千年ロッドに選ばれた無個性少年   作:遊人

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反撃準備

林間合宿という一大イベントは悪夢に塗りつぶされた

 

敵の襲撃により戦場と化した林間合宿を生還した卵達は今、合宿所近くの病院に収容されていた。

 

参加したA組、B組共に命を落とした者はいなかったが、誰も生き残れた喜びを噛み締めてる者はいなかった。

 

生徒2名(爆豪と轟)プロヒーロー1名(ラグドール)が行方不明

 

 

引率教師2名とプロヒーロー虎が負傷、更に応援に駆けつける筈のプロヒーロー達も敵の妨害により負傷者多数に対して

 

 

 

ヒーロー側は足止めを行っていた敵三名を逮捕するので精一杯という結果だった

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

拉致された爆豪と轟、そして事情聴取の為に別室にいる切島と芦戸を除くメンバーは一つの病室に集まっていた。

 

耳郎「・・・・・・。」

 

八百万「耳郎さん・・・。」

 

八百万の言葉に耳郎は反応せずただ言葉がむなしく消えていく

 

その耳郎の視線の先には

 

上鳴「・・・・・・。」

 

目を瞑り横たわる上鳴がいた

 

モンスターを決死の覚悟で葬った上鳴だったが容量を無理矢理オーバーしてまで個性を使用し続けた反動で意識が戻らずにいた

 

峰田「上鳴ィ、起きてくれよ・・・。

 

お前が起きてくれなかったらおいらの話し相手がいなくなっちゃうだろォ・・・。」

 

涙声で意識のない上鳴に話かける峰田

 

常闇「・・・・・・・。」

 

障子「・・・・・・・。」

 

やるせない気持ちを圧し殺すかのように目を背け誰もなにも言えないでいた

 

耳郎「なんでだろうね?」

 

誰にとも言うわけでもなく耳郎が語り出す

 

耳郎「なんで、自分が誰かの為に命をかけることはすんなりできても、誰かが自分の為に傷つくと心がこんなに痛くなるんだろうね・・・。」

 

言い終わる前から感情が決壊したかのように涙が止めどなく溢れる耳郎

 

八百万「・・・・・・。」スッ

 

それを見て無言で自らの個性で創造したハンカチを差し出す八百万

 

耳郎「ごめんっ、ごめんね。ヤオモモ。」

 

八百万「今は好きなだけお泣きください。それを嘲笑する人はここにはいませんから。」

 

耳郎の涙を受け一部のメンバーからもすすり泣く音が聞こえていた

 

病室に重い空気が満ちていく

 

「な・・・なに泣いてん・・・だよ・・・耳郎・・・。」

 

耳郎「ッ!?」

 

峰田「上鳴!」

 

上鳴「お前は・・・笑ってる方がきれいなんだから・・・そんな顔するなよ、耳郎。」

 

意識を取り戻した上鳴に一時の歓喜が広がる

 

そしてすぐに駆けつけた看護婦、医師による確認が行われた。

 

八百万「上鳴さん、ご無事でなによりでしたわ!」

 

上鳴「ごめんな、ヤオモモ。

 

ってありゃ?そういや何人かいなくね?」

 

飯田「上鳴くん、落ち着いて聞いてくれ・・・。」

 

飯田は上鳴に現状を包み隠さず伝えた

 

上鳴「マジかよ・・・。」

 

絶句する上鳴

 

そこに・・・。

 

ガラガラガラ

 

芦戸「あっ上鳴!よかった。

 

目覚ましたんだね!」

 

切島「・・・みんな。」

 

 

 

そこに事情聴取を受けていた二人が帰ってきた

 

ガンッ!

 

切島は病室に入るや膝を下に着け頭を下げた

 

飯田「き、切島くん!なにを・・・。」

 

切島「すまねえ!

 

俺のせいでみんなに迷惑をかけちまった!

 

こんなんで許されるとは思わないけど・・・今の俺にはこうする以外思い付かねぇんだ!!」

 

ポタッ ポタッ

 

土下座をして伏せた顔の下に滴が落ちる

 

麗日「そんな!切島くんが悪いんじゃないやん!」

 

蛙吹「そうよ。悪いのはあなたに洗脳をかけた緑谷出久よ。」

 

切島「でも、でも・・・俺がもっと勘が良ければ俺の心がもっと強ければ!

 

こんなことには・・・。」

 

飯田「・・・君の気持ちは痛いくらい伝わっている。

 

君が自分を許せない性分も理解している。

 

だから顔をあげて前を見てほしい。

 

だって僕らはまだ生き延びたんだから。」

 

峰田「そうだぜ!それに今ごろプロヒーロー達が二人の捜索をしてるだろうし、オールマイトが二人を連れて帰ってきてくれるさ!!」

 

口々に切島へ言葉をかけるクラスメイト達

 

切島「すまねぇ・・・すまねぇ・・・!」ポタッポタッ

 

先程と同じように溢れた涙と謝罪

 

しかしそこに含まれる感情は真逆になっていた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ヒーローの信用失墜を目論む敵連合

 

その第一段の作戦としては上々の滑り出しとなり

 

帰還した彼らは息抜きを行い次の作戦へ英気を養うことになった

 

緑谷「チェックメイト。」コトッ

 

コンプレクス「あらら、そうされちゃうとおじさん参っちゃうんだけどな。」

 

トゥワイス「おいおいマジかよミスター!俺あんたの勝ちに賭けてんだから頑張ってくれよ!」「ほどほどにな!」

 

トガ「キャー、かっこいいですぅ!キズがあればもっとカッコよくなりますよ、だから・・・。」

 

マグネ「ハイハイ、男の真剣勝負に口をはさまいようにね。」

 

荼毘「もう一杯同じのをくれ。」

 

黒霧「かしこまりました。」

 

死柄木「おいお前ら、たるみすぎだろ・・・。」

 

自由気ままに過ごす彼らに連合リーダー、死柄木は呆れ返っていた

 

「・・・ハッ、ここは?」

 

「・・・アアッ!?ンだこれ!?」ガシャガシャ

 

トガ「アッ、起きたみたいですね。」

 

先の襲撃の際に拉致した爆豪と轟

 

二人は現在手を後ろに回され背中合わせで拘束されていた。

 

爆豪「おいてめぇら!今すぐこれをはずせ!!」

 

コンプレス「おっと、無闇に個性を使用しない方がいいよ、後ろの友達が大変な事になっちゃうからね。」

 

両手は今、二人の背中の間にある、個性の都合上発動しようとすればもう片方にダメージを与えてしまう、それを見越しての拘束だったが

 

死柄木「それでもやるってんなら大歓迎だぜ、まったく窮屈だな、ヒーローってのはよ。」

 

爆豪「クソがッ!」

 

轟「・・・ッ!」

 

二人は悔しげに睨み付ける

 

緑谷「ねっ、やっぱりやらないでしょ。だから僕は言ったんですよ、無駄だって・・・。」

 

死柄木の後ろからバカにしたように話す緑谷

 

爆豪「クソデクゥ・・・!」

 

轟「緑谷・・・出久ッ!」

 

その姿が瞳に映るや二人の眉間のシワがより深まる。

 

マグネ「あらあら、熱烈なアピールね。」

 

コンプレス「人気者だねぇ。」

 

死柄木「あ~あ、当てが外れたな。あの映像とか見てたとき二人共絶対こっち側の素質があると思ってたんだけどな~!」

 

「残念だったね、弔。

 

だけどめげてはいけないよ、こういうのは経験だからね。」

 

隅のモニターから声が聞こえる

 

瞬間

 

爆豪/轟「ッ!?」ゾクッ

 

空気が一変する

 

この空間の酸素が一気に薄まったかのような錯覚に陥る

 

呼吸が自然と浅くなる

 

「人心を掌握するにはもっと経験が必要だからね。急を要するなら私の力で洗脳してしまうけど。」

 

軽い感じで重大な宣告を行う声の持ち主に

 

死柄木「いや、それには及ばねぇよ、先生。

次のステップへ進むだけだなからな。

なぁ、緑谷!」

 

緑谷「ふふふ、始めからこっちの案にすればよかったのに・・・。」

 

トガ「ウフフフフフフ!」

 

死柄木が首を向けた先にいたのはヴィラン連合のブレーン緑谷出久

 

彼が肩を竦めて呟くとそれを聞いたトガの顔が綻び始める

 

死柄木「よかったなてめぇら、歴史に名前残してやるよ!」

 

向き直った赤い目に狂気が帯びる

 

闇緑谷『さあ、ゲームスタンバイだぁ!』

 

トガ「ンフフフフフフフフ、アハハハハハハハハ!!」

 

爆豪「ンだとォ・・・!?」

 

轟「俺らになにをする気だ!」

 

死柄木「体育祭での決勝二人、知名度全国区になったお前らが敵になれば・・・、って思ったけどよ。

お前らにその気がないようだからな。」

 

爆豪「たりめぇだ!!」

 

轟「貴様らの思い通りになぞなるかッ!」

 

死柄木「なら話はややこしくしない方がいい、てめえら有望な卵を踏み潰して世間に知らしめてやるよ!

 

この平和が!その憧れが!どれだけ脆く、偽りのものかというのをな!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

雄英高校では緊急会議が設けられた

 

 

会議に参加するも、教え子を危険に晒し、誘拐されてしまったことに自らの無力感に苛まれるオールマイトだったが

 

でーんーわーがー来た!

 

一本の電話が彼の闘志を呼び覚ました!

 

 

 

オールマイト「塚内くん、今すぐそちらに向かう!

 

彼らに会ってこう言わなければならないね。

 

私が、反撃に来た!ってね。」

 

そこには己の無力に打ちひしがれる教師の卵はいなかった

 

己の使命を全うし悪と戦う平和の象徴が立っていた

 

 

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