モンスターハンター外異伝   作:麗紫 水晶

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やっっと次話が書けました。
 表現力が乏しいくせに、長文に。
 私にとっては7000文字はびっくりぽんです。
 かなり、いやほとんどシリアスなお話になってます。
 ですが、私の手帳は先を進んでおり、続けて書いていきたいと思いますので、
 どうか呆れずに応援の方をよろしくお願いします。
 では、本編をどうぞ。


ー悲痛な現実ー

学校へ走って来た、沙耶と2匹は、校門前で暴れているイビルジョーを見つける。

周りの塀や壁が、かなり壊されている。

近辺にいた人々も、慌てふためき、悲鳴をあげながら逃げ惑う。

その内の1人の男性が犠牲になる。

イビルジョーが顔を横に向け水平にしならせて、男の胴体に噛みつく。

そのまま上に上体を反らし、男を一瞬空中に放ると、再度くわえこむと身体全体で横にしならせ、口から男を離す。

男は一切どうすることも出来ず、ショックと恐怖に強ばったまま飛ばされ、他人の家の壁に叩きつけられ、絶命する。

 

「コイツッ!!」

 

と助けに間に合わなかった沙耶が歯噛みする。

男性が殺されてしまうのを見た女性は、悲鳴を上げてそこで動けなくなってしまう。

壁に叩きつけた男性の所に行こうとしたイビルジョーが、女性の方に振り向く。

大きな声に反応しないわけがない。

 

「ヤバい!今度はあの人が殺られる!!」

 

沙耶と2匹はその女性の方へ向かって走り出す。

 

「アルビナ!ロキ!」

 

『「ハイニャ!!」』

 

「私はあの人を助けて離れるから、二人はイビルジョーの気を反らせて!」

 

『「了解ニャッ!」』

 

2匹は自分達の装備している武器でイビルジョーを右から左から攻撃し、そこに足止めする。

その間に、隙を逃さず、女性の側に駆け寄り、両肩を掴んで学校の門を抜け玄関へ避難する。

 

「おい!やっべ!あいつイビルジョーだ!」

 

「何でこの世界にあいつが居るんだ!マジか!」

 

「おい!体育館へ避難だって。俺達も行こうぜ!」

 

校舎内では、危険を察して、先生達が生徒を体育館の方へ避難させている。

 

「あなたも早く体育館へ!」

 

と駆け寄って来た女性教師に、

 

「この方をお願いします!」

 

と言って、先生の制止を無視して玄関を飛び出す。

そこには、門から校内に入り込んで来ていたイビルジョーがいた。

2匹も必死に食い止めるために、吹っ飛ばされながらも、攻撃を繰り返していた。

 

「コイツッ!スタミナありすぎニャ!!」

 

「なんて奴ニャ!G級かそれ以上ニャ!!」

 

「グゥゥルルルル…………。」

 

イビルジョーが、涎をたらしながら動きが止まる。

2匹が頑張ってくれたお陰だろう。

スタミナを回復するためか、そこに立ち止まっていた。

沙耶はチャンスとばかりに、武器になりそうな物を探す。

すると、片付け忘れたのか、剣先スコップが立て掛けてあり、沙耶はそれを両手で持って身構える。

イビルジョーは少しくスタミナが回復したのか、頭を振り回し、再度辺りを見回す。

気配を感じたのか、すぐに沙耶を見つけ、その方向に全身を向ける。

2匹もそれに気付き、沙耶の前に。

 

「二人ともゴメン!大丈夫!」

 

「このくらい平気ですニャ!」

 

「沙耶さまを守らねば、ご主人様に顔向け出来ませんニャ!」

 

と半ばボロボロになりながらも、気力は失ってはいなかった。

 

「ありがと!私も役に立たないかもしれないけど加勢する!」

 

「わかりましたニャ!私達は沙耶さまを全力でサポートするニャ!」

 

2匹もかなり疲弊しているものの、気力を再度振り絞って身構える。

沙耶もスコップを持つ両手に改めて力を込める。

イビルジョーも再度攻撃体勢に入るため全身を反らせて回転させるように咆哮する。

その時だった。

 

「沙耶!!」

 

「えっ!!」

 

沙耶が驚いて声のする方を向くと見慣れた顔があった。

 

「明日美!!」

 

彼女は部活の関係で、沙耶より早めに登校していた。

実は彼女もモンハンをする者の1人で、イビルジョーの名前を聞きつけ、この場に来たのだった。

だがそこに居たのは、抵抗しようとしている友人の沙耶と、武具を装備している見慣れた猫2匹、いわゆるオトモであった。

沙耶が何で?マジ!!と思った明日美だったが、一緒に避難しなければと声を掛けたのだった。

 

「沙耶!何やってんの!ゲームじゃないんだから敵う訳ないじゃん早く逃げないと!!」

 

明日美もイビルジョーの強さを知っているだけに、語気が強くなる。

だが沙耶とオトモ、2匹はそれに従うつもりがない。

沙耶もイビルジョーとにらみ合いながら、

 

「明日美こそ早く逃げて!ここは私達が食い止める!」

 

「バカッ!そんな物で何が出来るのさ!殺されるよ!!」

 

と怒鳴るも沙耶は聞こうとせす、ゆっくりとイビルジョーに向かって一歩ずつ歩を進める。

 イビルジョーも行動を開始する。

 頭を低くして、体を丸くする様な体勢をとり、後足で、地面に爪をめり込ませながら思いっきりけり込む!

 横っ飛びジャンプで体当たりを仕掛けてきた。

 案の定、咄嗟にスコップで防御しようとするも、圧倒的なパワーの前にはスコップでは意味がなく、後方に吹き飛ばされる。

 

 「きゃっっっっっ!!!」

 

 約3mほど飛ばされ、校舎の壁に叩きつけられる。

 

 「ギャフッ!!」「ヴニャッ!!」

 

 「アルビナ!ロキ!」

 

 沙耶は背中を痛めながらも、身を挺して助けてくれたオトモ2匹に四つん這いではい寄る。

 

 「ごめん!2人共、大丈夫!」

 

 沙耶は2匹を抱きしめ、心配そうに声を掛ける。

 

 「だ・大丈夫ですニャー…。」

 

 「沙耶様が無事ならば良かったですニャー…。」

 

 と2匹も沙耶を抱きしめる。

 だが、相手はあのイビルジョー。余裕をくれるような奴ではない。

 

 「きゃァァァァ!!!いやァァァァ!!!」

 

 悲痛な叫び声が周り一帯に響く。

 それに驚いた沙耶とオトモは声のした方を振り向く。

 叫び声ではあってもいつもいつも一緒にいた聞きなれた声…。

 

 「明・日・美ィィィィ……!!」

 

 体勢を起こしたイビルジョーが、何故か沙耶たちを襲うのではなく、明日美に向いてしまった。

 

 「沙耶~!助けて~~~!!!」

 

 明日美はイビルジョーに胴体を噛まれてすくい上げられていた。

 

 「くっ!明日美~~~!!!」

 

 と立ち上がってイビルジョーに向かって走り出す。

 だが、体格の割には筋肉質で動きはイビルジョーの方が上だった。

 一度真上に明日美をほうり投げ、再度くわえ込むと頭を思い切り横に振って投げ飛ばす。

 明日美は後ろ向きで、人間ロケットようになすすべもなく飛ばされ、校舎の壁に嫌な音とともに叩きつけられる。

 後頭部を強打し、凄いパワーだったのだろう約3秒ほど静止する。

 沙耶もその光景を目のあたりにする。

 そのまま悲痛な叫び声を上げる。

 

 「明~日~美ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛!!!」

 

 「沙…耶………。」

 

 と小さく呟いてゆっくりと目を閉じながら、壁に引きずるように真下に落ちていく………。

 沙耶は蒼白になりながら、イビルジョーがいることを忘れ、猛ダッシュで明日美の所へ駆け寄る。

 イビルジョーもそれに反応し、追いかけようとする。

 が、間髪入れずに攻撃を仕掛けて気を反らすオトモ達。

 そんな周りの事には目もくれず、沙耶は明日美を抱き起す。

 

「明日美!目を覚まして…明日美…起きて…起きてよぉぉぉ……………。」

 

大粒の涙を流しながら明日美をきつく抱きしめる。

だが、目も口も閉じ、血を流して横になっている明日美には反応はなかった……。

 

「明日美ぃ…ごめんねぇ…う゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

 

死んでしまったという事実を受け入れたくないと思いながら、しかし現実である事を認めて、叫ぶように号泣する………。

関係がないと言いたげに、その泣き声を聞きつけ、振り向く生物がいた。

何人も人を殺し、大事な友人である明日美をも殺した張本人………恐暴竜イビルジョー………。

オトモ達の攻撃を振り払いながら一歩ずつ歩を進める。

オトモ達も、このままでは沙耶が危ないと、声を掛ける。

 

「沙耶様!!そこから逃げてくださいニャ!!」

 

「イビルジョーが迫っているニャ!!早く動くニャ!!」

 

が、沙耶は明日美を抱きしめたまま動こうとしない。

 

「何をしているニャ!!早くするニャ!!」

 

「嫌だ!!!」

 

明日美を抱きしめたまま大声で叫ぶ。イビルジョーが目の前まで迫っていた。

オトモ達も間に合わないと思った時、またも、信じられない事が起こる。

沙耶が用心にと思い3DS を制服スカートのポケットに入れていた。

もちろんソフトはXX だ。

その3DS だが沙耶のポケットから突然飛び出し、地面より1mほど空中に浮いてUFOの様に回転し始める。

沙耶も驚く。自分のゲーム機が勝手に動き出したのだ。

あ然と3DS を見入ってしまう。

3DSはどんどん高速回転になり、そして光を内から発しながらフタが開いていく。

回転と光はそのままで、画面より、ゆっくり光のボール状の渦が、(大きさはピンポン玉ぐらいだろうか)上がっていく。

そこから更に1mほど上がり、縦に光の渦となって大きく広がり出す。

沙耶もオトモ達も何が起きているのか、見つめるほかなかった。

実際にオトモ達も渦から飛び出して来たわけだが、その時は黒い渦で、ここまで大きい訳ではなかった。

やがて光の渦が、約2mほどの大きさになり、それ以上に大きくなることを止める。

そして、渦の中から人の足らしきものが現れる。

やがて両足、腰、胴体、両腕、頭が現れる。

だが、そんな瞬間が起こっているにも関わらず、全く無関係と思っているのはイビルジョー、頭を高く持ち上げ、口を開き、牙を光らせ、渾身の力で噛みついてやろうと顔を降り降ろした瞬間、

 

「ガキィィィィィン……。」

 

高い金属音と共に後方に吹っ飛ばされてひっくり返るイビルジョー…。

 

「ゴァガァァァァァ…。」

 

驚いたのと痛みで、倒れたままもがいている。

やがて渦が消え、3DSのフタが閉じ、高速回転からゆっくりな回転になり、移動して沙耶の膝の上に…。

光の渦がなくなったお陰で、後ろ姿がはっきりと見えてきた。

全体に白い防具で、背中には飾りなのか竜の羽が付いていて、背中には斜めに剣がくくり付けられていた。

体も防具もすごくしなやかで、くびれもあり、後ろ髪も、首より下ほどまで伸びている。

その両手に持つのは、日本刀によく似た鉄刀。少し違うのは、刀身に時折青白い電気が見え隠れしている。

モンハンをする人ならば、知っているだろう、そう、斬破刀である。

しかも、レベルも少しく上げてあり、鬼斬破刀になっていた。

XXでは、戦闘スタイルという戦い方と太刀という武器種の組み合わせで、練気を溜めることで、カウンターという返し技を使うことができるようになる。

その練気が溜まった状態であったので、タイミングもバッチリとばかりカウンターでイビルジョーの攻撃を返したのである。

勢いもあっただけに、その反動も凄かったらしい。

イビルジョーがひっくり返るわけである。

その女性であるハンターを、沙耶は忘れようもなかった。何故なら彼女が身に付けている防具は、シャガルマガラという竜のモンスターの素材を元にした防具で、沙耶が必死に揃えて、レベル上げ等々したもので、本人にとっては苦労して集めたものだ。

オトモどころか、プレイキャラクターまで飛び出してくるとは思わなかった。

 

「ようやく…ようやく…お会いすることが出来ました…マイマスター沙耶。」

 

『「ご主人様ニャ~~~!」』

 

2匹は歓喜して同時に叫ぶ。

彼女のその通る声は凛としていて聞き惚れてしまいそうな声だった。

 

「ア・ル・ビ・ナ…なの?」

 

(オトモと同じ名前ですが、あえてそうしています。私もゲームをしている時はそうしていましたので…。)

 

涙声で、沙耶が恐る恐る問いかける。

 

「はい、間に合って良かった…。奴は私に任せて、沙耶様は一旦建物の中へ!!」

 

とアルビナがチャンスを逃さないように、走ってイビルジョーに斬り付ける。斬りつける度に青白く光るのは斬破刀の証だ。

 

「アルビナとロキも沙耶を手伝って!」

 

「ハイニャ!」「了解ですニャ!」

 

と沙耶の元へ走る。

 沙耶はオトモ達と明日美を抱きかかえて、校舎の玄関内へ。何人かの先生と保険の先生が駆け寄ってくる。

 先の絶命してしまった、男性も体育館へというわけにはいかず、保健室へ運ばれていた。

 

 「あ…明日美さん!!明日美さん!!明日……なんてこと……。」

 

 担任の先生先生が声を掛けるも返事はなく、がっくりとうなだれてしまう。

 

 「まずは、彼女を運びましょう。」

 

 と男性の先生が、辛さを堪えながら呟く。

 何人かの先生が明日美を抱えるとゆっくりと保健室の方へ向かって行った……。

 沙耶は下を向いたまま、涙を流しながら拳を握りしめていた。

 しかも血が滲むほどに…。

  

 「…………さない。」

 

 下を向いたまま呟く。

 

 「……許さない。」

 

 今度は涙で顔を濡らしながら、怒りに満ちた表情で顔を上げる。

 

 「あいつだけは!絶対に!!」

 

 そう大声を上げて、再度玄関の外へ。

 そこは、モンハンのフィールドか?と思えるほどに戦いが繰り広げられていた。

 リアルなものほど、迫力が増す。

 沙耶は、戦闘中の者に向かって叫ぶ!

 

 「アルビナ!!」

 

 それに気づいて、一旦イビルジョーと間合いを取る。

 いいタイミングでオトモ2匹が落とし穴としびれ罠を仕掛ける。

 それには素晴らしいオトモだな……と感心する沙耶。

 その罠に対して見事なぐらいに、まず落とし穴にハマる…イビルジョーもがく…。

 その隙を狙って、アルビナが沙耶の元に駆け寄る。

 

 「沙耶様。」

 

 「アルビナ、何か武器はない?」

 

 「危険です。避難してください。」

 

 「無理。アイツは絶対に許さない!叩きのめす!!」

 

 ずっとイビルジョーを睨みつけたまま返事をする。

 アルビナも気持ちは察していたが、しかし万が一のこともある。

 

 「無いならいい。何か探す。」

 

 と武器になりそうなものを探し始める。

 アルビナもその気迫に覚悟を決める。

 

 「わかりました…。沙耶様これを…。」

 

 アルビナが背中よりもう一振りの太刀を差し出す。

 

 「これは…。」

 

 その太刀は鉄刀と呼ばれている刀で、攻撃属性はないが、レベルを最高にすると攻撃力が格段に上がる代物である。 

 沙耶もゲーム内でレベルを上げ、途中で派生をかけて斬破刀を作っていたのでよく知ってはいた。

 

 「えっ。なんでもう一振りあるの?」

 

 「これはもう一振り作っておこうと、私が派生をせずにレベルを最高まで上げたもの。鉄刀(禊祓)です。

これをお使いください。」

 

 

 「そうだったの。ありがとう、アルビナ。」

 

 アルビナからその太刀を手に取る。

 中々に重みがある。しかし、少しだけ鞘から抜くと、凄くきれいな曇りのない刀身で沙耶の顔をくっきりと映し出していた。

 沙耶はその太刀を背中に装備すると、太刀を引き抜いて両手で構える。

 素人な彼女にとって現実に刀を持って驚く。

 こんなに重みがあって、これを振り回すことの出来るアルビナやハンター達に改めて感心する。

 しかも狩技まで繰り出すのだ。もはや尋常ではない。

 沙耶はハンターは凄いと実感していた。

 

 だが、関心している余裕はなく、現実の目の前の出来事に引き戻される。

 見事なぐらいに2つ目のしびれ罠にも掛かってくれていた、イビルジョーが解除されて動き出す。

 すぐに沙耶とアルビナを見つけて、よくもやってくれたなと言わんばかりに雄たけびを上げる。

 顔を斜め上に持ち上げ、Ⅴ字を描くように上体を、否体全体を左右に振りながら突進してきた。

 沙耶とアルビナはそれぞれ左右に分かれて後方へと回り込む。

 アルビナはそのまま走り込んで尻尾に足に太刀を振るう。

 沙耶も太刀を一振りするだけで精一杯だった。

 

 厳しい現実を思い知らされる。

 その動きだけで、息が上がり汗がどっと溢れ出す。体育授業の比ではない。

 それでも気力で、太刀を振るっていた。

 型を習った訳ではないので、刀を振り回していると言ったほうが良いだろうか。

 多少は効いているかとは思うが、アルビナの攻撃には到底及ぶものではなかった。

 沙耶は悔しかった。叩きのめすどころか、まともなダメージすら与えることも出来ず、かろうじて避ける事は出来ても反撃がままならない。

 しかも防具を付けている訳ではないので細かく切り傷が増えていく。

 手の甲からも血が滲んで、刀を持つ手が滑って上手く握れない。

 腕が痺れ、まともに構えることができなくなっていた。

 それでも一矢報いたいと気力を振り絞り太刀を構えていた。疲労で息も切れぎれに。

 

 その時アルビナがチャンスを作り出してくれた。

 イビルジョーを転倒に追い込む。

 

 「沙耶様!!今です!!」

 

 「あ"ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

 

 アルビナの合図で最後の力を振り絞りイビルジョーに向かって突進し、太刀を振り上げて渾身の一撃を見舞う。

 それが倒れてもがいているイビルジョーの背中に縦一線の大きな傷を負わせる!

 

 「ゴァガァァァァ」

 

 イビルジョーも悲鳴を上げるが、まだ起き上がれずにもがく。

 その隙をアルビナも逃さない。

 

 「錬・気・開・放…。」

 

 イビルジョーの前に立ち、目を閉じて全身の神経を集中させ、刀を真下からゆっくりと月を描くように回転させる。再度真下へと切っ先が向いた時、目を見開き次の一振りに力を込める。

 

 「円月斬り!!!」

 

 太刀を回転させ、横一線に切りつける。

 

 「グァガァァァァ!!!」

 

 その傷は沙耶がつけた傷に重なるように十文字の傷を背中に負わせる。

 だが、さすがはといったところか、そこで絶えることなく傷を負いながらも立ち上がる。

 

 「ちっ!!!」

 

 アルビナが倒しきれなかったことに舌打ちし、太刀が錬気を帯びているうちにと、更に連撃を仕掛けようとする。

 しかし、その横で力尽きて倒れ込んでしまう沙耶の姿が。

 

 「沙耶様!!!」

 

 咄嗟に沙耶の前に立ち、沙耶をかばうように身構える。

 イビルジョーも立ち上がったものの、フウフウと息を切らし、その場に留まる。

 そしていきなり踵を返して片足を引きずりながら逃げ出す。

 

 「ま、待て‼くそっもう少しなのに…。」

 

 畳みかけたい気持ちと倒れている沙耶から離れることも出来ずに歯噛みする。

 すると、又もや黒い渦が現れる。

 

 「なっ何‼」

 

 その渦はイビルジョーが通れるほどに大きくなり、イビルジョーも警戒することなく、その渦の中に消えていった…。

 渦もイビルジョーが姿を消すのと同時に小さくなっていき、消えてしまう。

 その場には2人と2匹が残された……。

 

 

 

 




今回は本当に長き駄文を読んでくださって、ありがとうございます。
 毎回、申しておりますが、大変感謝でございます。
 次話も読んで頂けることを切に願って。
 では、次話にお会いできることを楽しみにしています。
 じゃ、またよろしくです。
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