千年ロッドに選ばれた無個性少年   作:遊人

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師走の忙しさは何年たっても慣れないと思う


連成する振動

巷を騒がせていたステイン逮捕のニュースは瞬く間に世間に波及した

 

彼の思想、英雄回帰という現在の超常社会への警告は世間に一石投じる形となり、その言葉に秘められた熱意に感化されたヴィラン達は彼が一員だったとされる敵連合へとその足を向けた。

 

闇は集う、やがて噴火の時を待つ溶岩の様に・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ここはとある大型ショッピングモール

 

 

休日と言うこともあり、多くの人でごった返す中、エントランスのベンチに一人の少年が座っていた。

 

少年は帽子を深く被り、スマホを眺めていた。

 

 

数十分後・・・

 

ガチャン、

 

ドサッ

 

 

男の横にアタッシュケースを持った別の男が間にアタッシュケースを乱暴に置き隣に座る

 

男は黒いパーカーを羽織りフードを目深に被っていた。

 

男はスマホを取り出し、耳に当てた。

 

「とりあえずはご苦労だったな、緑谷。」

 

電話に耳を当てたまま目線すら向けず隣に座る少年・緑谷出久に話かけた

 

「どうも。」

 

 

目線をスマホをに向けアプリをしながら緑谷は隣に座った死柄木に返した

 

 

 

死柄木「けどな・・・俺としては納得していないぜ。

俺は始末しろと言ったんだがな。」

 

死柄木が目だけを動かし緑谷を責める

 

 

緑谷「ステインのネームバリューはまだ利用価値がある、それを最大限利用するためには今の状態がベストさ。

 

現に敵連合に入りたいって言う人、来てない?」

 

飄々とした口調て返す緑谷

 

死柄木「ああ、精神破綻のクソガキと礼儀知らずの根暗そうな奴が来やがったよ。」

 

緑谷「ハハッ、いいんじゃない?これから世界をひっくり返そうとするんだから、それくらい振り切れた人間は必要だよ。それに・・・ある程度認めてくれたから持ってきてくれたんだろ?」

 

数瞬の後舌打ちが聞こえ

 

死柄木「ああ、先生が合格点出しちゃったからな、しぶしぶ持ってきてやったよ。・・・まあ、あんなイカれた奴等と一緒にいたくないからちょうどよかったよ。」

 

やれやれといった感じで話す死柄木

 

緑谷「あれ?散々なこと言っておいて結局手元におくんだ?」

 

死柄木「茶花してんじゃねぇ、この前の有象無象よりは使えるからとりあえず置いといてやってるだけだ、必要ないと感じたらその場で塵にしてゴミ箱行きだ。」

 

緑谷が半笑いで話せば語気を強めて死柄木が返す。

 

緑谷「でもこれで本物の敵達は気づくはずさ、この平凡な日常を崩すことは容易いということを、たった一手を打つだけで盤面がすべてひっくり返えってしまう危うさが潜んでいることを。」

 

緑谷の言葉に死柄木は行き交う人々に目線を向けた

 

誰も彼もが幸せそうな顔をして歩いている。

 

その幸せの下に犠牲にされた者の声から目をそらし、其処に蓋をしている英雄様を無責任に讃え、当たり前の様に平和を貪る笑顔達が堪らなく醜く見えた

 

死柄木「・・・暫くしたらまたドでかい事を起こすから、また参加してもらう。決まり次第連絡するから遊ぶのは構わねぇが仕事も疎かにするなよ。」

 

緑谷「もちろん。」

 

死柄木は携帯をしまうとアタッシュケースを置いたまま去っていった。

 

緑谷「さてと、」

 

緑谷もスマホをしまうとアタッシュケースを持ちベンチから立ち上がり歩きだした。

 

ドンッ

 

緑谷「おっと、」

 

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葉隠「ねぇ尾白君。次はあっちのほう見に行こうよ!」

 

尾白「ちょっと、あまりはしゃぐと転んじゃうよ葉隠さん。」

 

 

この日、雄英高校1-Aは轟と爆豪を除き全員で来る夏休みの林間合宿に向けての買い出しにショッピングモールに訪れていた。

 

 

それぞれ目的がバラバラのため時間を決めての自由行動となり、買い物に向かおうとしていた尾白を半強制的に葉隠が連れ出し、現在は二人でショッピングとなっていた。

 

尾白が連れ出される所を目撃した峰田が羨望の余り血涙を流していた

 

こうして葉隠に連れ回される形でショッピングモールを歩き回る二人、すると

 

ドンッ

 

「おっと」

 

二人の目の前で人混みで接触し後ろに倒れる少年の姿が映った

 

「おう、ボウズ。すまねぇな。」

 

「いえ、こちらこそ申し訳ありません。」

 

幸い喧嘩等のトラブルに発展する気配はなかったがなにより目を引いたのはその風貌

 

ぶつかった拍子に落ちた帽子の下から現れたのはみどりのボサボサ頭

 

一瞬、二人は息を飲んだ

 

まさか、

 

尾白「葉隠さん、今の・・・。」

 

葉隠「うん、私も思った。」

 

二人の脳裏によぎったのはUSJで自分達を裏切り、体育祭で悪魔のようなゲームを主催した同世代のヴィランだった。

 

尾白「葉隠さん。ここはひとまずみんなに連絡してプロヒーローを「尾白くん。」えっ?」

 

葉隠「尾行しよう!」

 

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とある病院

 

轟は休日に一人ある人物のお見舞いに来ていた

 

それは

 

轟「母さん。」

 

自分の左目に消えることのない傷をつけた張本人にして自分という命を産んでくれた唯一無二の存在

 

体育祭以降

 

轟は週末になると暇を見つけては母のお見舞いに訪れる様になっていた。

 

十年という空白を埋める為に、己の原点をもう二度と曇らせないように、そして・・・

 

父が行方不明という言い様のない不安を紛らすために

 

「焦凍・・・。今日も来てくれたのね。」

 

まだ慣れね柔らかな笑みで迎えられて轟は気恥ずかしい顔で病室に入った

 

 

初めてお見舞いに行ったあの日、己の胸の丈をぶつけた

 

苦しかったこと

 

悲しかったこと

 

体育祭で浮かんだ言葉のこと

 

・・・父が行方不明になったこと

 

余りに酷な事をしてしまったと思う

 

でも、

 

そうしなければいつまでもこの鎖は断ち切れない

 

更に前に進めない気がした

 

姉と三人で話し、泣き、感情をぶつけ合い気付いた

 

結局、家族なんだと

 

母はどれだけ離れていようとも母だし

 

俺も姉さんも結局はこの人の子なんだ

 

わかりあえて、でもどっか違う、時々素直になれなかったりする

 

そして改めて気付いた。

 

今のちっぽけな俺の手で精一杯守らなくてはならないものが




もうすぐ平成が終わりますね

ダンディライオン禁止は地味にショックです
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