では、のちほど~~~。
沙耶達がカウンターへ向かう途中、周りにもはた迷惑な怒鳴り声が聞こえて来る。
「ったく、よう!なんだ!あの体たらくは!やる気あんのかコラー!!」
「ぎゃふっ…。ご、ゴメンなさいニャ!許してくださいにゃ!!」
何やらオトモに折檻しているハンターがいる様だ。何気に沙耶はその方向へと足が向いてしまう。
「さ、沙耶様!?」
アルビナも慌てて後を追う。リックスとリシェルの2人もそれについて行く。近くまで行くとまだハンターの虫の居所が悪かったらしく、折檻が続いていた。
「こんな、使えねぇ奴、雇うんじゃなかったぜ。こりゃ猫嬢にクレームだな!」
怒りにかまけて凄い事を口走っている。ランクはG級のようではあるが、責任の全てをオトモに押し付けているようで、沙耶も我慢することが出来なかった。
「ね、リックス。猫嬢を呼んできてくれる?大至急で。」
「俺が!?あぁ、分かった、待っててくれ。すぐに連れてくるから。」
そう言うと、すぐに駆け出して呼びに行く。それを確認すると、そのハンターとオトモの側へと近づく。そのハンターは、スキュラ装備で、ロボットを思わせる様な姿をしていた。持っている武器はスラッシュアックスで、青熊豪斧(山祭)LV6で、毒属性が付いていて、装備のスキルと相性が良いようだった。ちなみに、オトモの方は、猛レイアネコ装備で、武器は猛レイアネコレイピアであった。雇い主の好みか、オトモにも毒属性の武器を持たせていた。
ハンターは目の前のオトモに一杯で、沙耶達に気付いていなかった。
「役に立たないんなら、こうしてやる!!」
とそのハンターが片足を振り上げてそのオトモに向かって足を振り下ろす!!
「ヴニャー!!!」と叫んでそのオトモも両前脚で頭を抱え込む!
ガンッ!!そのオトモの目の前で、ハンターの蹴りが止まる…。
沙耶が片手で太刀を持ち、太刀の平の部分で受け止めていた。そのハンターも蹴るのを止められ、驚くものの、振り向いて邪魔してきた沙耶を睨みつける。
「何だ、お前は。関係ない奴はすっこんでろ!こいつにはお仕置きが必要なんだからよ!出しゃばった真似しないでくれや!」
「ふん、叱ると言うより、虐待にしか見えないんだけどさ。見間違いかな?」と沙耶も睨み返す。
「何だと。俺が間違ってるとでも言いたいのか?」
「少なくても自分で出来る事をオトモに押し付けてそうだよね。間違っていると思うのはそこだけど。」
「よう、いい度胸の姉ちゃんだな。G級の俺に喧嘩を売る気か!?」
ハンターは足を戻して、沙耶の前に仁王立ちになった。しかし、沙耶も負けじと仁王立ちで睨み返す。
「いくらで買ってくれるかは知らないけど、売る気だけは満々だよ。」
「チッ、小生意気な姉ちゃんだな。いいだろう、買ってやるよ!お前が勝ったらどうしたいんだ?」
ハンターが条件を付けろと提示してきた。
(やった!乗ってきた!)
沙耶も内心食い付いたと、思いながら顔を崩さないように気をつけながら、条件を提示する。
「じゃあ、あたしが勝ったら、そのオトモちゃん譲ってもらうよ。」
そんな言葉が出ると思っていなかったオトモが驚きと動揺が隠せず、沙耶の顔を見る。
「ニャ、ニャンて事を!私の事は大丈夫ですニャ!」と心配そうに沙耶に辞めるように促す。
「大丈夫だよ。あなたの事はほっとけないし、なんか可愛いし気に入っちゃった。」
沙耶も心配要らないよとニコッとオトモに頷き返す。
「決まりだな。じゃあ俺が勝ったら、お前を貰うからな。」
「な、ちょっとま…。」待てと言おうとした、アルビナを沙耶が止める。
「さ、沙耶様!?」
「分かった。約束は守ってもらうよ。」
ハンターは上機嫌になってはしゃいでいた。
「おうよ。お前も約束を守れよな!ひゃっほう!楽しみだぜ!!」
「さ、沙耶様!いいのですか!?」
「大丈夫だよ、何かあの男は叩きのめさないと気が済まなそうだから…。」と珍しく、静かだが怒りモード全開で、気迫が伝わってくる。
「さ・や・様…!?」
アルビナもゾッとする。怒りのオーラを身に纏っている沙耶がいる。その姿にたじろいていた。
「こりゃ!!そこで何をしておるんじゃ!!」
ギルドマスターのお婆ちゃん、いやいやいまだ強さはなかなかのもので、若いもんには負けんと豪語する程の手練れさんが、止めに入ってきた。
「一体何があったのか話してもらおうかの。事と次第によってはギルドナイトも呼ぶ事になるが良いかの?」
マスターは二人の話を聞いた。ハンターがオトモを叱りつけていたこと、それを止めに入ったこと、それで条件付きの決闘をすることになったこと。そこまで聞いたマスターが、急に笑いだした。
「ふぁっ、ふぁっ、ふぁっ。決闘かぇ。よかろ、ワシが取り持ってやろうぞ。これ!そこの闘技場管理官!」
そう呼ばれて、慌ててマスターの前に走ってくる男が。
「お、お呼びでしょうか、マスター。」
「ウム。闘技場は今開いておるかのう?」
「は、はぁ。確かに開いてはおりますが、如何されましたか?」
「今からしばしの間、貸し切りにするでの。他の者の挑戦を受け入れぬように。」
飛び入りの要請であったため、慌てて返事をする。
「は、はいっ!確かに承りました!!」
すぐに闘技場の方へ準備に走って行く。マスターは2人の方を向いて、改めて促す。
「決着は、闘技場内でつけるが良いぞ。ワシもお目付け役として客席から見ておるでの。ルールは無用!どちらかが参ったと言うか、猫タクで治療院に送られた者の負けじゃ。良いかの二人とも。」
双方の顔を交互に見る。
「了解です。宜しくお願いします。」
「俺もいいぜ。小生意気な姉ちゃんに、お灸を据えてやらないとな~。」
とそれぞれに返事を返しお互いに睨みあう。
「よかろう!では闘技場へ移動じゃ!他の者はワシと客席の方へ。」
と、周りの関係者を引き連れて歩いて行く。
「よう、姉ちゃん名前は。」
「沙耶!あんたは?」
「俺は、ゾルトフだ。役立たずのオトモはサーニャだ。」
「そうなんだ。やっぱり私が気に入っただけあって、オトモちゃん名前も可愛い☆あんたよりずっと強くなると思うよ。」
「ふん!今にその減らず口叩けなくしてやるよ!」
と口先から火花を散らしながら、二人も闘技場へ。
ガコン!!…ゴゴゴゴ……ゆっくりと分厚く頑丈な鉄の巨大な扉が開き、二人が中に入って来て中央に。扉はまた厳かに閉まっていく。二人は中央に来ると、お互いに睨みあったまま、武器を構えた。
「よし!開始じゃぁ!!」
と、どこからともなく拡声器!?を持ちながら開始を告げる。
「はぁァァァァ!!」
「うっしゃぁァァァァ!!」
お互いの剣が力強くクロスにぶつかり、火花が飛び散る!ゾルトフが上手く斧と剣を切り替えて攻撃する。そこはG級までなっただけの事はある。(ほっとけ!)沙耶はその切り替え攻撃に、弾くのが一杯だった。(くっ、流石G級威張ってただけはあるね。だけどヤられっぱなしな訳にはいかない!)
沙耶はゾルトフが剣の状態で振り下ろすタイミングを逃さず、ギリギリをかわして反撃に出る!大剣の様な形をしているが太刀であるので、手数が多い。逆にゾルトフが防御する側になる。(くっ。小生意気なだけはあるか。だが何でここまでできる奴がHR1なんだ?訳が分からねぇ!)そう思いつつも、隙を突いて剣から斧に切り替えて横に振り払う!が、後ろジャンプで一撃をかわす沙耶であった。お互い間合いを取りながら、攻撃するチャンスを、隙を狙う!が、その緊張感を違った意味で、使う事になる!
「ヴォォォォォォォ!!!」
ドゴ…ン!ドゴ…ン!ドゴ…ン!
沙耶達が登場した扉の反対側のもう1つの扉から咆哮と共に扉を壊そうと殴ってくる物!?がいた。
「な、なんだ!どうしたんだ!」
「えっ、貸し切りのハズじゃなかったっけ!?」
「何じゃ、一体どうしたというのじゃ?」
マスターも、状況が掴めずにいた。だがそれも、一人の係員が飛び込んできたことで、状況が一変する!
「た、大変です!!捕獲されてきたラージャンが、檻に繋がれる前に目を覚まして暴れだし、扉に迫っていて抑え切れません!!」
「な、何じゃと!!」
「はぁ!マジで!」
「ま、まずい!沙耶さま~~~!!」
とアルビナが叫ぶも、本人に届かず。さすがに二人も扉の異様な殺気と暴れている様子に、危険度が上昇している事は分かった。
「マスター!どうしましょうか?このままでは誇り高き扉が壊されかねません!!」
流石のマスターも即断する!
「よし!扉を開くんじゃ!」
「はっ!」と係員が走り出していく。
「マスター!待って下さい!場内には二人いるんですよ!無茶過ぎます!!」
「そうだよ!いくら強いったって、限度があるじゃん!早く避難させてよ!」
アルビナとリシェルの制止も聞かず、マスターが拡声器でもって、二人に声をかける。
「よいか二人とも!今そこにラージャンが乱入する!見事討伐してみせよ!討伐出来た者にはクエスト、蠢く墟城の権利をやるぞぇ!しかも今回の決闘の勝ちもじゃ!」
(鬼畜だなこのばあさん…。)
「けっ!やってやろうじゃねえか!討伐くらい造作もねえことだ!よう!沙耶だっけか、ラージャンに殺られる前に尻尾を巻いて逃げた方がいいんじゃねぇのか?」
「ご心配なく。貴方こそ、ラージャンに袋叩きにされないように気をつけた方がいいんじゃないの?」
「相変わらずの減らず口だな!上等だ!どっちが先に仕留めるか勝負だ!いいな!」
「望むところよ!存分に戦わせて貰うわ!」
そう言ってそれぞれスラッシュアックスと太刀を構え直す。やがて扉がゆっくりと開き出す。開ききるのを待てずに躍り出てくる生物が…。
闘牛の様な横に伸びた立派な角を持ち、上半身はマウンテンゴリラに似た体躯で、背中から下半身にかけてはライオンに似た体躯をしている。しかも両腕は拳に力を溜めんが為に大きく、筋肉質になっていた。
2人を見つけ、空を見上げて胸を張って威嚇するがごとく咆哮を上げる。改めて体制を戻すとすぐに右腕の拳を上げて体をしならせて後ろに持っていき、その反動を利用して大ジャンプしてくる!そのまま拳も勢いをつけて上から振り下ろしてくる!!その狙いはゾルトフだった。
「ちぃ。」
ゾルトフも剣モードで躱そうとする!だが、想定していたパワーを上回る力だった。そのパンチ力は凄まじくそのまま押し切られ後方に飛ばされる!
「ぐっ…、くそっ!なんて馬鹿力だ!今まで会ったラージャンの比じゃねえぞ!!」
起き上がって体制を直そうとするが、ラージャンが両拳を左右に振り回しながら向かってくる!
「ちぃ!腕が痺れてうまく握れねえ!!」
ラージャンが目の前に迫った時だった。慌てて回避すると同時にラージャンもゾルトフと反対方向に飛ばされ痛みでもがいていた。そこには太刀を構えた沙耶の姿があった。
「お前!!」
「勘違いしないでね。あたしはこいつを黙らせたいだけだから。」
ともがいている隙を逃さず攻撃する!
「相変わらず生意気な姉ちゃんだ、ま、楽しみは後に取っておくか。うりゃあ!!」
と体制の直ったゾルトフも攻撃に移る!ラージャンも起き上がり、その場で体ごと回転させ、足払いをかける!
2人はうまく躱したものの、ラージャンもその隙をついて壁の方にジャンプする。そして地中に片手を突っ込み、やがて巨大な岩の塊を掘り上げた!それを軽々と片手で投げつけてくる!2人も察知して左右に回避する。
躱されたラージャンが咆哮を上げ正面に向き直ると同時に直線状のブレスを放ってくる!今度は沙耶に向けてだった。
「ばっ、馬鹿っ、逃げやがれ!!」
「さ、沙耶様!!」
リシェルもアルビナもその場にいた全員が間に合わないと思った瞬間、バシーン!!!と言う音と共に太刀で、はじき返す沙耶の姿があった。ブレイブスタイルで太刀使いの言うところのカウンターである。
「えっ!!」
「マジか…。」
ゾルトフもさすがに息をのむ。
「本当に何者だこいつ…。」
ブレスをも躱されて怒りモードへと変わったラージャンが雷を纏い、体を丸めて回転しながらボールのように四方に飛び跳ねて2人を襲う!何とか躱し切ろうとするがゾルトフは躱しきったものの、沙耶が最後の攻撃を躱したつもりが同じ方向であったため、跳ね飛ばされる!
「あぐっ…。」
2回転、3回転しながら地面を転げていた。ラージャンも体制を直し、沙耶の方へ向き直る。
「あ、危ないニャ!!」
「ま、待て!!」
突然、客席から飛び出していくものが。猛レイアネコの武具を装備しているオトモが飛び出していた。
「あっしも行くでニャス!!」
ザックも飛び出していく!
「くっ、リシェル!ゼシム殿を頼めるか?!!」
「えっ!いいの!こんなとこに呼んでも!」
「緊急だ!いざとなったら突入を頼む!」
「分かった!呼んでくる!!」
リシェルも闘技場の外へ走り出す。集会場より少し外れに待機している龍騎船にいるガルバダオラのゼシムを呼びに向かった。アルビナも乱入していったオトモの様子を確認しつつ、剣を抜いて突入に備える。
ラージャンは両拳を左右に振り回し、沙耶の方へ前進してくる!沙耶も立ち上がるが、体制を整えきれない!
「くっ…。」
何とか太刀を構え直そうとした時だった。
「ニ゛ャ~~~~~~!!!」
「えっ!?!?!?」
横から1匹のオトモが、回転斬りを繰り出す。ラージャンがひるんだ!その事で沙耶には攻撃が及ばなかった。
が、ラージャンは横やりを入れられたことで更に苛立ち、右拳をそのオトモめがけて斜め上から振り下ろす!
「ギャフッ!!」
「あぁっ!!」
小さな体躯が拳をもろにくらい、壁まで吹き飛ばされる!壁に叩きつけられてそのまま下へと崩れ落ちる。
沙耶も目の前でそれを見て、ある光景が蘇る。明日美という友達の目の前での壮絶な死…。その光景が今回のオトモと重なった時、沙耶の中で何かがはじけ飛んだ…。
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
顔を真上に上げ、モンスターに負けない程の咆哮を上げる!するといきなり上空は雲の渦が現れる!
同時に沙耶の全身が光り出す!凄まじいほどの殺気と威圧感で、ラージャンも驚いて後方へジャンプする。そして雷が沙耶めがけて何本も落ちていく。沙耶は目をつむり、両手を広げて雷を受け入れていく。すると塵滅刃の防具がベースはそのままだが色が赤と群青色、いわゆるディノバルドの体色と同じ色から白く変色しだした。雷が当たる場所ごとに白へと変わってゆく。更に沙耶の体の周りに細い雷が身を守るかのように右往左往していた。
やがて鎧全体が白へと変色を遂げた時、落雷は収まり、背中に小さな白き龍の羽を生やしたハンターの姿が…。
アルビナ達も何が起こったのかと見守るほかなかった。
その時上空に全身金色で各部位にクリスタルを纏った龍が舞い降りる。
「む、あれは…。」
「え、あれ、沙耶なの!?」
白くまばゆい鎧に、雷を纏ったハンターを凝視する。
「覚醒したな…。」
「へ、覚醒って…。ゼシム様何か知ってるの?」
ゼシムの物言いにリシェルも問いかける。
「そうだな、ガルーク様の力をいつ纏うのかと心配していた事でもあったしな。もう少し落ち着いた状態で覚醒して欲しかったがな、やむおえないだろう。大丈夫だ、ああなったら強い。我でも勝てるかどうか。」
「そ、そんなに強いの!?確かに強くなったようには見えるけど。」
改めて沙耶の方を向き直った。沙耶の周りの光も収まる。
「な、なんじゃあれは!しかも、上空にガルバダオラじゃと!ハンターが1人乗っているとはどうゆう事じゃ!」
ギルドマスターが慌てふためいて状況を飲み込めずに叫んでいる。
「大丈夫です!あれは沙耶様の師匠の一人です!人的攻撃はありません!協力者です!!」
アルビナが即座にフォローする。
「な、なんと!!い、いやしかし、モンスターと共存する者がいるとも言い伝えられてはおるからの。分からぬでもないが…。」
「ですので、いざとなったら突入します。よろしいか?」
「う、うむ。許可しようぞ。決闘だのと言っておれんかもしれんしの。」
徐々にマスターも大変さが分かってきたようで周りを注視する。
沙耶の 殺気と圧迫感はいまだ衰えず、闘技場を包み込み、威圧感を半端なく放っている。
沙耶は片手に太刀を持ち、仁王立ちになり、ゆっくりと両目を開ける。そしてラージャンの方を向いてニヤリと妖艶に微笑んだ。
次の瞬間沙耶の姿が消える。
「あ、あんなところに!」
アルビナが指差す方を見ると、ラージャンの後ろに立っていた。ラージャンも気付いて振り向きざまに拳を振り上げた。が、即座に身体中切り傷だらけになり、激痛が走り、後方に吹き飛ばされる!
「ガハッ!!」
予想外の事に体を起こすことも出来ずにのたうちまわる。
更に沙耶が太刀を前に突きだして構えると、切っ先にエネルギーの球が現れる。しかも雷を纏った状態で。その球は直径2m程になり、太刀を持ち上げて一気に振り下ろすと、エネルギー弾となってかなりのスピードでラージャンに襲いかかった。
「グギャガァァァァ!!!」
ラージャンに着弾と共に弾け飛び、無数の傷を負わせていく!再度のたうちまわるラージャン。かろうじて動けるようになった所で、後ろ足を引きずりながら逃げ出し始めた。が、ここは闘技場内、逃げ切れる筈もなく。
沙耶が太刀を垂直に両手で構えて頭上に持ち上げて詠唱する!!
「天の雷!豪雷衝《ごうらいしょう》!!」
沙耶がそう叫ぶと、ラージャンをめがけて直径10m程あろう一本の巨大な雷の柱が勢いよく落下する!
「ガァァァァァァァァァ!!!」
ラージャンの絶叫が響き渡り、その場に崩れ落ちた…。雷耐性があるとはいえど、それ以上の強力な電圧の雷なだけに、全身黒焦げで焼け爛れている。処理されるまで異臭を放っていた。
沙耶は太刀を納め、ゆっくりと沙耶を庇ってくれたオトモのところへ。と、突然後ろから抱きつかれる!
「沙耶さま、ご無事で!」
「ん、ありがとアルビナ。ゴメンね、心配かけて。」
「いえ、沙耶さまが無事ならば問題ありません。」
「なら、あのオトモちゃんのところに一緒に行ってくれる?」
「は、はい、分かりました。行きましょう。」
二人はうずくまるように倒れているオトモの傍に来た。息をしておらず、地面の上に晒されている…。沙耶はそのオトモをそっと抱き上げた。
「さ、沙耶さま、何を…」
沙耶はオトモの胸のところに手をかざし、パリパリと小さな雷をオトモの身体に送り込む!ビクン!とオトモの身体が反り返り、それからゆっくりと、トクン…トクン…トクンと心音と共に、お腹が上下を始める。スウスウと息をし始めた。
「沙耶さま!」と蘇生させた事に、驚くアルビナ。
「ちょっぴり自信はなかったんだけどね、でもこの子は失いたくないって思ったから…。」
と、ゆっくりと抱き締める。オトモが目を覚ました。
「ニャ~~~…ワタシは一体どうしたニャ~~…。」
「良かった、気が付いたね♪」
沙耶が嬉しそうに話し掛ける。
「君は沙耶さまを助けてくれた、礼を言うよ、ありがとう。」
とアルビナがオトモの背中を撫でてやる。すると急に記憶が戻ったのか、慌て出した。
「ニャ!あの人は無事かニャ!」
どうやら防具の色が変わってしまっていたので、気が付かなかったようだ。
「お前さん、抱き締められてるでニャすよ。羨ましいニャす。」
と傍まで来た、ザックが促す。
「ニャ!」
と、驚いて改めて沙耶の顔を見る。沙耶がニッコリと優しく微笑んでいた。
「良かったニャ~~…。」
と泣きながら抱き付いていた。
「ありがとうね、サーニャ。お陰で、倒すことが出来たよ。」
ゾルトフもアックスを納めて話しかけてきた。
「ったく、何なんだお前らは。突然変異したと思ったら急に強くなりやがって!あのラージャン相手に後半は圧勝だったじゃねえかよ!あんなもん見せられたら興ざめだ!俺の負けだ!勝てる気がしねぇ。これでいいんだろう!猫嬢!!」
「「「「えっ!?!?」」」」
全員が客席の方へ振り向く。そこには連れて来たリックスと共に猫嬢が成り行きを見ていた。
「はい!いやだと言っても強制的に解雇するつもりでしたから。」
「けっ!」
「沙耶さんはどうしますか?そのオトモちゃんを雇いますか?」
「モチロン!!!」
沙耶の即答にオトモのサーニャがウルウルと目に涙を浮かべている。
「了解です。今回雇い料は要りません。その代わり大事にしてあげて下さい。それが私からの条件です。」
「ありがとう!!私は沙耶!よろしくねサーニャ!!」
「はい!よろしくお願いしますニャ!!」
「で、こっちは同じくザック。食材集めの旅の途中にスカウトしちゃった♪」とウィンクする。
「ザックでニャす。よろしくでニャす。」
「こっちはアルビナ、猫嬢の横に居るのがリックス、上空にいるのはガルバダオラのゼシムと乗っているのはリシェルだよ。」
と仲間を紹介していく。その都度サーニャは忙しくお辞儀をしていた。
ワイワイと自己紹介合戦の中、1人だけ闘技場を後にするハンターが。
「やってらんねぇ、酒場で酒でも飲むか…。」
ゾルトフは疲れを癒すため1人酒場へ寄る。席へ座りジョッキと猫飯を注文する。先にジョッキが届いてグビッと一口ビールを口の中へと運ぶ。
「ぷはぁ~、うめぇ。いったい何なんだ、あいつはHR1な訳がねえ。絶対に何かあるな。」
「隣、いいかしら。」
村人の女性が声を掛けて来た。
「俺に声を掛けてくるなんざ、珍しいな。ましてベッピンさんにな。そんなお姉さんが俺に何の用だ?」
と隣の椅子を引いて座るように促す。
「ありがとう。」
と隣に自然な感じで椅子に腰かける。どこか艶やかな感じのする女性だった。周りも気になってこちらを見ているハンターもいた。
「それで?」
「先ずは、乾杯しましょ。話はそれから…。」
女性はそう言うとグラスに持っていた、酒を目の前へ。
「なら、乾杯!」
ジョッキとグラスをお互いに軽くぶつけ合って一口、口を付ける。
「いいお話があるのだけれど、話に乗ってみない?」
「何だ、どんな仕事だ。気が乗らなかったら断るが、いいな。」
「えぇ、いいわ。乗らない訳がないと思うから。」
自信ありげな女性の言葉に興味をそそられる。
「耳を拝借するわ。」
と片手を添えて、ゾルトフの耳元で話の内容を囁く。それを聞いてゾルトフの顔がニンマリとした。
「確かに断る理由のない話だな。了解だ。待ち合わせはいつがいい?」
「今からでもいいなら、一緒について来てくれるといいわ。」
「今からか?まあ、良いだろう。一緒に行こう。」
ジョッキを一気に飲み干すと武器を持って立ち上がる。代金を払って、その女性について行く。だがその後、彼の姿を見た者はいなかった…。一緒にいた女性共々に…。
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ギルドマスターが沙耶達の元に来る。
「よくぞ、ラージャンを討伐したの。その戦い見事じゃ。での、上空にいる者を何とかしてもらえんかの。下に研究者たちがわんさか集まって目をキラキラ輝かせて注目しておる。このままだと研究者達に、研究対象にされてしまうぞ。」
そう言われて上空を見ると、確かに待機させていたガルバダオラのゼシムがいる。沙耶は大声で撤収するように叫ぶと身を翻して、龍騎船へと戻って行った。下で研究者達のブーイングの嵐だったが、少しずつバラバラに散って行った。
「それでの。ワシも言ったことは守るでの。そなたたちの実力を認め、沙耶にはG級の称号を与える。そして、挑んで欲しいクエストがある。何人もの手練れが挑んで手こずっておるクエストじゃ。クエスト名は”蠢く墟城”じゃ。」
沙耶とアルビナは顔を見合わせて頷く。
「是非、やらせて下さい。」
「よくぞ、言われたの。それでこそワシが認めた者達じゃ。じゃが、ひとまずは休むといいじゃろう。体力を回復し、荷物を準備するといいじゃろう。受付嬢には話しておくでの。準備が出来たら、挑んでおくれ。じゃあの。」
「「有り難う御座います。」」
マスターが戻って行くのをしばし見送る。
「やっと1つ近づいた。」
「そうですね、次のクエストでHRを上げていかないと。」
「必ず、アイツに追い付いてみせる!」
二人は頷いて遥か上空に向かって叫ぶ!
「「待っていろイビルジョー!必ずお前を倒す!!!」」
……………………………………。
ありがとうございます!お疲れさまです!あとがきを読んでくださっていると言うことは、本編をよんでいただいたと言うこと。誠に嬉しゅうございます!毎回申し上げますとうり、カメカメ更新ではございますが、めげずにお付き合いくださいませ。次話はいよいよあのモンスターとの対決が。HRは?イビルジョーとの対決やいかに!では次話にてお会いしましょう。しばしお待ちくださいませ。ね☆