東方戦愛録   作:島夢

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95話

『結果とは、ある物事、行為から生じた状態。あらゆる事象の最期の形。さぁ、お前はどんな結果に行き着くのかな? ロリコンクソ野郎』

 

『はんっ! 結果に行き着く? 結果はあらゆる事象の最期の形? 逆だぜ? 結果はただの通過点だ。今それを教えてやるよクソ駄龍』

 

 

 俺の世界で正太郎と龍哉が喧嘩している。

 その戦いを遠目に見ながらそれを肴に俺とイザナギは酒を飲んでいる。

 もうすでに二人の戦いで地形が大分変ってるが大丈夫だ。まだまだこんなもんじゃ俺の世界は壊れない。

 とはいえ、外であんな戦いしてたら地形が変わるどころか、銀河系をいくつか消してても不思議じゃない。

 

 

「なぁ、晴夢」

 

「なんだよ」

 

 

 酒を飲んでいるとイザナギが声をかけてきた。

 なんだろう?と思いながらイザナギの言葉に耳を傾ける。

 

 

「混ざらねぇのか?」

 

 

 その言葉に一瞬きょとんとしてしまうがすぐに返す。

 

 

「くっははは! 確かに混ざりてぇけどな、今回はやめとくぜ」

 

「ほう、そりゃまたなんで」

 

「あいつら二人の喧嘩だぞ? 遊びじゃねぇからさ」

 

 

 嘘だ。本当は出て行って戦ったら能力が暴走しそうだから。

 その結果俺の周りの奴らの誰かを傷つけてしまったらと思うとゾッとしない話だ。

 

 

「喧嘩の理由が心底くだらねぇけどな」

 

「そんくらいで丁度いいんだよ俺たちは」

 

「その程度の小競り合いでこんな規模の(いくさ)ァされちゃあ、民たちからみりゃたまったもんじゃねぇな」

 

「だからちゃんと此処でやってんだろ?」

 

 

 会話をしながら遠くに見える二人の戦いを眺める。

 龍哉がそれこそ一撃で銀河系、あるいは宇宙そのものを砕く攻撃をすればそれを正太郎が砕き、跳ね返す。

 ちょっとしたふざけた喧嘩、その程度の戦い、全力じゃあない。そもそもあいつらは戦っている、という認識ですらないかもしれない、ちょっとじゃれてるだけみたいな?

 改めて、俺が転生する前の常識と比べると常識が第一宇宙速度ですっ飛んでるな!

 

 まぁ、あの戦いに普通に入っていける、というか全力でやりゃあ、二対一にならない限りは勝てるくらいの強さになってる俺も昔の常識はどこへやら、だな。

 

 そういえば久々に転生前のことを考えたな。

 そうそう、転生前のことと言えば…。

 

 

「なぁ、イザナギ、聞きたいことがあるんだけど」

 

「なんだ?」

 

「神様が人を転生させることってあるのか?」

 

 

 少し疑問に思ってたこと、ここで少しイザナギに聞いておこう。

 

 

「あー? なんでそんなこと聞くのか知らねぇが、そうだな、質問には肯定しよう。たまにある話だな」

 

「へぇー、なんで転生させるんだ?」

 

「いくつかあるが、まずは一つ目、神だって極々まれにドジな神がいる。そいつがドジってそれが原因で運命とは違った死に方をしてしまった場合。つまり神が人を殺してしまった場合だ。それも意図的にではなく偶発的にな」

 

「ほう」

 

 

 俺はそれか? いや…まだ聞いてみるとしよう。

 なんか引っかかるんだよなぁ。

 

 

「二つ目、神が面白そうだからって理由でわざと殺して転生させる。こういうことしている神はたまぁにめちゃくちゃ意思が強い転生者に力を奪われたりするが…、多分あいつらはその奪った転生者なんだろうなぁ」

 

 

 戦ってる二人をみながらしみじみと語るイザナギ。

 神から力を奪う、ね。

 そういや前にあの二人がなんであんなに強いか聞いたとき、奪った神の力と人のみで神を打倒したという偉業に対して世界自体が『略奪者』を認め力を与える。と、そんな感じだと碧緒や天照が前に教えてくれたな。

 イザナギもそのことを知ってるんだろう。だからあの二人を奪った転生者だと言ったんだ。

 といっても、あの二人は略奪者とやらの中でも世界に気に入られたのか、特に強いらしいが。

 

 

「まぁ、大体はこんな感じだ。あとは…そうだな、何か理由があって転生させた、とかな」

 

「理由?」

 

「自分の目標の達成のためとか、その目標が何かまでは知らんが…」

 

「ふむ…」

 

 

 多分俺は転生者として一つ目として見られるのだろうが…。

 俺を転生させたあの神様、『フィーナ』。

 どうも何か引っかかる、転生される直前の俺なんざただの人間。相手の力量もわからんから判断のしようがないが…。

 

 

「というか、お前こそなんなんだよ? お前はあそこでやりあってる龍哉と正太郎見たいな略奪者じゃないんだろ? なのになんでそんな規格外なんだか」

 

「さぁな、最後に質問」

 

「なんだ?」

 

「神様が人を転生させるとき、転生させる時代ってのはなにか一定の指標みたいなものはあるのか?」

 

「そうだな…。その転生させた神が生まれたあとの時代、ってこと以外は特にないぞ」

 

「なんでそんな制限が付くんだ?」

 

「自分が生まれる前の時代に転生させたらどんな環境化もわからん、転生させた奴が即死するかもしれないってこと、そして自分が生まれていないと神の力が届きづらいってこと、この二つが理由だな。神力の強い神なら転生させること自体は可能だ」

 

 

 その制限で行くと…俺を転生させた神、フィーナは十億年以上前にはすでに存在していた?

 馬鹿な、本人も自分はそんなに強い神じゃないと言っていたはずだ。ならば何故?

 嘘をついていた? 自分の力を隠して俺を転生させる…? 何故?

 理由がわからない、俺を転生させてどうしたい? そもそも本当に十億年前から存在していたのか?

 だが、フィーナの目は真剣だった。何かを果たそうと真剣に何かをしている目だった。

 転生させられた時は俺を転生させることがその果たそうとしていることだと思ったが違うのか?

 少なくとも、娯楽で俺を転生させたようには思えない。何かある、はずなんだが…。

 

 

『これで決めてやるッ! 負けるのはお前だ! ペドフィリア!』

 

『あん!? どこがペドフィリアだゴラァッ!! ペドフィリアってのは本来十三歳以下の女児かつ当人より5歳以上年下の児童に対し持続的に性衝動を抱くこと、また、ロリコンやショタコンとは違って動作の主体および対象の性別には制限がなく、男性→女児or男児、女性→男児or女児のいずれにも適用可能ってのがペドだ!! 断じて俺はペドじゃねぇ!!』

 

『お前のお相手は見た目がアウトだろうが!!』

 

『DSM‐Ⅳでは小児性愛の基準として13歳以下との性行為と規定されている! つまり! そもそも見た目だけで年齢は十三歳なんて生易しい数字じゃないあいつには適用されないしそもそも性行為をしていないため精神医学的にはセーフッッッ!!』

 

 

 なんの言い争いしてんだあいつら…。

 というかなんで正太郎はペドフィリアの基準を知ってんだよ、しかもDSM‐Ⅳ(精神障害の診断と統計マニュアル)の基準とか言うしっかりした資料の奴…。

 あんな会話しながらもあいつらやばい規模の攻撃連発してるんだが…。

 

 

「たまにあいつらが何言ってんのかわかんなくなるんだよなぁ…」

 

 

 呆然とした様子でイザナギがそう呟く。

 

 

「まぁ、未来の言葉みたいなもんだからな、今から数千万年後くらいの」

 

「はーん、なるほど、転生者特有のってやつだな」

 

「そういうことだ。さて、そろそろ止めて来るか、イザナギ」

 

「そうだな、これ以上調子付かれると危ねぇしな」

 

 

 抑えきれるか?

 発作は来そうにない、よし、行けるな。

 イザナギもいるしなァ。まぁ、色々聞けた、まだまだ考えることはたくさんあるが…取りあえずはあいつらを止めなきゃな。

 まったく、世話の焼ける奴らだ、まぁ、俺もイザナギもあいつらに世話かけてるしお相子だな。

 

 さぁて、久々に戦るなぁ!

 

 

「行くぞォ!!」

 

 

 地を蹴り一気に二人との距離を縮める、龍哉の上空まで移動した俺はそのまま踵落としで龍哉を地面に吹っ飛ばす。

 かなり加減して撃ったのに思ったより踵落としの威力が大きく、当たってもいないのに遥か下にある地表がめくれ上がる。

 唐突な俺の参戦に驚く正太郎、だが参戦するのは俺だけじゃない、俺に気が向いたその瞬間、イザナギが正太郎を地面へと殴り飛ばす。

 イザナギは器用に周りへの衝撃を綺麗に全部正太郎へ与えて攻撃したため周りへの被害がない。

 そうか、俺もそうやって攻撃すればよかったな…。

 

 二人とも抵抗できず地に落ち、馬鹿でかいクレーターを作っている。

 能力の使用も俺が触れた瞬間に少しの間だけ使えなくした。

 俺は両手に霊力で弾を作り二人に飛ばす。

 霊力の弾は当たった瞬間に半円状になり、地面へ二人を拘束する。あいつら二人ならすぐに抜けられるだろう。

 俺の霊力で作り出した半円はともかく、地面をぶっ壊せば逃げれるからな。

 だが俺はそのうちに二人の周り半径一キロを囲むように円柱状の結界を張る。

 

 そしてイザナギに声をかける。

 

 

「これでよしっと、イザナギ」

 

「おう、準備できてるぜ。国落シ(くにおとし)

 

 

 そうイザナギが言った瞬間、俺とイザナギはさっきいた場所から遠く離れた、元の場所に移動する。

 瞬間移動のような速度で戻った俺とイザナギは酒の入っていた瓶と盃を持って帰る準備をする。

 

 俺とイザナギがさっきまでいた場所に目を向けてみると――巨大な隕石、いや『国』があった。

 俺がその国を見た瞬間、凄まじい速度で落ちていく、下には二人がいるし、俺が張った結界で逃げ場がない。

 まぁ、暴れ過ぎだったし丁度いい仕置きになるだろう。

 

 にしてもあの質量があの速度で降ってくるのか…考えたくない攻撃だな、これでもかなりセーブしているみたいだけど…。

 

 

「さぁて、帰るか」

 

「おう、そうだな」

 

『『ちょっ!? これはやり過ぎだろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』』

 

 

 二人の悲鳴が聞こえた瞬間に地と地がぶつかり合った轟音が鳴り響き、轟音と共に凄まじい衝撃波が俺とイザナギを襲う。

 いやぁ、すごい音だな。と考えながら衝撃を捕食しておく。

 

 あの二人でも流石にこれはやりすぎたな、反省反省。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、一応言っておくが、このあと元の世界に戻って二人の無事を確認した。

 咄嗟に二人で協力して霊力の障壁を張ってなんとかしたらしい、いやぁ、素晴らしい友情だな!と言ったら殴られた。

 まぁ、当然である。

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