こちら横須賀港・整備場   作:右肘に違和感

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とりあえず二人が気に入った武器だけのお話。
戦闘描写はまた次回になります、そして難しそうで遅れる気配満々。

二人をくっつけたまま武器発見描写を書くと配置的にも訳のわからない事になりそうだったため
別々に、それぞれが整備長を違う時系列で(つっても5分10分の差だが)引き連れています。


鉄屑の中で輝くモノ

※with・天龍※

 

「お、おい、整備長!! これ、これがいい! 俺、コレがいいッ!!」

「ん……」

 

天龍が見かけた瞬間に心を奪われたその「ツルギ」。

それは、とても大きく、とても無骨で、刃に該当する部分が赤く輝いている。

 

「ちょっと待てよ……T-36番だから……あった。

 えーと、『1/9スケール・アロンダイト』って名前になってるな」

「アロン……ダイト……」

 

天龍が見惚れたそれは、剣を表す部分だけでも天龍の身長を超えており……

 

「ッ! くっ……さすがに、重いなッ……! 見た目通りって事かよッ……」

「おぉ、お前良く持てんなぁそれ。前に一度重さを計ったら200kg行ってたぞ、そのアロンダイト」

 

その超重量こそあり、剣を格好良く構えることこそ出来ないものの

周りに配慮して背負いあげる程度の余裕はあるらしく、ぎこちないながらも峰を肩に当てて持ち上げた。

 

「っは、日頃から、艦隊砲背負って、海を突っ走ってんだからな……! こんぐらい、朝飯前だってのっ」

 

どうやら本当に心底気に入ったらしく、少し顔から汗が出てきているが

その笑顔は普段見る事が出来ない程に嬉しそうな表情だった。

輝かしいばかりに「気に入ったッ!」と全力で主張しているその様子を見て

整備長は少し思案した後、天龍に話を持ちかけた。

 

「よし、天龍。それを本気で使いたいならお前自身に推進力のパーツを追加してやろう。

 その推進力を上手く使えば、そのクソ重い刀も自由自在に振り回せる様になると思うぞ」

「やるっ! つけろっ! 早くつけろッ! 今すぐッ!」

「少しは悩めよお前ッ! まぁ良い、えーと此処らへんに確か……」

 

何も考えてこそ居ないものの、元気の良い快諾を天龍から見せられた整備長は

手に持っていた失敗作鑑定図鑑も見ず、まるで我が家のようにスルスルと棚列の奥へと向かった。

そして少しした後に、手に何かを持って戻ってきた。

 

「よし、持ってきたぞー」

「おう、お帰り。んで……なんだ? その……どっちかってーと艦載機辺りにつけるっぽい物体は」

「お、良い線突いてるぞ天龍。これは『ミノフスキードライブ』ってヤツでな。

 まあコレの名前も知り合いが付けたんだけどさ」

「名前聞いても何に使うのかわかんねーって」

 

天龍の言う通り、何も知らない者からすれば名前になんの関連性があるのかさっぱりである。

それには整備長も同意するものがあるらしく、天龍の発言にうんうんと頷いていた。

 

「まぁそうだなー……これ、なんでも装着したヤツを飛行可能にする程の推進力があるらしくてな」

「ほぉー、空飛ぶ俺様か……なんだよ、わかってんじゃねーか整備長ー♪」

「いや、違う。これ噴出口を下向きじゃなくて横向きにつける」

「よ、横……? えーと……重いもん背負ってるような俺らに横向きに……ってーことは」

「うん、すっごい加速する。ものっそい加速すると思う。

 多分どっかのストックホルム症候群全開の三代悪女なお姫様なら「島風よりはやーい!」とか言う位。」

 

重力に打ち勝ち、空を飛ぶ為に推進するモノを真横につける。

すると互いに相反するエネルギーがひとつの方向にぶっ飛んでいく結果になり

最終的には加速装置扱いとなるであろう、と整備長は見込んだ。

 

「重たくて結構、破壊力がありそうで結構。 けどな……そういうのは当たらなきゃ意味無いんだよ」

「まぁ、そらぁそうだよなぁ」

「んだからお前の体の各所にコレを取り付けて、ついでに剣にも取り付けて……

 お前自身も最速で接近して、なおかつその馬鹿でっけぇ剣も最速で振れる様にする」

「……完全に俺らの望んでる形だな」

「そういうことさ、さすがに初っ端から使いこなせるわけはないだろうし

 暫くの間は努力の期間になるんだろうけど、自在に使えるようになったら……

 多分フラッグシップ戦艦ル級でも一撃ノックアウトなんじゃねーかなぁ?」

 

整備長の話を大人しく聞き、ロマンも夢も、求めていたものがこの剣にあると確認する。

そこまでくれば、後はいかにして短期間でこのアロンダイトを自由自在に扱えるか、だった。

 

「……よし、俺はやるぜ。絶対にやってみせてやるよ。

 それでなくても他の同級の奴等と比べて砲撃力やらなんやらと劣ってるしな。

 ここらで一発でっけぇ一撃必殺があったって、誰からも文句は出ねえだろ」

「その意気だ、ちゃんと手入れもしてやるんだぞ。

 武器を粗雑に扱うヤツには成長の見込みなんぞ、ないからな」

「わかった、これは大切にさせてもらうぜ。ありがとな、整備長!」

「よし、なら早速奥の調整室に行って出力と装着場所を調整しようか」

「そんな部屋まで完備してんのかよこの部屋……アンタどんだけ趣味に走ってんだ」

 

全ての内容が決定したので、この場の掃除と後片付けを46cm連装砲ちゃんにバトンタッチし

整備長と天龍は、失敗作保管庫からそのフロアの工廠へと向かうのだった。

 

 

※with・叢雲※

 

「せ、整備長っ! これっ! これ見せてっ!!」

「ん? おぉ、これかぁ」

 

少し高めの棚が陳列するエリアからさらに歩き、叢雲は壁に刀が掛けられている区域へと辿り着いた。

その瞬間、とあるひとつの刀に魅せられてしまう。

 

「これはさすがに俺も作った時に印象が強かったからまだ覚えてるな、よっと」

「………………」

 

一見しただけでも一発で分かるその刀の特徴は、やはり整備長も根強く覚えていたらしく

懐かしさいっぱいで脚立に登った後、鞘に入った刀へと手を伸ばして慎重に刀を降ろした。

 

「……と、刀身を、見せてもらってもいいかしら」

「わかった、少し離れててくれ……ほいっと」

「…………!」

 

整備長に離れてくれと指示を受け、叢雲は少しだけ距離を取り

整備長の手によってスルスルと刀身が顕になっていくその刀に釘付けになっていた。

 

叢雲が見初めたその刀は、『 長 い 』。

 

その全貌、鞘から抜き去った上で整備長の身長より長い。

せいぜい持ち手の部分を長さの計算から省き、刀身のみで考えても同じぐらいの長さだった。

もちろん頼んだ叢雲の身長など、刃部分だけでも勝てない程だ。

そして持ち手には持ち手で、丸型の窪みが6つ付いているようである。

 

普通の刀には無い、特徴的なモノを色々と持った刀と言えた。

 

「名前こそ知り合いに任せたが……この刀の名前は『正宗』だ。

 見ての通り長いからそれだけで扱いづらいだろうし

 刀本来の耐久力もあって形が変わり安すぎるのが難点ってところかな」

「まさ、むね」

 

整備長の横へと向かい、『正宗』の持ち手を譲り受ける叢雲。

 

「かなり重いぞ、気をつけろ」

「ッ! くっ、見た目の割には結構な重量ねッ」

「先端が長ければ長いほど、負荷がかかってくるからな」

 

しかしこの重量問題も天龍と同じく、艦娘である叢雲にはそこまでの脅威ではない。

最低限度必要な力は備わっているらしく、若干ぷるぷる震えてはいるが持つ事は出来た。

 

「ふ、ふんっ、た、大したこと、ないわねっ!」

「……やせ我慢、ご苦労さん。それで実際どうだった?

 扱いにくさは半端じゃ無いと思うが、これにするのか?」

「もちろん、よっ! ちゃんと鍛錬して、思い通りに動かしてみせるわっ!」

 

叢雲は本気でこの『正宗』が気に入ったらしく、整備長の言葉に快諾をした。

その言葉を聞いて、整備長は嬉しそうに『正宗』の刃を鞘に収めていった。

 

「あ、ちょっと! こんな長い刀身を鞘なんかに収めたら出し入れが大変じゃないのっ!」

「むしろこんな刀を抜き身の状態で居ようとするなバカタレ。

 電ちゃんがこれに激突しただけで刀身が曲がるぞ」

「……あの娘の場合、鞘に入ってても結果は同じなんじゃないかしら?」

「……言われてみれば、そうだな。まあ危険には変わりないんだ、使う時だけ鞘から出すようにしてくれ」

 

長い刀に、これまた長い鞘をゆっくりスルスルと入れていき、最後にパチンと音がする。

そこでふと思いついた様に整備長はその場を少し離れ、叢雲がどうやってこれを運ぶか考えていた所で

再び整備長が姿を表し、鞘の先端に急遽何かを取り付け始めた。

 

「アンタ、何やってんのよ」

「車輪つけてんだよ、車輪。それで引きずらなくても済むようになるだろう」

「子供の補助輪と一緒にしてないでしょうね?」

「子供だろ、事実」

 

最後の整備長の一言に対して素早く(12.7cm連装砲付きの)拳を繰り出したが

日頃から駆逐艦娘・電に突撃され慣れているせいもあって、整備長は軽々と避けた。

 

「さて、失敗作とはいえ俺の大事な作品なんだ……生半可な腕で使う事を許しはしないぞ。

 早速使いこなすための特訓に入ってもらう、場所を提供するからついてきてくれ」

「待ちなさいッ! その前に1発殴らせなさいッ!」

「アハ~ハハハ~、叢雲ちゃん如きに殴られるようじゃこんな港じゃ生きてけないさ~、っと」

 

再度拳を繰り出してきた叢雲の一撃を、軽くパシッと弾き

片方は何やら楽しそうに、片方は憤慨の表情と感情で失敗作保管庫から消えていった。

 






※模造tip※

艦娘は潜水艦娘以外、身体能力が軒並み上昇しています。
腕力握力問わず。
実際この2つの武器を世の中に出したら凄まじい負荷が掛かるはずですが
彼女たちは普段から鉄の塊と火薬を背負っているはずなので問題ない。


・アロンダイト 某デスティニーGの近接武器
・正宗     FF7タシロスの武器

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