モンスターハンター外異伝   作:麗紫 水晶

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遅くなってございました。何とか次話にこぎ着けました。表現下手ではございますが、どうぞ本編にお付き合いくださいまし。ではノチホド。



☆★☆★☆受け継ぐ力と新たなる力☆★☆★☆

 「沙耶………。」

 

 テーブルに両肘をつき、手を組んで額につけているもう一人、いや、もうひと家族と言おう沙耶を心配する者たちがいた。

 

 「あなた………。」

 

 「僕もオンラインで仲間たちと連絡取り合っているけど、まだ誰も会ってないって。」

 

 沙耶の家族である。

 

 「姿が消えてしまってから1か月になるが、連絡もない…。というより連絡を取る方法すら分からない。どうしたものか…。」

 

 沙耶の弟がおもむろに3DSを出してきて、父にモンハンのクエスト欄を見せる。

 

 「だけど、一つだけ大変な奴が出てきたよ。」

 

 夫婦は息子を囲み、3DSを一緒に覗き込んだ。するとそこには、クエスト名”荒ぶる恐暴の帝王”変異種のイビルジョーの特殊討伐、受注条件:HR解放者LV40以上のみ。このクエストに限り、8名参戦を可能とする。

 と記されていた。

 

 「報酬額はかなり高額だけど、LV40以上ってことは相当の手練れじゃないと参加不可だよ。でもこのイビルジョーは、姉ちゃん達が戦ったモンスターだと思うけど。」

 

 父も生放送で見た、明日美が殺され、沙耶達が戦ったTレックスのようなモンスターを思い出していた。あの衝撃的映像は忘れようもないだろうが…。

 

 「アイツか。その参加条件はどうなんだ?お前も参加出来そうなのか?」

 

 「いや、まだだよ。少なくともあといくつかのクエストをクリアしないと条件には合わないよ。」

 

 と息子も歯噛みする。少しでも姉を手伝いたいと思っているらしい、悔しさが混じっていた。

集会酒場で、ランクを上げ、G級へ進み、★4の鍵になるクエストをクリアし、緊急クエストをクリアしなければならない。しかも解放されたとしても、レベルが40以上でなくてはならない。それだけのクエストをこなせるかどうか息子も不安ではあった。

 

 「しかし歯がゆいな。連絡が取れないというのは。」父は拳をゆっくりと握りしめていた。不安と何も出来ない、いやしてやれない苛立ちと心のやり場に困り果てていた。

 

 「何か方法は無いのかしら?いつまでも連絡が取れないと、モンスターが増えるばかりだわ。」

 

 と母が聞き捨てならない発言を。

 

 「そうだな、この前ほどの大きいモンスターは居ないにしろ、肉食系の小さいモンスターは全国各地に出没しだしたしな。一部の地域では学校関係もしばらく休校にしたらしいぞ。他は自衛隊も出動したとニュースでも流れてたしな。」

 

 「そうだね。大型のモンスターが現れる前に姉ちゃん達に連絡を取らないと…。」

 

 「頼むな。お前もそのクエストとやらをクリアしながら探してくれ。もしかしたらお前のキャラクターも駆り出されるかもしれないしな。済まないが頼むぞ。」

 

 父は息子にも優しくではあるが、意味深な話しかけをしていた。実際に現実となったもしもの為である。

 

 「わかってるよ。僕も仲間を作って狩りに出ているところだから。」

当然!と集会酒場で仲間を待つのだった。

 

「大きいのが出てくる前に何とかなってくれるといいのだが…。」

「そうね、そうしないと、次々犠牲者が出てくるわ。」

 

「そうだな。そうしないと、全国の人々が事件に巻き込まれてしまう。なんとしても止めたいところだが。まずは沙耶と連絡をとる方法を考えよう。」

 

二人は息子にモンハンのことを聞くことにした。まずゲームの内容を知ろう、そこから何かヒントがあればと思ったのだ。だが、その大型のモンスターが現れないうちに…、という思いは簡単に打ち砕かれることとなるのだった…。

 

「オギャア!オギャア!……。」

 

赤ん坊が、服の部分をくわえられアギトからぶらさがっている。

そこはとある公園で、他にも人々は来ていたが、小型の生物の出現で、公園から一斉に逃げ出していた。そのなかで、一組の母子が逃げ遅れてしまい、若い母親は、その生物に噛み殺され、目を開けて我が子を見据えたまま倒れて絶命していた…。

二足歩行の蜥蜴の様な生物は全体が緑色で顔と腹と足の部分は赤色な体躯をしており、ジャンプして体当たりしたりもする、身軽で狡猾な生物だった。群れで動いているようであり、やがて仲間であろう、同じ二足歩行の緑の体躯の生物が近寄ってきて、声を出して、会話をしているようだった。

赤ん坊は相変わらず、泣きじゃくっていて怖さのあまり、泣き止む事がなかった。2匹は赤ん坊をくわえたまま、その場から離れようとした。

 

「ギギャー!!!」

 

その公園の側にある民家の屋根上から奇声をあげてその生物めがけて飛んでくる物!?がいた。頭にトサカがあり、全体に深緑色な細マッチョな体躯で羽根は黄緑色で半透明の薄い膜のような細胞で覆われ、小さな雷がパリパリと音をたてながら羽根を走り回っていた。大型の飛竜種、である。モンハンの中では“ライゼクス”と呼ばれていた。

赤ん坊をくわえて離れようとしていた2匹は斜め上から生き物がと気付いた時には既に遅く、片方に1匹ずつ、赤ん坊ごと後ろ足の鋭い爪で鷲掴みにされてしまった。赤ん坊の泣き声がそこで途絶えてしまった。皮肉にも緑色の小型生物ごと鷲掴みした爪が突き刺さり、赤ん坊はそこで生き絶えていた…。そんな状態を全く気にする事もなく、獲物が2匹もゲットできた事に嬉々としている飛竜がいた。

 その竜は緑色のモンスター“マッカオ”を1匹捕食し、もう1匹を鷲掴みのまま、飛翔して、飛び去っていった…。その凄絶な光景を見ている筈のない、絶命した筈の母親が、目を見開いたまま、一筋の涙が溢れ落ちていた…………。

 

:::::::::::::::::::

 

龍騎船と呼ばれる戦闘型飛行船は、クシャルダオラにロープで引かれ、沙耶が世話になったミラルーツの元に向かっていた。

 

「あと、もう少しで頂上だ。」

 

クシャルダオラのゼシムもやっと辿り着くな、と内心安堵していた。

 

 「また、この場所へ来るニャンて。」

 

 素晴らしい料理の数々を船にいる全員に振る舞って、1匹では辛いものがあったので、コックやオトモ達に手伝ってもらい、一段落ついた所で休憩の為甲板の方へ上がってきたザックであった。

 3、4段の高さの雲を抜けただろうか…。遠目に頂上が見えてきた。

 

 「そんなに日数が経っていないのに、ガルークに会うのが楽しみ!」

 

 と沙耶もアルビナ・リックス・オトモ達と甲板に上がって来ていた。

 

 「久しぶりに感じますニャ。」

 

 と沙耶の傍にザックが寄ってきた。

 

 「そうだね、忘れられないよ…。」

 

 沙耶はザックに出会ったこと、ゼシム、ガルークと出会い毎日が命がけの特訓だったこと、愛刀を作ることが出来たこと、その事でオリジナルの狩技が発動したこと…。全部が意味があって、感謝だらけだった…。

 だが、その思い出を悲痛な現実を持って打ち砕かれることとなった…。

 少しずつ近づくにつれ、頂上付近が違う様子であることに気付き出す。それはゼシムも同じだった。

 只ならぬ雰囲気を感じた1人と1匹は全員に警鐘を促す!

 

 「みんな!ゴメン!!警戒態勢で待機して!!」

 

 そう言うと装備をしに部屋へ走る!全員がそう聞いて即座に反応する。

 

 「ガルーク様…。何もなければ良いが…。」

 

 ゼシムも掛けつきたいのを我慢しつつ船を引いていく。もし、敵がいるようであればブレスを放てるように準備していた。

 

 「ゼシム様…。」

 

 リシェルもゼシムの事を心配しつつ、背中に乗りながら双剣を構える。

ゼシムは協力してくれようとしているリシェルに声をかけた。

 

 「済まない…。援護を頼む。」

 

 「はいっ!!!」

 

 頼まれたのが嬉しかったらしく、勢いよく返事をして、気合を入れている。

 十数メートルまで近づいた時、目に映るのは凄惨な光景だった…。地表は焼け焦げ、木々や植物は焼け落ち、沙耶が頑張って作ったはずの家も破壊され、霊峰よりも悲惨な状態であった…。

 その端の方で自身の体液だらけで無残に横たわる白き古龍の姿があった。

 

 「ガルーク!!!」

 

 「ガルーク様!!!」

 

 船を地表に固定し、1人と1匹は急いで白龍の元に駆け寄る!

 

 「よし、全員で周りの消火作業だ!手の空いているクルーは何人かでグループを組んで、消火活動に当たれ!但し火傷やケガには気を付けろ!!」

 

 「「「「「おぉ!!!!」」」」」

 

 敵がいない事を確認するとすぐさまキャプテンがクルー達に激を飛ばす!!

 

 クルー達が火消し用の為の道具を持ち出し、船から降りていく。グループで消火しながら作業を始めた。

 

 「な、なんてことだ…。」

 

 「一体何があったって言うんだ。」

 

 その光景をアルビナとリックスは愕然としながらも、沙耶の後を追っていた。

 

 「ガルーク!起きて!!ねえっ!!…………。一体誰がこんなことを…。」

 

 沙耶は白龍の顔を撫でながら呟いていた。

 

 「ガルーク様…。申し訳ありませぬ…。」

 

 ゼシムも頭を垂れて平に誤っていた。リシェルが傍で心配そうに寄り添っていた。

 

 「ガルーク…。」

 

 そう呟きながら、沙耶が涙を流す。その雫がガルークの下顎に落ちた時、奇跡が動き出す!突然白龍の体が光り出す!沙耶も驚いて立ち上がる。

 その光景にゼシムや他の全員が注目していた。その光はゆっくりと消えていき、やがて収まる。すると、白龍の胸の辺りから、直径50センチ程の光球が出てきて浮かび上がる。そのまま沙耶の近くまで移動してきた。

 

 「沙耶や。」

 

 そう話しかけられて、目を見開いて驚く!その声はまさしく最強と謳われ龍達の祖と言われた白き古龍で沙耶とも一緒に過ごしたミラルーツの声であった…。

 

 「ガルーク!!」

 

 「ガ、ガルーク様!!」

 

 1人と1匹はその光球に注視する。

 

 「本当にガルークなの?」

 

 「そうじゃ。久しいの。この姿で会うのは忍びないが。」

 

 「ガルーク様、一体何があったのでございますか。貴方様を倒せる輩はそう簡単にはいないと思われますが?」

 

 ゼシムも信じられないでいた。余程の強さの者でない限り、倒されるとは思ってはいなかった。

 

 「ゼシムも済まんの。連絡を取る余裕も与えてくれんかった。」

 

 「一体、誰なのでございますか?その者は?」

 

 「うむ…。溶岩島に居るはずの紅龍ミラバルカンであるアラドルクじゃ。」

 

「な、なんと!アラドルク殿が!?」

 

ゼシムもそれを知って動揺していた。祖龍の次に位置する生物が、反逆に出るなど到底思えるべき事ではなかった。

「何故謀反など…。」

 

「姿は見ておらんが、人間の気配らしきものは2,3あった。何者かがそそのかしたのじゃろうな。」

 

 姿は確認することは出来なかったが、気配は感じていた。おそらく離反者等のグループが画策したものであろうとそこに居る誰もが思ったことだった。そして誰もが悔しがっていた。

 

 「話は変わるがの。」

 

 と白龍であった光球が話を切り替えてきた。

 

 「まあ、こうしてワシは魂球になってしまったでの。ワシの力を託したいと思うての。沙耶!ゼシム!良いか?」

 

 「えっ、あたし達に…。た、託すって…。」

 

 沙耶もゼシムも半信半疑で、何をするのか出来るのか、不安になっていた。

 

 「ふむ。2人にはその覚悟があるか?」

 

 ガルークは強い口調で問いかけてきた。1人と1匹は暫く考えていたが、先に決意し口にしたのは沙耶だった。

 

 「ガルークの力!受け取りたい!!」

 

 「私も同意見です!少しでも我が主が傍にいると思えるのならば!」

 

 その光球に向かって真剣な眼差しを向ける。

 

 「よし!よかろう!2人に力を託す!!先ずはゼシム。お主からじゃ!」

 

 光球はゼシムの前までゆっくりと移動する。

 

 「では始めるでの。」

 

 「はっ。」

 

 その返事と共に光球が更なる光を発して、一気にゼシムを包み込む!それがゼシムの胸の辺りに急速に集まる。

 直径30センチ程になった光の球はゆっくりと古龍の胸の中へと消えてゆく。

 シンッ!!!と一瞬静まったかと思うと、大声で急に苦しみだす。

 

 「グオオオォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 その場でひたすら苦しみに耐えるために必死に堪えている。

 

 「ガアアァァァァァァァァァ!!!」

 

 と翼を目一杯に広げ、顔を天に向けて咆哮を上げる!!

 その声は数十キロ先まで届きそうな程の声量であった。そしてクシャルダオラの体に異変が起こる。

 尻尾、後足、腹部、胸、両翼、首、頭へと徐々に金色に変化していく。更には尻尾、後・前脚、角、翼の端にクリスタルのコーティングがなされていく。

 苦しむ姿を心配で見ていたリシェルも、その姿に驚きと感動が入り混じっていた。

 

 「うそっ…ゼシム様…カッコイイ…。」

 

 益々、見惚れてしまっていた。(いいのか?ありなのか?それでいいのか!?!?)

 

 「終わったようじゃな。」

 

 ガルークが無事に力を与えられた事に安堵する。ゼシムは苦しみから解放され、自身の脚や翼を見て驚く。

 更に力も漲っているようであった。

 

 「ガルーク様…これは…。」

 

 「ゼシムよ。お主はワシのパワーを得て、進化したのじゃ。今日からお主は金塵龍ガルバダオラ・ゼシムじゃ!」

 

 「なっ。」本人も驚く。何せクシャルダオラとして生きて来ただけに進化するなど想像すらしていなかったことだった。

 

 「良いか、その力で沙耶達と共に戦い、守り抜いてやってくれ。これはワシからの最後の命令じゃ!」

 

 その言いようは白龍の時を思わせるに十分な威厳さがあった。

 

 「はっ!必ずやそのご命令果たして見せまする!!」

 

 「頼んじゃぞ。」

 

 ガルークはそう言うと、再度沙耶の所へとゆっくり移動してきた。

 沙耶も緊張していた。ゼシムですらあの苦しみようだった。自分はどうなってしまうのだろうかと。

 

 「沙耶や。」

 

 「はいっ!!」

 

 「覚悟は良いな…。」

 

 「は、はいっ!!」

 

 「ではゆくぞ!!」

 

 沙耶は目を閉じる。光球が更なる光で沙耶を包み込んでいく…。その光がゼシムの時と同じように集まっていき、直径7センチ程の光球になり、ゆっくりと沙耶の胸の中へと消えていく。

 ドクンッ!!!体の中から何かに貫かれたかのように痛みが広がり、激痛へと変化する。

 

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛………!!!」

 

 その場にうずくまり、必死に自身で胸の真ん中を鷲掴みしながらもがいている。

 

 「さ!沙耶様!!」

 

 「寄るでない!!!お互いに大怪我では済まぬぞ!!!」

 

 ガルークの叫びにアルビナも足を止めてしまう。

 

 「し!しかし!!」

 

 とそれでも傍へ寄ろうとしたアルビナを片手を伸ばし掌で止める者がいた。

 

 「沙耶様…!?」

 

 沙耶は苦しみのあまり、喋ることは出来なかったがアルビナの動きを知ってそれを止めていた。それを見たアルビナも心配ではあるものの覚悟を決めて頷き返すとその場で沙耶を見守ることにした。

 依然苦しんでいる沙耶に異変が起きる!

 沙耶の全身が再度光だし、立ち上がって両手を真上にかざし、天を見上げたその時!両手の掌それぞれに稲妻が落ちる!閃光玉よりも激しく光り周り全体に広がっていき、誰もが目を閉じる!!!………。

 暫くの沈黙の後ガルークが口!?をひらく。

 

 「沙耶も無事に受け取ってくれたようじゃの。」

 

 沙耶も我に返り、自身の両手の掌を眺めていた。

 

 「沙耶様!!」

 

 「「沙耶!!」」

 

 「ご主人しゃま!!」

 

 アルビナ・リシェル・リックス・ザック・ロキ・アルビナと沙耶の元に駆け寄る。が、沙耶の掌を見て驚愕する。沙耶の掌でパリパリ・パキパキと小さな雷が右往左往して出たり入ったりしている。

 しかも、沙耶が左手の掌の上に雷を更に放出させると渦を巻きながら球体になり、稲妻を纏っていた。

 それをゆっくりと右側の方に見えた立ち木に放出する。稲妻を纏った球体は真っすぐに向かって行き、木に触れると同時に光を放って爆発し、跡形も無くなっていた。それを見ていた全員の目が点になっていた。

 

 「な、なんつう力だ!」

 

 「ちょっと凄すぎでしょ!」

 

 「沙耶様、体の方は大丈夫なんですか?」

 

 「うん、平気。でも力は湧いてくる感じ。」

 

 「ワシの属性を託したからの。稲妻や雷を纏える力を持ったということじゃ。但し、炎や龍属性の攻撃には弱いがな。じゃが、沙耶の装備ならそれを補えるじゃろうて。」

 

 と皆注目する。

 

 「あ、燼滅刃の…。」

 

 皆が属性耐性を考えて納得した。

 

「後は使いこなせるかは本人次第じゃ。」

 

 「うん、分かった。ありがとう。」

 

 「頼んじゃぞ。全員で奴らを止めてくれ。この世界とお前の世界が崩壊せぬうちに。」

 

 沙耶達はお互いに顔を見合わせる。

 

 「さて、そろそろ消えるとしようかの。時間も無いようじゃしの。」

 

 「え、一緒に居てくれるんじゃないの?」

 

 「そうしたいんじゃがな。迎えが来ておるでの。」

 

 「そ、そんな…。」

 

 沙耶の頬を涙が伝う。

 

 「沙耶や。お前にはいい思い出を貰った。いつか人間とモンスターの共存も出来るやもしれん。仲良くやっていけると言う事を教えてくれた。また来世で会いたいものじゃな。礼を言うぞ、ありがとうじゃ。」

 

 そう言うと光球は急上昇していく。沙耶も見上げながら思いっきり手を振った。

 

 「ありがとうね~~~~!!!」

 

 やがて光の点になり、見えなくなった。すると、魂の無くなった白龍の肉体が全体に光り出す。閃光玉のように

瞬間的に光って消えていく。目を開くとそこに、横たわっていた形をなぞるように白龍の全ての素材が一式置かれていた。

 

 「おお…。」

 

 「すげ…。」

 

 誰もがそのレアを含めた素材に感嘆を漏らす。

 沙耶はゆっくりとしかし一つずつ大事に拾ってゆく…。素材を集めていくうちにどんどん涙が溢れてくる。そして最後の素材を拾った時、涙が一気に零れ落ちる。

 

 「ゔあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 両膝をついて、素材を抱きしめたまま大号泣していた。誰もが分かっているだけに暫く声を掛ける事が出来なかった…。

 

 

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 ひとしきり泣き止んだ沙耶は、アルビナの所に戻ってきた。

 

 「武具屋のおやじさんを呼んでくれないかな?」

 

 思ってもみなかった言葉に一瞬戸惑ったアルビナだったが、直ぐに呼びに行った。暫くするとおやじさんを連れて戻って来るアルビナがいた。

 

 「よう、嬢ちゃん大丈夫か?お~お~、目を腫らせちまって顔がクシャクシャだぞ。」と頭を優しく撫でてきた。

 

 「おやじさんに頼みがあるの。」

 

「何だ、言ってみな。」

沙耶が抱え込んでいた物を差し出す。

 

「これで、アルビナにミラルーツの装備を一式お願いします。」

 

「ち、ちょっと待って下さい!いけません、沙耶さま。それは大切なもの。沙耶さまが装備するべきです!」

 

アルビナが慌てて遠慮しようとする。

 

「いいの!アルビナに着て欲しいの!あたしにはアルビナがくれた燼滅刃があるし、アルビナにもパワーアップして欲しいの。お願い!じゃないとあたしの気が収まらないよ!」

 

「沙耶さま………。」

 

沙耶の事を思うと、凄く胸が苦しくなった。やせ我慢をしているのではと。だが、切実に私に装備を作ってくれようとしている。その気持ちは無駄には出来ない。

 

 「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

 

沙耶の顔に笑顔が溢れる。その会話を傍で見ていた武具屋からとんでもない発言が。

 

「気に入った!!俺はあんたの事が気に入ったぜ!よし!素材は確かに預かるぜ!今回代金は要らねぇ!足りない素材はこっちで用意する!レベルMAXで渡してやるから任せろ!嬢ちゃん名は!」

 

「沙耶です!」

 

「沙耶ちゃんか。いい名だ。2、3日待ってくれ。必ず、納得出来る物を作ってやる!待っててくれ。じゃあ籠るからな!」

 

そう言って急ぎ素材と共に船に戻って行った。

 

 「よ~し!各人、手の空いた者から船の修復作業に入るぞ!手分けして材料を集める者と修繕する者とグループに分かれて作業に入れ!!」

 

 「「「「「「「オオォ!!!」」」」」」」

 

 キャプテンの掛け声にクルー達も分担してテキパキと仕事を始める。

 

 「使える材料はふんだんに使って!!残っているかどうかもあるけど!」

 

 沙耶もこの場にある使えそうな材料の提供をOKする。

 

 「助かります!遠慮なく使わせてもらいますよ!!」

 

 とキャプテンも頷いて返事をする。

 

 「全ての事が終わったら、一緒にここへ来ませんか?」

 

 アルビナが沙耶に再来訪することを促す。

 

 「そうだね。皆で絶対に来よう!」

 

 2人は顔を見合わせて微笑んだ…。だが、時というのは強制的で、良くも悪くも待ってはくれない。余韻に浸る事すら許してはくれない…。

「た!大変です~~~~!!!」

 

 「「大変ニャ~~~~!!!」」

 

 ただ事ならぬ大声と共に、ココット村から志願してきた受付嬢とオトモのアルビナとロキが全速力で沙耶とアルビナの元へと走って来た。

 

 「な、何!?どうしたの?」

 

 「こ…これを…ハアハア…。」

 

 と1通の書類を見せる。

 

 「あ~…あのくそ先輩…やっぱりグーで一発殴っとくんだったハアハア…連絡寄越すの遅すぎ!!」

 

 「そうですニャ!ココット村に寄ったときは一緒にボコるニャ!!」

 

 「一体何!?」

 

 何がどうしたのか2人は把握できないでいる。

 

 「先ずは見て下さい。緊急のクエストとして提示されました。」

 

 「アイツが現れましたニャ!」

 

 「なにっ!!」「えっ!!」

 

 2人は急いで書類を開いて内容を覗き込む。そこには2人にとって因縁の“アイツ”の討伐が記されていた。

 突然、周りで作業していたクルー達の手が止まる。

 全員、2人を注目していた…。

 2人から凄まじい殺気が放たれ、その場所全体を圧倒的な殺意と威圧感で包み込んでいく。全員に死を覚悟させるほどだった…。ガルバダオラになったゼシムですら、畏怖したほどであった。

 

 「い、一体どうしたんだ2人とも!」

 

 リックスがやっとの思いで声を掛ける。すると2人は顔を上げ、お互いに見合わせて、ニ・ヤ・リ!!と笑った。

 その表情を見た者は身震いする。

 

 「やっと現れた…。」

 

 「はい、私も気にはしていましたが。」

 

 改めて2人はクエストを見る。

 

 「ま、まさか…前に話していた奴か?」

 

 と聞いてきたリックスに2人は頷き返す。

 

 「そうか、こいつが仇なのか。」と納得した。

 

 背中に十字傷を持つ恐暴竜イビルジョー、しかし以前よりも強くなっているようであった。

 

 「しかし、受注条件がHR開放でしかもLV40以上とは。」

 

アルビナも不安はあった。ランク解放されても、全員が40以上になれるかどうか。ましてや沙耶にいたっては、ランクが1のままなのだ。何とか頼み込んで、認定をもらうしかないと、考えていた。

 

「解放の認定は集会場のギルドマスターか集会酒場でしかありません。酒場の方は別件で移動中ですので、集会場の方しかないかと。」

 

受付嬢もランク解放認定の資格はないので、集会場でのクエスト受注を提案する。

「そうですね。船の修理が完了次第、戻りましょう。」

 

「うん、そうだね、分かった。受付嬢さん、ありがとうね。」

 

「い、いえ、私にはこれくらいの事しか。」

 

と礼を言われて照れてしまった。

 

「いや、そんなことないよ、これからもよろしく!」

 

と沙耶が受付嬢と握手をする。

 

「はい!此方こそお願いします!」

 

と嬉しそうに返事を返していた。

 

「じゃ、ザックにゴハン作って貰お。で、一緒に食べよ!」

 

とアルビナと受付嬢の手をとって、船に向かって歩き出す。

 

「え、い、いえ私は…。」

 

さすがにとんでもないと、受付嬢が遠慮する。

 

「いいの!一緒に食べたいの!良いでしょう!?」

 

(だだっ子になっちゃった…。)

 

「いいんですか、私が一緒になんて?」

 

「クスクス…、私からもお願いしたいがどうかな?」

 

と楽しそうに沙耶をフォローする。受付嬢も嬉しそうに頷く。

 

「はい!喜んで!」

 

3人はあらためて船に向かって歩き出す。

 

「ザック~!おなかすいた~!ご馳走作って~!」

 

「任せるでニャス~!!」

 

と即答で返事が返ってくる。

次の戦いのため、仇を討つために、暫しの団らんを楽しむ沙耶とアルビナだった…。

 

 




読んで頂けて大変光栄でございます!ありがとうございます!
次話も早速執筆しだした次第です。頑張りますので、次話も是非お付き合いください!
では、次話にて。
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