俺は行く」
「お前は…、一体何処まで」
「全てを見下ろせる高みまで。
…だが、良いだろう。お前のために今この時における俺の
――まだ、お前が俺を掴める内に、俺が敵として立ちはだかってやろう。
おれは ずかん あつめ ながら かんぺきな ポケモンを さがした!
いろんな タイプの ポケモンに かちまくる ような
コンビネーションを さがした!
…… そして いま! おれは ポケモン リーグの
ちょうてんに いる! レッド!
この いみが わかるか?
…… …… ……
…… わかった! おしえてやる!
この おれが!
せかいで いちばん!
つよいって こと なんだよ!」
グリーンは レッドに しょうぶを しかけた
「いけ ダグトリオ」「いけ サンドパン」
グリーンは ダグトリオを くりだした
レッドは サンドパンを くりだした
グリーンはダグトリオに、持っている技の中で最大威力を出せるタイプ一致の『じしん』は使わせなかった。
その読みは正しかった。
「もどれ サンドパン いけ リザードン ……いわなだれ…だとっ!?」
ダグトリオのメインウェポンは『あなをほる』か『じしん』である。
だが、グリーンはワタルを倒した後に、『あなをほる』の代わりに『いわなだれ』を覚えさせていた。
理由は明白だ。レッドはグリーンと同じくジムトレーナーや四天王の様に、タイプに拘ってベストを尽くす人種とは違う。
タイプに拘らず、勝利することにのみベストを尽くす人種だ。
故に、ひこうタイプのポケモンがいれば、初手のじめんを不発に終わらせた上で、メインウェポンを封じるためにポケモンを入れ替える可能性をグリーンは読んでいた。
故の
結果は、言うまでも無い。
「すまない もどれ リザードン
いけ カメックス」
レッドは カメックスを くりだした
ダグトリオの じわれ
しかし カメックスには あたらなかった
カメックスの カウンター
ダグトリオは たおれた
全てを一撃の下に滅殺する一撃を躱し、その一撃だと仮定される攻撃力をそのまま相手に増幅して返す(初代仕様)。
余りにも無慈悲な威力の為未来では在り方を変えられるが、この時代には一撃必殺技は成否を
それを刹那の見切りで躱し、倍である威力131070(カウントストップ)の攻撃で穿ち抜く。
レッドだって、伊達にチャンピオンロードを越えてきたわけでは無かった。
「やるなレッド もどれ ダグトリオ
いけ サンダース」
グリーンはダグトリオを戻し、サンダースを繰り出した。
サンダースの かみなり
カメックスは まひ した
カメックスは しびれて うごけない
レッドは かいふくのくすりを つかった
カメックスは かいふくした
サンダースの かみなり
レッドは ミックスオレを つかった
サンダースの 10まんボルト
きゅうしょに あたった
カメックスは たおれた
「よくやった もどれ カメックス
いけ フシギバナ」
レッドは フシギバナを くりだした
「もどれ サンダース
いけ フーディン」
レッドはフシギバナにサンダースを想定してじしんを繰り出させたが、受けたのはフーディンだった。
ゲンガーやサンダースのようにじめんタイプが弱点では無いが、フーディンの耐久はそう高くも無い。
しかし、
「フーディン サイコキネシス」
こうかばつぐんの攻撃はそれなりに効く。
ただ、それなりだ。とくしゅ100が生み出す耐久は伊達では無い。
再度のじしんでフーディンは倒れた
だが、体力の削られたフシギバナであれば、対処法は十分にあった
「もどれ フーディン
いけ ケンタロス」
やることは意趣返し。
「ケンタロス じしん」
ケンタロスの じしん
フシギバナは たおれた
「よくやった もどれ フシギバナ
いけ サンドパン」
繰り出されたのはサンドパン。
しかしケンタロスには敵では無い。グリーンはそう考えていた
「ケンタロス ふぶき」
襲いかかるはとくしゅ値70から繰り出されるタイプ不一致、されどこうかばつぐんな氷タイプの大技、ふぶき。
しかし、その攻撃は外れた。
「サンドパン のしかかり」
レッドが命じたのはケンタロスのもう一つの定番でもある『のしかかり』。
先程仲間がやられたことを返すように、ケンタロスはまひさせられた。
「サンドパン きりさく」
レッドの命令に従い繰り出されるきりさく。
すばやさが低いサンドパンが使ったにもかかわらず、それは急所にあたった。
「ケンタロス はかいこうせん」
グリーンが選択したのははかいこうせん。
もはや次のターンまでケンタロスは持たないだろうから反動が残っても問題は無いという考えであった。
そして、実際その通りに次のターンのサンドパンのじしんにケンタロスはたおれた。
「もどれ ケンタロス
いけ ラプラス」
サンドパンより遅くなく、とくしゅが高く弱点を突ける。
これ以上の選択肢は無かった。
一発のなみのりがサンドパンの体力を全て押し流した。
元より湿り気に弱いポケモン故にかなりの痛手であったことはまちがいない。
「よくやった もどれ サンドパン
いけ ウィンディ」
ウィンディは先程のリザードンとタイプが被っている。
しかもほのおタイプが得意なポケモンの種類から言っても、それは悪手としか思えなかった。
だが―――――――
ウィンディの だいもんじ
きゅうしょにあたった
ラプラスの なみのり
こうかは ばつぐんだ
ウィンディの はかいこうせん
きゅうしょにあたった
ラプラスは たおれた
連続での急所への命中。特にラプラスは急所が多かったり大きかったりするわけでは無い。
最早何かに憑かれているといっても良い幸運だった。
そう、例えるなら――――きりさくや、ひっさつまえばの様な急所率としか思えなかった。
そして、グリーンの得意戦法でもあるはかいこうせん。
相手を倒してしまえば反動も消えてしまう、高威力の物理攻撃。
彼を研究してきたレッドが己の切り札の一つとしていないわけがなかった。
このウィンディは一匹にして、二匹の想いが重なったポケモンである。
その急所率は、まさしくラッタのひっさつまえばのようであった。
ならば、とくしゅこうげきに分類されるほのおタイプに対抗できる程度にとくしゅが高く、はかいこうせんが効かない壁を用意すれば良い。
ならば、選ぶべきポケモンは決まっていた。
「もどれ ラプラス いけ ゲンガー」
グリーンはゲンガーを繰り出した。
先程から嫌な予感しかしない。このウィンディは全ての攻撃を急所に当てられるのでは無いか?
そんな気さえしてきた。
だいもんじなら3回までは耐えられる。だが、急所であれば2回で落とされてしまう。
だから、選択肢は一つだった。
「ウィンディ だいもんじ」
「ゲンガー だいばくはつ」
ウィンディはまたしてもだいもんじをゲンガーの急所に入れた。
ゲンガーの体力はあと僅かだった。だが、それもグリーンの予想通りだった。
両者ともに次のポケモンの選択は必要無い。
残りは―――――――――1匹だけだ。
「ありがとう ほんとうによくやった… もどれ ウィンディ
いけ ピカチュウ」
「もどれ ゲンガー
いけ サンダース」
ポケモンへ向かい合うことにベストを尽くした少年と、ポケモンで勝利することにベストを尽くした少年。
対照的な言葉を瀕死になったポケモンに投げかけながら、最後の1匹を繰り出した。
レッドは ピカチュウを くりだした
グリーンは サンダースを くりだした
「覚えているかレッド? このイーブイは オーキド研究所で生まれた最初の一匹だ
お前が最初に捕まえたピカチュウとこうして対峙するとは、運命すら感じるな」
「グリーン、決着を付ける前に一つだけ聞きたい。
今の俺はお前にとって何だ」
その答えは決まっていた。
最初は歯牙にもかけない凡人のやや上程度でしか無かった。
だが、今なら言える。その言葉は一つしか無い。
「俺の―――――――――――――
お前こそ、俺にとって最初にて最後、絶対にして究極、原点にして頂点の
「…その言葉が聞けてよかった。
俺にとってお前は最初は届かない壁か、天才の概念かと思えた。
だが、漸くお前が一人の人間であるところまで俺は追いつけた。
決着を付けよう。
行くぞピカチュウ、君に決めたっ―――――――――――」
「やれ、サンダース。勝つのは俺たちだ――――――――――――」