「だ、駄目だ!吹き飛ばされる!ぐわぁァァァァ!!」
「クソォ!あいつが殺られた!何なんだこの鉄のバケモンは!!」
「このままじゃ勝てねぇ!リタイヤするしかねぇ!」
「なんてこった!こんな屈辱があるか!絶対リベンジしてやるからな!」
と、あるハンターチームが、モンスターに翻弄されてリタイヤに追い込まれていた。それなりの手練れのハンター達が、挑むクエストではあるが、クリア出来たチームは一握り。ゆえにHR 解放などという、美味しい条件付きになっている。
その条件を得る為に、沙耶たち4人はゆっくりと休養していた。(あ、あ、あれ!?)
「いやぁここでお風呂に入れるとは、思わなかったなぁ~~~♪キモチィ~~~♭」
「まさかこのような所でとは誰も思いませんよ♪いいですね~~~♭」
「いやぁ、流石リックスの地元だよね~♭」
ここは何故かユクモ村!戦の前のなんとやら…。ちょっぴり疲れを癒そうと、集会場からひとっ飛び。
源泉溢れるこの村は温泉や足湯で有名になり、多くのハンターが狩の疲れを癒しにやってくる場所でもある。時には他の村の村長や、商人と言った人間も出入りしており、なかなかにのんびり感のある、リラックスできる場所でもあった。
沙耶達は露天風呂でくつろいでいた。もちろんオトモのアルビナやサーニャ、ロアラとアマネラも一緒だった。村長が気を利かせて露天風呂付の家を提供してくれていた。(有りか?そんなの?)まあ、リックスが世話になっているというお礼も兼ねてだそうだ。満天の星空といくつかのランタンの灯り…。ある意味、温泉に浸かりながらの女子会が始まっていた。
「い~な~。アルビナとリシェルは体型が良くて。あたしなんかブツブツブツ…。」
「な~に言ってんのよ。沙耶だって男落とせそうな体型してるじゃん。自信なさすぎだよ。」
「え~~~、だって、そんなに胸大きくないし…。浮かばないし…。」
「大丈夫!いっぱい食べて!いっぱい狩を続けてればナイスバディになれる!このリシェルさんが保証する!」
「それは、本当か?狩を続ければナイスバディに…。」アルビナが珍しく食いつく。
「え、アルビナ。それ、マジで言ってる?あたしの前で?どっからどう見てもナイスバディにしか見えないのに?」沙耶がジト目でアルビナの方を見る。
「アルビナが自信ないなんて珍しいね。」
「そうですニャ。ご主人様が珍しいニャ。そのバディの前に何人の男性ハンターを泣かせたかニャ」
「「えぇ!!そんなに交際申し込まれたの!?!?!?」」
2人はビックリしてアルビナの顔を覗き込む。
「い、いや、確かにそうですが…。で、でもほら、沙耶様と早く再会せねばとも思ってましたし、恋愛とかも疎いですし…。」
と恥ずかしがってうつむいてしまう。
「いいなあ!あたいはそんな羨ましい話なんてなかったけどなあ…。」
「え~、でもリックスとはどうなの?」
「ぶっ、ちょっと待った、確かに仲間だから仲がいいのは確かだけど、恋愛対象ではないかなぁ。」
「あ、と言う事はリシェルはゼシムの事が好きと。」
と言われた途端にリシェルの顔が茹でだこのように鮮やかなピンクに染めあがる。
「な、な、な、ちょ、ちょっと待って。ななななんでゼシム様を?」
明らかに動揺しているのがバレバレである。
「ね、ね。ゼシムに告白したの?」
「そうだな、さすがの私でも分かったぞ。リシェルどうなんだ?」
うまく矛先をリシェルに転化していくアルビナ。
「そうですニャご主人どうなってますのニャ?」
とリシェルのオトモのロアラも追い打ちをかける。
「い、い、いや、それはまだ…。」と完全にしどろもどろの状態に。
「でも好きなんだね?」と沙耶が微笑みながら答えを聞いた。
素直にコクンと頷いた。何故か可愛いげがある。(ほっといて。)
「でもさ…、伴侶がいるとか言われたらショックだし…。」
「う~ん、それは無いと思うけど…。そんな感じや素振りは全く無かったし。ガルーク一筋だったしさ。そういや聞いた事も無かったかな~。」
「本人に聞いてみたらどうなのだ?」
「いや、それ聞いたら告白しなきゃでしょ。」
「わたしはゼシム様もまんざらでもニャいと思いますがニャ?」
ロアラは何かを感じ取っているようだ。
「そ、そうなの!?」
リシェルが驚いてなぜ分かると言いたげなロアラの方を覗き込む。
「じゃあ、告白しなきゃ、だね。」
他人事なので言いたい放題のようだ。
リシェルもこのままではマズイと話を切り替えることにした。
「あれ、そう言えばリックスは?」
「え~~~!一緒に入るのは勘弁だよ~~!!」
沙耶がほっぺを膨らまして文句を言いだす。
「ば、ばか!誰が一緒に入るか!!姿が見えないからどうしたのかと思ってさ。」
「それは、村長様の所に行ってますニャ。」
とリックスのオトモのアマネラが答えてきた。
「あ~なるほど。そういえば、お世話になってるからねぇ。顔は出しておかないと。」
「ま、確かにそうだな。」
「ま、そこは、あいつの良い所ではあるけどね。」
沙耶が天を見上げて溜め息をつく。
「星空綺麗だな~。あたしの世界じゃこんなに綺麗じゃなかったなぁ。」
「ね、沙耶の世界はどんな所?」
「そうだね、あたしの居たところはこっちとはかなり違うよ。ここがこうなってて、ここがね。それでこう………。」
と沙耶の世界の話に聞き入る2人とオトモ達であった…。その沙耶の世界が今、かなりの危険にさらされている事を知る由もなく…、温泉の湯気がゆらゆらとのんびり立ち上りながら夜は更けていく…。
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そのちょっぴり噂をされていたリックスは、村長を訪ねていた。
気品があり、着物が似合う人で、かといって高飛車でもない、優しいご婦人であった。
「ご無沙汰ですわね。噂は耳に届いておりますわよ。アマツを倒したそうですね。」
「ご無沙汰しておりました。俺はほとんど何も出来なかった…。仲間たちの方が大活躍でしたよ。」
「でも、一緒に戦ったのでしょう?」
「それは、そうですが…。」
「何はどうあれ、倒した事には変わりなき事。少しは自信を持ってもよろしくてよ。」
リックスの謙虚過ぎるところは村長も心配ではあった。その自信を少しでもつけてやりたいとユクモの片手剣をプレゼントしていたのだ。
「剣を見せてもらっても良いかしら?」
とおもむろに、リックスの剣を見たいと言い出した。
「あ、はい。いいですよ。でも、武具屋さんで、直してもらわないと、ボロボロで…。」
と、恥ずかしながらに村長の前に出す。
「立派に闘って来たのですね。剣と盾をを見れば分かります。存分に使ってもらえて幸せでしょうね。」
村長は片手剣を充分に見つめ、ならばと決意して、リックスに話し掛ける。
「実は、あなたに使っていただきたい物が御座います。まずはこちらへ。」
「は、はい。」
と、促されて村長の後をついていく。
そこは村長の家であった。中へ入ると、自分達の家よりやや大きめで、お風呂場は通常の3倍の広さを使っていた。茶の間の他に寝室と事務室、もう一部屋あった。そのもう一部屋に案内される。
「こちらです。」
部屋に入ると、広さ20畳程の部屋の壁中に、ぐるりと武器や防具が飾られていた。なかなかレアな物まである。狙われたりしないのかとさえ思う程の貴重品さだ。真ん中には長方形のテーブルがあり、真ん中に細長い木箱が置かれていた。
「貴方にこれを差し上げたいと思います。但し、これは所有者を選びます。なので所有することが出来るかどうかはあなた次第です。」
村長に、そう忠告され、改めて木箱の方へ注目する。異様な感じはヒシヒシと伝わって来た。リックスは恐る恐る蓋に手をかけた。
「う、うわっ!冷た!」
びっくりして、一度手を離してしまう。
「蓋が…いや箱全体が凍っている。」
よく見ると、表面に薄く氷の幕に覆われている。その繋ぎ目を指で少しずつ溶かしながら、蓋を開けた。そこには異様な冷気を放つ、太刀があった。
「村長さん、これは…!」
驚いて村長の顔を見る。
「そうです。雪一文字の最高峰、深雪一文字〔幻日〕です。氷の攻撃属性を持っています。」
リックスは既にその太刀に魅入られていた。
使ってみたい!という衝動に駆られ、恐る恐る握りの部分を掴む!
「ぐっ、あぁぁぁ……」
掴んだ手から、一気に凍結する!
「あぁ!リックス!」
握りを掴んだ体勢のまま凍りつく。村長もお湯で温めようと一旦、急ぎ部屋を出ていく。
部屋の中はしばしの沈黙が訪れた。
《わらわを起こせしはおヌシか?》
(だ、誰だ!?ん?ここは…?)
真っ白な何もない空間にリックスがただ一人、しかも全裸で。声は若い女性の声だった。
《ここはヌシの意識の中、直接話し掛けておる。ヌシに問う。わらわを纏いたいか?》
その問いかけに村長の話も思い出し、一文字だと分かった。
(モチロンだ!俺に力を貸してください!)
《何故、わらわの力を欲するのか?》
(俺は仲間を助けたい!その為にはまだまだ強くなる必要がある。だからあなたの力が必要だ。お願いだ、力を貸してほしい!そ、それに…。)
最後に何かを言いかけて照れてしまう。
《それに、なんじゃ?》
(そ、それに一目惚れしてしまって、是非、所有したいと思ったのです。)
《……………………………。》
しばしの沈黙が続く。余計なことを言ってしまったかなと逆にリックスは不安になってきた。
《ク、クス、クス、クス。わらわをそんな風に言ってきた者は初めてじゃ。実に正直で気持ちの良い男じゃ。良いじゃろう。力を貸そうぞ。わらわは深雪一文字〔幻日〕”阿遊羅<あゆら>“じゃ。ヌシの名は?》
(リックスです!よろしくお願いします!)
《これからよろしく頼むぞよ。》
(はい、こちらこそ。)
眩い光が立ち込めると、現実へと引き戻される。が、リックスは身動きが取れないでいた。何せ一文字を握ったまま、全身が凍結している。
(ま、まずい。どうやったら動けるようになるんだ!?)
《おお、済まぬ。今、溶いてやろう。》
(え、は、はい、お願いします。)
なにも出来ないので阿遊羅に任せる。すると、リックスの足元から温かみを感じ出す。凍結が解かれていくのが分かった。
やがて、全身が解かれたころ、村長が何人かのメイドと共に壺を抱えて慌てて部屋に入って来る。壺から湯気が上がっていた。
ビックリして振り向くと、村長と目が合った。逆に村長の方が驚く!
「な、リックス!大丈夫なのですか!?」
「は、はい。このとうり何とか。」
とゆっくり一文字を背中に装備する。それを見て、村長が涙ぐんでしまった。
「選ばれたのですね。」
「はい、力を貸してもらえることになりました。」
「よかった…。認められずに凍結死させられたのかと思いました。」
「いや、返事次第ではそうなっていたかもです。」
だが、さすがに凍りついていたためか、身体中に寒気が走り身震いする。
「お風呂に入って行くとよいでしょう。温まってからでも帰るのは遅くないと思いますよ。今メイド達に準備させます。」
とメイド達に指示を出して部屋を出ていった。
《気が利く村長じゃの。おヌシ惚の字か?》
「ば、ば、ばかな。俺には勿体ない。」
《そうかの、向こうはまんざらでもなさそうじゃが?》
「そ、そんなことは…。」
と照れてしまった。
《ま、あとは本人次第じゃからの。様子を見るとしようかの。ほっほっほっほっ》
リックスは苦笑いしながら部屋を出て、お風呂へ案内してもらうことにした。案内されたそのお風呂の広さに驚いて、全裸を村長に見られてしまって、赤面して硬直していた事を付け加えておく。ね♪
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次の日の朝、準備を整えて集会所の受付嬢の所に集合していた。いよいよHR解放の為のクエストを受注しようとしていた。4人の周りにそれぞれのオトモ達も集まっていた。ゼシムも来ようとしたが、来ると龍暦院の研究者達の餌食になりそうだったので、龍騎船にて待機となった。
それぞれに個性豊かな武具を装備で臨もうとしていた。4人の真剣な眼差しに受付嬢も少したじろいだ。
「よ、ようこそ、受付カウンターへ。」
「G級☆4の緊急クエストをお願いしたいのですが。」
「は、はい。すると、クエスト“蠢く墟城”ですね。」
「そうです。よろしくお願いします。」
「了解です。受注受け付けました。他の方は横のクエストボードにて参加を受け付けをお願いします。」
アルビナが受注すると、3人はクエストボードより参戦受注する。
「では、お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
「じゃあ、行ってみようか。あのモンスターを倒しに。」
と4人は顔を見合わせ、頷きあう。
「行ってらっしゃいニャ!!」
「必ず勝ってくださいニャ!!」
「帰還を待ってますニャ!!」
「帰って来たらご馳走を用意しておくでニャす!!」
「うん、行ってくるね!!」
「よし!旧砦跡へ出発!!」
と、待機場所へと到着する。チェストの物質もそこそこに、外に向かって歩き出す。そこには、冗談を言い合っていたときの楽しい表情はない。命懸けでクリア出来るかどうかの真剣勝負!4人の顔つきが変わる。
外へ出ると、瓦礫の城壁に囲まれた広いスペースが現れた。その裏側は砂塵が舞っている。地面は全体に砂に覆われ、所々に鉄の瓦礫が顔を覗かせている。空も渦状の分厚い砂塵の雲に覆われていた。その奥の方から、こっちに気付いて、向かってくる生物が。
「いくよ!みんな!!」
「「「おぅ!!!」」」
全員、その生物めがけて武器を構えて走り出す。それを見て生物は立ち止まり咆哮を上げる!
閣蟷螂《アトラル・カ》と名付けられていた生物は、昆虫のカマキリに似た体躯で、4本足に前2本の巨大な鎌の様な触手、尻尾の方は上向きに左右に3本ずつ最後尾に更に一本大きめの爪が生えている。つり上がった赤目で、全体が金色の体躯だった。尻尾から粘着性の特殊な糸を放出し、鉄骨の骨組みの一部を尻尾の方へ引き込み、爪で抱え上げ背中に糸を絡めながら固定する。4人は、それぞれに分かれて攻撃に移る!
アルビナが正面から、沙耶が右側面から、リックスは左側面から、リシェルは尻尾から剣を振るっていく。
アトラル・カは尻尾からリックスめがけて糸玉を3方向に放ってくる!
「おぉぉぉ!」
2つは回避し、3つ目はブレイブ納刀キャンセルで切り抜ける!
アトラル・カは左の鎌の触手を後方にしならせ真横に勢いをつけて切りつけてくる!アルビナも納刀キャンセルで攻撃を受け流す!すぐさま走り込んで太刀を振り下ろしていく!
アルビナの太刀は雷を纏いながら、アトラル・カにダメージをプラスしていく!沙耶の太刀もバージョンアップしているため、龍属性はまあまあのこと、雷属性を纏うことで、アトラル・カにダメージをプラスしていた。
アトラル・カは振り払うため、全身に力を込めて体を仰け反らせる、すると金色の鱗粉が全身から放たれる!
リックスとアルビナはかわせたが、リシェルと沙耶が避けきれずにダメージを負ってしまう!
「沙耶さま!リシェル!」
「ぐっ、大丈夫!」
「まだいける!」
とリシェルが火と水の双剣で、ジャンピングの回転攻撃で反撃していた。
「桜花気刃斬!」
同時に左側面からリックスが狩技で応戦する!氷属性を纏ってのダメージで、アトラル・カがひっくり返ってダウンする!
「リックス、ナイス!」
全員で剣を振るっていく!それなりにダメージは与えたものの、アトラル・カは起き上がり、反撃に出る!背中に背負った鉄骨を沙耶に向けて投げつけてきた!が、沙耶もそれに対してカウンターで返す!
アトラル・カは再度鉄骨を背負い、移動を始める。中央付近で振り向き、鉄骨を投げ捨て、咆哮を上げる!それから尻尾から糸を自身の正面側へと地中に向けて放ち、今度はその糸を鎌の触手2本でたぐり寄せていく!4人は、その間も攻撃していたが、そのダメージを負いながらも、地中より鉄の塊を浮き上がらせる!
「な、なんだこれは!?」
と驚いている内に、アトラル・カはジャンプして糸をたぐり、自身を鉄の中央に合体させて自身を大量の糸で纏い、繭を作りだす!すると金糸を無数に絡ませて色んな鉄の破材によって作り出された巨龍が姿を現す!
「なんて奴だ、これが話しに聞いていた、もう1つの形態か!」
本物は勿論初だった為に、あまりの巨駆に見いってしまうがその余裕はすぐにかき消される!鉄の巨龍の胸部分から糸の放射がなされてくる!
「みんな避けて!」
沙耶が叫んでかわしていく!3人もそれに習って糸をかわす!そして全員で、脚を攻撃するも弾かれてしまう!
「駄目だ!効いてない!」
「じゃ、ここは!」
とリシェルが脚の3本指の真ん中が、金糸に覆われているのを見つけ、攻撃していた。
「それだ!ヤるよみんな!」
「「「おぅ!!」」」
全員でその指部分を集中攻撃する!やがて金糸が勢いよく切れてその足が砂地に沈む!
「今だ!その脚をよじ登るんだ!」
「「「了解!!」」」
急いで脚の側面に回り込み、鉄の出っ張りを掴みながらよじ登っていく。繭に到達する前に、金糸の網の塊を切り崩していく。
「くっそ!用意周到だなコイツ!」
「血風独楽!!」
リシェルが狩技を発動する!一気に網塊が切り崩れる!
「ナイスだリシェル!」
4人はその横にある繭を攻撃した!するとそうさせまいと、鉄の尻尾を外側から円を描いて沙耶たちに襲いかかる!
「ぐはっ!」
「あ、アルビナ!」
「だ、大丈夫です!それよりその繭を!」
「分かった!はぁァァァァ!」
沙耶が渾身の力を込めて斜め上から袈裟切りに太刀を振り下ろす!
バンッと言う音と共に繭がはじけ飛んだ!と同時に更に鉄の巨龍が体制を崩す。4人は一度地面に落とされる。
巨龍の首が前に倒れ込み、あごの部分が地面に伏した。
「よし!口の中を通って一番デカいあの繭を!!」
「「「わかった!!」」」
4人は次々と鉄の巨龍の口の中を通り、繭まで走り込んで即座に攻撃を仕掛ける。次々と繰り出される剣技によって一本の亀裂が斜めに入る!それでも攻撃を続けると、一気に起き上がり、4人が振り落とされる!
「くそう!!」
リックスが直ぐに起き上がって、金糸の巻き付いている脚の指を狙って走り込んで太刀を振り下ろす!
ガラガラガラ…。と鉄の巨龍が崩れ落ち、アトラル・カが姿を現す。
3人がすかさず攻撃に転じる。続いてリックスが後へと続く。アトラル・カも糸を放出し、たぐり寄せて尻尾の方へ撃龍槍を担ぎ上げて固定する。
鎌の触手を左右から振り下ろしながら前進してくる。それをリックスとリシェルは見事にかわしていた。
背中に乗せた撃龍槍を反動をつけてアルビナに向かって振り下ろしてくる!
「おぉぉぉぉぉ!!!」
ガキンッ!!とカウンターで攻撃をいなす!アトラル・カが再度背中に固定したが、尻尾の後ろに落とす。
そして、お前は体操選手か!?と言わんばかりの見事なバック中返りで金糸を巻き付けた撃龍槍を前方に射出してくる!!それは沙耶を狙っていて、太刀で受け止めるが威力が抜群なために後方に数メートル吹き飛ばされる!
「ぐっ…!!」
「さ、沙耶様!くそっ!!」
アルビナも反撃に出るが、撃龍槍を背中に再装填した後、移動し始める。ある程度移動したところで、撃龍槍を横に放り投げ、咆哮を上げて地面に潜り込んだ!
「くそっ、奴はどこに行った!」
少しすると地面から鉄の塊と共に先ほどの鉄の巨龍が地面から現れる!
「しぶとい奴だな!まだこの鉄のバケモンを操るか!」
沙耶も体力を回復してアルビナの元に来る。
「また、あの巨大繭を狙いに行かないとダメなんだね?」
「どうやらその様ですが…?」
リックスは現れた巨龍の後方にいた。前脚まで回り込もうと走ろうとした時、阿遊羅が話しかけてきた。
《リックスよ。わらわも力を貸そうぞ。足止めするくらいは出来ようぞ。どうじゃやってみるか?》
「はい、是非!」
リックスは立ち止まり、深雪一文字を前方に構える。
《なれば、わらわに続いて詠唱せよ。大気に常駐せし水の聖霊よ…。》
「大気に常駐せし水の精霊よ…。」
リックスも続いて詠唱を始める。
《氷柱となりて敵を止めよ!》
「氷柱となりて敵を止めよ!」
《「氷柱重撃衝!!」》
そう叫ぶと巨龍の右後ろ脚がその周りの地面から厚い氷が出来ていき、脚ごと氷柱と化す。後足を止められた巨龍が咆哮を上げる!
「す、凄い!!」
「リックス!大活躍じゃん!!」
「かっこいいじゃん!!」
3人もその大技に感心してしまった。リックスを注目している。
「みんなチャンスだ!あの繭をつぶしに行くぞ!」
と真っ先に金糸を纏った足の指をつぶしに走る!
「「「了解!!」」」
3人も気を取り直して同じ行動に出る!4人がかりなので、指の金糸も早めに切れる!と同時に脚が地面にめり込む。
「登るぞ!」
4人は矢継ぎ早に巨龍の脚を登って行く。同じように金糸の網の塊と繭玉を順番に叩いていく!その間にも巨龍の尻尾が叩き落そうと沙耶達に向かって襲い掛かる!しかし、2度目はそう簡単には食らわない。納刀キャンセルやカウンター、回避等でうまくその攻撃を躱していく。回り込んで背中の真ん中、首の後ろ側になるだろうか、そこにある繭を一斉に叩き切る!すると、繭が潰れ巨龍が体を起こした勢いで4人は一旦地面に放り出される。
「よし!次はメインの巨大繭だ!!」
「「「おう!!」」」
巨龍の頭が地面に顎を着ける。4人は起き上がってすぐさま口の中を通り、巨大な繭玉を攻撃する!
「螺旋斬!!」
「錬気解放円月斬り!!」
「桜花気刃斬!!」
「神羅解放!属性狩り!!」
4人の狩技と共に繭玉にかなりのダメージが入り、このままではと巨龍が立ち上がる。その勢いで4人も地面に落とされる。
「くっ、これでもダメか…。」
「なんてタフさだ!」
「どんだけなんだ、こいつ!!」
「クッソ~~~!!」
と沙耶が走り込んで、金糸の脚の指を攻撃した時、巨龍が轟音と共に崩れ落ち、砂煙の中から巨大な鉄の車輪を背中に背負ったアトラル・カが姿を現した!
「はあ、はあ、やっとメインが戦う気になったかな。」
「えぇ。これからがガチの勝負かと、はあ。」
「あと一息だね…。」
「くっ、何としても倒しきるぞ!」
全員砥石で武器を研ぎ、回復薬を飲んで武器を構え直す。アトラル・カも咆哮を上げ、沙耶達に向かってジグザグに歩行してくる!それぞれ分かれて攻撃に転ずる!アトラル・カも鎌の触手で反撃してくる。皆うまく躱しながら攻撃していた。アトラル・カは突然尻尾を振り回しながら、金糸の糸を張り巡らせていく。蜘蛛の巣のように綺麗な形ではないが、獲物を絡め捕るには充分であった。しかも、車輪を金糸で前方に出し、回転させて操りながらバイクのように走って襲い掛かって来たのだ!何とか躱しきっていたが、リックスが躱した方向に糸があり、絡められてしまった!そこをアトラル・カバイクが突っ込んでくる!!
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
「リックス~~~~~~!!!」
10メートル近く吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる!
「リックス!!」
リシェルがリックスの所まで全速力で走って行く!
「こんのぉぉぉ!!」
「おのれぇぇぇぇ!!」
沙耶とアルビナがそれを庇う様にアトラル・カに攻撃を加える!リシェルが駆け寄ると、氷の破片が散乱している事に驚く。体力は消耗していても、外傷はほぼほぼなく、打ち身や打撲といった程度であった。
「大丈夫!?」
と秘薬を飲ませて回復させる。
「だ、大丈夫だ、阿遊羅が助けてくれた。済まない!」
《主には死んでもらっては困るしのう。工夫をしたまでじゃ。》
「えっ、アユラって!?!?」
「この太刀に宿っている者さ。詳しくは後で話す。行こう!アルビナ達の援護だ!!」
「分かった。後で聞かせてよ!」
2人は武器を構えて走り出す!沙耶達の方を見ると、アトラル・カが車輪を目の前の敵に振り下ろしたり、糸を絡ませたまま横に降ろして地面をなぞり円を描くように車輪を振り回していた。そのたびに攻撃を回避しながら反撃に転じていた。
「待たせた!!」
「加勢する!!」
「リックス!リシェル!!」
4人揃ったことに嬉しさが込み上げる!
「全員で叩くぞ!!!」
「「「おう!!」」」
アトラル・カの鎌の触手や車輪の攻撃に躱したり回避したりしながら、チャンスを伺う。
「あぁぁぁぁぁ!!!」
アルビナが渾身の一撃をアトラル・カの顔面に決め、ダウンさせる!それを逃すまいと沙耶が叫ぶ!!
「みんな!離れて!!」
その声に即反応して後方に飛びのく!沙耶は太刀を両手に構え、頭上へと垂直に突き上げる!!
「天の雷!豪雷衝《ごうらいしょう》!!」
空から一本の巨大な雷の柱がアトラル・カめがけて落ちてくる!!
「ギィ!ヤァ!ァァァァァァァァァァァァァァ…………。」
尻尾から無数の糸の束が飛び出し、もがきながら地面に崩れ落ちた。周りの壁も地面に沈み、砂塵の渦も跡形もなく消えていった。赤く光り輝く太陽が一点の曇りなき光を照らしていた。
「「「「狩った~~~~~~!!!」」」」
4人は万歳しながら空に向かって叫んだ!日の光が勝利を祝うかのように優しく4人を照らしていた…。
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「見事じゃ!よくぞ討伐してくれたの!龍暦院は大騒ぎじゃ!」
集会場ギルドマスターも4人を讃えた。周りのハンター達も拍手やおめでとう!の声も聞こえてきた。
オトモ達も大喜びで迎えていた。逆に照れてしまう4人でもあった。
「うむ。クエストのクリア認定と、ハンターランクの解放を認めようぞ。先ずはお主からじゃ。」
とリックスが指名される。
「お、俺からですか!?」
「そうじゃ、早よ前に来なさい。」
そう促されてマスターの前に出る。マスターの虫メガネがリックスをじっくりと見つめる。しばらくするとレンズが光り、リックスの全身を覆う!!
「うわっ、な、なんだ!?」
とその光はすぐにすうっと消えていく。リックスも自分に何が起こったのかと自身の体を見回す。
「お主のHRは67じゃ。」
「「「「おお!!」」」」周りのハンターからも驚きの声が上がる。
「次はお主じゃ。」
と次はリシェルがご指名に。
「はい。」
マスターの前に出る。マスターがリックスと同じように虫眼鏡を当てる。すると同じように光ってリシェルの全身を包み込んで消えていき、やがてマスターが発表する。
「お主のHRは63じゃ。」
こちらもなかなかと周りから声が上がる。
「次はお主じゃ。」
と次はアルビナに。
「はい、よろしくお願いします。」
とマスターの前に出た。すぐにマスターが虫眼鏡でアルビナを覗き込む。同じように光がアルビナの全身を包んで消えていく。やがて、マスターが虫眼鏡を降ろして改めてアルビナの顔を見る。アルビナも他の二人と違う様子なので、不安になる。が、マスターが驚きの言葉を発する。
「お主のHRは…、102じゃ。」
「「「「「なっ………。」」」」」
3人どころか周りのハンターも絶句状態であった。HR解放時で100以上などとは珍しい事であった。誰もがそうできる事ではない。
「わたしがHR102……。」
本人も動転していた。そんなにも戦っていたのだろうかと自身の記憶をたどっていた。
「最後はお主じゃ。」
と促されてマスターの前に立つ。沙耶はHRが40以上になれるかが心配であった。ギリギリでもいいから超えて欲しいと…。3人はおろか、周りのハンター達も息をのんで判定を見守る。マスターが鑑定を始める。虫眼鏡が一層光っているように思えた。やがて沙耶も光に包まれ、消えてゆく。が、マスターがおもむろに虫眼鏡を覗き込み、レンズを磨き出す。
「へっ!?」
3人とは違う動作にうろたえてしまう。再度、マスターが沙耶に向かい虫眼鏡を当てていく。同じように光に包まれ、消えてゆく。今度は、虫眼鏡を降ろしてマスターが首を振る。
「こんな事があるんじゃの。ワシも初めてじゃ。」
「え、あたしってどうなっているんですか?」
沙耶も心配でマスターを見つめる。マスターも沙耶の顔をじっと見つめ、静かに口を開いた。
「お主のHRは256じゃ。どうやったらこんな数字が出る!?」
本人含め、周りにいる全員目が点になる!!
「「「「「「な!なにぃ~~~~~!!!」」」」」」
「ウ、ウ、嘘だろ!どう頑張ったってありえねえ!!」
「そ、そうよ、何かの間違いじゃないの!?!?!?」
周りのハンター達は誰も信じていなかった。しかし、アルビナ、リシェル、リックスの3人は分かっていた。何せあのミラルーツとクシャルダオラを相手に2か月近くも毎日戦ってきたのだから。沙耶も驚いてアルビナの顔を見る。アルビナはニッコリと黙って頷いた。それを見て、ようやく自身のHRを理解する。
「おめでとうございます、沙耶様。」
「ありがとう!3人も凄いじゃない!」
「いやあ、俺たちに比べたら沙耶はとんでもないじゃん。」
「そうだよね~、半分分けて欲しいぐらいだよ。」
周りのハンターのどよめきを聞きつつ、沙耶達は無事にHR解放できたことに喜んでいた。
「ね、じゃあさ、念のために確認しておく?」
とリシェルが3人に声を掛ける。
「そうだな、休んで、準備万端で臨むつもりだが、クエストが受注できないと意味がないからな。受付嬢の所に寄ってみようか。」
「うん、そうしよう。」
と4人は、揃って受付嬢の所に。たじろいでいた受付嬢が今度は目をキラキラさせて待っていた。
「お待ちしていました!早速サインを…。じゃなかった、クエストはどれになさいますか?」
自身の気持ちが先に出てしまっていた受付嬢がいた。
「クエスト受注が出来るかどうかの確認をしたいのだが?いいかな?」
「あ、はい。どうぞ。」
4人はそのクエストを探していく。
「あった…これだ…」
他の3人も覗き込む。
クエスト名゛荒ぶる恐暴の帝王゛変異種のイビルジョーの特殊討伐。受注条件、HR解放者LV40以上のみとする。このクエストに限り、8名参戦を可能とする。
「このクエストだが、受注は可能かな?」
受付嬢もそのクエストを確認する。
「はい、可能です。準備さえ良ければいつでも行けますよ。」
受付嬢の確認が取れた。4人は互いに頷きあった。
「やっと追い付いた……。」
沙耶とアルビナはこれから会わんとする因縁のモンスターに思いを馳せるのだった………。
読了頂き、ありがとうございます!次話はいよいよ因縁の対決になります。今まで遠回りだったものが、お互いに強くなりすぎ!?となってぶつかるわけです。勝敗の行方はいかに。では次話にてお逢いしましょう。次もお付き合いくださいませ。ね☆♪☆♪☆