千年ロッドに選ばれた無個性少年   作:遊人

26 / 36
あけましておめでとうございます


勇気の旗印

闇の仮面「では、ゲームの説明を始めさせて頂く!」

 

光の仮面「お・・・お前らを絶望させてやるんだな!」

 

緑谷「フフフフフ。」

 

 

上鳴「なんでもいいから早いとこかかってきやがれ!」

 

耳郎「バカ!下手なこといって不利な条件出されたらどうすんの!」

 

闇の仮面「案ずるな。今回のゲームは緑谷様の戯れに過ぎない、平等なもとでの戦いを求めておられる。」

 

峰田「た・・・戯れだと?」

 

麗日「ふざけないで!そんなんで人の命をおもちゃみたいに扱うなんて・・・」

 

光の仮面「お・・・お前たちだってそうなんだな!」

 

麗日の怒りを上回る激昂を返す光の仮面

 

光の仮面「お前らだって、無個性に生まれたものを見下し、優越感を得る道具としてしか見てないくせに!」

 

わなわなと怒りに震える光の仮面

 

闇の仮面「・・・光の仮面。」

 

光の仮面「ハッ!も・・・申し訳ありません、緑谷様、取り乱してしまったんだな。」

 

緑谷「構わないよ。今回の催しは君たちのその気持ちを晴らすためでもあるんだから。」

 

闇の仮面「少々乱れてしまったな。

 

では改めてルールを説明しよう

 

これから俺と光の仮面がそれぞれ一問ずつ試練を課すその試練に乗り越えたなら最後の試練を受けてもらう!

 

 

ただし・・・あれを見てもらおう!」

 

 

尾白とフェンスの金網の間にロープが走り金網に引っ掛かる様に五つの木の人形とロープが結ばれていた

 

闇の仮面「あの木の人形は選ばれた者の心を映す。

お前たちの恐怖や絶望に反応してあの人形は一つずつ砕けていく。

 

そして、全て砕けたとき・・・」

 

緑谷「そこから先は言わなくてもいいよね。」

 

ケラケラと笑う緑谷に怒りが沸き上がる一同

 

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

 

障子「むっ!?」

 

常闇「これは・・・」

 

辺りを圧倒的な闇が覆い隠す

 

それは闇のゲームの始まりの合図

 

闇の仮面「では、最初は私から行こう。」

 

切島「かかってきやがれ!」

 

上鳴「お題はなんだー!」

 

闇の仮面「慌てるな。この試練の参加人数は五人だ。」

 

ドン!

 

そう言うと闇の中からルーレット盤が現れる

 

瀬呂「ありゃあなんだ?」

 

峰田「見ろ!俺たちの名前が書いてあるぞ!」

 

闇の仮面「その通り、誰が参加するかはランダムだ。」

 

緑谷「君たちの方が人数多いからね、これくらいなら別に問題ないでしょ?」

 

ピッピピピピピピピピピピピピ

 

ルーレットが開始される。

 

ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ

 

闇の仮面「これで五人出揃ったな。」

 

八百万

 

口田

 

瀬呂

 

蛙吹

 

砂糖

 

闇の仮面「では、選ばれたものは前に出てきてもらおうか。」

 

切島「頼むぞ!みんな!」

 

飯田「相手は何をしてくるかわからない、油断は大敵だ。」

 

八百万「心得ていますわ。」

 

砂糖「おっし、任せとけ!」

 

選ばれたメンバーは前に出て、闇の仮面と対峙する。

 

闇の仮面「では、私の試練は・・・智勇!

 

文字通り、貴様らの知恵と勇気を試させてもらう。」

 

上鳴「へへっ、こりゃ勝ったも同然だな!

 

学力クラストップのヤオモモがいるし、俺や芦戸が選ばれていないし。」

 

芦戸「ウンウン!」

 

耳郎「あんたら、自分で言ってて悲しくないの?」

 

緑谷「さて、始めるにあたり外野が手出し出来ないようにしとこう。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

切島「なんだ!?」

 

峰田「ガラスの様な透明の壁が!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

切島「・・・!?」

 

峰田「・・・・・・!」

 

 

八百万「こ、これは?」

 

闇の仮面「安心しろ。あちらの声を一方的に遮らせてもらった。

これで貴様ら五人以外の邪魔は入らない。」

 

そう言うと、切島達も落ち着きを取り戻し、先程の言葉が事実であると証明された。

 

八百万達は壁の向こうが落ち着きを取り戻したことに安堵し闇の仮面に向き直る。

 

八百万「智勇と言われましたが何をもって証明すればよいのでしょうか?」

 

蛙水「ここに来てペーパーテストなんてオチじゃないでしょうね?」

 

女性陣が果敢に会話を切り込んでいく

 

闇の仮面「それではルールを説明しよう。

 

といってもこれから出す問いに答えてもらうだけだがな。

 

 

 

但し、解答者同士の会話は禁止だ。

 

そして、これが重要だが解答は誰がしても問題ないが・・・解答回数は一問につき一回のみだ!」

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

闇の仮面「そして、開始の合図と共にあの人形達もお前らの心を読み取り始めるからな。

 

そして、制限時間だが・・・」

 

ヒュン ヒュン ヒュン

 

八百万「なっ!?」

 

口田「~~~!?」

 

蛙水「ケロッ!」

 

砂糖「はっ!?」

 

瀬呂「へっ?」

 

突如あたりを覆う闇から絞首刑用の縄が下りてきて五人の首に巻き付いた

 

そして・・・

 

ドン!

 

先程まで地面だった筈の下が白い飛び込み台の様に変わりその下は深い闇が待ち構えていた。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

切島「みんな!」

 

峰田「お、おい!板が・・・板がどんどん短くなってきてねえか!?」

 

闇の仮面「制限時間はその板が無くなる迄だ!

 

では、最初の問いは・・・

 

 

朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足・・・これはなんぞや?」

 

芦戸「なにそれ!?そんなのいるわけないじゃん!」

 

上鳴「なんかとりあえず適当に答えて当てていけ!」

 

耳郎「バカ!解答は一回しか出来ないんだよ!」

 

緑谷(そう、このゲームの肝はそこにある。

 

命の危機に瀕した状況下で脳をフル回転するのはもちろん、解答には自分以外の命も背負うことになる。それが間違えだったら・・・とよぎれば焦り、不安が襲う。

 

疑心暗鬼になる心を押し通す勇気。

 

まさに智勇だね。

 

さらに・・・)

 

 

ピシピシッ

 

障子「人形が!」

 

葉隠「尾白君!」

 

飯田「みんな、落ち着くんだ!あの人形は僕らの心の弱さに反応する!だから落ち着くんだ!」ガクガク

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ピシピシッ

 

八百万(っ!?人形が!

 

いえ、落ち着くのです。

 

恐怖に飲まれては敵の思うつぼですわ。

 

でも・・・答えてがわかりませんわ!)

 

八百万は他の顔色を伺うがあまり芳しくない。

 

口田「・・・・・・」ガクガクブルブル

 

口田に至っては恐怖に打ち勝つことに囚われてしまっている。

 

八百万(くっ、しっかりしなさい!八百万百!考えろ!決して諦めないで、でも時間で足が変わる生き物なんて・・・それともそれが引っかけ?)

 

考え続ける間も板は短くなり更に、

 

バキャ 人形残り4体

 

砂糖「あっ!」

 

瀬呂「げげ!」

 

人形がついに一つ壊れてしまった

 

闇の仮面「フフフ、さあ絶望しろ。

 

もっとその顔を歪めて「人間。」っ!?」

 

全員の顔が一ヶ所に向く

 

蛙水「朝昼夜、これは人間の一生を表してるわ、生まれたときは四つん這い、そして二本足で歩き、晩年は杖をつくから三本足・・・どうかしら。」

 

闇の仮面「・・・チッ、正解だ!」

 

 

すると縄は消え地面ももとの状態に戻った。

 

上鳴「おおぉぉぉ、梅雨ちゃ~~~ん!」

 

麗日「さすが梅雨ちゃん!」

 

瀬呂「た・・・助かったぁ。」

 

八百万「申し訳ありません、蛙水さん。助かりましたわ。」

 

蛙吹「梅雨ちゃんと呼んで。

 

それに、まだ一問目よ。気を抜いてはいけないわ。」

 

闇の仮面「ふむ、少しはやるようだな。

 

では、第二の問いだ。」

 

 

ヒタ

 

口田「・・・?」

 

口田は足に違和感を感じ下を見たすると

 

口田「っ!?」サー

 

足にゾンビ達が張り付いていた

 

瀬呂「ぎゃ~~~!今度はなんだ!?」

 

八百万「またこれが制限時間ですの?」

 

闇の仮面「その通り、貴様らがそいつらの仲間入りするまでだ。

 

それでは・・・地を這って壁にすがる者とはなにか?」

 

芦戸「またなぞなぞ!?」

 

障子「しかもまた一筋縄ではいかなそうだな・・・。」

 

「オオオ・・・」

 

「ウアア・・・」

 

亡者達は足にしがみついたと思ったら、そこからどんどん上に登ってきていた。

 

飯田「まずいこのままでは一番小柄な梅雨ちゃん君から先に覆われてしまう!」

 

蛙吹「ケロッ、あまりよろしくないわね。」

 

ピシッ!

 

上鳴「やべぇ!二つ目にヒビ入ったぞ!」

 

 

 

八百万「・・・影。」

 

闇の仮面「っ!?」

 

八百万「答えは『影』ではありませんか?」

 

闇の仮面「くそっ!正解だ!」

 

上鳴・切島「「ヤオモモオオオォォォ!」」

 

 

 

シュウウウウ

 

峰田「ゾンビ達が消えてくぞ!」

 

八百万「私たちのクラスメイトをお仲間にはお伝えになっていませんか、緑谷出久?」

 

高みの見物を決め込む緑谷に鋭い視線を向ける八百万

 

障子「わかっていたのか?」

 

常闇「ああ、」

 

「トウゼンダロ!」

 

 

砂糖「さあ、ラストだ!」

 

闇の仮面「ウググググ「闇の仮面。」ッハ!」

 

緑谷「まだ一問残ってるでしょ。僕をもっと楽しませてよ。」

 

あくまで余裕の笑みを崩さない緑谷

 

その態度に1-A一同は憤りを隠せなかった。

 

闇の仮面「ハッ最後はとっておきのやつを残しております。」

 

そう言うと五人は身構えた、すると

 

バガン

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

地面から巨大な手が5組、地面をぶち破り五人の両手を拘束してしまった。

 

瀬呂「おいおい、こりゃまた洒落にならねーよ。」

 

ドゴオォォォン

 

更に轟音が流れたと思うとその両手の主と思われる怪物が口を大きく開けてよだれを垂らし五人を食わんとしていた。

 

峰田「ギャアアアアアァァァー!?」

 

闇の仮面「今回のタイムリミットはそいつの餌になるまでだ!

 

では、いくぞ!」

 

 

 

ズズズ

 

地面から3×3のパネルが現れる

 

闇の仮面「その石盤の真ん中は色が違うのがわかるか?そこに何が描かれているか当ててもらおう、ただし・・・一枚も表にすることは出来ない!」

 

芦戸「もう我慢ならない!そんなの絶対わかるわけないじゃん!」

 

芦戸が透明の壁を叩き抗議する

 

闇の仮面「黙れ、小娘が!

 

私は慈悲深い性格だからな。緑谷様に刃向かう愚者達にもゲームの公平さを保つためのヒントをお教えしよう。ヒントは・・・石板は魔物を写す鏡なり。」

 

皮肉げに話す闇の仮面

 

そうする間にも怪物はみるみる五人の頭を覆っていく。

 

闇の仮面「フ、所詮ここまでよ。魔物の餌となり果てるがよい!」

 

飯田「みんな!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

優しいだけではダメだ・・・

 

ここに入り嫌と言うほど味わった。

 

自分の目指す理想像など無視して問答無用で自分を、他人を傷付けに行く悪意達

 

守りたいものがあったからヒーローになった筈なのに・・・

 

なにもできていない、守られている自分がいた。

 

 

気付いたら皆の背中がすごく遠くに見えた

 

個性のせい?

 

ちがう。

 

それならば自分はここにはいない。

 

自分の心の弱さのせいだ。

 

口は悪いがいつも先頭を切って困難に挑む爆豪君、それについていく切島君や上鳴君。

 

己の信条を貫く飯田君、周囲の目を気にせずあるがままに高みを目指す轟君。自分の弱さと向き合い見果てぬ答えを探し鍛える常闇君、皆僕と同い年なのに、彼らの背中には子供の時見たヒーローの心強さが確かに備わっていた。

 

僕は・・・?

 

僕には・・・なにもないの?

 

今も、僕より小柄な蛙吹さんが必死に勇気を絞りだし、皆の希望の火を灯したのに

 

僕は・・・僕には・・・

 

 

 

 

 

 

「てめぇもヒーローになりてぇんだろ!」

 

!!

 

胸に鳴り響くあの悪態

 

自分に言われた訳ではない言葉が何故か今になって胸に響く

 

そして

 

耳郎「みんな・・・。」

 

先の期末テストで自分に勇気をくれた戦友

 

どれだけ自分が傷ついても励ましの言葉を送る彼女に何を見た?

 

今度は僕の番だ!!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

蛙吹「ケロッ!?」

 

砂糖「ここまでかよ!?」

 

闇の仮面「さあ答えられぬ愚か者が餌に成り下がる瞬間だ!」

 

口田「・・・・・・く、口!!」

 

闇の仮面「なんだとぉ!?」

 

口田「後のものは二つに分けられるでも・・・この大きな口は一つでしか成り立つことはない!」

 

ガラガラガラ・・・

 

 

バンッ!!

 

九枚の石板が表となり中心に描かれたのは牙の生えた口の絵だった

 

 

闇の仮面「そんな・・・そんな、バカなああああぁぁぁぁ!?」

 

 

最初の試練 突破 人形残り4体




あまり返せていませんが感想お待ちしております。

励みにさせていただきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。