緋扇邸のオオカミくん   作:アニアス

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第9話 コガラシVS秋宗

 

ピタッ!!

 

 

 

 

 

 

コガラシ・かるら『!?』

 

かるらと支離式の儀を受けて体を操られたコガラシが数センチまで顔を近づいた時、二人の動きが止まった。

まるで、何かに押さえつけられたかのように二人の体がピクリとも動かない。

 

 

かるら(な、何事じゃ!?体が、動かんぞ!)

 

 

そして今度は会場全体が大きく揺れ始めた。

 

 

雲雀「な、何!?今度は何が起きてるの!?」

 

こゆず「もしかして地震!?」

 

 

雲雀もこゆずも動揺して何が起こっているのか理解出来なかった。

 

しかし、狭霧には理解出来た。

 

 

狭霧「・・・ま、まさかこれは!幽奈のポルターガイスト!?」

 

 

狭霧が幽奈を見ると、幽奈はいつの間にか拘束術を破っており、宙に浮いていた。

幽奈は強力な霊力を持っており、感情が高ぶると一気に霊力が解放されるのである。

 

 

コガラシ「幽奈・・・!」

 

かるら(なんじゃこの強力なポルターガイストは!?妾の動きを封じるなど!)

 

秋宗「嘘だろ!?昨夜より霊力が上がってるじゃねぇか!」

 

 

かるらも秋宗も、幽奈がこんなにも強力な霊力を秘めているなど想定外であった。

 

そして、幽奈が口を開き・・・

 

 

幽奈「・・・い、いけません!いけませんよ大天狗さん!き、きき、キスだなんて!そんなの、恋人同士になってからすることです!!」

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

間違ってはいないが、なんとも気の抜けたような叫びに会場には微妙な空気が漂っていた。

 

 

幽奈「コガラシさんからっ、コガラシさんからっ、離れてくださあぁぁぁい!!」(カァァッ!

 

 

幽奈の体から更に霊力が溢れ出した。

 

すると、

 

 

シュゥゥゥ・・・・・

 

 

かるら(なっ!?)

 

千紗希「冬空くんの顔の模様が!?」

 

 

なんと、コガラシの顔に刻まれていた呪いの隈取りが消えていっているのだ。

 

秋宗はもしやと思い、窓から外の様子を確認すると信じられない光景が広がっていた。

 

 

秋宗「っ!?ヤバいお嬢!この会場に張ってあった結界が壊れかけてる!」

 

かるら(何じゃと!?)

 

 

外には外部からの侵入を断つために、会場全体に強力な結界を張っていたのだが、幽奈のポルターガイストの影響によって、結界全体に大きくヒビが入っていた。

それほどまでにも、幽奈の霊力の大きさが物語っていた。

 

 

かるら(皆の者!!そこの人間霊を取り押さえるのじゃ!!)

 

緋扇邸一同『はっ!!』

 

 

かるらが他心通でスズツキたちに命令を下して幽奈を取り押さえようと一斉に遅いかかって来た。

だが、

 

 

ガキィン!キィィン!

 

 

雲雀「大丈夫幽奈ちゃん!?」

 

狭霧「すまない!拘束術を破るのに手間取ってしまった!」(ズバッ

 

千紗希「ありがとう狭霧さん!」

 

こゆず「やっと動ける!」

 

夜々「反撃開始」

 

 

拘束術を破った狭霧と雲雀と夜々がスズツキたちの攻撃を防いだ。

狭霧は千紗希とこゆずの拘束術を破り、夜々は猫神を召喚していた。

 

 

秋宗「・・・面倒なことになったな」

 

かるら(おのれぇ!どこまでも邪魔をしおって!)

 

マトラ「あたしに任せときなおいひさん!!」

 

 

ドゴオォォン!!!!

 

 

突如、会場の天井が崩れて中からマトラが出てきた。

鵺の力で弁天島から京都まで急いで戻ってきたのだ。

 

 

マトラ「かなり道に迷ったけど、ウェディングドレス姿は拝めたぜ!」

 

秋宗「っ!姐さん挟み撃ちだ!湯ノ花を仕留めるぞ!」

 

 

マトラが降りてくると同時に幽奈に向かって蹴りをかまし、秋宗は狂暴性50倍の姿に変身して幽奈に向かって爪で切りかかろうとする。

 

前からはマトラ、後ろからは秋宗、幽奈は絶体絶命の危機に陥った。

 

二人の攻撃が幽奈に届きそうになったとき、

 

 

ズドオォォォン!!

 

 

突如、何者かが幽奈を抱き寄せて、守るかのようにマトラと秋宗の攻撃を防いだ。

二人は思わず距離を取ってしまう。

 

 

マトラ「あたしの蹴りが防がれた!?」

 

 

秋宗「これはいよいよマズイぞ・・・!」

 

 

 

 

コガラシ「・・・どうやら呪いは解けたみてぇだな。ありがとな幽奈!夜々!雲雀!狭霧!宮崎!こゆず!」

 

 

 

 

 

顔にはもう隈取りの模様はなく、体も自由に動かせる。

肉体派霊能力者、冬空コガラシ、完全復活である。

 

 

狭霧「ふ、冬空コガラシ!」

 

千紗希「冬空くん・・・!」

 

幽奈「コガラシさん・・・!」

 

 

みんな、コガラシが戻ってきたことに安堵の表情を浮かべる。

しかし逆に、参列した妖怪たちは慌てふためいていた。

 

 

「まさか、支離式の呪いが解かれたのか!?」

 

「京妖怪最高戦力の鵺とアメリカ最強妖怪のオオカミ人間の攻撃を容易く・・!!?」

 

「一体どうすればよいのだ!?」

 

かるら「なんということじゃ!おのれぇ!」

 

秋宗「・・・そんな顔すんなよお嬢。今すぐ新郎を連れて帰って来るからよ」

 

 

焦っているかるらを安心させるために、コガラシを連れて行こうと秋宗はコガラシたちの方へ歩いて行った。

 

 

雲雀「く、来るよぉ!」

 

夜々「あれは厄介」

 

狭霧「ッ!よく聞け冬空コガラシ!オオカミ人間は変身すると毛皮で覆われて刃も弾丸も身体に通らないんだ!お前の拳が効かなかったのもそれが原因なんだ!」

 

こゆず「だから早く逃げよう!」

 

 

しかし、コガラシはそこから動かなかった。

まるで秋宗を待っているかのように。

 

そして、秋宗がコガラシの前まで来て止まった。

 

 

秋宗「・・・一応聞いておくが、大人しく捕まる気は?」

 

コガラシ「ねぇよ」

 

秋宗「そうか、じゃあ仕方ないな」(ゴオォォ

 

 

秋宗が右拳を構えると霊力が溜まり始めた。

 

秋宗は他心通は会得しなかったものの、戦闘好きのマトラからよく組み手をされて、いつの間にか自身の霊力のコントロールまで出来るようになった。

 

 

こゆず「す、すごい霊力!幽奈ちゃんほどじゃないけど、あんなのが当たったら!」

 

幽奈「コガラシさん!早く逃げましょう!いくらコガラシさんでもあれほどの霊力を受けてしまったら!」

 

コガラシ「・・・心配すんな、すぐに終わる」(ニッ

 

 

コガラシは幽奈たちに笑顔を向けて大丈夫と宣言したのだ。

 

 

秋宗「・・・たいした度胸だ。けど、あんまり俺を、嘗めてんじゃねぇぞおぉ!!」(ズバァァン

 

 

秋宗が霊力を込めた拳で殴りかかってきた。

コガラシも拳を受けて構えて秋宗に振りかざした。

 

互いの拳がぶつかり、そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドゴオオオォォォン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋宗「がぁはぁ!!??」

 

 

なんとコガラシの拳が秋宗の脇腹に辺り、秋宗が殴り飛ばされたのだ。

 

秋宗は殴り飛ばされた反動によって、会場の壁に大きな穴が開いてしまった。

 

 

スズツキ「さ、西条!?」

 

黒服1「西条はんが!殴り飛ばされてしもぅたぁ!!」

 

黒服2「た、確か昨夜は効かなかったはずでは!?」

 

黒服3「一体、どういうことなんだ!?」

 

 

スズツキたちは秋宗がやられたことに驚きを禁じえなかった。

秋宗の実力はマトラとほぼ互角、こんなにもあっさり力勝負で負けるとは信じられなかった。

 

 

こゆず「やったぁ!コガラシくんが勝った!」

 

雲雀「流石コガラシくん!」

 

狭霧「だが、昨夜は効かなかったのに、なぜ今になって攻撃が通用したんだ?」

 

幽奈「いいじゃないですか、コガラシさんが勝ったのですから」

 

 

幽奈たちもコガラシが秋宗に勝ったことに大変喜んでいた。

 

 

マトラ「まさか、秋宗がやられるとはなぁ。じゃあ次はあたしが!」

 

かるら「やめよマトラ、もうよい。妾の負けじゃ」

 

マトラ「おひいさん・・・!」

 

 

コガラシと闘おうとするマトラをかるらが止めた。

呪いも解けて、コガラシを自分のものに出来なかったかるらにはもう諦めの色が見えていた。

 

 

かるら(妾も、こんな方法は取りたくはなかった!身勝手なことも承知しておる!じゃが妾は!八咫鋼のことを想う気持ちが押さえられぬ!たとえ仲間を欺こうとも、八咫鋼にそばに出で欲しかったのじゃ!)

 

スズツキ「・・・か、かるら、様?」

 

かるら「ッ!?」

 

 

かるらが他心通を乱していた為、かるらの心の声が会場にいる者たち全員に聞こえてしまった。

 

実はスズツキたちを始め、参列した妖怪たちも、西軍の戦力を高める為の計略結婚と思っていたのだ。

その為、私利私欲でかるらが結婚しようなどと、誰も疑わなかったのだ。

ちなみにこのことを知っていたのは、マトラと秋宗だけだった。

 

しかし、全てばれてしまい、参列した妖怪たちは腹を立てて、全員帰ってしまった。

 

かるらは思わず膝をついてしまった。

 

 

かるら「妾は、なんということを・・・!全て、妾の責任じゃ・・・!」

 

コガラシ「・・・緋扇」

 

かるら(ビクッ

 

 

コガラシに声をかけられ思わず身震いをした。

一体何を言われるのだろうと、とても不安になった。

 

コガラシは口を開き

 

 

コガラシ「その、なんだ。お前の気持ちは嬉しいけど、こんなやり方俺は気にくわねぇ。だからお前の気持ちにも答えてあげられねぇ。ゴメンな」

 

 

かるらをフッて、背中を向けて出口へ歩いた。

 

かるらはショックを受けてしまったと思ったが、むしろ逆に嬉しかった。

自分をまだ女として扱ってくれているコガラシの気持ちがとても嬉しくて涙目になっていた。

 

コガラシは幽奈たちを連れて出口へ歩き、仰向けに倒れて人間の姿に戻っている秋宗とすれ違った。

 

 

秋宗「・・・色々悪かった。俺の口からも謝らせてほしい」

 

コガラシ「・・・もういいって。次からはもうこんなことすんなよ」

 

 

コガラシは振り向いて、倒れたまま謝っている秋宗に念を押した。

 

 

秋宗「・・・分からないことがある。何で昨夜、手を抜いたんだ?お前があの時、思いっきり俺を殴っとけば、こんな面倒なことにならずに済んだかもしれないのに」

 

コガラシ「・・・あんな巨体を殴り飛ばしたら、温泉が滅茶苦茶になっちまうだろ」

 

秋宗「・・・ハッ、それが理由かよ」

 

 

秋宗との会話を終えて、コガラシは今度こそ幽奈たちと一緒に緋扇邸を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、コガラシの誕生日パーティーが再開されて、みんなは盛大に楽しんだ。

 

そして、かるらと秋宗がゆらぎ荘に赴いて、改めてコガラシに謝罪をして、やり方は改めるから友達になってほしいとお願いしたのだ。

コガラシはこころよく引き受けて、かるらたちと和解した。

 

余談だが、かるらが誕生日プレゼントとしてコガラシに自分の水着姿がプリントされたマフラーを渡したのは、言うまでもなかった。

ちなみに秋宗は自分の好きなバンドのミュージックアルバムのCDをプレゼントした。




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