てか面積3km平方の島に鎮守府とか無理がある気もする。
穏やかな瀬戸内海に浮かぶ小さな島。
そこでは今日も平和な一日が進んでいた。
盛大になにも始まらない
日本山口県岩国市柱島、瀬戸内海に浮かぶ小さな島に、これまたあまり大きくはない、言ってしまえばこじんまりとした鎮守府がそこにはある。
しかし唯でさえ陸に近い瀬戸内海に位置するこの鎮守府は、正直な所、鎮守府として機能しているとは、大見得切った言い方も出来ないような状態でもあった。
曰く、彼処は鎮守府ではなく大きめの停泊所だ。
曰く、近くの鎮守府の訓練所ではないのか。
曰く、彼処から出撃するのはかえって時間の無駄ではないのか。
しかし、その鎮守府はしっかりと鎮守府として登録されており、しっかりとした工廠も備えられ、日々艦娘達が訓練に励む姿が見られるだろう。
ならば何故、そのような評価なのか。
それは────
「それで?前の出撃は何時だったの?」
「一昨年の夏。6月8日。それっきりだな」
敵が居ない。それに尽きるのであった────
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季節は春。ここ柱島でも植えられた桜が咲き、何処も浮き足立つ季節。
柱島鎮守府の奥。新設されてから少々月日が経った鎮守府の外壁、その窓より聞こえる若い男女の話し声は、軽い愚痴だった。
「なんで大本営は瀬戸内海に鎮守府なんざ建てたんだ?ある意味内地より安全だろココ…」
少々呆れの入り交じった男、提督の言葉を資料の入ったファイルを片手で持ちながら女、陸奥は答える。
「上からの報告だと、『出来るだけ身近な基地を作る事により、市民への安全への配慮及び近隣泊地との連携を主としての設立。』らしいけど?」
「ま、ある意味での保険ってことか。暴徒なんかも鎮圧できそうだな?」
「それも兼ねてるんじゃないかしら?あとは簡単に戦力の補給ができる基地って扱いかしらね?」
「まぁ大御所の呉が近所と来ればそうなるか…
しかし最近の任務っていやぁ、
「でしょうね。まぁ、出撃が出来ないココならではの苦肉の策って所かしら?」
艦娘出張。読んで字の如く、出撃が出来ない柱島鎮守府が産んだ泣きの一手、近場の敵戦地を叩くなどの大作戦や輸送任務など、人手が欲しい泊地に遠征する任務。因みに考案者は此処の提督である。
「おっと、そろそろ遠征隊が帰ってきた頃か…」
少し前に受け取った連絡では、そろそろ報告が来る頃だ。
そこにコンコンコン。と三度のノック。
「遠征部隊旗艦神通、任務の報告に参りました」
「入れ」
「失礼します。報告として、駆逐艦電及び深雪に軽度ながら損傷。その他の物資の結果はこちらの報告書に記載しておきました」
「あー了解。電と深雪にはドックは空いてると知らせておいてくれ」
「了解しました。失礼します」
「おう。ゆっくり休めよ」
「ありがとうごさいます提督。それでは」
そう言って神通は踵を返して退室した。
「なぁ陸奥。大本営からの作戦とかは来てないのか?」
「無いわね。あったとしても他の鎮守府への支援でしょうけど?」
「やっぱそんなもんだわな…なんかこう…平和なのは良いが歯痒い気持ちだな…前線に立てないってのは」
「仕方ないわよ。こんな場所なんだし…私達にできる事をする。それが1番じゃない?」
「それもそうか……そろそろ昼飯時だな。よし、昼にするか」
「今日は食堂に行くの?」
「そうしよう。皆の顔も見ておきたい」
「それじゃご一緒するわね?」
「おう」
曰く、その鎮守府は内地より平和である
曰く、その鎮守府は一番市民に愛されている
曰く────
その鎮守府は、誰も死なない鎮守府である
だそうだ。
柱島泊地といえば陸奥が爆沈した事件だよねってことで陸奥が秘書。
ちなみに6月8日は陸奥が沈んだ日だったり。