船の修繕も終わり、集会場へ戻るため、動き出していた。このまままっすぐに向かえば、1週間程で着くだろうとのことだった。
今回はガルバダオラに進化したゼシムも甲板に待機していた。言うまでもなく、リシェルが傍で付き添っている。(あ、言っちゃった☆)
先ずは、打倒!十字傷イビルジョーの為、4人のハンターランクも解放させたいとの思いで一時戻ることにした。
真っ赤に染め上げる巨大な夕陽を背にしながら集会所へ向けて進んで行く。クルー達も交代で作業しながら船を動かしていくのだった。
「戻ったら、ギルドにHRの件を掛け合ってみますが。何とか沙耶様のHRをG級、もしくは上位でも良いので、認めてもらえるように嘆願してみます。」
アルビナと沙耶は沙耶の部屋で、沙耶はジュース、アルビナはビールを飲みながら会話をしていた。
「いや、別に☆の順番でもいいけど。」
「何を言いますか!沙耶様の実力ならばきっと認めてもらえます。4人で一気にランク開放へ頑張りましょう!!」
アルビナの熱のこもった、言いように沙耶も驚く。
「アルビナが珍しいね。そんなに気合が入っているなんて。」
「当然です!早くHR解放させて、奴を打たねば先を越されます。私達の目的の1つなのですから。」
「そうだね。あたしも逃したくはないからね。でも認めてもらえるの?」
「まだ分かりません…。ですが事情を話して、納得させるしかないかと思います。」
「分かった。一緒に頼んでみようか。ダメもとで。」
「はい!そうしましょう!絶対に認めさせてやりますよ!」
アルビナは既にハンターランクを上げられる気でいる。
「先ずはアルビナの防具を揃えなきゃ。凄く楽しみなんだけど☆」
「はい☆私もです☆待ち遠しくてなりませんよ☆」
「でさ、あれは、こうしてここはさ……。」
と二人は楽しそうに話に吸い込まれていくのだった…。
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「ほう!面白そうなクエストだな。しかし、強いと言っても8人参加を認めるってのは、行き過ぎじゃねえのか?」
1人のハンターがクエストの依頼書を覗きながら受付嬢に疑問をぶつけていた。確かに基本、4人行動ではある。
「はい、このクエストだけは超が付く特殊クエストの一つ上と認識されているようです。それだけかなり危険な個体とのことですよ。」
「そこまでの強烈な奴なのに二つ名以上の名が付かないなんて、不思議でしょうがねえ。どんだけの強さだってんだそいつは。」
「う~ん、私もそこまでは…。後は、直接確かめるしか…。」
受付嬢も困惑顔になる。確かにクエスト依頼書だけではモンスターのデータなど分かろうはずもない。
そこはハンターも理解して、クエストを受注する。
「じゃ、このクエスト行くから頼むわ。」
「へっ。」
あんまり、軽い感じで受注したので受付嬢の目が点になってしまった。
「だから、このクエスト受注するから、早くしてくれないか。」
呆気にとられた受付嬢に催促を促し、受付嬢も慌ててクエストの書類にサインを取ると、ハンターにOKサインを出す。すると、そのハンターは早速仲間の所へと戻って行く。
受付嬢も見た目の様相から手練れてそうだとは思ったが、自信ありげな後ろ姿に、
「どっからあの自信が生まれてくるの!?」と小さく呟いていた。
そのハンターは剣先が分かれて納刀される雷攻撃属性を持つ、王牙大剣(黒雷)LV6で、防具は、胸の部分に魔王のような顔の装飾が施された骸装甲・真の防具一式を装備していた。
受注の条件はクリアしており、HR解放、LV52であったので、強さは中々のものと思われた。
仲間の3人も武器は違えど防具一式とブレイブスタイルはお揃いという団結感ありそうなチームだった。ちなみに1人は、リオレイアや金竜の素材から作られる太刀、毒属性を持つ、飛竜刀(葵)を持つLV48の女性ハンター、ネージュ。
もう一人はネセト(アトラル・カ)の素材より作られる太刀、真名メルセゲルLV3を持つLV50の男性ハンター、アルマンド。もう一人は同じくネセトの素材から作られるハンマー、真名バアラトゲバルLV3を持つLV51の男性ハンター、ガハマである。そして、大剣を持つリーダー格の男性ハンターはラジックと名乗っていた。
ちなみに骸装甲の女性用は胸に顔の装飾はされてはいない。
「よう、リーダー。決まったか?」
ハンマーを所有するガハマが、戻ってきたラジックに待ちきれずに声を掛けていた。
「あぁ。例の話題に上がっているイビルジョーのクエストにした。」
「おぉ。マジか!」
「だが、かなり手強いと聞いているが、大丈夫なのか?」
ネセトの太刀を所有するアルマンドが、心配そうに疑問をぶつけていた。
「いいんじゃない。あたしたちの強さを見せてやろうよ。そんな奴、あたしらならすぐに蹴散らせるさ。」
飛竜刀を所持するネージュがラジックの腕を組んで、クエスト参加を促す。
「ネージュの言うとうりだ。ここは俺たちの出番だと思うが、どうだ2人とも。」
「俺は異論はないぞ。」とガハマ。
「ふむ。そう思うところは俺も同じだ。」とアルマンドも頷く。
「なら、決まりだな!準備出来次第、出発するぞ。今は旧砂漠に出没してるらしい。」
そう言うとすぐさま4人は自宅の方へと装備を整える為に向かった。彼らは甘く見すぎていた。実物が規格外に強くなっている事には、その時誰も考えていなかった…。
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準備を整えた4人は旧砂漠のキャンプ地へと向かった。クーラードリンクは勿論の事、回復系、スタミナ系、罠や強化系のアイテムを持てるだけ所持し、キャンプ地に到着する。
するといきなり、出発口から青ざめた様相で四つん這いになりながらも慌てふためいて戻って来たハンター達が飛び込んできた。
「た、た、た、助けてくれ!!!こ、殺される!!!た、頼む!!!」
最初に入って来た、ハンターが必死の形相でラジックに掴みかかる。
「何だ!一体、何がどうした!」
逆に怯えたハンターを掴み、顔を上げさせると事の次第を問いただした。
「や、奴が現れたんだ!!それで俺たちが狙っていた、セルレギオスを横取りしたどころか、俺たちにも牙を向けてきやがった!!」
「奴とは誰だ!」
そう聞かれて、更に青ざめてビクビクと震えだす。
「…背中に十字傷を持つ…イビルジョーだ…。」
「何!!で、戻って来たのはお前たち3人だけか?」
すると、一緒に戻って来た女性ハンターが嗚咽を漏らす。
「か…彼が………うぅぅぅ…。」
とそのまま下を向いて泣き出してしまった。 もう1人のハンターも地面に拳を叩きつけて、歯噛みする。
「くそっ!!なんであいつが犠牲にならなきゃいけなかった!!何なんだあの化物は!チクショウ!!!」
「アイツは規格外だ…、倒せる者がいるのか…。」
青ざめた顔で下を向いたまま、その場に座り込んでしまう。
「そのハンターはどうなったんだ?」
ラジックは情報を聞き出そうとハンター達に問う。
女性のハンターは更に泣き出し、もう一人も拳を強く握ったまま泣いていた。
「そのハンターは彼女の恋人だった。イビルジョーはセルレギオスの身体に風穴を開けて絶命させ、あろうことか即座にこっちに向かってジャンピングしてきたんだ。皆回避したが1人間に合わなかった…。それが彼女の恋人だった…。俺たちはイビルジョーを退けようと必死に攻撃したんだ。だが奴はあの巨体で彼を抑えつけたまま、尻尾を振り回し、ブレスを吐いて、俺たちを吹き飛ばしたんだ。その間にも彼はもがいて逃れようとするが、足の爪が更に食い込み、瀕死に陥っていた…。助からないと思ったのだろう。俺たちに向かって逃げろと言ってきた。」
「逃げろ!!逃げるんだ!!生きて帰って、このモンスターの事をギルドやハンターに詳しく伝えるんだ!!急げ~~~~!!!ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
……………………。必死に話していたハンターも涙を流していた…。
「俺たちは必至で逃げて逃げまくった。2のエリアから振り向かずに走った!エリア1でもアイツが追いかけてきたのが分かった!3人とも全速力で走って逃げて来たんだ!キャンプ地に飛び込む前に奴を見た時、奴の牙に防具の破片が引っかかっていたのを見た………。」
「いや~~~~~~~!!!!!」
女性のハンターはそれを聞いて泣き叫んでいた…。彼女にとって一番聞きたくない事だっただろう。急にナイフを取り出し自分の喉元に突きつける!それを見たもう一人のハンターが叫ぶ!
「よせ!!やめるんだ!!」
が、次の瞬間女性ハンターのナイフの刃先を掴む者が。女性ハンターも驚いて顔を見た。骸装甲と王牙大剣を装備したラジックであった。
「柄じゃねえが、敵を取ってやる!たまたま、そいつの討伐クエストを受注して来てな。どのみち倒さなきゃならねぇ。ぎゃふんと言わせてやるさ、なあ!」
「おおよ!そんな奴ぶっ倒してくれるわ。」
「任せて。この刀の餌食にしてあげるわ。」
それを聞いて、女性ハンターも納得したのかナイフを放した。ラジックはそのナイフを捨てて、大剣を構える。
「ま、見てな。軽く捻って来てやるよ。よし行くか!」
大剣を背中に戻し、出口に歩き出す。続くように他の3人も歩き出す。その後姿に手を組んで祈るように目を閉じる女性ハンターがいた…。
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4人は警戒しつつ、歩を進める。クーラードリンクは勿論飲んでいる。その他の薬等も飲み、すぐにでも戦闘できる体制を整えていた。当然の事ではある。しかし、エリア1まで来たと言っていたのだが、姿はない。4人は無言で頷いてエリア2へ向かった。かなりの広さがある砂漠エリアで、洞窟も2か所あり、泉もある。中央には円柱型の岩が反り立っていた。その向こう側で、巨大な生物がその足元にある死骸を捕食していた。背中に十字傷を持つイビルジョー、足元はハンター達が話していたセルレギオスであった。
「いた。アイツだ。何なんだ、かなりでかいぞ!」
通常に見るイビルジョーの体躯の有に3周り以上の大きさであった。
イビルジョーは気付いたようで首だけ振り向き、ラジック達がいることを確認すると、そのまま身体を反転させ、咆哮を上げる!そしていきなり直線上の金色の雷を纏った恐竜ブレスを放ってきた!
「ちぃっ!散開だ!!」
間一髪のところを避ける!そのすぐそばをブレスが突き抜けていった…。ハンター達もすぐさま戦闘モードに入るが、イビルジョーの居る方向を見て驚愕する。中央の円柱型の岩の真ん中に巨大な穴が空いている!その穴を通して、イビルジョーがラジック達を見つめていた。ラジックも標的になったことを悟り、ぐびりと喉を鳴らし、冷や汗が流れ落ちた。次の瞬間更に驚くことになった。その見ていたイビルジョーが、奥歯をちらりと出しニヤリと笑って見せたのだ!
(なっ…、笑っただと!?)信じられないと思ったが、考える余裕を持たせてはくれなかった。
いきなり咆哮を上げてジャンピングした!端から端までの距離を届くはずもないと、たかをくくっていた。反撃するべく武器を構えようとする。しかし巨体のイビルジョーは、中央の円柱の岩の上を踏み台にして更にジャンプしてラジック達の方へ向かってくる!!
「気をつけろ!!納刀キャンセルで躱すんだ!!!」
4人はすぐに納刀キャンセルの体勢に入る!
ズズン!!!4人の目の前に着地する!あまりのパワーと重量でイビルジョーを中心にクレーターが出来る!!同時に砂の波状攻撃を食らうことになる。何とか納刀キャンセルで、その攻撃を躱すが、4人ともその動きと巨体の大きさに改めて愕然とした!
「な、なんなのさコイツ…。嘘でしょ…。」
「ここまでなんて、聞いてないぞ!」
「確かに規格外だな…。」
「だが、やるしかないようだ。が、倒せないと分かったら撤退するぞ、いいな!!」
「「「おう!」」」
大剣のラジックは正面から。ネセトハンマーのガハマは左側から。飛竜刀のネージュは右側から。ネセト太刀のアルマンドは尻尾の方をそれぞれ攻撃に移った。イビルジョーも攻撃に移る。頭を下げて体をかがめたまま、後足を踏み込んで一気に突進する!ラジックは大剣を構えて受け止めようとした。が、そのパワーは桁違いだと思い知らされる。受けはしたが、止める事が出来ずに後方に吹き飛ばされる!!
「グオオォォォォォ!!!」
「ラジック~~~!!」
かなりの勢いで転がり落ちる。ネージュはすぐにラジックの元に走り出す!それを阻むかのようにイビルジョーも、ネージュに向かって走り出す!しかし横からイビルの顔面にヒットさせるハンマー使いのガハマがいた!
「ゴァガァ……!!!」
さすがに効いたのか、筋肉質の巨体を誇ろうと、激痛にひっくり返っていた。再度立ち上がろうと必至にもがいている。
「おぉっし!今だ!」
とガハマの掛け声と共にアルマンドが狩り技を発動する!
「桜花気刃斬!!」
練気を太刀に集めて、居合い抜きで2回転しながら横に凪ぎ払う技だ!通常であればかなりダメージを与えられる技だが、効き目はいまいちのようだった。
「クソッ!どれだけ硬いんだこの皮膚!」
すぐに切れ味が落ち、砥石を使う事に苛立っていた。
秘薬を使い、何とか回復してラジック達も再戦する。
「おぉぉぉ…………。」
王牙剣を振り上げて後ろまで持って構える。そのまま力を溜める。1段階…2段階…3段階…
「おぉりゃぁ!!!」
身体全体をバネにして大剣を目の前の生物に向けて勢いよく降り下ろす!雷属性がプラスされてイビルジョーの後ろ足に一撃が入る!
「ゴァァァ!!!」
これにはさすがに効いたようだ。再度もがく事に。
「アタシも便乗させてもらうよ!」
ネージュもチャンスとばかり、狩り技を放つ!
「練気解放円月斬り!!」
しかし、アルマンドに同じく、効き目はいまいちとなり、毒属性の分が少しく良かったものの、切れ味が落ちて砥石を使う羽目になるのだった。
「皆で袋叩きにするぞ!!」
「「「了解!!!」」」
もがくイビルジョーに、容赦なく攻撃を加える。(早く倒れろ!!)と祈りを込めながら…。だがその祈りも虚しく、イビルジョーの体力勝ちになった。起き上がったイビルジョーは、周りにいる4人を尻尾を振り回し払い除ける!そして、周りに赤い雷を纏った恐竜ブレスを撒き散らし、さらに金色の雷を纏った、直線系の恐竜ブレスを放つ!
「ゴォウルァァァァ!!!」
全員赤い雷の恐竜ブレスはかわせたものの、直線系のブレスには、反応が遅れ、ダメージを受けたものがいた!
「ぐわぁぁぁぁ!!!」
「ガハマ~~~~~!!!」
直線系の恐竜ブレスは、ハンマー使いのガハマの方向に向けて放たれていた!気付くのが遅れ、かわしきれず、ハンマーと右腕が削り取られていた!肩から大量の血を流し、その場に崩れ落ちる。
3人は血相を変えて、ガハマの方へ走り出す!しかしそれを狙うイビルジョーが…。
「クソッ!これでもくらぇ!!」
アルマンドが持っていた閃光玉を投げつける!眩い光と共に、一時的だがイビルジョーの目眩ましに成功する!
「今だ!あの洞窟に!!」
アルマンドがそう叫ぶと、ガハマを背負い、奥側の洞窟へ逃げ込む!取り敢えず、ガハマを寝かせ、出血を止めるため、応急措置を施す。ちょうど水も湧いていてタオルを濡らすのにも重宝だった。古の秘薬を飲ませるものの、右腕とハンマーを失った代償は大きい。
「何でこんなことになった、もっと簡単に倒して帰るんじゃなかったのか………。」
ラジックは自問自答していた、想定外いや規格外の生物ということを思いしる事になった。しかし今はそれどころではない。仲間の事もあるし、撤退するしかないが、ここから出ればイビルジョーが待ち構えているのは目に見えていた。
「くっそ!あの暴飲暴食野郎が!」
やりきれなさで、拳を壁に叩きつけていた。
「で、どうする?撤退するにしても、戻り玉もなければ、ネコタクもアイツが居る所まで来ることは出来ないだろう。」
「確かにまずい状況だな。アイツが隣のエリアに移動するのを待っては居られないしな。」
「そうね、早めに戻って治療院で治療しなければ命にも関わるわ。」
「済まん…グッ。」当人も気落ちしていた。油断があったと自身を責めていた。
「いや、ガハマの責じゃない。なめてかかっていたのは、俺の方だ。軽く捻ってくると豪語したのが恥ずかしいほどだ。だから、何としても4人で戻るぞ!絶対に生きて帰り、必ず再戦して討伐してやる!このままでは済まさん!!」
4人は顔を見合わせて頷く。お互いに生きて戻ることを決意していた。
後は奴の動きだが…。とラジックとアルマンドが洞窟入り口傍からエリア2を覗いてみる。
奴…はまだいた。食事途中だったのだろう。近いがセルレギオスの死骸の捕食を続けていた。ある意味チャンスではあった。2人は顔を見合わせて頷く。
「よし、奴は今食事中だ。移動するなら今しかない。行くぞ!」
アルマンドとネージュがガハマを背負い、サポートし、ラジックが守りに入る。静かに、しかし全力で走り出す。イビルジョーはまだ気づいてはいなかった。エリア1に向かって、力の限り走る!!もう少しでエリア1に…と言うところでイビルジョーのお食事会が終わる。そこで気づいたらしく、振り向いてラジック達を見つけた。
「走れ~~~!!エリア1へ急ぐんだ!!」
「ガルァァァァ!!!」
イビルジョーの咆哮が響き渡る!次の瞬間、直線系のブレスを放ってきた!
「マズイ!!みんな伏せろ~~~!!」
ラジックがそう叫ぶと3人も慌ててしゃがみ、その場に伏せる!ラジックは跳ね返そうと大剣を構えようとしたが、ブレスの方が勿論早い!
「おわっ!!」反射的に仰け反ってしまう。が大剣の半分がブレスによって削り取られた。
3人の上をブレスが通過していく!イビルジョーはすぐさま4人に向かって走り出す!
「来るぞ!急げ!急ぐんだ!!」
今度はラジックも加わり、3人でガハマをサポートしながら走り出した。
エリア1に入っても、全速力でキャンプ地まで走っていく!追い付かれそうになるのを、無我夢中で必死に走った!やがて“奴”ことイビルジョーもエリア1に入ってくる。3人はガハマを匿いながら、走りづらい砂の上をひたすらに走り抜ける。
イビルジョーがジャンピングでラジック達に襲い掛かろうとしたとき、キャンプ地に飛び込んだのだった……。
イビルジョーは獲物を逃がした怒りで、2回連続で咆哮を重ね、別のエリアに移動して行った…。
キャンプ地に飛び込んで、急死に一生を得た4人は、緊急でとネコタクにギルドの治療院までガハマを送って貰うことに。一緒にアルマンドも付き添いで同席していた。特別給金を払い、急ぎ頼むと、全速力で走って行った。
ラジックとネージュは、それを見届けるとその場に座り込んでしまった。息もかなり上がっていた。途中で立ち止まることすら許されないことであったので、呼吸が落ち着くまでしばらくの時間を要した。
すると、ラジック達に水を差し出すハンターが……。
「あんた、ここに残ってたのか…。」
それは、先のクエストでイビルジョーに殺されたハンターの彼女であった。分かっているのだろう、無言で二人に水を渡した。二人も頷いて水を飲み干す。
「済まない…仇を打てなかった…。威張ってた割にはこの様だ。」
ラジックは素直に過信があったことを認め、女性ハンターに謝った。女性ハンターは、首を横に振り、ラジック達が帰還したことに安堵していた。
「それじゃ、あたし達も、治療院へ向かおうか。」
ネージュが行こうと促すとラジックは一緒に移動することにする。
「済まないがあんたの仇打ちは、次回まで取って置く。俺としても、許すつもりはないんでな。それでいいか?」
女性ハンターも静かに頷く。彼らに期待を掛けているのだった。
「なら、途中まで一緒に行こう。ここに留まる理由もないだろう。」
と誘うと、頷いて一緒にギルドまで向かうのであった…。
☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆
「もう少しで到着するね。」
出航してから6日目、前方に龍暦院のある2本の尖った岩山が見えてきた。沙耶とアルビナはデッキから眺めていた。3日目が経った時、武具屋のオヤジさんに呼び出され、アルビナがミラルーツの装備を試着していた。白基調の赤いラインの入った防具は沙耶を一度で納得させるものだった。
近くまで来たとき、空中停泊した。
「ここからは気球船に乗って移動してください。」
早速リシェルとリックスを含め、気球船に乗り込み集会場へ。他の者達も食料やアイテム等を調達のため、個別に気球船に乗って移動していた。
船着き場に降りるとアイルーの案内人がいた。
「二ャンテンションプリーズ!またのご利用をお待ちしてます二ャ!」
早速4人は中央にいるギルドマスターの元へ向かった。ひたすら虫眼鏡で、書類に目を通している小柄なお婆さんである。現役時代は名の知れたハンターだった事は有名だが、今はその容姿からは想像がつかない。優しそうなおばあちゃんと言った感じだ。
「おや、可愛い子たちが来たねぇ。どれどれ、ふむふむ。ほほぉ、これはこれは。」
マスターの特権!?というよりはご年配の特権だろうか。相手が話しかけて来るより先に観察眼が働いている。
一種の職業病かもしれない…。
「こんにちは。実はマスターにお願いがあって来ました。是非聞き入れて頂きたく…。」
とアルビナがマスターに話を切り出す。
「おや、私にかい?どうしたんじゃ?」
「はい、ここに居る、沙耶様のHRを上位もしくはG級に上げて頂きたく、参上した次第です。どうか宜しくお願い致します。」
と深々と頭を下げる。沙耶もリシェルもリックスも続いて頭を下げた。
「ほう!この子のな?」
「はい、何とかしていただけないでしょうか…?」
「ふ~む、困ったのう。ルールはあんたも知っておるだろうが、☆の順番にしかもきっかけとなるクエストをいくつもクリアしないとならんしの。それではダメなのかい?」
さすがにそういう頼まれごとは初めてだったようで、マスターも困って聞き返してきた。
「はい。それでは遅すぎるのです。何とかして奴を仕留めないと被害が広がってしまう…。」
「ふむ、それはどういう事じゃ?」
アルビナの言葉にマスターも聞き入って来た。アルビナは今までのいきさつを話した。暗躍する者を止めるために特殊任務に就いていることは、ベルナ村の村長からも聞いてはいた。しかし、今回クエストとして超々特殊許可のイビルジョーの討伐に関係していることは初めて聞くことだった。
「ほう、敵討ちとな。」
「そうです。ですから、何としても私たちの手で打ち取りたいと。」
「お願いします。何とか良い方法はないでしょうか…。」
「「お願いします。」」
改めて4人は深々と頭を下げる。マスターも目をつむったまま、暫く考え込んでいた。やがて何かを決めたように頷いて話し始めた。
「よし、そこまで言うなら分かったのじゃ。但し、私が出す条件をクリア出来れば考えよう。」
4人の顔がパッと明るくなる。
「ほ、ほんとですか!?で、その条件とは?」
4人とも顔をマスターの目の前に寄せる。マスターもその迫力に少々たじろぐ。
「う、うむ。採用テストとでも言うかの。2つほどクエストをクリアしてもらおうかの。達成出来れば考えよう、どうじゃ、やってみるかの?」
「「「「やります!!」」」」
無論、即答。
「ならば1つ目は☆6の火の海に棲む竜!のクエスト、アグナコトルの狩猟じゃ。ソロで行ってもらおうかの。2つ目は全員でもよいが、G4緊急であり、旧砦跡に現れ、数多のハンターが手を焼いているモンスターがおる。クエスト名は蠢く墟城じゃ。どうじゃな?やってみるかぇ。」
マスターは4人を見回した。
沙耶達は、ここまで来て無理とは言えない。逆に大変なのは承知でクリアした方が。メリットが大きい。4人は顔を見合せて頷き、マスターの方へ向き治した。
「お願いいたします。」
「ならばクエスト受注を許可しようぞ。受付嬢には話を通しておくでの。カウンターへ行くと良いじゃろう。」
「「「「ありがとうございます!」」」」
4人はよし、とばかりにガッツポーズをとった。後は必死になってクエストをクリアするだけ…。
「よ~し、じゃあランクの飛び級を認めて貰う前祝いに乾杯と行くか!俺が奢るぜ!」
「えっ、マジ!やった!心置きなく食べられる!☆☆☆」
早速リシェルが反応する。
「う~む。この際だから高級料理を注文せねば。沙耶さまはどうします?」
「勿論!高級料理フルコースでしょ!☆食べ放題、飲み放題で!☆☆☆」
満天の星空の中で、酒場の椅子に4人は座り、高級料理や高級飲み物を注文していく。
(何か俺、いけないことを言ってしまった様な気が………。マジヤバい!?)
このあと、危惧したリックス君の予想どうりとなり、部屋で独りしくしく泣いていたことは内緒の事である…。
明るい日差しの朝、沙耶達は持ち物、装備を確認し、顔を見合せて頷き、ゆっくりとクエストカウンターへと向かう。
その中で沙耶とアルビナの二人は、同じ事を思いながら歩いていた…。
(待っていろ、イビルジョー。お前は必ず私達が倒す!!!)
お読み頂けましたか、ありがとうございます!次話からは令和元年からのスタート、(やっぱ、狙ってたなコイツ…。)
すでに書き込み始めておりますので、またのお付き合いをよろしくお願いいたしまする。
では、次話でお逢いしましょう。ね☆