黒子のバスケ ifストーリー 「もし、黒子が桃井の事を好きだったら」 作:和泉春
三話の黒子の台詞が以外と気に入っています(笑)
「何ですか、黄瀬くん…。
顔が近いです。」
すると黄瀬くんは声を小さくして、
やはりにやけた顔で言った。
「昨日、あの後桃井っちと
なんか進展あったんスか?」
予想はしていたが、
まさかここでそれを聞くとは…。
軽くため息をはくと、
僕は小さい声でそれに答えた。
「何もないですよ。」
「えぇ!?何で!?」
突然耳元で大声を上げた黄瀬くんは、
なんとも言えぬ表情で僕を見つめる。
「なんで、と言われても…。」
人差し指でぽりぽりと頬をかくと、
黄瀬くんはうな垂れてため息をついた。
「はぁ…。てっきり昨日の、
そうだと思ったんスけどね…。」
「そう、とは?」
「告白ッスよ、
そんで付き合う事になりました〜っ
て感じ?」
「感じって…軽々しく言わないで下さい。」
僕が呆れて言うと、
黄瀬くんはふてくされて頬を膨らませた。
「だって、絶対桃っち
黒子っちの事好きじゃないッスか。
そう思って当然ッスよ〜。」
その言葉にドキッとした。
やっぱり周りも勘違いをしているのか。
皆は知らないだろうけど、
桃井さんは本当は青峰くんが好きなのであって、
僕ではない。
一言に相棒と言っても、僕は影だ。
光には、遠く及ばない。
…自分の言葉に落ち込んでしまった。
僕はもう、決めたのに…。
「そうですか。」
黄瀬くんとの会話は、そこで途切れた。
ふと僕は後ろの二人の会話に、少し耳を傾ける。
「青峰くん、今日の夕食何食べたい?」
「あぁ?今日もいねぇのか、
俺んち。」
「うん、
自分の親の事くらい知っておきなよ。
私も今日は帰って来れないって言ってた。
だからご飯は二人で食べろって。」
「お前が作るのか…?」
青峰くんは顔をしかめて
恐る恐る聞いた。
桃井さんはキョトンとした顔を
青峰くんに向けて「そうだよ?」と言った。
すると青峰くんはたちまち黒い顔を沈ませて、
声を低くした。
「俺はコンビニで買って食う。」
「えぇ!?」
「何だよ‼」
「だってそうじゃん‼」
そう言い合いながらも、
二人は相変わらず歩調を崩さず並んで歩く。
そして僕はつくづく思う。
幼馴染みって、何なのだろうと。
僕はぼーっと二人を見つめる。
「……。」
黄瀬くんは緑間くんに絡み始めた。
「あ、緑間っち‼
今ため息ついたッスね‼酷いッス‼」
緑間くんは、それに仕方なく構う。
「別にしていないのだよ。」
紫原くんは変わる事無く
お菓子を頬張る。
赤司くんは列を下がってきて
僕の隣に並んで歩いた。
その時、青峰くんが少しダッシュして、
僕達を抜かす。
それを、バックを振り回して追う桃井さん。
その様子が、
どこと無く楽しそうに見えた。
最前列まで来た青峰くんは、
桃井さんの攻撃を受けてからまた歩き始めた。
これは考え過ぎだろうか。
青峰くんの歩調が、なんとなく、
桃井さんの歩調に合わせられている気がした。
僕が二人の様子をじっと見ていると、
隣で歩く赤司くんが僕に言った。
「テツヤ、お前はいいのか?」
「え?」
赤司くんは全て悟ったかの様に、
いや、悟っていたのだろう。
僕が桃井さんと会っていた事も、
僕が二人をどんな思いで見つめていたのかも…。
赤司くんの静かで、
僕を見透かした様な微笑みに、
僕は黄瀬くんの時みたいに誤魔化す気にもならなかった。
そのことすら、
無駄に思えてしまった。
僕はうつむき、
前の二人に聞こえないように、
小さな声で言った。
「赤司くんは凄いですね、
何でも見抜かれてしまいます。
……。」
「…まだ、好きなのだろう?
あれでよかったのか?」
赤司くんの鋭い問いかけに、
僕は一瞬うろたえたが、
すぐに落ち着いて、和やかな気持ちになった。
「はい…。
あれで、良かったんですよ。」
「…。」
「僕は…好きな人には、
本当に好きな人のそばで笑っていて欲しいんですよ。
それに…。
僕には、あの二人は眩し過ぎます。」
二人を見つめて、
僕は悲しく、嬉しくなった。
素直な気持ちだ。
赤司くんは、僕に「そうか。」といって微笑んだ。
「テツヤが自分でそれを選んだなら、
僕は何も言わないよ。
すまないね、余計な事を言った。」
「いえ。
正直、なかなか決心出来ていなかったんです。
あそこにいるのが、僕だったらって…
何度も、思ってしまって。
だから、今確認されて良かったです。
赤司くん、ありがとうございました。」
僕がお礼を言うと、
赤司くんはまた微笑んだ。
またあの二人を見つめて、
何とも言えぬ笑いが込み上げてきた事は、
僕と赤司くんしか知らない。
中2の、ある夏の出来事だった。
第四話 眩し過ぎます。を読んで頂いて
ありがとうございます^ ^
第一章終了‼
気に入って頂けたら嬉しいです!!
これからも頑張って行くので、
よろしくお願いします^ ^