モンスターハンター外異伝   作:麗紫 水晶

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続けて読んでくださってありがとうございます。
 毎回、感謝しております。引き続き読んでくださることを願って…。
 さて今回は実際に沙耶たちに厄災が降りかかり始めます。
 沙耶たちはどうするのか…。本編を読んで頂くと幸いです。
 では、本編をどうぞ。



事態は現実に…。

日光が降りそそぐ快晴の朝、1人と2匹は、その後話が盛り上がり、深夜まで話し込んでしまい、ベッドでぐっすり寝込んでしまっていた。

だが、その気持ちの良い天気とは裏腹に、沙耶の部屋の扉を壊れんばかりに叩く、弟の声に起こされる。

 

「姉ちゃん!大変だ!姉ちゃん!!」

 

「ん~~、どうしたのぉ~~、彼女出来た~~。」

 

と寝ぼけながら、ボケをかます。

 

「馬鹿!それどころじゃない!イビルジョーが現れたんだよ!!」

 

と、扉の前で怒鳴る。

沙耶も驚いて飛び起きた。

 

「イビルジョー!?!?!?」

 

一瞬理解出来ずにいた。

 

「そうだよ!ソイツが学校の近くで暴れてるんだよ!」

 

沙耶は場所を聞いて、しかも現実で、自分が登校しようとしている高校の側だと、緊急事態だと、すぐに両脇に寝ていた2匹を起こす。

 

「ね、ちょっと起きて!ねえったら!。」

 

「どうしたんですニャ~~。」

 

「ご馳走ですかニャ~~。」

 

2匹共まだ寝ぼけて顔を洗っているので、沙耶が怒鳴る。

 

「イビルジョーが現れたって!!」

 

2匹もそれを聞いて顔を見合せて叫ぶ。

 

「ニ゛ャ゛~~~~~~~~!!」

 

家中に2匹の鳴き声が響き渡る。

 

「は…?」

 

「な、何だ!」

「何、今の!?」

 

家族がびっくりして周りを見回す。

バンッ!!と扉を力いっぱい開いて、血相を変えて沙耶が出てくる。

弟もそれを見てたじろいだ。

ズカズカと茶の間へ音を立てながら歩いて行く。

 

「沙耶!」

 

と父。母も驚いて沙耶を見る。

父も厳しい表情で、テレビ画面を注視する。

沙耶も画面に注目する。

すると、そこに写っていた映像には、沙耶にとってはよく見知った物…いや生物がいた。

 

「イ・ビ・ル・ジョー………。」

 

とポツリ呟く。父は沙耶が何かを知っている事に驚く。

 

「わっ!?!?!?」

 

弟が驚いて後ずさる。

部屋から2足歩行で、トトトトト……と小足早に沙耶の元に駆け寄る2つの姿……いや2匹。

それには母も驚く。

 

「な、何なの!?!?」

 

夫婦は寄り添ってテレビから離れ、茶の間の端っこへ。

その2匹をぼぉ~っと見つめていた弟が、

 

「あ……オトモだ……。」

 

と呟く。父も即反応する。

 

「お前は知っているのか?」

 

「うん、ゲームに出てくるキャラクターで、味方だよ。」

 

と後ろの方で確認しあっている家族を無視で、画面の生中継を見いっている1人と2匹。

 

「御覧ください!!現代に蘇った恐竜ティラノザウルス!と言いたいところですが、顎付近が特長的で、似てはいますが…別の生物のようです。

一体何故突然現れたのか…全くの謎に包まれています。

果たして何が目的なのか、何処へ向かおうとしているのか、しかし、かなり狂暴で、塀等を壊しながら進んでいます。

付近の住民の方は家に入って出ないようにしてください。

外はこの生物で、大変危険です。

どうか外へは出ないでください!

あ、私達も離れましょう!」

 

逃げ惑う人々。自衛隊に出動要請が出たようだが、時間がかかりそうだった。

 

「現実になってしまいましたニャ。」

 

「よりによって、何でこいつが…。」

 

イビルジョーは、人や動物を襲い、暴れながら進んでいた。

沙耶はどうすることも出来ない自分に歯噛みした。

すると、ふと周りの風景に目が行く。見慣れた場所だ。しかも、その方向には……。

 

「まずい、そっちには皆が……。」

 

「どうしましたニャ?」

 

「イビルジョーが進んでる方向は、私が通っている学校があって、友達や同級生がいるの。

モンハンをやってる子達も結構いるはず!」

 

と部屋へ駆け込んで行く。

 

「そ、それは大変ニャ!」

 

と2匹も沙耶の部屋へ。

 

「皆の所に行かなくちゃ…。」

 

と急いで制服に着替える。

たが、沙耶には不安があった。

ゲーム上ではキャラクターが闘ってくれて、倒してくれたりもするが、果たして自分のいるこの世界では

 どうしていいのか分からない。

 ただ友を助けたいという気持ちだけで動いていた…。服を着替えて部屋から飛び出す。

 

 「待て!何処へ行く気だ!」

 

 当然、引き留めようとする父。だが家族3人で茶の間の端っこにいる。

 

 

「あそこには明日美や、他の友達がいるの。行かないと。」

 

「やめなさい、危険すぎる!」

 

 父も口調を強める。普段滅多に子供たちに怒ることのない父だ。それだけ心配しての事だった。

 だが沙耶もそれを重々分かっていて言葉を返す。

 

「このままじゃ皆が危ない!この2匹と行ってアイツを止めるしかないの!お願い!行かせてパパ!!」

 

 悲痛な訴えをしてくる沙耶に父は少し黙ってしまう。

 大事な娘を危険な場所にあえて行かせて良いのか…しかし、行かせなければ他の生徒たちの命も危ない…。

 父は悩んだが、ゆっくりと沙耶をじっと見つめ、決断する。

 

 「沙耶の事だ、どうせ止めても強引に行くだろうな。」

 

 沙耶の顔がほころぶ。

 

 「それじゃ…。」

 

 「但し、条件がある。」

 

 「えっ。」

 

 その言葉に沙耶が驚く。

 

 「必ず、帰ってきなさい。死ぬことは許さんぞ、絶対にだ!!」

 

 今までにない父の迫力に驚いた沙耶だったが、うなずき返し、

 

 「必ず戻ってくるから、待っててパパ!!」

 

 と言って、2匹と共に家を飛び出していく。

 

 「あなた………。」

 

 と母が父の肩に手を添える。

 

 「必ずだぞ………。」

 

 沙耶たちの後ろ姿を見つめながら、思いを込めて呟いた………。

 




読んでくださりました、方々。ありがとうございます。
 次話は、更にリアルが待ち受けています。
 沙耶たちの運命やいかに。
 では、次話まで…。

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