東方戦愛録   作:島夢

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84話 スサノヲの夢

「なあ、イザナギ…」

 

「ん?」

 

 

 イザナギと俺とスサノヲという珍しい面子で一室に座り込んで酒盛り中…。

 鬼姫が乱入してきそうだが、あいつは今山に帰ってるはずなので…大丈夫だ。ほかのみんなは寝静まっている。

 

 イザナギと俺とスサノヲは本当は寝なくてもいいので今日は酒盛りでもするか!ということになって今の状況なわけだ…。

 

 まあ、話を続けよう…俺がイザナギに聞きたかったことは…。

 

 

「イザナギとスサノヲ…どっちが強いんだ?」

 

 

 スサノヲとイザナギを交互に見ながら俺は聞く…。だって気になるじゃん…こいつら、親子だけど、イザナギはちょくちょく喧嘩するから大体強さはわかるが、スサノヲはあんまり戦わないからわからないんだよなぁ…。

 

 俺はそう考えながら二人の顔を見る…二人ともきょとんとしているが、イザナギが少し嬉しそうな顔をして

 

 

「クックックッ!!晴夢、スサノヲはもうとっくの昔に俺より強いよ」

 

 

 そういった…スサノヲはあちゃー、という感じで額に手を当てている…。

 

 とっくの…昔…だと…? そ、そんな強者がこんなに近くにいたのに…俺は今までスルーしてたのか…!

 冗談じゃねぇ!思い立ったが吉日!ということで…スサノヲを見る。

 

 

「はぁ~…わかってますよ晴夢さん…今から殺り合いましょうか?」

 

 

 スサノヲは微笑を浮かべてそういう、俺はどんどん口が吊り上がって、笑みに代わるのが自分でもわかる…そして元気に

 

 

「YES!」

 

 

 といった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「晴夢さん」

 

「おう、いつでも来い」

 

 

 ここは『俺の世界』。

 

 黒い荒野がずーっと続いていて、空は黒く、ところどころ光が差している…。遠くには俺がこの世界に来ることになった原因の馬鹿でかい虹がかかっている。

 現実世界で戦えば周りへの被害が半端ないことになるから全力を出せるようにと俺が作った世界だ。

 

 スサノヲは剣の柄を撫で、目を閉じる…。

 

 

 そして…目がゆっくりと開かれる。

 

 

「スサノヲ、推して参ります!」

 

 

 そういった瞬間居合抜きの要領で剣が振るわれた…その瞬間、烈風が俺を襲う…。

 

 風の勢いが強すぎて、地表がはがれ、雲は吹き飛び、地は割れる。

 

 冗談みたいな勢いの風だ…。俺は地面に踏ん張ろうとしたが、そもそも地面が吹き飛ばされるので意味がない…ので霊力で足場を作り、そこで踏ん張る…。まあ、その足場もひびが入って大変なことになっていたが…。

 

 

「うっぐぅ…」

 

 

 思わず声が漏れる…なんじゃその威力の風…それはもう風と呼んでいいものじゃない…現実世界で使ったら日ノ本が丸ごと吹き飛ばされるんじゃないかという威力だ…。

 

 風がやんだと思った瞬間、上空から雷が落ちてくる…あれを雷と呼んでいいのかわからないほどに桁はずれな大きさの雷だった…。

 しかもあの雷、音より速いとかそういうのは比較にならない速度で落ちてくるし、ホーミング性がある…よけようとしたが直撃する。

 

 

「ぐっあああああああああああああああ!!」

 

 

 やべぇ!雷超いてぇ!

 

 というか、あいつ攻撃の規模が違いすぎる…最強の神はイザナギだと思ってたのに、スサノヲの方が断然強い気がする…。

 いや、本人がそういってたけどさ。

 

 とかどうでもいいこと考えていたら雷は消えていた…。

 

 今の一撃で、心臓何回止まったかわからんな……と思いつつ前を見て、絶句した。

 

 

「うっわぁ…」

 

 

 俺の声は、目の前…視界の端から端まで完璧に多い尽くしている津波のような水の押し寄せる音に巻き込まれ、消えた…。

 いや、津波なんてもんじゃない…縦十メートルとかそんな規模じゃない…いや、どんくらいの大きさかは図れんけど…。

 

 どうでもいいこと考えながら波に飲まれる。

 うわぁ…冗談みたいな規模の攻撃連発してきやがる…。

 

 

 そっちがその気なら……こっちもちーっとばかり本気で行ってやる!

 

 

 

 

 

ドッ!!

 

 

 

 という轟音とともに水はすべて霧散する…なぜって?俺がすべて捕食したからだ。

 眼前を見据えると、微笑を浮かべながら涼しい顔で立っているスサノヲがいた。

 

 俺も三日月のような笑みを浮かべながら話しかける。

 

 

「今の…その剣の能力だろ?」

 

 

 俺がそうきくとスサノヲは自分の剣を見ながら答える。

 

 

「ええ、天之羽々斬…おそらく世界最強の神器…この剣自体に能力が存在する剣…。

 能力は『風と雷と水を司る程度の能力』…信仰してくれている方たちからは俺自身の能力だと思われてるみたいですけどね」

 

 

 最後に微笑みを浮かべながら俺を見る。

 

 

「そうかよ…そろそろ本気でやろうぜ?」

 

「はい…行きます」

 

 

 スサノヲの声が聞こえた瞬間、一瞬で俺との間合いを詰めたスサノヲは下から掬い上げるように切り上げ…俺はその切り上げを半歩後ろに下がり、かわす…。

 そして手刀を作りスサノヲの腹部を突き刺さんと全力で振るうがスサノヲはそれを半身だけそらし、回避しつつ、剣を俺の腕の上を滑らして首を刈りに来る。

 

 顔を一気に後ろに引き、それをギリギリで回避しつつ、手刀を横に振るう。

 

 スサノヲはそれを回避して、バックステップで俺から距離をとる…。

 

 俺もスサノヲも相手だけを狙って攻撃しているからか、周りへの被害は今のところスサノヲの一番初めの天変地異のようなあの攻撃だけだ。

 

 スサノヲは剣を天に掲げる…そして、ゆっくりと切っ先を真横になるように下ろす…。

 

 そして、次の瞬間俺の目にも手がぶれるほどの速度で剣を振るう。

 その瞬間、烈風と天雷と大水が俺を襲う。

 

 

「効かねぇよ!」

 

 

 俺は叫びながらすべて喰らい尽くす!

 スサノヲは喰らい尽くす一瞬の間に距離を詰め、俺の体を真っ二つに斬る…。

 

 左肩から右脇腹へかけてばっさりといかれた…。がすぐに再生し、スサノヲをとらえようと手刀を振るう。

 スサノヲは手刀を避けながら、距離をとる…。

 

 

「はぁ~…つえぇな…スサノヲ」

 

 

 思わず感嘆の声が漏れる…。まさかここまで強くなってるとは思わなかった…。

 まだまだ全力とは言わないが、そこそこ力を出していたのに、まだ攻撃がかすりもしない…。

 

 

「ありがとうございます…あなたに認められるほど強くなれたのなら満足です」

 

 

 スサノヲはそんなことを言ってくる…が、俺はその返答を笑い飛ばす。

 

 

「はっ!この程度で満足してんじゃねぇよ…お前にも守るもんがあるんだから、まだまだ強くならねぇとな」

 

 

 俺は笑いながらそういう…スサノヲは「そうですね…」と呟き剣を鞘に仕舞う。

 なんで?と思い、少し首をかしげてしまう…。

 

 

「晴夢さん…今の討ち合いでわかりました…俺はまだあなたに勝てない」

 

 

 スサノヲは鞘にしまった剣を見ながら言う…。

 俺はその言葉に少し腹が立った…。

 

 

「なんだと…?勝てない?何諦めてんだ?」

 

 

 少しキレ気味に尋ねるが、スサノヲは気にしたふうもなく、目を鋭くさせて言う

 

 

「勘違いしないでください、『まだ』といったんです…いつか勝ちます」

 

 

 スサノヲには確かな決意、そして自信が満ち溢れていた…。

 なるほど、『まだ』…勝てないのか。

 

 

「でも、このままただで終わるのは(しゃく)ですから…最後に一撃だけ全力で討ちます、受けてみてください」

 

 

 なるほどね…負けず嫌いめ…やっぱりイザナギと親子だな…。

 俺はそう思いながら手刀を構える。

 

 スサノヲは居合の構えをする。

 

 

「絶ち斬らせていただきます」

 

「喰らい尽くすぜ?」

 

 

 スサノヲの剣が振るわれる…そしてそれと同時に俺は手刀を振るう…。

 

 俺の振るった手刀はただの手刀ではなく、手刀にすべてを喰うという気持ちを載せることで、能力を付与、すべてを喰らい尽くす衝撃はを作る技だ…。

 この手刀は空間や次元や時や概念や理…この世のすべてを喰らい尽くしながら相手に向かって飛んでいく…危険だから、あまり使わないけどな…

 

 

 対するスサノヲは…あいつ自身の能力、『万象一切すべてを絶ち斬る程度の能力』を使った斬撃だろう…。

 あの斬撃はまさしくすべてを絶ち斬りながら進む…。

 

 

 

 『絶ち斬る』力と『喰らう』力がぶつかったら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    ゴッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ一瞬その轟音が響いた瞬間、俺とスサノヲは元の…俺の世界ではなく、現実世界へ戻って、庭で対峙していた。

 

 

 何が起こったか?

 そんなのは簡単だ、二つの力がぶつかり、拮抗したことで、周りへその能力の影響が飛び、世界が耐えれず『崩壊』という過程を無視して『消えた』。

 それだけだ。

 

 まあ、俺の世界はまた創り直せるからいいんだけどさ…。

 

 

「駄目だったみたいですね…」

 

「ああ、世界の方が駄目だったな…もっと強度の高い世界を作れるようにするさ」

 

「いえ…そういうわけじゃありません…最後、世界が終わる直前、俺の斬撃は晴夢さんに喰われてました」

 

「ああ…まあ、その通りだ」

 

 

 最後、本当に最後…俺の喰らい尽くす力はスサノヲの斬撃を喰らった。

 事実どの分の力が俺のものになっている。

 

 

「…晴夢さん、あなたは俺の『夢』です…はじめて出会った…俺の命を助けてくれたあの時から…でも、『夢』は叶えるためにあるんです」

 

 

 スサノヲは神に相応しい威厳で神に相応しくないことをいっている…。

 それは神がいう言葉じゃなくて、夢を追いかける個人が言う言葉だ…だけど、どんな神よりも威厳があふれていてどんな神よりも神々しい。

 

 

「それに…『どんな生き方をするのかお前の自由だけど、それ相応の強さを手に入れてから行動しろ』でしょう?晴夢さん」

 

「懐かしいな、覚えてたのか」

 

 

 俺がスサノヲと初めて会って、妖怪から助けて言った言葉だ。

 

 

「ええ、当たり前でしょう? この言葉の通りになれるように…俺は強くなったんですからね」

 

 

 『ああ、お前はもう十分強いよ』そう思ったが、あえてそれは言わなかった…。

 言う必要はない、それは俺じゃなく、スサノヲが判断することだ…少なくとも、俺がそう思ったからだ…。

 

 

 

「よぉ…終わったみたいだな…まあ、どっちが勝ったかなんてわかってるが…酒飲もうぜ?」

 

 

 イザナギが酒を持ってきたので、俺たち三人で庭に座り込み、月を眺めながら酒を飲み始める…。

 

 

 イザナギはスサノヲに背を向け酒を飲んでいた…。

 

 俺は『スサノヲの方を見ないようにしながら』月を見上げ呟く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ…酒うめぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声は、夜の高天原に吸い込まれるように消えていった…




なんでスサノヲの方を見なかったか?

そりゃあ…スサノヲも男の子ですから、負ければ悔しいでしょう…人一倍負けず嫌いでもありますし…。

そういうとき、人に見られたくないことになるとき、あるでしょう?

悔しかったんですね~…神でも…


感想待ってます!


次回も頑張って編みます!
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